第 12 回「雷」俳句・川柳コンテスト受賞作品集 ●主催：雷文化都市構築推進委員会・鶴岡市黒田杏子先生選【俳句の部】【大賞】落雷の火柱立ちし羽黒山講評東京都佐野由紀子様壮大な光景。羽黒山という固有名詞の言霊（ことだま）が、この一句をドラマティックなものにしています。事実の強みです。愛媛県【秀作】 ① ころがしておく赤んぼも雷も神奈川県久保田聡様半木るん様 ② 雷光や遠くシリアの空想ふ講評 ①赤ん坊も雷もヴァイタリティがあります。異色のとり合せがこの句を新鮮でいきいきとしたものにしています。 ②シリアという地名が効いています。砂漠の国、歴史的な国であるシリア。現在の世界情勢をも反映していて魅力的な句。 ② 雷の夜しづかに別れ決めてをり ① 雷や少し哀しい父の杖北海道埼玉県愛媛県江田三峰様新海あぐり様岡村理江様【佳作】 ③ 遠雷や牧舎に戻す子連れ馬講評 ① 父への想いが雷に託して表出て来ています。父の杖音が響いてきます。 ② 人生のドラマ。男女のこころの動き。「しづかに」この四音字が効果をあげています。 ③ ただ馬を戻すのでなく、子連れ馬であるところがこの句の世界に存在感を与えています。印象鮮明な作品。全体を通して全体をこのコンテストも十二回となったことに感銘を覚えます。ことしの応募作品は全体に落ちついた句が多くなったこと。ことばあそび的作品は姿を消し、人生観・自然観にかかわる句が増してきたという印象を受けました。幅が拡がりました。選句をしていて手応えを感じました。選者としてこのコンテストの存在理由を確認できたことも嬉しい事でした。広島県金廣光枝様雷害リスク低減コンソーシアム選【川柳一般の部】【大賞】抱きしめる次光ったら抱きしめる講評雷に驚き怯えるあの子と近づきたい。そんなドキドキする、甘酸っぱい気持ちに共感でき、心がほっこりした一句です。雷と言えば、危険で恐ろしいものというイメージがありますが、縁結びという粋な計らいもしてくれるようです。雷の日は二人の距離が急接近するチャンスかも知れませんね。 ① 稲妻級育児に仕事母は神なり青森県埼玉県山田十九子様梅本聖枝様【秀作】 ② 稲光り蔵を照らして美酒巡り講評 ① 稲妻のような速さで家事に育児に仕事に奔走する母の姿が目に浮かびます。偉大な母達を神なりと称えましょう。 ② 稲光りの美しい情景が目に浮かぶようです。雷様にも是非、鶴岡の美味しいお酒を堪能してほしいものです。飲み過ぎない程度に。 ② 宇宙から見れば地球のオーラかな ① 雷も平和を祈り光るのみ神奈川県林陽子様大阪府兵庫県塚崎てる子様岸野孝彦様【佳作】 ③ 雷鳴にヘソよりパソコン隠す子ら講評 ① 昨年は安保法案や隣国の情勢、テロなど平和の事を考えさせられるニュースが特に多かったように思います。この句の作者と同様に雷が世界を照らす希望の光となってくれることを願います。 ② 幻想的な雷の情景と、地球の持っているエネルギーが感じられる句です。 ③ 雷が鳴ったらへそを隠すという言葉を最近の子供は知らないかもしれないですね。パソコンは隠すのではなく是非避雷器で保護をしてください。全体を通して全体を雷川柳では、時事問題や流行、男女や親子の関係などを詠む句が多いことから、毎年この時期に雷川柳の選句をさせて頂くことで、一年間に起こった出来事や今の世相を楽しく振り返ることができます。今回の雷川柳の傾向としては、雷を怖いもの・強いものとして捉えた作品だけでなく、美しいもの・神々しいものとして捉え、擬人化している作品も多く見かけました。雷や稲妻を様々に表現されているというとは、それだけ人々の中に雷や稲妻が浸透しつつあるということの表れなのかも知れません。新潟県佐藤芽衣様雷文化都市構築推進委員会選【川柳小中学生の部】【大賞】天と地を結ぶひとつの光の矢【秀作】五十嵐幹仁様アメリカワシントン ① テスト前ゲームにゴロゴロ母ドッカーン山形県 ② 暗闇の中に一匹金の竜 ① 火事の次おやじの雷まじこわい東京都鳥取県五十嵐堅進様中村治樹様渡辺虎太郎様滝沢奈津妃様 ② 雷が落ちるほこ先いつもぼく山形県【佳作】 ③ ゴロゴロは冬のしらせとじじは言う ※ 雷文化都市構築推進委員会選には講評はございません。 ② 看護師が雷落とす隠れ食い ① 盗み食い母の雷また落ちる北海道大分県福岡県土生洋子様山本樹様川野誠様冨重禎徳様神奈川県井上靖様雷文化都市構築推進委員会選【川柳特別テーマの部】【大賞】万雷の拍手でかわす祝い酒 ① ＴＰＰ米から日本に雷おこし東京都川合笑迷様【秀作】 ② 二日酔い胃に脳味噌にはたたがみ新潟県【佳作】 ③ 雷が鳴る度だだちゃ味を増す ※ 雷文化都市構築推進委員会選には講評はございません。