PDF(1MB) - 高松市 屋島山上拠点施設 基本設計業務プロポーザル

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高松市 屋島山上拠点施設基本設計業務プロポーザル
「屋島に寄り添い開く建築」
これまで様々な象徴となってきた屋島の特徴的な形を活かして、風景と共にあるのびやかで気持ちの良い観光交流拠点を提案します。
親しみを込めて頭に思い浮かべることができる屋島の形状に着目し、このビジターセンターもどこか屋島のように愛着のわく形を持てないかと考えました。
また、屋島という名前の由来を引き継ぎ、屋島の山上を大きな屋根の上にいるような開放的でのびやかな場所にします。
この屋根の上で思い思いの時間を過ごす人々の風景と、瀬戸内の多島海のおおらかな風景とが重なり、ここでしか見られない、広く親しまれる場所になることを期待します。
1. 片流れ屋根の集合
2. 大地との連続
3. 地形との一体化
4. 敷地に対する合理的な配置計画
屋根全体を片流れ屋根の集合として構成します。片流れ屋根の1つ1つが多島海=瀬戸内海の風景を示し、そして全体
敷地北東部から徐々に上るアプローチを設け、建築
敷地の高低差に沿うように建築をつくり、地面からそのま
敷地の平場部分に建築の大部分を計画し、高低差のある部分は傾斜を利用して多目的ホールとします。
の屋根としては屋島の形状を示します。瀬戸内海と屋島というこの敷地における二つの大きな特徴を捉えることで、訪れ
内部からは瀬戸内海への展望が広がる計画とするこ
ま連続するような段状部分も設けることで、地形と建築の
また、北側にスタッフ用及び車椅子用の駐車場、搬入車両の動線をまとめ、敷地内の大部分を歩行者のための場所に
る人が愛着を持ちやすい建築にします。
とで、屋島の麓から山上、そして瀬戸内海への展望
一体化を図ります。
します。建築への蛇行したアプローチは高低差処理だけでなく、合間に屋外多目的広場や庭園が点在し、敷地全体を
という連続性を踏襲します。
麓から頂上へ
■設備計画
使い切る計画としています。
1. 中水利用
屋根の勾配及び柱を利用して雨水を集め、中水としてトイレの洗浄水や植栽の
▽ 2FL
用水に利用します。敷地が瀬戸内型気候に属し降水量が比較的少ないことから、資源
を無駄にしない施設を目指します。
瀬戸内海の風景
▽ 1FL
夏至
2. 日射遮蔽及び通風利用
多島海
柱と縦樋を兼ねる
散水に利用します。また、地下に貯留タンクを設けることで災害時の生活用水や防災
1 階のコンクリートのヴォリュームから大きく庇
屋島の台形
貯水タンク
を出すことで、敷地の開かれた環境による強い日
ホール
ホール
瀬戸内海の風景
冬至
差しを遮蔽し、空調負荷の低減を図ります。また、
上る体験
車動線
ワンルームにより中間期には空間全体に風を行き
渡らせ空調エネルギーの最小化を図ります。
庭園
歩行者動線
屋外多目的広場
3. 床下からの居住域空調
所々の吹抜けに考慮し、地下に設備ピットを設け、床下から空気を吹き出す
居住域空調を採用します。暖かい空気は上昇するという熱の性質を利用し、
6. 柔軟な展示
7. 屋上のような 2 階
各展示コーナーの外側に屋外多目的広場を設けることで、内部と外部を一体的に利用した展示に対応できます。また、
2階の機能はカフェと展望デッキのみにし、最大限展望を望める屋上のような場所にします。また、展望デッキを外部空
ても関係性が持てるようにします。また、中央の展示広場からは空間全体を一望できるため、利用者に対しての分かり
瀬戸内国際芸術祭や近隣美術館と連動した企画展の際、中央の展示広場を使うことにより展示コーナーの一角だけでは
間にすることで、施設の休館日でも利用可能な場所にします。そして、こうした開放的で気持ちの良い場所が外から視認で
やすさや管理者に対してのセキュリティの双方に配慮しています。
収まりきれない展示に対して可変性のある柔軟な対応ができます。広場との一体的な利用や見える景色と関連した展示
きることで、誰もが集まりたくなるような場所をつくります。
など、空間と風景が展示内容をさらに盛り上げます。
足元から快適で効率的な空調計画とします。また、人のいない空間は空調を
多島海の風景
高松港周辺市街地
高松市の街並み
・四方に開かれた屋島の特徴
展望デッキ
また、屋根は柱と 1 階の梁で支えることで、2 階の壁をなくし、開放的な空間にすることが出来ます。
カフェ
見渡すことができ、日没後には高松港を中心とした四国でも屈指の夜景を
広場
見ることができます。
梁
カフェ
展望デッキ
展示広場
中央の展示広場で繋がっている
■企画展連動時
■複合時
柱
自由に上ることのできる開放された屋外デッキ
広場
周りの広場との一体的な利用
梁
屋根
また、海に向かって下がる階段状の展望デッキからは、眼下に高松市街を
■外部利用時
■構造計画
構造形式は鉄骨造とし、梁を全ての壁をつなぐように回すことで壁の剛性を高め、建築全体の構造的安定性を高めます。
瀬戸内海の島々
■通常時
設備ピット
しないことで経済的な空調計画にもなります。
展示スペース
広場
高松市街の夜景が広がる