第11回 フィルタの設計 (パッシブフィルタ/アクティブフィルタ) 講義資料は http://amplet.com/tdu からダウンロードできます. 初版 : 2016年1月21日 ユビキタス無線工学 担当 : 根日屋 英之 2016年6月23日 1 フィルタについて 2016年6月23日 2 1 フィルタの特性 位相 利得 ある周波数以下の周波数 帯域で,信号を通過させる. 0 - 周波数 0 fc レスポンス 位相 (a) ローパス・フィルタ 2016年6月23日 3 フィルタの特性 位相 利得 0 レスポンス 位相 - 周波数 0 fc (b) ハイパス・フィルタ 2016年6月23日 ある周波数以上の周 波数帯域で,信号を通 過させる. 4 2 フィルタの特性 位相 利得 レスポンス + 周波数 位相 0 - 0 中心周波数におけ る狭帯域で,信号を 通過させる. f0 (c) バンドパス・フィルタ 2016年6月23日 5 フィルタの特性 位相 利得 レスポンス + 位相 0 - 周波数 0 f0 中心周波数における 狭帯域で,信号を通過 させない.ノッチフィ ルタともいう. (d) バンドエリミネート・フィルタ 2016年6月23日 6 3 フィルタの特性 位相 利得 レスポンス 0 位相 - 周波数 0 周波数レスポン スが平坦で,位相 だけが変化する. (e) オールパス・フィルタ 2016年6月23日 7 特性の違いによるフィルタの区分 基本設計はバターワース特性で行う. 利得[dB] 位相[度] f f 周波数 [Hz] 周波数 [Hz] f0 a b ( ) 利得特性 ( )位相特性 2016年6月23日 8 4 アクティブフィルタについて 2016年6月23日 9 OPアンプによる反転増幅器 R3 : 1kΩ + - R1 : 920Ω 出力 R2 : 10kΩ 入力 利得G = 20log ( R2 / R3 ) 2016年6月23日 10 5 アクティブローパスフィルタ の回路構成 (fLPF = 3kHz) R3 : 1kΩ + - 出力 R2 : 10kΩ fLPF = 3kHz R1 : 920Ω 入力 C2 : 0.0056μF 利得G = 20log ( R2 / R3 ) カットオフ周波数fLPF = 1/(2πC2R2) 2016年6月23日 11 実際にある部品を用いたアクティブ ローパスフィルタのPSpiceシミュレーション結果 利得[dB] 利得特性 2016年6月23日 12 6 実際にある部品を用いたアクティブ ローパスフィルタのPSpiceシミュレーション結果 位相[度] 位相特性 2016年6月23日 13 アクティブハイパスフィルタ の回路構成 (fHPF = 80Hz) R3 : 1kΩ + - R1 : 920Ω 出力 R2 : 10kΩ 入力 C1 : 2.2μF fHPF = 80Hz 利得G = 20log ( R2 / R3 ) カットオフ周波数fHPF = 1/(2πC1R1) 2016年6月23日 14 7 実際にある部品を用いたアクティブ ハイパスフィルタのPSpiceシミュレーション結果 利得[dB] 利得特性 2016年6月23日 15 実際にある部品を用いたアクティブ ハイパスフィルタのPSpiceシミュレーション結果 位相[度] 位相特性 2016年6月23日 16 8 アクティブバンドパスフィルタ の回路構成 (80Hz~3kHz) R3 : 1kΩ + - 出力 R2 : 10kΩ fHPF = 80Hz fLPF = 3kHz R1 : 920Ω 入力 C1 : 2.2μF C2 : 0.0056μF 利得G = 20log ( R2 / R3 ) 低域カットオフ周波数 fHPH = 1/(2πC1R1) 2016年6月23日 高域カットオフ周波数 fLPF = 1/(2πC2R2) 17 実際にある部品を用いたアクティブ バンドパスフィルタのPSpiceシミュレーション結果 利得[dB] 利得特性 2016年6月23日 18 9 実際にある部品を用いたアクティブ バンドパスフィルタのPSpiceシミュレーション結果 位相[度] 位相特性 2016年6月23日 19 NJM2711を用いた アクティブバンドパスフィルタの回路図 Vc 1u/35V C1 R1 + C2 D_0V C4 R3 1k 104 5 20 3 J2 C6 R4 D_0V 1 4 20 D_0V + C5 1 J1 1 RCA_IOUT 106 U1 NJM2711 2 2 RCA_IN R5 103 51 100u/16V + R2 2 80kHz HPF C3 1k 104 80kHz HPF A_0V A_0V A_0V A_0V R7 1k R6 1 3 2 2k 400kHz LPF 2016年6月23日 C7 180p 400kHz LPF 20 10 NJM2711を用いたアクティブバンドパスフィルタ の利得特性(実測値) 2016年6月23日 21 パッシブフィルタについて 2016年6月23日 22 11 パッシブフィルタの設計について ① 基本はバターワース特性のフィルタを設計する. ② チェビシェフ特性やベッセル特性を実現するには,バターワース特性フィル タの構成要素であるコイルのインダクタンス値やコンデンサのキャパシタ ンス値に,公開されているチェビシェフ特性やベッセル特性の設計表に記 載された係数を乗じる. [事例] http://homepage2.nifty.com/y-daisan/homepage/html/A051223.html ③ フィルタの次数は,フィルタに使われているコイルやコンデンサの部品総 数と等しい.3次のフィルタとは,コイルトコンデンサの部品総数が3個. ④ バターワース特性のローパスフィルタは,カットオフ周波数から,その2倍 (オクターブ)の周波数における減衰傾度は以下のようになる. (-6dB) × フィルタの次数 2016年6月23日 23 チェビシェフ特性変換の設計表の事例 利得 L1 C1 C リップル幅 C C2 [注記] ここでは,利得と減衰を 同義語で用いています. 周波数 チェビシェフ特性 ローパスフィルタの利得特性 3次パッシブフィルタ リップル幅 C1 バターワース特性フィルタ チェビシェフ特性フィルタ チェビシェフ特性フィルタ 0.01dB 0.1dB 1 1.1811 0.3374 L1 C2 2 1.8214 0.9705 1 1.1811 2.2034 [参考] http://homepage2.nifty.com/y-daisan/homepage/html/A051223.html 2016年6月23日 24 12 LCフィルタの構成要素 L L C C タイプ(A) C タイプ(B) C L 1 ⎧ C = ⎪ 2πfZ ⎪ ⎨ ⎪L = Z ⎪⎩ 2πf L タイプ(C) タイプ(D) 2016年6月23日 25 LCフィルタの構成要素 2L L C C L C C タイプ(A) タイプ(B) π 型ローパスフィルタ L L L 2C L C タイプ(B) C タイプ(A) T 型ローパスフィルタ 2016年6月23日 26 13 パッシブローパスフィルタの設計 LLPF 0.27μH 入力 出力 [通過帯域] カットオフ周波数 fLPF : 60MHz CLPF 51pF CLPF 51pF フィルタ形式 : π型ローパスフィルタ 入・出力インピーダンス : Z = 50Ω 1 ⎧ = = C C LPF ⎪ 2πf LPF Z ⎪ ⎨ Z Z ⎪L = LPF = 2 L = 2 × ⎪⎩ 2πf LPF πf LPF 2016年6月23日 27 実際にある部品を用いたパッシブローパス フィルタのPSpiceによるシミュレーション結果 利得[dB] 利得特性 2016年6月23日 28 14 実際にある部品を用いたパッシブローパス フィルタのPSpiceによるシミュレーション結果 位相[度] 位相特性 2016年6月23日 29 LCフィルタの構成要素 C C C C L L/2 L タイプ(D) タイプ(C) T 型ハイパスフィルタ C/2 L C L C L L タイプ(C) タイプ(D) π 型ハイパスフィルタ 2016年6月23日 30 15 パッシブハイパスフィルタの設計 CHPF 1600pF CHPF 1600pF 入力 [通過帯域] 出力 LHPF 2μH カットオフ周波数 fHPF : 2MHz フィルタ形式 : T 型ハイパスフィルタ 入・出力インピーダンス : Z = 50Ω 1 ⎧ = = C C HPF ⎪ 2πf HPF Z ⎪ ⎨ 1 1 Z Z ⎪L ×L = × = HPF = ⎪⎩ 2 2 2πf HPF 4πf HPF 2016年6月23日 31 実際にある部品を用いたパッシブハイパス フィルタのPSpiceによるシミュレーション結果 利得[dB] 利得特性 2016年6月23日 32 16 実際にある部品を用いたパッシブハイパス フィルタのPSpiceによるシミュレーション結果 位相[度] 位相特性 2016年6月23日 33 パッシブバンドパスフィルタの設計 [設計方法] [通過帯域] Step 1 : まず,帯域が60MHzの ローパスフィルタを設計 する.・・・図 8-2-1参照 通過帯域 : 60~120MHz (帯域 60MHz) フィルタ形式 : バターワース型バンドパスフィルタ Step 2 : そのローパスフィルタ を60~120MHzの中心 周波数である84.85MHz に移動する. 入・出力インピーダンス : Z = 50Ω LLPF 0.27μH CBPF 入力 出力 LBPF CLPF 51pF CLPF 51pF LBPF バンドパスフィルタ 2016年6月23日 34 17 パッシブバンドパスフィルタの設計 [設計 Step 2] 60 MHz ⋅ 120 MHz = 84.85MHz 図8-2-1の帯域幅 60MHz ローパスフィルタ の周波数を 60~120MHz へシフトする. 利得 シフト後の中心周波数 f0 は, 60MHz と 120MHz の積の平方根で求める.基本となっている 3次バタ ーワース型ローパスフィルタのCLPF(51pF)に並列に LBPFを並列共振素子として,また,LLPF(0.27μF)に はCBPFを直列共振素子として加える.このときの設 計上の中心周波数は f0 = 84.85MHzである. f0 = 84.85MHz 周波数 0 60MHz 120MHz ⎧ 1 ⎪ f 0 = 60[MHz ]× 120[MHz ] = 84.85[MHz ] = π 2 L ⎪ BPF C BPF ⎪ 1 1 ⎪ = = 13[ pF ] ⎨C BPF = 2 6 2 ( ) 2 π f L ⋅ 2 π 84 . 85 10 × × × 0.27 × 10 −6 0 LPF ⎪ ⎪ 1 1 ⎪ LBPF = = = 0.069[μH ] 2 (2πf 0 ) ⋅ C LPF 2π × 84.85 × 10 6 2 × 51 × 10 −12 ⎩⎪ ( ) ( ) 2016年6月23日 35 パッシブバンドパスフィルタの設計 LLPF 0.27μH CBPF 13pF 入力 LBPF 0.068μH 2016年6月23日 出力 CLPF 51pF CLPF 51pF LBPF 0.068μH 36 18 実際にある部品を用いたパッシブバンドパス フィルタのPSpiceによるシミュレーション結果 利得[dB] 利得特性 2016年6月23日 37 実際にある部品を用いたパッシブバンドパス フィルタのPSpiceによるシミュレーション結果 位相[度] 位相特性 2016年6月23日 38 19 高周波・無線教科書(CQ出版 初版) 175ページの図8-20 式の1行目の訂正 [誤] [正] ⎧ 1 ⎪ f 0 = 60[MHz ] × 120[MHz ] = 84.85[MHz ] = 2π LBPF C BPF ⎪ ⎪ 1 1 ⎪ = = 13[ pF ] ⎨C BPF = (2πf 0 )2 ⋅ LLPF 2π × 84.85 × 10 6 2 × 0.27 × 10 −6 ⎪ ⎪ 1 1 ⎪ LBPF = = = 0.069[μH ] (2πf 0 )2 ⋅ C LPF 2π × 84.85 × 10 6 2 × 51 × 10 −12 ⎪⎩ ( ) ( ) ⎧ 1 1 = ⎪ f 0 = 60[MHz ]× 120[MHz ] = 84.85[MHz ] = 2π LLPF C BPF 2π LBPF C LPF ⎪ ⎪⎪ 1 1 = = 13[ pF ] ⎨C BPF = (2πf 0 )2 ⋅ LLPF 2π × 84.85 ×106 2 × 0.27 ×10−6 ⎪ ⎪ 1 1 ⎪ LBPF = = = 0.069[μH ] (2πf 0 )2 ⋅ CLPF 2π × 84.85 ×106 2 × 51×10−12 ⎪⎩ ( ) ( ) 2016年6月23日 39 マイクロストリップ線路を用いた パッシブバンドパスフィルタ 1/4波長 1/4波長 W/3 入力 出力 W 1/2波長 2016年6月23日 40 20
© Copyright 2024 ExpyDoc