青森における請負防除事業の取り組み

グリーンレポートNo.559(2016年1月号)
現地レポート
北東北スカイテック㈱(青森県)発
青森市
青森における請負防除事業の取り組み
青森県
秋田県
岩手県
産業用無人ヘリを活用した請負防除は、水稲分野では、
JA自らが防除を担う場合やJAが窓口になり防除組
依頼者(農家・共同防除組織)
織・会社へ委託する形式で広く普及している。また、果
契約・依頼
樹の生産現場では、農産物価格の低迷、農家の高齢化、
共同防除における役務、防除機の更新などの問題から農
JA
家が減少しており、農家の負担を軽減するため、請負防
除が事業化される事例も増加している。
代金決済
NOSAI(無人ヘリのみ)
契約・依頼
そこで今号では、青森県の北東北スカイテック㈱の請
代金決済
請負防除会社
負防除事例を紹介する。
業務内容
●水稲請負防除
(無人ヘリ)
●無人ヘリ販売・メンテナンス
●無人ヘリオペレーション研修
●スピードスプレーヤ請負防除
北東北スカイテック㈱とは
北東北スカイテック㈱の事業内容は、無人ヘリの機体
販売(新車・中古)
、機体の点検・整備を行うサービス、
無人ヘリの操縦資格に必要な講習を行うアカデミー、請
図−1 北東北スカイテック㈱請負防除事業の仕組み
負散布(無人ヘリ・スピードスプレーヤ)の 4 部門とな
各請負散布における 1 日の平均防除面積は、無人ヘリ
る。従業員は11名、所有車両としては、無人ヘリ19機、
が30∼35ha/機、スピードスプレーヤが13∼14ha/台
スピードスプレーヤ 3 台である。
である。
請負事業の利用者が年々増加
平成26年度の同社の無人ヘリ受託防除面積は23,462ha、
スピードスプレーヤ受託防除面積(りんご)は335haで、
年々増加している(表− 1 、 2 )
。無人ヘリについては、
自社機での散布が 4 割弱となっており、半分以上の面積
は外注で散布している。
スピードスプレーヤ受託防除を利用するのは主に高齢
▲スピードスプレーヤを用いた請負防除(りんご)
者で、リピーター利用が多く、病気やケガなどにより防
除適期に散布できない組合員のスポット利用もある。こ
請負事業の今後の課題
れらに加え、農機の展示会やJAの広報で宣伝している
こともあり、利用者は年々増加している。
無人ヘリの受託防除面積は年々増加しており、現在は
多くの部分を個人オペレーターに再委託しているが、今
表−1 無人ヘリ受託防除面積の推移
散布実績計
うち自社散布
自社散布比率
後さらに受託防除面積が増加した場合は、委託先のオペ
(ha)
レーターを確保する必要がある。また、飛び地での散布
平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
16,549
19,217
22,297
23,462
5,962
6,880
8,881
8,421
36%
36%
40%
36%
は、散布効率を下げるため、まとまった面積で散布効率
を高めることも必要である。スピードスプレーヤ受託防
除は、今のところ自社機による散布で対応しているが、
表−2 スピードスプレーヤ受託防除面積の推移
散布
利用者
(ha・戸)
今後、受託面積の増加に対応するには、散布作業の再委
平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
56
207
213
335
9
56
56
83
託を検討する必要がある。
【全農 東北営農資材事業所 営農資材課】
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