答えは「内側」に見つける 随分昔ですが、当時勤めていた職場の先輩先生から教えていただいた言葉があります。 「今、目の前にいる子どもの姿が、鏡の中に映し出している君自身だと思え。」 自分自身が置かれた環境や状況が好転しているときは問題が無いのですが、逆の場合になると、 「どう して上手くいかないのだろう。」と考えるうちに「きっと◯◯が悪いからこうなるのだ。」とつまずきの 原因を社会や、時には周りの人のせいにすることがよくあります。特に子育て(教育)においてよく見 られることです。 先日、ある起業家の男性のインタビューを聴く機会がありました。会社の経営にも浮き沈みがありま すが、そんな時にどうしますかという質問に対して、氏はこのように答えていました。 「会社が上手くい かないとき、そのことを従業員や取引先のせいにしたら駄目です。こちらに企画力がなかったから上手 くいかなかったんだと考えます。みなさんは、どうかするとそのつまずきの要因を外に探そうとするけ れど、私は逆に目をつむって自分の何が足らなかったのだろうか、自分は本当は何がしたかったのだろ うか、と自身に問いかけるようにしています。 」 学校でも家庭でも、私たち大人は、子どもたちを目の前にして正しくこれをやっているなあと思いま した。 子どもたちにサッカーの指導を始めた頃のことです。初めて大きな大会で勝ち進んだとき、試合前に 緊張している子どもたちを何とか落ち着かせようと必死に思いつくままの言葉を投げかけました。そう して試合が始まりましたが、結果は思わぬ惨敗。後から先輩の指導者に言われた言葉は「五十嵐君が一 番緊張していたよなあ・・・。 」言われてハッと気付きました。監督の不安定な精神状態が、そのまま子 どもたちに乗り移っていたのです。 大人が社会でいらだちを感じて生活していたとします。原因は仕事や人との関わりの中で起こるスト レスかも知れません。しかし、少なくともそういった精神状態で子どもたちの前に立ってみたらどうで しょうか。心からの笑顔で子どもたちに接することができるでしょうか。さらには自身の周りの人の何 気ない言葉や行為を広い心で受け止めることができるでしょうか。否、こんな場合たいていは、「最近、 子どもら落ち着かないなあ。学校のルールは守らないし、喧嘩も増えてきたし・・・。子どもらに緊張 感が欠けている。 」と自分のことはさておいて、子どもの生活の乱れの原因を子ども自身に求めてしまう ことがあります。子どもたちに不安定な状況が生まれたら、学校や家庭などのそれぞれの場で、大人が 自分自身を見つめ直すことが肝要だと思います。 「今、目の前にいる子どもの姿が、鏡の中に映し出して いる君自身だと思え。 」この言葉を改めて肝に銘じて子どもたちに向き合っていきたいと思います。 校長 五十嵐 信博
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