第53回試験研究成果発表会(野菜Ⅱ)発表概要

第53回試験研究成果発表会(野菜Ⅱ)発表概要
【日 時】平成 28 年 1 月 26 日(火)12:30~16:40
【会 場】農林総合研究センター農本館(千葉市緑区大膳野町 808)
※発表会は 13:05 に開会しますが、発表会開始前にイチゴ新品種「千葉S4号」の圃場見
学を行います。ご希望の方は受付後 12:30 までに農本館前にお集まりください。
発表1 成果発表(13:15~13:40)
イチゴ促成栽培における LED を用いた生育制御
野菜研究室
深尾 聡
イチゴ促成栽培では株のわい化を抑える目
的で電照が行われています。電照には従来は白
熱灯が使われていましたが、白熱灯よりエネル
ギー効率が高く、必要な波長のみを照射するこ
とが可能な LED が近年農業分野でも開発が進
んでいます。本発表ではイチゴ促成栽培におけ
る LED を使った電照技術について、照射方法や
照射効果、導入コストについて紹介します。
LEDによる電照
発表2 成果発表(13:40~14:05)
イチゴ新品種「千葉S4号」の育成-観光・直売に適した千葉県オリジナル品種の誕生-
野菜研究室
前田 ふみ
千葉県では、大果で良食味なイチゴ新品種
「千葉S4号」を育成しました。果実はきれい
な円錐形で、鮮赤色をしており、甘みと酸味の
バランスがとれた良食味です。また、うどんこ
病抵抗性をもち、20g以上の大果の割合が高く、
上物収量の多い品種です。本発表では、「千葉
S4号」の特性と育成経過を紹介します。
イチゴ新品種「千葉S4号」
発表3 成果発表(14:05~14:30)
イチゴ新品種「千葉S4号」の栽培法 -充実した苗で初期から収量UP-
野菜研究室
深尾 聡
大粒で形が良く、うどんこ病に強いイチゴ新
品種「千葉S4号」の栽培のポイントについて
紹介します。収穫初期から収量を増やすには、
充実した苗作りが重要になります。定植時の苗
の目安や、育苗日数、施肥量といった育苗管理
の他、本圃での施肥やかん水管理、また早期収
穫のための夜冷短日処理や高冷地育苗につい
て紹介します。
イチゴ新品種「千葉S4号」
発表4 成果発表(14:30~14:50)
7月中旬どりとうもろこしの優良品種
暖地園芸研究所 野菜・花き研究室
宮本 直子
第 63 回千葉県野菜品種審査会(未成熟とう
もろこし)において審査した 18 品種のうち、
入賞したのは、「MSG-1151」、「夏まき味甘ちゃ
ん」、「MKS-1431Y」、「ゴールドラッシュ 90」、
「Y-61」の5品種でした。収穫物の外観や耐倒
伏性など、入賞品種の特徴を紹介します。
野菜品種審査会
(未成熟とうもろこし)
発表5 成果発表(15:00~15:25)
臭化メチル剤に頼らない地床アールス系メロンのえそ斑点病対策とその注意点
暖地園芸研究所 野菜・花き研究室
久保 周子
メロンえそ斑点病対策で、地床アールス系メロン
栽培で長年使用されてきた臭化メチル剤は、オゾン
層を破壊するとの理由から、平成 24 年 12 月末をも
って全世界的に使えなくなりました。千葉県では、
耕種的防除と代替薬剤を組み合わせたえそ斑点病防
除の可能性について検討を行ったので、注意点と併
せてその技術を紹介します。
えそ斑点病抵抗性品種
発表6 成果発表(15:25~15:50)
トマト・キュウリにおける低濃度エタノール土壌還元消毒法の畝部分処理による低コスト化
野菜研究室
大木 浩
低濃度エタノール土壌還元消毒法は、ネコブセ
ンチュウや各種土壌病害に対して高い被害軽減
効果または発病抑制効果が得られ、環境にやさし
く、処理が簡単な優れた消毒法です。しかし、他
の消毒法と比較すると、資材費が高いことが普及
の妨げになっています。そこで、畝部分にのみ処
理することで、低コスト化を図りつつ、効果は維
持した新しい処理方法を開発しました。また、こ
の方法はトマト萎凋病(レース2)にも処理効果
が高いことを新たに確認しました。
エタノールの畝部分処理
発表7 成果発表(15:50~16:10)
TYLCV に感染したトマト黄化葉巻病抵抗性品種はウイルスの伝染源になりうる
-抵抗性品種栽培施設で発生したタバココナジラミの調査から-
生物工学研究室
髙橋 真秀
トマト黄化葉巻病は、タバココナジラミがウイル
スである TYLCV を媒介することによって発生します。
近年、トマト黄化葉巻病対策として抵抗性品種を導
入する生産者が増えています。この抵抗性品種栽培
施設にて調査を行ったところ、TYLCV に感染した株内
にはウイルスが蓄積しており、この施設で発生した
タバココナジラミは健全株にウイルスを伝播するこ
とがわかりましたので、注意が必要です。
現地で栽培されるトマト黄化
葉巻病抵抗性品種
発表8 成果発表(16:10~16:35)
可給態リン酸が診断基準値を超える砂質土のハウストマト栽培では、リン酸施肥が削減できる
土壌環境研究室
塚本 崇志
全国的に土壌の可給態リン酸の増加やリン酸を含
む肥料価格の高騰が問題となっています。特に千葉県
では、砂質土の可給態リン酸が高いことが分かってい
ます。そこで、土壌の可給態リン酸の適正化及び施肥
コスト削減を目的に、可給態リン酸が診断基準値
100mg/100g を超える砂質土において、リン酸減肥栽培
を行ったところ、4作続けてリン酸無施用でトマトを
栽培しても減収せず、深さ0~20cm の可給態リン酸は
1作あたり 15~18mg/100g 減少しました。
ハウストマト栽培でのリン酸減肥