第2章(PDF文書)

第
2
章
基
- 13 -
礎
調
査
1.町の概要調査
(1)位置及び地勢
本町は埼玉県の東端部、南北に長い北葛飾郡のやや南に位置し、都心から 30km 以内の首都圏
近郊整備地帯に属しており、東は江戸川を隔てて千葉県野田市、南は吉川市、西は大落古利根
川を境に越谷市、北は春日部市にそれぞれ接している。
町域は東西約 4km、南北 7.5km と南北に長い形状をしており、行政区域面積は 16.20km2 とな
っている。
地形は北部の一部の台地を除いて標高約 4∼6m であり、一級河川の江戸川と古利根川の間に
発達した氾濫平野と自然堤防で形成された、ほぼ平坦地である。
松伏町
図 2-1 位置図
- 14 -
(2)河川及び水路の現況
本町を流れる主要な河川は、一級河川の古利根川、中川、及び江戸川と、中川の支川の川辺
大排水路、金杉大排水路、及び八間堀悪水路等がある。
これらの一級河川は国や県が整備・維持管理を行っているが、町として、側面支援を中心に、
国や県と連携を図りながら、浸水等の災害のない安全な町づくりを目指していく方針である。
また、これらの河川は水質汚濁改善という観点から、定期的に水質調査が実施されており、
その調査結果を踏まえ、生態系の維持、汚濁改善の必要性について検討していく他、汚水処理
施設の整備進捗と水質調査記録を総合的に評価し、優先度の高い町の施策を見極めるための材
料として役立てていく方針である。
以下に、環境基準の類型指定がなされている河川の水質調査結果を示す。
表 2-1 河川の水質(BOD)
河川名
中川
江戸川
採水
地点名
豊橋
弥生橋
野田橋
環境基準値
生物化学的
酸素要求量
(BOD)mg/l
浮遊物質量
(SS)mg/l
溶存酸素量
(DO)mg/l
大腸菌群数
MPN/100ml
3.2
28
7.3
−
2.2
24
7.3
−
A
0.8
14
9.6
4,000
A
2 以下
25 以下
7.5 以上
1,000 以下
C
5 以下
50 以下
5 以上
−
環境基準
類型指定
C
出典:
「平成 26 年度公共用水域の水質測定結果」 埼玉県
- 15 -
(3)土地利用の現況と見通し
本町は町域の約8割が農地を中心とした市街化調整区域であり、市街化区域は約2割にとどまっ
ている。
本町は都心から 30km 圏内という好立地から、近年市街地を中心に人口増加による宅地化が進んで
いる。今後も市街地と既存集落の将来人口や産業構造の変化を踏まえ、適宜、都市計画や農業振興
計画等の地域指定見直しを行う方針である。
表 2-2 地目別土地利用の内訳
各年 1 月 1 日現在
地 目
平成25年
面積(㎡)
平成26年
比率(%)
面積(㎡)
平成27年
比率(%)
面積(㎡)
比率(%)
総 面 積
16,220,000
100.0%
16,220,000
100.0%
16,200,000
100.0%
田
5,234,159
32.27%
5,209,405
32.12%
5,129,260
31.66%
畑
1,634,827
10.08%
1,637,694
10.10%
1,623,881
10.02%
宅地
3,680,622
22.69%
3,679,329
22.68%
3,714,717
22.93%
池沼
0
0.00%
0
0.00%
0
0.00%
山林
59,480
0.37%
58,655
0.36%
58,204
0.36%
原野
32,982
0.20%
32,750
0.20%
32,641
0.20%
雑種地
820,009
5.06%
837,685
5.17%
821,218
5.07%
4,757,921
29.33%
4,764,482
29.37%
4,820,079
29.76%
そ の 他
出典:統計まつぶし(平成 27 年版)
田
31.66%
そ の 他
29.76%
雑種地
5.07%
畑
10.02%
原野
0.20%
宅地
22.93%
山林
0.36%
池沼
0.00%
図 2-2 地目別土地利用の内訳
- 16 -
表 2-3 用途地域面積
種 別
住居系
商業系
工業系
用途地域
面積(ha)
計
第一種低層住居専用地域
124.6
第二種低層住居専用地域
4.1
第一種中高層住居専用地域
12.7
第二種中高層住居専用地域
11.8
第一種住居地域
71.2
第二種住居地域
22.0
近隣商業地域
3.2
工業地域
3.8
工業専用地域
7.7
市街化区域
261
市街化調整区域
1,359
合 計
1,620
246.4
3.2
11.5
出典:統計まつぶし(平成 27 年版)
住居系
15.2%
近隣商業地域
1.2%
商業系
0.2% 工業系
0.7%
工業地域 工業専用地域
1.5%
2.9%
第二種住居
地域
8.4%
第一種住居地域
27.3%
第一種低層住居専
用地域
47.7%
市街化調整区域
83.9%
第二種中高層住居
専用地域
4.5%
第一種中高層住居
専用地域
4.9%
(行政区域)
第二種低層住居専
用地域
1.6%
(市街化区域)
図 2-3 都市計画区域の内訳
- 17 -
本町では、土地利用の基本方針として、松伏町第 5 次総合振興計画において土地利用構想を以下
のように定めている。
恵まれた自然環境を活かしつつ、秩序あるまちの発展を図るため、次の4地域に区分し、土地利用を図ってい
きます。
また、地域の活性化を図るため、2つの「活性化推進地区」を位置づけ、重点的に土地利用を図っていきます。
・自然環境活用地域
水と緑を活用した憩いと交流の場を形成します。
①水辺空間活用地区
江戸川、大落古利根川、中川の沿川については、豊かな水辺空間を保全することを基本とし、町民の憩いの
空間として活用します。
②公園関連地区
まつぶし緑の丘公園、松伏記念公園・総合公園については、より多くの町民の憩いの拠点となるよう公園機
能の向上を図り、交流の活性化を促進します。
・田園環境活用地域
農業の振興と生活環境の改善の両立をめざします。
③農業活性化地区
中川沿いに広がる米作地帯では、農業の担い手への土地利用集積を促進します。
④農住環境調和地区
地産地消などによる都市型農業を推進するとともに、住宅地は、道路や排水路などの整備を進め、周辺との
調和を図りながら生活環境の改善を図ります。
・市街地環境整備地域
現在の市街化区域は、人口が集中している地区として、一戸建て中心の良好な居住環境の整備や保全に努め
ます。
⑤市街地住環境形成地区
土地区画整理事業の実施などにより都市基盤施設が比較的整っている地区は、適切な維持管理を進め、居住
環境の水準の維持に努めます。既存の住宅地は、生活道路の改善や小公園の整備などを進め、地区の特色を活
かした快適な居住環境の形成をめざします。
⑥商業集積地区
住宅地のなかに商業施設などがまとまって立地している地区については、周辺の住環境や道路網の整備など
を進め、集客力の向上を側面から支援します。
⑦沿道サービス地区
周辺の住環境に配慮しながら、沿道サービス施設の立地誘導を図ります。東埼玉道路沿いの地域についても、
道路開通による交通量増加などの地理的ポテンシャルが期待されることから、周辺環境との調和を図りながら、
沿道サービス施設の立地誘導を図ります。
・工業集積地域
東埼玉テクノポリスと大川戸地区に整備される工業団地では、企業立地に適切な環境の整備に努めます。ま
た、市街地内ミニ工業団地や新市街地地域との連携を考慮し、周辺の環境にとけ込んだ新たな産業団地の整備
を図ります。
⑧工業集積地区
工業集積地区では、周辺の住環境や自然環境に配慮しながら、新たな企業誘致を図ります。
「活性化推進地区」
・職住近接と核づくりによる新市街地区域
(都)東埼玉道路と(都)浦和野田線が結節する松伏インターチェンジ周辺は、職住近接をめざした新たな人口
増加の受け皿とともに新たな雇用の場を創出する産業集積を進めます。また、高速鉄道東京8号線の松伏新駅
を想定した、町のシンボルとなりコミュニティの要となる交流の場づくりをめざした核づくりに努めます。
・北部地区の拠点区域
老人福祉センターとその周辺地域を北部地区の拠点として位置づけ、多くの町民が集える憩いの場としての
機能を充実させ、地域の活性化を図ります。
出典:松伏町第5次総合振興計画
- 18 -
平成 26 年 3 月より一部抜粋
(4)人口の現況と見通し
基準年度である平成 25 年度から過去 10 年間の行政人口及び世帯数の推移を表 2-4に示す。
なお、平成 25 年度からは外国人住民を含んだ人口及び世帯数である。
本町の人口は、平成 21 年度をピークに減少傾向を示しており、世帯数は過去 10 年間、微増
傾向を示している。
一方、一世帯当り人員は減少し続けており、これは、少子高齢化や核家族化が進行している
ためと考えられる。
表 2-4 人口及び世帯数の推移(過去 10 年)
各年 4 月 1 日現在
人口
年度
(人)
世帯数
増減
(世帯)
1世帯当り人員
増減
(人/世帯)
平成16年度
30,887
−
10,136
−
3.05
平成17年度
30,980
93
10,314
178
3.00
平成18年度
31,021
41
10,449
135
2.97
平成19年度
31,199
178
10,681
232
2.92
平成20年度
31,227
28
10,837
156
2.88
平成21年度
31,229
2
10,976
139
2.85
平成22年度
31,175
-54
11,097
121
2.81
平成23年度
31,023
-152
11,238
141
2.76
平成24年度
30,853
-170
11,349
111
2.72
平成25年度
30,944
91
11,480
131
2.70
35,000
14,000
30,000
12,000
25,000
10,000
20,000
8,000
15,000
6,000
10,000
4,000
5,000
2,000
0
0
図 2-4 人口及び世帯数の推移
- 19 -
(世帯)
(人)
出典:統計まつぶし(平成 27 年度版)
人口
世帯数
2.既定汚水処理計画の概要
現在、町内で進められている集合処理に係わる事業の概要(公共下水道、農業集落排水施設)
を示すと、以下のとおりである。
表 2-5 汚水処理事業の概要
地区名
中川流域関連
公共下水道
全体計画
事業計画
松伏第1-1処理分区
158.1
15.0
松伏第1-2処理分区
420.4
238.4
松伏第1-3処理分区
人口(人)
既整備
全体計画
事業計画
3,730
1,460
261.4
20,670
17,610
既整備
20,812
9.0
8.0
0
0
587.5
261.4
261.4
24,400
19,070
20,812
第1処理分区
59.5
0.0
0.0
1,060
0
0
第2処理分区
45.2
0.0
0.0
1,460
0
0
第3処理分区
40.0
0.0
0.0
1,170
0
0
第4処理分区
12.2
12.2
4.0
210
210
145
第5処理分区
20.3
0.0
0.0
420
0
0
第6処理分区
7.0
0.0
0.0
90
0
0
第7処理分区
35.6
0.0
0.0
890
0
0
第8処理分区
25.2
0.0
0.0
430
0
0
第9処理分区
55.5
0.0
0.0
1,580
0
0
第10処理分区
9.3
0.0
0.0
340
0
0
309.8
12.2
4.0
7,650
210
145
計
農業集落排水施設
面積(ha)
処理分区名
事業名
計
- 20 -
(1)公共下水道
本町の下水道は、昭和 60 年度に中川流域下水道の関連公共下水道として計画区域 393ha につ
いて全体計画を策定し、同年に都市計画決定、事業認可 125ha の法手続きを行い、事業に着手
した。
その後も、関連の上位計画等の変更に合わせて、全体計画の見直し及び事業認可を繰り返し、
平成 27 年に、目標年次を平成 36 年度として、全体計画区域 655ha、計画人口 24,400 人、事業
計画区域 261.4ha の事業計画を策定し、現在も鋭意事業を進めているところである。
以下に、公共下水道事業の経緯を示す。
表 2-6 公共下水道の経緯
計 画 種 別
策 定 年 次
全 体 計 画
昭和 60 年度
中川流域関連松伏公共下水道全体計画
昭和 60 年度
越谷都市計画下水道の決定
平成 2 年度
越谷都市計画下水道の変更
254 ha
平成 7 年度
越谷都市計画下水道の変更
262 ha
昭和 60 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業認可
125 ha
平成 7 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
195 ha
平成 9 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
196 ha
平成 10 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
218 ha
平成 10 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
247 ha
平成 12 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
262 ha
平成 14 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
平成 18 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
262 ha
平成 22 年度
中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可
(1-2 処理分区計画区
域の見直し)
都市計画決定
事 業 認 可
主 な
内 容
備
考
393 ha
262 ha
(1-2 処理分区施設計画
の見直し)
261 ha
注)全体計画の見直しは、事業認可変更の中で適宜見直している。
また、下水道計画概要を次頁に示す。
- 21 -
表 2-7 公共下水道の計画概要
全体計画
項目
1.目標年次
平成36年度
2.下水道
計画区域
松伏第1-1処理分区
松伏第1-2処理分区
松伏第1-3処理分区
合計
3.下水道
計画人口
1)行政区域
事業計画
平成27年度
225.0
421.0
9.0
655.0
2)下水道計画区域
4.汚水量
原単位
ha
ha
ha
ha
松伏第1-1処理分区
松伏第1-2処理分区
松伏第1-3処理分区
合計
松伏第1-1処理分区
松伏第1-2処理分区
松伏第1-3処理分区
合計
29,500 人
1)行政区域
3,730
20,670
0
24,400
2)下水道計画区域
(単位:m 3/日)
時間最大汚水量
6.汚濁負荷量
原単位
7.計画負荷量
及び水質
日平均汚水量
生活
1,340
7,460
0
8,800
工場
0
230
470
700
日最大汚水量
計
生活
1,340 1,670
7,690 9,330
470
0
9,500 11,000
工場
計
生活
0 1,670 2,400
230 9,560 13,400
470
470
0
700 11,700 15,800
工場
計
0 2,400
460 13,860
940
940
1,400 17,200
(単位:g/人/日)
項目
BOD
SS
原単位
58
45
松伏第1-1
松伏第1-2
松伏第1-3
合計
BOD
生活
251
1,391
0
1,642
工場
0
120
246
366
松伏第1-1
松伏第1-2
松伏第1-3
合計
ha
ha
ha
ha
松伏第1-1処理分区
松伏第1-2処理分区
松伏第1-3処理分区
合計
1,410
18,960
0
20,370
人
人
人
人
(単位:L/人/日)
生活 地下水 合計
300
60
360
390
60
450
585
60
645
日平均汚水量
生活
530
7,040
0
7,570
工場
0
270
570
840
(単位:m 3/日)
時間最大汚水量
日最大汚水量
計
530
7,310
570
8,410
生活
660
8,810
0
9,470
工場
計
生活
0
660
940
270 9,080 12,630
570
570
0
840 10,310 13,570
工場
計
0
940
540 13,170
1,140 1,140
1,680 15,250
(単位:g/人/日)
項目
BOD
SS
原単位
58
45
負荷量(kg/日)
処理分区
処理分区
15.0
238.4
8.0
261.4
30,580 人
日平均汚水量
日最大汚水量
時間最大汚水量
5.計画汚水量
松伏第1-1
松伏第1-2
松伏第1-3
合計
人
人
人
人
(単位:L/人/日)
生活 地下水 合計
300
60
360
390
60
450
585
60
645
日平均汚水量
日最大汚水量
時間最大汚水量
処理分区
備考
水質(mg/l)
SS
計
251
1,511
246
2,008
生活
195
1,079
0
1,274
工場
0
121
248
369
計
195
1,200
248
1,643
BOD
187
197
523
211
原単位は営
業を含む
負荷量(kg/日)
処理分区
SS
145
156
527
173
松伏第1-1
松伏第1-2
松伏第1-3
合計
BOD
生活
98
1,318
0
1,416
工場
0
134
283
417
水質(mg/l)
SS
計
98
1,452
283
1,833
生活
76
1,022
0
1,098
工場
0
135
286
421
計
76
1,157
286
1,519
BOD
187
199
496
218
SS
144
158
502
181
出典:中川流域関連松伏公共下水道事業変更認可申請書 平成 22 年
- 22 -
(2)農業集落排水施設
本町の農業集落排水施設整備計画は、農村の快適な生活環境と生産環境の維持、改善に加え、
河川や用排水路等の水環境保全を図り、快適で魅力ある町づくりを進めていくことを目的とし
ている。現在、魚沼堤内処理区については、供用開始がなされているが、他処理区については
下表に示すような計画の段階に止まっている状況である。
表 2-8 農業集落排水施設事業の経緯
策定年月
集
落
名
備
考
平成 7 年 3 月
松伏町農業集落排水施設整備構想
全 10 処理区を位置づけ
平成 10 年 4 月
魚沼堤内地区事業採択
緊急度の高い地区について事業採択
農業集落施設の既計画概要を以下に示す。
表 2-9 農業集落排水施設の既計画概要
処理区
第1処理区
第2処理区
第3処理区
第4処理区
計画
計画
人口
世帯数
(世帯) (人)
250 1,060
360 1,460
310 1,170
45
210
90
20
190
105
395
90
1,855
420
90
890
430
1,580
340
7,650
(魚沼堤内処理区)
第5処理区
第6処理区
第7処理区
第8処理区
第9処理区
第10処理区
計
処理区
第1処理区
第2処理区
第3処理区
第4処理区
(魚沼堤内処理区)
第5処理区
第6処理区
第7処理区
第8処理区
第9処理区
第10処理区
計
計画
人口
日平均 日最大
240
300
750
地下水
計
30
270
30
330
30
780
210
−
60
−
時間最大
生活
汚濁負荷量原単位
60
3
(L/人/日)
(g/人/日)
(人) BOD
SS
1,060
1,460
1,170
420
90
890
430
1,580
340
7,650
計画汚水量
汚水量原単位
計画負荷量 計画流入水質
(kg/日) (mg/l)
BOD
SS
BOD
SS
64
64
88
88
70
70
13
13
25
5
53
26
95
20
459
25
5
53
26
95
20
459
- 23 -
200
200
−
−
(m /日)
日平均 日最大 時間最大
286
350
827
394
482 1,139
316
386
913
57
69
164
113
139
328
24
30
70
240
294
694
116
142
335
427
521 1,232
92
112
265
2,065 2,525 5,967
- 24 図 2-5 既定汚水処理計画の概要