2016年1月発行号 - 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟

2016 年1月1日発行
(1、4、7、10 月の 1日発行・年 4 回)通巻1151号 昭和 26 年11月 24 日 第三種郵便認可 ISSN1340︲6442
2016.1
1151
vol.
△
2017 年 は 民 間 ユ ネ ス コ 運 動 発 祥 70 周 年 で す
グローバルフェスタ JAPAN 2015 でカンボジアの言葉を紹介するスタディツアー参加者
CONTENTS
1
4
特集
民間ユネスコ運動 70 周年へ向けた
次世代への取り組み
ユネスコ活動の広場
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7
8
9
11
各地ユネスコ協会の活動
書きそんじハガキ・キャンペーン
TOPICS 持続可能な開発目標(SDGs)
特集
音楽を通じて心に平和のとりでを築こう
活動報告
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15
全国ブロック・ユネスコ活動研究会
松尾康二氏インタビュー
学校防災の強化を目指して
ESD パスポートレポート
世界寺子屋運動
一杯のスプーン
世界遺産活動
未来遺産運動
お知らせ
謹賀新年
2017 年、民間ユネスコ運動は 70 年という記念すべき節目の年を迎え
ます。
民間ユネスコ運動の使命は、
「心の中に平和のとりでを築く」という
UNESCO(国際連合教育科学文化機関)憲章の理念のもと、平和な地球
社会を目指して、グローバルな視点を持ちつつ、目の前にある課題に取り
組み、地域社会の中で人びとの心に平和の種をまき続けることです。
昨年、日本は戦後 70 年、そして先の世界大戦の反省から生まれた
UNESCO も誕生から 70 年を迎えましたが、テロや紛争、難民問題、環
境問題、貧困問題など国際社会が抱える課題はますます混迷を深めて
います。
そんな世の中だからこそ、私たち一人ひとりの力は小さくとも、目標を
見失うことなく、若い世代も巻き込みながら、国連の「持続可能な開発
目標(SDGs)」
(P8 参照)をも踏まえつつ、記念すべき年に向け、新たな
一歩を踏み出す準備を整えたいものです。
特集
民間ユネスコ運動70周年へ向けた
次世代への取り組み
2017 年、民間ユネスコ運動 70 周年を迎える。
ユネスコ活動の使命を考えるとき、識字、文化の多様性、環境保全、防災・減災など、
ESD(持続可能な開発のための教育)がテーマとする課題が山積している。
日本ユネスコ協会連盟では、2015 年度の事業計画でも、青少年育成を重点施策
として位置づけるとともに、70 周年へ向けて、これまで以上に全国のユネスコ協会、
学校、企業、行政と連携を強化し、青少年事業を推進していく。
今号では、
「国際理解」
「国際交流」
「ESD」など8つの分野に分けて、日ユ協連が行う
青少年を対象とした事業を紹介する。
国際理解
世界寺子屋運動は、日本からの一方的な援助ではなく、支援する側とされる側が相互に
学び合い、相互理解と国際協力を進めていくことを目的としている。
寺子屋リーフレット制作プロジェクトでは、小・中・高等学校を対象に、児童・生徒が “非
識字” という世界的課題を授業の中で学び、書きそんじハガキ回収による募金協力を呼び
かけるためのリーフレットを制作。昨年度は全国 19 校から約 2000 人の生徒が参加。毎年
5 ~ 6 月に参加校を応募し、約 1 年にわたり現場のようすを学び、制作、学校や地域でハガ
キの回収を行っている。リーフレット制作プロジェクト以外にも、書きそんじハガキを校
内で集める書きそんじハガキ・キャンペーンを実施する学校もある。日ユ協連からは、チ
ラシやポスター、回収ボックスなどの広報グッズを配布してサポートしている。
また、近隣アジア諸国同士による相互理解も欠かせない。三菱アジア子ども絵日記フェ
スタでは、
小学生を対象に「伝えたいな、
私の生活」をテーマに、
日本はじめアジア 24 ヵ国・
地域の子どもたちから絵日記を募集。絵と文字を通して国や地域を越えて、お互いの文化
や生活に触れ、理解を深めることを目的に、三菱広報委員会とともに実施している。
国際交流
高校生が世界寺子屋運動の支援地・カンボジアを訪れ、
寺子屋の子どもたちや現地の高校生と交流するスタディツ
アーを実施している。公益財団法人かめのり財団の助成を受
け、今年は 10 名の高校生を派遣、帰国後は各自の地域や学
校で報告会を開催した。2016 年も 3 月頃から募集を開始し、
全国のユネスコ協会会長およびユネスコスクール学校長の
推薦を受け、選抜された高校生を派遣する予定だ。
カテゴリー
事業名
寺子屋リーフレット制作プロジェクト
国際理解
書きそんじハガキ・キャンペーン
国際交流
高校生カンボジアスタディツアー
三菱アジア子ども絵日記フェスタ
対象
幼稚園
小学生
中学生
高校生
大学生
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35歳までの青年 ユネスコスクール
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ユネスコスクールプレート寄贈
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ユネスコスクール ESD アシストプロジェクト
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ユネスコスクール ESD 国際交流プログラム
ESD
「守ろう地球のたからもの」ESD 教材・絵本配布
ESD パスポート
減災・防災教育
アクサ ユネスコ協会減災教育プログラム
奨学金
MUFG・ユネスコ協会 東日本大震災復興育英基金奨学金
青少年活動への助成金
青少年ユネスコ研修補助制度
ユネスコ協会就学支援奨学金
青少年ユネスコ活動助成
次世代を担う人材育成 ユネスコ子どもキャンプ
全国のネットワークをい
グローバル・フェスタ JAPAN
かした広報的な取り組み
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※ 1:中学 3 年生∼高校 2 年生 ※ 2:18 歳以上
1
ユネスコ 2016.1
ESD
2005 年~ 2014 年の取り組み、
「国連・持続可能な開発
のための教育の 10 年」
( 以後、国連 ESD の 10 年)の成果の
ひとつは、ESD の推進拠点としてのユネスコスクール登録
校の増加だろう。2008 年の 24 校に比べ、2015 年 11 月現
在は 939 校。日ユ協連では、ESD とユネスコスクールの理
解を深める研修会を開催するユネスコ協会に対し、講師派
遣や資料提供を継続して行っている。またスクール登録後
は、活動支援として下記を行っている。
新規登録校へのユネスコスクールプレート寄贈。プレー
ト を 正 門 に 掲 げ る こ と で、児 童・ 生 徒 だ け で な く、保 護
者 や 地 域 の 皆 さ ん に 広 く 知 っ て も ら う こ と を 願 い、日
介護福祉施設での高校生によるボランティア活動
ユ 協 連 で 製 作 し、ユ ネ ス コ 協 会 を 通 し て 寄 贈 し て い る。
世界遺産の学習を通じて、持続可能な社会づくりについて
UNESCO 憲章の理念に基づき、地域でともに活 動 す る ユ
考える「豊かな世界遺産編」
( 小中高対象)からなる。また、
ネスコ協会との最初の出会いのきっかけとしていただき
ESD 絵本「サクラソウのひみつ」
( 著者:幸田シャーミン、監
たい。
修:鷲谷いづみ、協力:三菱 UFJ フィナンシャル・グループ)
ユネスコスクール ESD アシストプロジェクト(協力:三
菱東京 UFJ 銀行)は、ESD 活動を応援するための助成金。1
は、やさしく自然界の生命の「つながり」を紹介した絵本で、
保育園、幼稚園対象に寄贈中だ。
校上限 10 万円で、助成校数は 100 校。2016 年 1 月 24 日を
国連 ESD の 10 年を受けて、2015 年以降の取り組み方針
締切とし、募集中だ。当連盟 HP で募集要項を参照し、ユネ
である「グローバル・アクション・プログラム(GAP)」の
スコスクールからはふるってご応募いただきたい。
枠組みが 2014 年、国連総会で採択された。今後 5 年間、5
一方、高校ユネスコスクールに限定した支援としてユネ
つの優先行動分野で ESD に取り組むことが奨励された。日
スコスクール ESD 国際交流プログラム( 協 力: 三 菱 東 京
ユ協連では、ユネスコスクールとユネスコ協会との連携強
UFJ 銀行)もある。加盟校の高校生を対象に ESD をテーマ
化を図るため、青年のボランティア活動を促し、社会奉仕
とした作文コンテストを行い、優秀者を 2016 年 3 月末、
の学習機会を提供するユネスコ協会 ESD パスポート事業を
ドイツとフランスに派遣する。ドイツ・フランスのユネ
2013 年度から継続している。各地ユ協が発行した ESD パ
スコスクールと交流し、UNESCO(パリ)や日本政府代表
スポートを手に、児童・生徒がユ協・地域の市民団体など
部、三菱東京 UFJ 銀行パリ支店を訪問。参加者の中には、
のボランティア活動に参加。活動時間に応じてパスポート
高校卒業後、ユネスコ協会青年部の会員となる者も出て
に認定単位(ボラン)が記される。一定ボランに達すると
きている。
ユネスコ協会が「活動認定証」を発行。
「守ろう地球のたからもの」ESD 教材(協力:三菱 UFJ フィ
ユネスコ協会が年 1 回行う「ESD パスポート体験発表会」
ナンシャル・グループ、制作協力:宮城教育大学、奈良教
は、ボランティア経験による学びを同世代と共有し、地域
育大学)を、引き続き希望する学校に寄贈中だ。子どもた
に発信する重要なものと位置づけられる。今年度は、31 ユ
ちが楽しく環境問題を学ぶ「豊かな自然編」
( 小中対象)と、
協を通じて、約 2 万人の生徒が取り組んでいる。
減 災 ・ 防 災教育
子どもたちが学び、考え、取り組む「減災(防災)教育」を
実践する小・中・高校を対象とした活動助成事業が、アク
サ ユネスコ協会減災教育プログラム。本事業では、1 枚に
つき 10 万円の活動助成とともに、東日本大震災の被災地域
訪問を通して大震災の経験を学ぶ教員研修会や、全国各地
の実践を学び合う活動報告会を実施している。とりわけ、自
然災害においては被害を完全に防ぐことが困難だ。そこで、
被害を最小限に抑えることを目指す「減災」の観点から、避
難訓練を中心とした従来型の活動にとどまらず、より実効
性の高い減災(防災)活動に取り組むことを目指している。
教員研修会でのワークショップのようす
・協力:アクサ生命保険株式会社
・プログラム・コーディネーター:及川幸彦氏
・教員研修会協力:気仙沼市教育委員会/宮城教育大学国際理解教育研究センター/特活)SEEDS Asia /京都大学大学院地球
はしかみ
はしかみ
環境学堂/気仙沼市立階上小学校(H27)/気仙沼市立階上中学校(H27)
ユネスコ 2016.1
2
奨学金
東日本大震災で、津波による家屋の流失・損壊や原発事故の影響による避難
などの理由で経済状況が悪化した家庭の、高校進学を希望する中学 3 年生(震災
による遺児・孤児は除く)を対象に、月額 2 万円の奨学金を 3 年間給付するのが
ユネスコ協会就学支援奨学金(日ユ協連から奨学生の家庭に直接支援)。
これまでに、被災 17 市町村で計 2354 名の奨学生を支援してきた。今後の
支 援 候 補 地 は、福 島 県 新 地 町・ 浪 江 町・ 大 熊 町・ 富 岡 町・ 双 葉 町・ 楢 葉 町、
宮城県多賀城市・亘理町・岩沼市。募金が集まり次第、1市町ずつ支援を行
うため、引き続きご協力をお願いします。
震災による遺児・孤児を対象としては、MUFG(三菱 UFJ フィナンシャル・グルー
プ)の支援で MUFG・ユネスコ協会 東日本大震災復興育英基金奨学金プログラ
ムを実施している。
(こちらは募金を受け付けておりません)
青 少 年 活 動 への助成金
日ユ協連では、2012 年度策定の「青少年ユネスコ活動支
援方針」に基づき、さまざまな支援策を用意している。また、
つくり、地 域 か
らUNESCO 憲 章
理事会内に置かれた青年活動部会では、青年リーダー養成の
の理念を広める
ため効果的な研修活動などについて引き続き検討している。
中心的な役割を
青少年ユネスコ活動助成では、ユネスコ協会・クラブおよび
ユ協所属青年会員が、さまざまな社会課題を解決するための事
業を支援している。今年度は61件を採択。例年2月ごろ、ユネス
コ協会便で詳細を発表するので、奮ってご活用いただきたい。
担っていくこと
を目指している。
本制度を利
青少年活動助成による「平和ワークショップ
(長崎訪問)
(長野ユネスコ協会青年部)
」
用 し て「 第 33
青年ユネスコ研修補助制度は、青年会員が本制度を利用し
回開発教育全国研究集会 in 北海道」に参加した長野ユネスコ
て外部団体主催の研修に参加することで、ESDに関する学びを
協会の長坂朋美さんは、
「ワークショップやロールプレイ形
深め、地域ユネスコ活動に役立つノウハウを学び、また国境を
式で話し合う重要性を学んだ。毎月の青年部のイベントで取
超えて平和構築のために活動する人(団体)とのネットワークを
り入れ、話し合いしやすい環境をつくりたい」と述べている。
次 世 代 を 担 う人材育成
子どもたちが自然の中で共同生活し、UNESCO 憲章の理念を体感するのがユネスコ
子どもキャンプ(共催:千葉県ユネスコ協会連絡協議会・日ユ協連)
。今年度は2015
年 8 月2日(日)~5日( 水 )、千葉県立内浦山県民の森で開かれ、小4~中3が 46 名、
青年スタッフ58 名( 部分参加含む )が参加。戦後70 年のテーマは「心のピース~感じ
て、つなげて~」
。
「平和」について考える機会にしたいという願いと、私たち人間は自
然やもの、人とのつながりの中で生活していることを、ジグソーパズルの「ピース」に
例えた。一方、準備に携わる実行委員に対しては、準備段階から青年リーダー研
修と位置づけ、青年活動の活性化を目指している。
全国のネットワークをいかした広報的な取り組み
2015 年 10 月 3 日 ( 土 )・4 日 ( 日 )、東京・お台場で開かれたグローバル・フェ
スタ JAPAN2015 に、日ユ協連として青年会員有志が出展(表紙写真)。ブー
スを寺子屋に見立て、現地の文字で寺子屋にメッセージを送ろうというワーク
ショップなど、趣向を凝らして世界寺子屋運動を紹介した。夏のカンボジアス
タディツアー参加高校生による現地報告も行われ、518 名がブースを訪問。準
備には、ユ協青年会員や大学ユネスコクラブ、ユネスコスクール卒業生、スタ
ディツアー参加者などが携わり、所属を超えて協力する機会となった。
3
ユネスコ 2016.1
Open space for UNESCO activities
ユネスコ活動の広場
皆さまからのお便りをお待ちしています。
全国ブロック・ユネスコ活動研究会報告
2015 年度のブロック・ユネスコ活動研究会では、
「ESD のさらなる推進」という共通テーマのもと、熱心な発表や
討論が行われた。各ブロック研究会について報告する。
北海道ブロック・ユネスコ活動研究会
10 月 17 日(土)・18 日(日) 北海道室蘭市
主管:室蘭ユネスコ協会
約 120 名が出席。1 日目は、室蘭工業大学地域共同研究開
を紹介。2020 年には大学生の数が中国、インド、アメリカの
各国で 2 ~ 3000 万人規模となる一方、日本では約 240 万人
(2012 年度)だという。将来のため、日本の大学の質を世界
標準にする取り組みとその重要性を提起するものであった。
発センター片石温美准教授による基調講演「持続可能な地域
日本ユネスコ協会連盟の鈴木佑司副理事長による基調講
の役割と産・学・官の連携について」に続き、
「持続発展する
演では、民間ユネスコ運動にとって ESD は、ユネスコ精神
平和・未来のさらなる推進のために」と題し、グループセッ
の原点である平和を脅かしかねない現代の地球的問題群の
ションが行われた。10 人ずつのグループに分かれて日頃のユ
解決方法になり得るとし、パネルディスカッションでは会
ネスコ活動を紹介、成果や課題を共有した。お互いの活動を
場で活発な意見交換がなされた。2 日目の各分科会でもユ
知り、アイデアを出し合うよい機会となった。
ネスコスクールの広がりなど議論は尽きず、盛況のうちに
2 日目は、新しく設立された室蘭ユ協青年部の発表のほか、
ユネスコスクール登録校など幼稚園、高校 4 校による活動紹
幕を閉じた。
(海外事業部:宍戸 亮子)
介や、教員・高校生カンボジアスタディツアー参加者報告、
関東ブロック・ユネスコ活動研究会
そして、ESD パスポートの取り組み事例紹介があった。まさ
10 月 24 日(土) 栃木県佐野市
主管:佐野ユネスコ協会
に「ESD のさらなる推進」というテーマにふさわしく、青年
の存在感あふれる会となった。(国内事業部:古澤 真理子)
約 450 名が出席。基調講演では、参議院議員で元文科省
大臣政務官の上野通子氏が「私とユネスコ」と題し、2013
年 UNESCO 総会での自身の政府代表演説について語った。
特別講演は、鈴木佑司日ユ協連副理事長が「ユネスコが求
める積極的平和」と題し、ユネスコ憲章前文の意義と教育
の重要性の解説を交え、ユネスコらしい活動の構築の必要
性を投げかけた。
分科会は、
「世界遺産・地域遺産と民間ユネスコ活動」
「ユ
ネスコスクールと民間ユネスコ活動の役割」
「ユネスコと青
少年活動」
「ユネスコ活動の活性化と情報化」の 4 テーマで、
北海道大谷室蘭高等学校の生徒がボランティア活動について発表
東北ブロック・ユネスコ活動研究会
7 月 25 日(土)・26 日(日) 秋田県秋田市
主管: 秋田ユネスコ協会
豪雨の影響で新幹線が一部運休になる中、参加を予定
今後に向けた有意義な取り組みの提案がなされた。エクス
カーションでは、天明鋳物の若林鋳造所(2013 プロジェク
ト未来遺産登録)などを訪れた。(国内事業部:上岡 あい)
中部西ブロック・ユネスコ活動研究会
10 月 31 日(土)・11 月 1 日(日) 岐阜県大垣市
主管:大垣ユネスコ協会
した約 170 名全ての会員・関係者が集まった。鈴木典比
約 100 名が参加。昨年、名古屋で ESD の UNESCO 国際会
古国際教養大学学長が、特別講演で高等教育のグローバル化
議(主催:UNESCO、日本政府)が開催され、今まで以上に
ESD への関心が高まる中、活動事例の紹介や意見交換が行
われた。日ユ協連の鈴木佑司副理事長による基調講演では、
「平和の概念の展開と ESD」をテーマに、激動する世界で改
めてユネスコ精神の重要性や ESD をどのような視点で理解
するかについて話があった。その後、富山、ふくい、大垣、
岐阜県の各ユ協が ESD をテーマに事例発表をし、それぞれ
地域の学校や団体との連携を軸としたオリジナリティ溢れ
る活動が会場の関心を集めていた。
同時進行の実務担当者向けの分科会では、各ユネスコ協
会が抱えている問題をワークショップ形式で共有、意見交
交流会で披露された西馬音内(にしもない)盆踊り
ユネスコ 2016.1
4
Open space for UNESCO activities
ユネスコ活動の広場
換を行った。例年通り青年の参加者が多く、活気あふれる
活動紹介と表彰があり、1 日目の最後、日ユ協連の鈴木佑
研究会となった。
司副理事長による「ユネスコ活動でできること 平和の概
(国内事業部:仁藤 里香)
中部東ブロック・ユネスコ活動研究会
9 月 12 日(土)・13 日(日) 静岡県静岡市
主管:静岡ユネスコ協会
24 協会の会員や市民ら約 160 人が参加した。ユネスコス
念と展開と ESD」と題する講演が行われた。国際政治や現
在の世界情勢から見た民間ユネスコ運動の価値についての
発言には、多くの参加者が強い関心を寄せていた。
(海外事業部:鴨志田 智也)
クールに加盟する地元の小中学校やこども園が、国際理解
四国ブロック・ユネスコ活動研究会
を促す取り組みや地域の特色を生かした実践事例を紹介
11 月 14 日(土)・15 日(日) 香川県丸亀市
主管:丸亀ユネスコ協会
した。ユネスコスクールに登録されている静岡市立玉川中
学校が、過疎化が進む地域社会の担い手を育むため、玉川
11 ユ協から約 110 名が出席した初日は、遠藤亮氏が丸亀
太鼓演奏やお茶の生産などを通して、地域と学校が一体と
城築城の歴史に関して特別講演を行った。その後、日ユ協
なって生徒を育てている事例を紹介。開会式前には、生徒
連の鈴木佑司副理事長が「ユネスコ活動のできること -平
たちが太鼓演奏を披露した。基調講演は川勝県知事による
和の概念の展開と ESD -」と題した基調講演で、平和につ
「富士山の世界遺産と次世代へ引き継ぐユネスコの心」。そ
いて国際政治の視点から鋭い指摘を行い、多くの参加者が
の他、静岡大学の梅澤教授から学校教育と ESD に関する特
熱心に耳を傾けた。その後、ユネスコスクール 3 校が発表
別講演があった。具体的な実践事例から、ESD を軸に学校
した。質疑応答では、ユネスコスクール登録にあたっての
と地域の連携について、気づくことの多い研究会となった。
ポイントや、各学校の活動紹介、学校が地域ユネスコ協会
(海外事業部:本間 雅子)
近畿ブロック・ユネスコ活動研究会
10 月 24 日(土) 京都府福知山市
主管:福知山ユネスコ協会
に求めることなど、多くの意見が飛び交った。
2 日目は前日の議論を受け、ユネスコスクールと地域ユ
協の連携をテーマに、活発な議論が交わされた。
(国内事業部:渡辺大修)
約 240 名が参加。福知山出身の明智光秀公の子孫、明智憲
九州ブロック・ユネスコ活動研究会
三郎氏による講演の後、福知山のユネスコ活動と題し、市立
11 月 14 日(土)・15 日(日) 大分県大分市
主管:大分県ユネスコ協会連盟
南陵小学校の活動と現在プロジェクト未来遺産に申請して
いる「うぶやの里」伝承運動の取り組みについて発表があっ
野 口 昇・ 日 ユ 協 連 理 事 長 に よ る 基 調 講 演「UNESCO と
た。現在ユネスコスクール登録の申請を行っている南陵中
ESD の推進について」に始まり、大分県にある5つの高等
学校は、生徒会が中心となって行っている世界寺子屋運動
学校の生徒による活動報告、カンボジア・スタディツアー
の取り組み、エコキャップ回収の活動、福知山を襲った豪雨
(2015 年 8 月に実施)に参加した大分県立大分上野丘高等学
被害への支援活動、社会問題となっているインターネット
校の加藤瑞紀さんの発表、大分県内初のユネスコスクール
被害に対応したネット暴力0活動などについて発表を行っ
認定校、大分市立鶴崎中学による取り組みの発表があった。
た。この後、大阪市立鶴見橋中学校から ESD パスポートの
また、立命館アジア太平洋大学(APU)の留学生が自国の文
取り組みについて発表があった。その中で、ESD パスポート
化を紹介し、参加者と交流した。続いて、大分ユネスコユー
の意義について、継続的に取り組めること、ボランティア活
スの佐藤隆士さんが青年ユネスコ活動について報告した。
動に広がりが持てること、地道な活動に光をあてることな
どのメリットが語られた。
(国内事業部:尼子 美博)
中国ブロック・ユネスコ活動研究会
11 月 21 日(土)・22 日(日) 鳥取県米子市
主管:米子ユネスコ協会
2 日目は、プロジェクト未来遺産に登録された NPO 法人
水辺に遊ぶ会の活動について、足利由紀子代表が、中津干
潟に流れてくるゴミが干潟に生息する鳥や生物に大きな
影響をおよぼし、日本から遠く離れた島にも日本のゴミが
多く流れ着いていることなどを報告した。
(海外事業部:青山 由仁子)
初日には 12 ユ協から約 75 名が、2 日目には 30 名が出席
した。
「古代史と大山」というテーマで佐古和江氏(関西
外語大学教授)が大山の歴史や信仰についての基調講演を
行った。続いて、郷土研究家の多羅尾整治氏、三徳山三佛
寺の副住職を務める米田良範氏、大山小学校校長の鷲見寛
幸氏をパネリストに迎え、パネルディスカッション「秀峰
大山の価値 ―民間ユネスコ運動の啓蒙―」が行われた。
その後、中国ブロック内で ESD を実践している 4 団体の
大分駅や大分市中心部で県内の高校生が募金活動を行った
5
ユネスコ 2016.1
各地ユネスコ協会の活動
皆さまからのお便りをお待ちしています。
大阪府ユネスコ連絡協議会(大阪府)は、2015 年 11 月
今年の絵のテーマは「わたしのお気に入り」。参加者か
に開催した「南北コリアと日本のともだち展」の大阪展
らは「いま北東アジアは政治的に対立しているが、子ど
を、実行委員会の中心となって実施した。これは、北東
もたちから学ぶことの多い絵画展だ」
「 同じテーマでも
アジアの 4 ヵ国 ( 日本・大韓民国・朝鮮民主主義人民共
国によって多様だが、
「仲良くしようよ」という平和の心
和国・中華人民共和国 ) の子どもたちが同じテーマで絵
は共通している」といった感想が聞かれた。
を描き、メッセージを添えて各国で絵画展を開き、
「未来
募 金 の 成 果 が 上 が ら ず 資 金 面 で は 苦 労 し て い る が、
のともだち」と心を通い合わせるのが目的。大阪のユネ
もっと多くのユネスコスクールに参加してもらい、この
スコスクールでは、2 つの小学校が絵画で参加、中・高
取り組みを ESD の実践の場としたい。
校生は ESD パスポートを使ってボランティア参加した。
ふるさと東京ユネスコ協会(東京)では、国際交流の
一環として、在日外国人とボウリング大会を行ってい
る。20 回を迎えた今年は、6 ヵ国の外国人 12 名が参加。
会員の高齢化と減少が大きな課題となっているが、数年
前から玉川大学ユネスコクラブの生徒も参加するように
なった。大会終了後には食事会をし、楽しく友好的な交
流が行われている。11 月下旬には「バーベキューと紅葉
観賞の集い」を予定している。
宝塚ユネスコ協会(兵庫県)では、さまざまな趣味や
文芸活動を通じた相互理解を目的として、ユネスコ協会
や一般市民から、俳句や短歌、絵手紙、書など文芸・芸
術作品を募り「ユネスコ広場」を発行。
「次号には自分の
絵画展では日韓の子どもたちによるワークショップが行われた
作品も」といった声があり、会員は増えている。
ユネスコ 2016.1
6
書 きそ んじ た 年 賀 状 が 、世 界 の 学 び を 支 えて い る
書 き そ ん じ ハ ガ キ・ キ ャ ン ペ ー ン 2 016
11枚の書きそんじハガキで
ひとりがひと月学校に。
ユネスコ世界寺子屋運動
広報特使 “まなびゲーター”
久保 純子
今年も書きそんじハガキ・キャンペーンが始まった。昨年、
映像とセットになった教材も制作
集められた書きそんじハガキは(某協力会社が長年にわたり
本キャンペーンについて、
“学校や企業など協力者に説明
集められた膨大なご協力も含め)約 225 万枚となった。その
する資料がほしい”というご意見があった。そこで、先ほど
結果、カンボジア(シェムリアップ州ロハル村)1 軒、アフガ
の映像とセットで使える教材を制作。書きそんじハガキの使
ニスタン(カブール県パグマン郡バボ村/P 12 参照)に 1 軒
途や寺子屋の情報をたくさん盛り込んだ内容となっている。
の寺子屋を建てることができ、現在、多くの人びとが学んで
こちらについても日ユ協連のホームページからダウンロー
いる。カンボジアのロハル村では、学校を中途退学した子ど
ドすることができる。
もたちを応援する復学支援クラスも実施している。
タンス遺産 3 兄弟や教材のダウンロードは下記から。
ぜひ利用してほしい タンス遺産 3 兄弟の映像
http://www.unesco.or.jp/terakoya/kakisonji2016/
昨年は、書きそんじハガキに加えて、ハガキ以外の未使用
このキャンペーンを通じて、より多くの方々に世界寺子屋
切手やプリペイドカードなどの回収が大きく増えた。また、
運動を知ってもらうとともに、書きそんじハガキを通じた協
個人からのハガキ回収が増えたことも特徴的だ。それらを踏
力を呼びかけていきたい。今年もご協力よろしくお願いいた
まえて、今年はハガキのほかに、未使用切手などのアイテム
します。
問合せ先:海外事業部 03-5424-1121
についても積極的に呼びかけていく。
また、楽しんでご協力いただけるよう、書きそんじハガキ・
キャンペーン応援キャラクター“タンス遺産3兄弟”が登場
する1分間の映像を制作した(協力:電通・社会貢献部)。
書きそんじハガキがどのように使われ、現地の寺子屋でどう
役立てられているのか、簡単に紹介する内容となっている。
書きそんじハガキの回収を、学校などで生徒・児童に呼びか
けたり、イベントで呼びかけたりする際に使っていただける
と効果的だ。日本ユネスコ協会連盟のホームページからダウ
ンロードすることができ、Youtube で“タンス遺産”と検索
すれば視聴できる。書きそんじや失敗を可愛い映像にした
「かるた編」も 2 本あるので、あわせてご覧いただきたい。
7
ユネスコ 2016.1
新たに制作した教材。タンス遺産 3 兄弟の映像とセットで活用してほしい
T O P I C S
持 続 可 能 な 開 発 目 標 (SDGs)
2030 年までに達成すべき17 の目標
2015 年9月に、国連本部で「国連持続可能な開発サミット」が開催され、2016 年以降の目標設定が採択
された。この目標がミレニアム開発目標(MDGs)の後継であり、17 の目標と 169 のターゲットからなる
「持続可能な開発目標(SDGs = Sustainable Development Goals)である。2030 年までの達成を目指す。
日本ユネスコ協会連盟も、これらの目標を視野に今後の活動を構築していきたい。
目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
目標 2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、実現可能な農業を促進する。
目標 3. あらゆる年齢のすべての人びとの健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
目標 4. すべての人びとへの包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
目標 5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性および女児の能力強化を行う。
目標 6. すべての人びとの水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
目標 7. すべての人びとの、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
目標 8. 包摂的かつ持続可能な経済成長およびすべての人びとの完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい
雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
目標 9. 強靭(レジリエント)なインフラ構築、
包摂的かつ持続可能な産業化の促進およびイノベーションの推進を図る。
目標 10. 各国内および各国間の不平等を是正する。
目標 11. 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する。
目標 12. 持続可能な生産消費形態を確保する。
目標 13. 気候変動およびその影響を軽減するための緊急対策を講じる。※
目標 14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の促進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の
劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止する。
目標 16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人びとに司法へのアクセスを提供し、あらゆる
レベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
目標 17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
※国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。
出典:外務省 公益財団法人地球環境戦略研究機関作成による仮訳をベースに編集。
ユネスコ 2016.1
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特集
戦後 70 年 次世代へ語り継ぐ
音楽を通じて
心に平和のとりでを築こう
松尾 康二 氏 インタビュー
カルビー株式会社 相談役 ユネスコ・アルムニクラブ会員
NPO 法人「音楽は平和を運ぶ」理事長
8 歳のとき広島で被爆したユネスコ・アルムニクラブ会員の松尾康二氏は、
戦後 70 年の節目に、新たな形で平和を発信し始めた。
その戦争体験と平和への思いを伺った。
家族は全員、無事だった
「戦争についての、僕の最初の記憶は 3 歳ごろ。昭和 15 年
(ライター:永山多恵子)
給の小麦粉などを利用して、いろいろなお菓子をつくりはじ
めた。
当時、ナショナリズムが台頭していた時代の暗い高揚感を
「僕ら子どもたちも皆、家の仕事を手伝わされました。だか
覚えています」と語る松尾さん。父は敗戦までに 3 回応召さ
ら、お年玉も働いた工賃としてもらっていた。鉄道のまわり
れたが、幸いにして 3 回目は国内にいて命を落とすことはな
に生える鉄道草(ヒメムカシヨモギ)という雑草があって、こ
かった。
れを混ぜた団子もつくってみました。草のいちばん上の柔ら
広島に原爆が投下されたのは、松尾さんが 8 歳のとき。
「記憶の鮮明な原爆の生存者としては、僕らがほぼ最後の世
代でしょうね」
かい部分が食べられるんですよ(笑)。とにかく、なにもない
時代でしたからね」
やがて、小麦粉に瀬戸内海の小エビを混ぜたお菓子をつ
爆心地から 1.6 キロの分教場で兄とともに被爆。気を失い、
がれきに埋もれていたところを、おとなたちが助け出してく
れたという。
くったら、これが受けた。いまに続く人気商品「かっぱえびせ
ん」の誕生だった。
「日本人はそもそもカルシウムとビタミン B が足りなかっ
「意識が戻ると、とにかく逃げなければと、山の方に向かっ
た。日露戦争の死者 5 万人のうち、2 万 7000 人は、白米食に
て裸足で駆け出しました。がれきからは釘がいっぱい出てい
よる脚気です。ビタミン B 不足が原因ですね。それらの栄養
たけれど、必死だったんでしょうね。スローモーションみた
素を食品で補おうと、社名を『カルビー』に変えたんです」
いに、走りながらも釘の位置がよく見えたんですよ。だから、
釘のないところにうまく足を着地させることができました。
被爆はしたものの、不思議なことにまったくの無傷でした」
母と兄弟、そして1歳10ヵ月の妹も皆、奇跡的に無事だった。
焼け跡で子どもも一緒にお菓子づくり
戦争が終わると、除隊して戻った松尾さんの父が、焼け野
原だった広島にいち早く木造の建物をつくった。そして、配
大学でユネスコ研究会に参加
広島大学附属高校から、東京大学へ進学した松尾さん。2 年
生になったころ、大学でユネスコ研究会をつくろうというこ
とになった。
「東大ユネスコ研究会はもともとあったんですが、当時はつ
ぶれてなかったんです。それで、もういちど復活させようと
いうことになりました」
松尾さんが東大の仲間と活動していた東京ユネスコ学生連盟 ( 西岡義喬委員長 ) の日光セミナーにて
9
ユネスコ 2016.1
理念として掲げているのは、UNESCO 憲章の前文にある「戦
争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心に平和の
とりでを築かなければならない」という一文だ。2015 年の 7
月と 8 月には「人の心に平和のとりでを築くコンサート」と
題したふたつの演奏会を開いた。
7 月は、フォーレ作曲「レクイエム」と、大木惇夫作詞・
佐藤眞作曲「土の歌」の演奏会。公募に応じた市民による「平
和のとりで市民合唱団」と「平和のとりでオーケストラ」が
出演した。そして 8 月は、ベートーヴェン作曲「交響曲第 9
番」ほかの演奏会。こちらは国内外の著名な演奏者や声楽家
を集め、大野和士さんがタクトを振った。どちらも、広島の
日光セミナーで講演中の経済学者、矢内原忠雄先生(元東大総長)
東大紛争もあった時代、学生たちは社会の諸問題について、
暑い夏を、心にしみる音楽で彩った。
演奏会を開くだけでなく、
「音楽は平和を運ぶ」では、助
熱い議論を闘わせていた。ユネスコ研究会でも、戦後日本の政
成金制度を設け、幅広い平和活動を支援している。1 回目
治問題や経済などについて、たびたび議論を重ねていたそうだ。
の助成金公募では、被爆 70 年と国連設立 70 年を記念して、
「ただ、大学を卒業して新聞記者になると、日々忙しくて、
東京、広島、長崎で開かれた国連合唱団「平和と希望のコン
そういう活動は続けていられなくなりました」
やがて松尾さんは新聞社を退職し、カルビー株式会社に
入社。相談役を務めるいまは、ユネスコ・アルムニクラブ
の会員として、再び平和を願う活動に携わっている。
音楽で心に平和のとりでを築こう
サート」と、広島交響楽団による「平和の夕べコンサート」
などをサポートした。
「これからも、音楽を中心に、美術や演劇などさまざまな
平和文化活動を助成していく予定です。根底にあるのは、被
爆の町だった広島を、明るい音楽の町にしたいという思い
です。広島の原爆ドームは負の世界遺産ですが、私は『よく
2015 年は戦後 70 年であり、被爆 70 年でもあった。この節
ぞ建っていてくれた』と思っています。焼け野原となった広
目の年を出発点にしようと、松尾さんは 2014 年、NPO 法人
島の、復興のシンボルだったのです。そういう前向きな発想
「音楽は平和を運ぶ」を立ち上げた。広島から、明るい平和の
未来を発信したいと願ってのことだ。
「これまでの広島は、被爆の実態を伝えることで、平和の大
で、これからの広島を発信していきたい」
何かせにゃならん、という責任感
切さを訴えてきました。しかし、被爆 70 年を機に、国を超え
8 歳で被爆したとき、松尾さんは、山に逃げる途中で悲惨な
た文化を共有することで、感動の中から平和の尊さを伝える
光景をなんども見たという。家の下敷きになった子どもを助
方向に転換したい。戦争を起こすもととなるのは差別です。
けてくれと必死で叫ぶ、血だらけのお母さんの姿も目に焼き
世界の共通言語である音楽を通じて、差別の意識をなくした
ついている。
いと思ったのです」
「自分にはどうすることもできず、そのまま走って逃げまし
た。そういう人たちへの後ろめたさは、いまもあるんです。被
爆したとき、僕はたまたま、がれきの中から助けてもらった
から、こうして生きている。でも、助けられずに死んでいった
人は大勢いる。生きるも死ぬも紙一重なんです。だから、何か
せにゃならん。死んでいった人たちに対して、そういう責任
感は常にあります」
被曝地の悲しみ、そして、いまも世界からなくならない恨
みの連鎖を、音楽によって昇華したい。広島からの松尾さん
の願いだ。
PROFILE
NPO 法人「音楽は平和を運ぶ」は、中国人の日本研究に
対しても助成している。これは、その成果として出版さ
れた「日本学」
(北京大学日本研究中心が編集)
松尾 康二(まつお・こうじ)
1937 年、広島市生まれ。東京大学在学中
にユネスコ研究会を結成。'60 年に卒業、
毎日新聞社に入社。'72 年退社し、カルビー
株式会社に入社。2014 年、NPO 法人「音
楽は平和を運ぶ」を立ち上げ理事長に。現
在はカルビー株式会社相談役、ユネスコ・
アルムニクラブ会員。
ユネスコ 2016.1
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活動報告
学校防災の強化を目指して
アクサ ユネスコ協会
減災教育プログラム
教員研修会 開催
災害発生時、学校は地域の重要な防
災拠点のひとつとなる。標記プログラ
ムは、学校の防災教育をサポートし、そ
の質の向上を目的としている。2015 年
9 月 13 日(日)~ 15 日(火)、宮城県気
仙沼市と岩手県一関市で開催した、本
事業の助成校 21 校の教員 35 名が参加
した教員研修会のようすを報告する。
初日は、本研修会のコーディネーター
訪問先の学校教員らと意見交換をする参加教員たち
を務め、震災当時に気仙沼市教育委員
会で教育復興に尽力された及川幸彦氏
育について発表があった。さらに、気
外部との関係・自然条件の 5 項目に分
(現・宮城教育大学協力研究員、日本ユ
仙沼市で最も津波の被害が大きかっ
類された指標に、自校の現状をあては
ネスコ国内委員)の講義が行われた。同
た階上地区を実際に視察し、参加者か
め、現状分析を体験した。
市の被災状況や小中学生の活躍につい
らは、
「防災・減災の切迫した状況を
3日目は、特活)SEEDs Asia の上田和
て紹介した上で、ESD で育む子どもた
肌で感じることができた。実感として
孝氏が、
「減災教育におけるN助の必要
ちの能力や態度は防災教育で求められ
の防災意識を持つことができた」との
性」と題し、地域との連携について講
るものと合致していると述べられた。
感想があった。
義。自助・共助・公助に加え、N 助(=
続いて、気仙沼市が開発した防災教
本研修会は、気仙沼市教育委員会の
NGO・NPO、ネットワークとの助け合
育カリキュラム「防災学習シート」に
協力を得て行われた。白幡教育長は特
い)の活用こそが、地域と学校のつな
ついて、制作に携わった同市の小学校
別講話で「防災教育は、命や財産を守
がりづくりに力を発揮すると訴えた。
教員、小野美由起先生と片山祥子先生
るための知識やスキルにとどまらず、
が講義を行った。小・中 9 年間を通し
子 ど も た ち の 資 質・ 能 力 を 高 め る と
をしっかり変えることで、子ども・保
た防災学習が系統的に整理されておれ
同時に、地域・日本・世界の明るい未
護者・地域の意識を変え、子どもたち
り、それに基づく指導案が伝えられた。
来をつくりたいという子どもたちの
の「生き抜く力」を育みたいとの発表
思いを大切にするものでありたい」と
があった。
はしかみ
2 日 目 は、階 上 小 学 校 を 訪 問 し、始
業前に全校で実施している 15 分間の
ワークショップでは、教職員の意識
参加した先生方は、研修での学びを
述べられた。
「防災タイム」のようすや、5 年生の「防
さらに、京都大学大学院地球環境学
災マップを作ろう」の授業見学を行っ
堂の塩飽孝一特定研究員からは、最新
2016 年 2 月 24 日 の 活 動 報 告 会 で そ れ
た。さらに、階 上中学校では、生徒が
の学校防災力評価の調査手法を学ん
ぞれの実践を共有する予定である。
主体となって取り組んでいる防災教
だ。物的条件・人的資源・組織関連・
はしかみ
E S D パ ス ポ ート レ ポ ー ト
自校に持ち帰って防災教育に活かし、
(国内事業部:上岡 あい)
も
も
は
運営の手伝いやダンスを披露した 3 年の大沼萌 百葉さん
室蘭ユネスコ協会 × 北海道大谷室蘭高等学校
は、
「養護学校の先生が、楽しみながらがんばっている姿
生徒による活動は、世界寺子屋運動の募金活動や小・
北海道ブロック研究会では、生徒たちが ESD パスポー
中学生サッカー教室での指導、校外清掃活動、幼稚園や
トを持って、
「ボランティアのきっかけとなり、意欲的に
老人ホームでの吹奏楽の演奏、
「薬物防止」メッセージ入
取り組めるようになった。ゴミの多さ、介護施設の現実
りポケットティッシュの配布、トライアスロンの給水所
を知った。いろいろな人とコミュニケーションをとるこ
で水を配布、介護福祉施設の手伝い、夏まつり・雪まつ
とができ、進路のきっかけにもなった。喜んでもらえる
りの手伝いなど、実にさまざま。
ことがうれしく感動した」と感想を発表した。
雑草を抜いたり、花を植えたり、養護学校の運動会で
11
ユネスコ 2016.1
を見て、自分も教員になりたい」と思ったそうだ。 (国内事業部:古澤 真理子)
活動報告
世界寺子屋運動
from カンボジア
新しい寺子屋を建設中
カンボジアでは乾季に入り、いよいよ新しい寺子屋の建設工事が始まっ
た。シェムリアップ州ポック郡とアンコールチュム郡の 2 ヵ所で、日本ユ
ネスコ協会連盟カンボジア事務所のブッタ所長と、選挙で寺子屋運営委員
に選ばれた村人の立会いのもと、土壌整備、支柱の設置などの基礎工事が
着々と進んでいる。これから村の人びとに見守られながら、2 軒の寺子屋
が少しずつ形になっていく。工事は 1 月に終了し、開所式は 3 月末までに
(海外事業部:宍戸 亮子)
開催される予定だ。
アンコールチュム郡の寺子屋も建設が進んでいる
from ネパール
現地スタッフ来日と地震への支援
2015 年 11 月 3 日(火)~ 13 日(金)、ネパール寺子屋運動の現地パートナー
団体である NRC-NFE のスックラ氏とカトマンズのシディプール寺子屋のク
リシュナ・クマール氏が来日した。市川市ユネスコ協会(千葉県)、鎌倉ユ
ネスコ協会(神奈川県)、岩国ユネスコ協会(山口県)、新潟市ユネスコ協会(新
潟県)をはじめ、世界寺子屋運動やネパール地震へご支援をいただいた企業・
団体を訪問。現地のようすや事業の進捗を説明し、訪問先の方々と交流した。
なお、ネパール地震への中期的な支援として、日ユ協連では仮設シェル
ターの提供、奨学金の給付、失業者への技術訓練などを 2017 年 1 月まで実
(海外事業部:鴨志田 智也)
施する。
スックラ氏(右)とクリシュナ・クマール氏
from アフガニスタン
バボ村に寺子屋が完成。開所式典を実施
カブール西部のパグマン郡のバボ村に 15 軒目の寺子屋が完成。12 月 5 日
に開所式典が盛大に行われた。政府関係者や地元の人びとなど約 100 人が
参加し、政府代表のスピーチや子どもたちの歌などが披露された。バボ村の
人口は 2400 人で識字率は 50%。開所式典では、寺子屋での活動内容や
開始時期について、村の人たちから多くの質問があり、期待の高さがうかが
えた。
(海外事業部:鴨志田 智也)
一杯のスプーン
天空の杜
プロジェクト
開所式には村人が大勢集まった
衛生教育テキスト制作中
事業協力:株式会社富山環境整備 輸送協力:日本郵船株式会社
カンボジアに安全な水を届ける「天空の杜プロジェク
ト」では今年、寺子屋を拠点に貧困層の人びとへ衛生教育
の機会を提供する。現在はシェムリアップ州保健局の協
力のもと、衛生教育のための指導者向け、学習者向けそれぞれのテキストを
製作している。主な学習テーマは、住民のニーズや衛生に関する意識調査を
踏まえて、
「基礎知識」
「体を清潔に保つ」
「水の衛生」
「食物衛生」
「家庭内の衛生」の 5 点に定められた。読み書きのできない人
に配慮し、挿絵の分かりやすさにこだわって作業が進められて
いる。テキスト完成後、建設中のものを含めた全 15 軒の寺子
デザイン中のカンボジア人イラストレーターと、
テキストの挿絵案のひとつ
屋で 39 人の指導者を養成し、計 1500 人の村人を対象にワーク
ショップを行う予定だ。
(海外事業部:宍戸 亮子)
ユネスコ 2016.1
12
活動報告
世界遺産活動
ナーガ・シンハ彫像修復プロジェクト −遺跡を守る人材の育成−
標記プロジェクトは、JASA(日本国
プロジェクトに参加するソピアック
JASA が育成したカンボジア人専門家や
政府アンコール遺跡救済チーム)の技
氏は、ベトナムとの国境付近に位置す
技能員から、カンボジアの若者へ。“カ
術指導を受けながら、“アンコール遺跡
るプレイ・ベン州出身の 28 歳。プノン
ンボジア人からカンボジア人へ” の技
の保全と周辺地域の持続的発展のため
ペン王立芸術大学在籍中、アンコール
術継承を進めていく。
の人材養成支援機構(JST)” とともに、
遺跡群での研修に参加したのが、修復
2012 年から実施している。バイヨン寺
に携わるきっかけとなった。その際に、
院全体としては、1994 年から、日本国
遺跡の現状や遺跡を守っていく人材が
政府アンコール遺跡救済チーム(JSA /
少ないことを危惧し、また、祖先が築い
JASA・団長:中川武)により、調査・研究・
たアンコール遺跡群を守っていくこと
修復が進められている。同時に、JASA
は、自分たちの世代の責任であるとの
では、プノンペン王立芸術大学の学生
使命感からプロジェクトに参加。若手
を対象に、考古学や建築学などの分野
メンバーを牽引している。
で専門家の育成を行い、遺跡の修復に
将 来 に わ た っ て、カ ン ボ ジ ア の 人
携わる専門家を数多く輩出している。
たちの手で遺跡を守っていけるよう、
(海外事業部:青山 由仁子)
©NFUAJ/JST,JASA
JST 技能員に指示をするソピアック氏(写真左上)
ANA×日本ユネスコ協会連盟 心の翼プロジェクト
2013 年から ANA グループ社員による世界遺産ボランティア活動「ANA× 日
本ユネスコ協会連盟 心の翼プロジェクト」を実施。2015 年は、5 月の上賀茂神
社境内に葵の森を再生する「葵プロジェクト」の作業に続いて、10 月には、富山
県南砺市にある五箇山の合掌造り集落で、屋根の葺き替え作業を行った。
五箇山は、
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」
( 岐阜県・富山県)として 1995
年に世界遺産に登録され、今年で 20 周年を迎えた。合掌造りには、厳しい冬を
越すための、先人たちの工夫が随所に施されている。今回の作業では、南砺市、
萱の葺き替え作業に臨む ANA グループの
社員ボランティア
教育委員会、森林組合の指導のもと、萱を運び、大きな針やハンマーなどを使っ
て葺き替え作業をした。
未来遺産運動
プロジェクト未来遺産最新情報 −協賛企業との協働事業が加速−
未来遺産運動では、プロジェクト未
たちに継承していくことを目的に、住
足尾銅山は、銅の製錬過程で発生す
来遺産の登録を推進するとともに、協
友ゴム工業株式会社との協働事業と
る亜硫酸ガスの影響や樹木の伐採な
賛企業との協働事業が進んでいる。事
して「チームエナセーブ未来プロジェ
どにより、山腹には草木が生えず、表
業内容を紹介する。
ク ト 」を 2013 年 度 よ り 開 始。今 年 度
土が雨によって流出し、下流域に甚大
はプロジェクト未来遺産に登録され
な被害を及ぼしてきた。そこで、プロ
ている団体などの協力を得ながら、6
ジ ェ ク ト 未 来 遺 産 で あ る「NPO 法 人
月 か ら 10 月 に 全 国 10 ヵ 所 で 計 12 回
足尾に緑を育てる会」や国、県が一体
にわたり、住友ゴム工業の社員が草刈
となって、失われた緑を復元する活動
りや田植えなどのボランティア活動
を行っている。
【住友ゴム工業株式会社】
日本の美しい文化や自然を子ども
を実施した。
【三菱 UFJ ニコス株式会社】
2015 年 7 月 の 埼 玉・ 見 沼 た ん ぼ で
の ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 に 続 き、10 月 に
プロジェクト未来遺産に登録されている和歌山
県の孟子不動谷での田植えボランティア。
「チー
ムエナセーブ未来プロジェクト」の活動より。
13
ユネスコ 2016.1
は栃木県・足尾銅山で、三菱 UFJ フィ
ナンシャルグループの社員が環境ボ
ランティア活動を実施した。
今回のボランティア活動では、植樹
活動や、以前、表土の流出を防ぐ目的
で斜面一帯に設置したネットの除去
作業などを行った。
(国内事業部:尼子 美博)
活動報告
5プロジェクトが決定!
プロジェクト未来遺産 2015
7 年目を迎えたプロジェクト未来遺産。2015 年 12 月 7 日(月)、東京大学で未来遺産委員会が
開かれ、5 つのプロジェクトが 2015 年度の「プロジェクト未来遺産」に決定した。
今年は、合計 43 件の幅広い応募があり、全体的にレベルが高かったように思います。
また、これまでは、官が民を取り込んだり、民が官に助けを求めたりという形が多かった
ように思いますが、今年は、官と民がそれぞれの立場で、バランスよく共働している活動が
(未来遺産委員会委員長:西村 幸夫)
増えたのも特徴かと思います。
プロジェクト未来遺産 2015
1
絶滅危惧種イトウ(サケ科)北海
道尻別川個体群の復元活動
国内有数のカヤネズミの生息地であ
る桂川下流域の茅原で保全活動を展開。
場 所:北海道虻田郡ニセコ町
カヤネズミ保護のための生息調査を行
団体名:尻別川の未来を考えるオビラ
うとともに、市民を対象とした草地保全
メの会
推薦団体名:後志地域生物多様性協議会
環境破壊などの影響で激減した絶滅
講座や「桂川生物多様性フォーラム」の
開催などを通じて、保護の重要性を訴え
る広報活動にも取り組んでいる。
危惧種イトウの保護活動。尻別川オリジ
ナルの遺伝子を引き継ぐ人工孵化稚魚
の自然界への「再導入」や、河川横断建
さぎりゅう
3
山口鷺流狂言伝承者育成プロジェ
「 千 年 サ ン ゴ 」の 愛 称 で 親 し ま れ て
クト~子ども達に残す鷺流狂言~
いる世界最大級のコブハマサンゴを、深
造物への魚道敷設、環境教育活動などを
場 所:山口県山口市
刻化する食害被害から守るための活動。
通じて、尻別川流域の生物多様性の象徴
団体名:山口鷺流狂言保存会 サンゴを食べるオニヒトデや巻貝の駆
イトウの個体群復元を目指している。
推薦団体名:山口ユネスコ協会
除、保全活動に必要なボランティアダイ
山口の伝統芸能である「鷺流狂言」の
保存・伝承活動。子ども向けの狂言教室
バーの育成、町内の小学校での環境教育
など次世代育成にも力を入れている。
や成人向けの伝習会を定期的に開催し
て、狂言の面白さや残していく意味を伝
え、担い手の確保に努めている。また、
5
美の里を未来へ 石畳地区・村並み
保存活動
山口市内を中心にワークショップや公
場 所:愛媛県喜多郡内子町
演も積極的に行っている。
団体名:石畳自治会
過疎や高齢化が進む石畳地区の地域
振興を目指し、住民と行政が協働しなが
2
京都桂川の生物多様性保全−カヤ
ら「村並み保存活動」に取り組んできた。
ネズミのすむ茅原を未来へつなぐ
水車小屋の復元、シダレザクラの保護な
場 所:京都府京都市
どの農村景観の保全をはじめ、水車祭り
団体名:全国カヤネズミ・ネットワーク
や桜祭りなどの交流イベントも実施。同
推薦団体名:公益社団法人 大阪自然環
時に、地域づくりの担い手育成のため UI
境保全協会
ターンの促進にも取り組んでいる。
4
次世代につなごう!!「 千年サンゴ」
保全プロジェクト
場 所:徳島県海部郡牟岐町
団体名:千年サンゴと活きるまちづくり
協議会 推薦団体名:徳島ユネスコ協会、牟岐町、
徳島県
ユネスコ 2016.1
14
日本ユネスコ協会連盟からのお知らせ
お知らせ
『世界遺産年報 2016』発行
青年会員対象
研修プログラムへの参加補助制度について
をお送りください。折り返し、応募要項
昨年度より、新しい制度として、青年
○問合せ:国内事業部
をお送りいたします。
日本ユネスコ協会連盟では、1995 年か
会員が外部団体の研修に参加する際の旅
ら財団法人日本宝くじ協会の助成を受け、
費などを補助する制度「青年ユネスコ研
新入会員のお知らせ(敬称略)
世界遺産に関する最新かつ正確な情報を、
修補助制度」が始まっています。多くの
第 505 回 理 事 会(2015 年 11 月 7 日 )で
広く一般の方々に紹介する目的で世界遺
青年会員が本制度を利用し、国内外の研
新しい仲間が入りました。
産年報を発行し、全国の公共図書館、大学・
修に参加することで、ESD に関する学び
短大図書館、公民館などへ約 1 万 1000 部
を深め、地域でユネスコ活動を企画・運
代 表 者:小林惠智(団体役員)
寄贈しています。
営する際に必要となるノウハウを学び、
所 在 地:静岡県賀茂郡南伊豆町
最新号では、2015 年に登録された『明治
国境を超えて平和構築のために活動す
主な活動:自然が支える生命循環の大切
日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、
る 人・ 団 体 と の ネ ッ ト ワ ー ク づ く り を
さを通じて、次世代のリーダー育成を推
石炭産業』を特集し、世界遺産としての価
目的としています。関心をお持ちの方は
値や、登録に至るまでの経緯など、他には
[email protected] あてに件名:
「青
ない魅力的な内容になっています。ぜひご
年ユネスコ研修補助制度」としてメール
活用ください。 ○問合せ先:海外事業部
【伊豆ユネスコクラブ】
進する事業など
【個人会員】
石神澄子、小林惠智、橋永重弘、戎井七重
今後の主要事業日程
2016
1 月 16 日
第 506 回理事会、第 38 回評議員会、情報交換会、新年懇親会
3 月 12 日
第 507 回理事会
5 月 21 日
第 508 回理事会、第 39 回評議員会
6 月 24 日
第 509 回理事会
6 月 25 日
第 67 回通常総会
全国の書店でも発売しています。
1000 円(税別)発行元/講談社
第 42 回 NHK 日本賞
企画部門・日ユ協連賞決定
2015 年 10 月 22 日( 木 )、NHK に よ る
世界の教育コンテンツコンクール「日本
賞」授賞式が行われ、
「自然が先生」を企
画したバングラデシュ・アグアン協会に
対して野口昇理事長が日本ユネスコ協会
連盟賞を授与しました。この企画は、英
語の教材を確保することさえ難しい貧
しい子どもたちが、自然に親しみながら
英語の基礎を学ぶことを狙いとしていま
す。日ユ協連では、受賞企画の番組制作
費として 3000 ドルを支援しています。
バングラデシュ・アグアン協会に日本ユネ
スコ協会連盟賞を授与
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟は、UNESCO憲章の精神に共鳴した人びとによって1947年、世界にさきがけ仙台で始まった、民間ユネスコ運動の日本に
おける連合体です。現在全国に約280のユネスコ協会があります。会長:松田昌士 副会長:加藤玲子・太田原弘・林美紀子 理事長:野口昇
2016 年 1月1日発行 通巻第 1151号 第 3 種郵便物認可(1、4、7、10 月の 1日発行・年 4 回)
●発行/公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟 東京 00150-9-56030 ●購読料 1000 円(1年・送料込)
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 1-3-1 朝日生命恵比寿ビル 12 階 TEL 03(5424)1121 FAX 03(5424)1126
再生紙を利用しています