第1章 計画の基本的な考え方 1 計画策定の趣旨 近年、わが国は、生活水準の向上や医療技術の進歩などにより、世界有数の長寿国とな りました。その一方で、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病や、認知症、寝 たきりなどの要介護者の増加が深刻な社会問題となっています。特に、不適切な生活習慣 の積み重ねから、内臓脂肪が蓄積し、高血糖、高血圧や脂質異常などが重複した状態(「メ タボリックシンドローム(メタボリック症候群)」)を長く続けることで心筋梗塞や脳梗塞 の原因となる動脈硬化を急速に進行させてしまうことが問題視されています。 こうした中、国においては、平成 24年3月に「健康日本21」の最終評価がとりまと められ、これまでの基本的な方向に加えて「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」 「重症化予 防」 「社会全体として相互に支え合いながら健康を守る環境の整備」を新たに盛り込んだ「健 康日本21(第2次) 」として、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な 方針」を改正し、平成 24 年7月に告示しました。 岐阜県においても、生涯を通じて健康でいきいきと過ごす活力のあるまちの実現を目指 し、平成 14 年3月に健康づくりの行動計画「ヘルスプランぎふ 21」を策定しています。 その後、その成果や課題に加え、健康に関する社会状況の変化などを踏まえ、平成 25 年 3月に「第2次ヘルスプランぎふ 21」が策定され、県民の生涯を通じた健康づくりを更に 推進することを目指しています。 各務原市では、平成 23 年度から平成 27 年度までを計画期間とした「第2次かかみが はら元気プラン 21 各務原市健康増進計画」を策定し、市民一人ひとりが自覚して自らの 健康づくりに取り組むことを目指し、行動の主体である“市民”を“行政”がサポートし、 病気や障がいの有無に関係なく、だれもが個性豊かに充実した生活を送ることができるよ う施策を推進してきました。 このたび、平成 28 年3月末に「第2次かかみがはら元気プラン 21 各務原市健康増進 計画」の計画期間が終了することに伴い、国や県の新たな方針を取り入れるとともに、上 記の社会情勢等を踏まえた、新たな社会生活の変化や健康課題を受け、市民一人ひとりが 自発的・自立的に、自分にあわせた健康づくりに取り組み、元気があふれる健やかなまち を推進するための「第3次かかみがはら元気プラン 21 各務原市健康増進計画(以下、 「本 計画」という。 ) 」を策定するものです。 1 2 計画の位置づけ 本計画は、健康増進法第8条に定められた市町村健康増進計画として、各務原市が策定 する計画です。また、この本計画は、食育基本法第 18 条に基づく「食育推進計画」とし ての内容を、本計画中の【栄養・食生活】分野に含めて策定するものです。 また、本市で策定している「各務原市総合計画」「第3期各務原市地域福祉計画」「子ど ものみらい応援プラン」 「第 6 期かかみがはら高齢者総合プラン」 「各務原市第 4 次障がい 者計画・第 4 期障がい福祉計画」などの各種計画と整合性をもたせることにより、関係す る事業を協働し推進するものとします。 【 計画の位置づけ 各務原市 国 各務原市総合計画 健康日本21 (第2次) 【主な関連計画】 第2次食育推進 基本計画 岐阜県 第2次 ヘルスプラン ぎふ 21 第 2 次岐阜県食 育推進基本計画 】 整合 元 気 プ ラ ン 21 第 3 次 か か み が は ら 整合 ・ 連携 ● 第3期各務原市地域福祉計画 ● 子どものみらい応援プラン ● 第6期かかみがはら高齢者総合 プラン ● 各務原市第4次障がい者計画・ 第4期障がい福祉計画 ● 特定健康診査等実施計画(第2期) など 2 3 計画の期間 本計画の期間は、平成 28 年度を初年度とし、平成 32 年度を目標年度とする5年間の 計画です。また、社会状況の変化や法制度・計画などの改定に伴い、必要に応じて適宜見 直しを行います。 4 計画の基本的な考え方 一人ひとりの健康は、一人ひとりが自ら守るのが基本です。健康上のリスクや抱えてい る健康課題はまさに十人十色であり、行政がその全てをサポートすることは容易ではあり ません。したがって、本計画では、 “自分の健康は自分で守り・つくる”を基本的な考え方 としています。一人ひとりが自らの健康課題を理解し、自らの健康づくりに自主的に取り 組むとともに、そうした活動を市が支援していく関係の確立を目指していきます。 本計画では、以下の7つの基本的な考え方を掲げます。 (1)一人ひとりの自主的・積極的な健康づくりが基本です 「自分の健康は自分で守り・つくる」という自己責任のうえに、市民一人ひとりの自主 的かつ、積極的な健康づくりの実践と定着を基本とします。 (2)地域ぐるみで健康づくりを進めます 住み慣れた地域、身近な地域で、いろいろな人と交流し、楽しみながら健康づくりに取 り組むことができるような環境づくりや施策の充実を図ります。 (3) “すべての人が健康づくりの対象者”を前提とします みんながより健康という視点から、障がいや病気の有無に関係なく、すべての市民が健 康づくりの対象者です。 (4)分野に応じた健康づくりの取り組みを推進します 「栄養・食生活」「運動・身体活動」「休養・こころの健康」「たばこ・COPD」「アル コール」 「歯と口腔の健康」 「がん」 「循環器疾患・糖尿病」の分野ごとに現状と課題を明確 にし、その解決に向けて市民の健康への取り組み指針や市の取り組み方針を推進していき ます。 (5)各ライフステージにあわせた重点取り組みを実施します ライフステージによって、健康課題はさまざまです。ライフステージを「妊娠・出産期」 「乳幼児期(0~6歳) 」 「学童期(7~12 歳) 」 「思春期(13~18 歳) 」「青年期(19~ 39 歳)」「壮年期(40 ~ 64 歳) 」 「高齢期(65 歳以上)」に分け、それぞれのライフス テージにおける市民の重点取り組みを推進します。 3 (6)早期発見・早期治療を推進します 生活習慣を改善し、一次予防を重視するとともに、定期的な健康診査の受診、健康に関 する情報提供の充実等により、早期発見・早期治療を推進します。 (7)目標値を設定し、成果を評価します 市民一人ひとりの取り組みの成果、行政の健康づくり事業等の成果などを事後評価でき るように目標値を設定します。評価結果は、今後の取り組みや事業、計画の見直し等に反 映していきます。 参考 健康日本21(第2次)における基本的な方向について 国は、 「健康日本 21(第2次) 」において、目指すべき姿を全ての国民が共に支え合い、 健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とし、基本的な方向として、①健康寿命の延伸 と健康格差の縮小、②主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防、③社会生活を営むため に必要な機能の維持及び向上、④健康を支え、守るための社会環境の整備、⑤栄養・食生 活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環 境の改善、の5つを掲げています。 本計画においても、国が示す5つの基本的な方向も踏まえ、健康づくりについての施策 を総合的・計画的に推進していきます。 健康日本21(第2次)の概念図 全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現 ① 健康寿命の延伸・健康格差の縮小 生活の質の向上 社会環境の質の向上 ② ③ 生活習慣病の 発症予防・重症化 予防 社会生活 機能の維 持・向上 社会参加 の機会の 増加 ⑤ 生活習慣の改善 (リスクファクターの低減) ④ 健康のための資源 (保健・医療・福祉等 サービス)へのアク セスの改善と公平 性の確保 社会環境の改善 次期国民健康づくり運動による具体的取組 資料:健康日本 21(第 2 次)の推進に関する参考資料 4
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