介護保険 - 日本介護支援専門員協会

知って納得!備えて安心!
介護保険
~元気で幸せな生活を送るために~
一般社団法人 日本介護支援専門員協会
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いざという時に困らないために
ご存知ですか?介護保険制度
~「予防」と「安心」で暮らしを支える制度~
ご家族やご自身に介護が必要になったとき、まずは何をすればよいかご存知ですか?
住み慣れた地域で安心して暮らしていけることを目指すとともに、いつまでも自立した生
活を送れるよう支援するのが、介護保険制度です。
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介護保険のしくみと加入者
40 歳以上の方は、介護保険に加入し、介護保険料を納め介護や支援が必要になった
時に、費用の一部を負担するだけで介護サービスを利用できる制度です。
介護保険加入者(被保険者)の種類
種
類
年
齢
保険料の基準等
第 1 号被保険者
65 歳以上
第 2 号被保険者
40~64 歳
住んでいる市町村が基準額を決める
医療保険料として徴収(全国平均負担額)
介護保険の負担の割合
65歳以上の方の保険料
(第1号被保険者)
22%
公費(税金)
国
25.0%
都道府県 12.5%
市町村
12.5%
50%
28%
40~64 歳の方の保険料
(第 2 号被保険者)
・介護保険は、公費で 50%、65 歳以上の方の保険料で 22%、40~64 歳の方の保
険料で 28%を負担しています。
・保険料は、介護保険を健全に運営するための大切な財源です。社会全体で介護保
険を支えています。
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介護に関する相談窓口
少子高齢化が進む現在、介護は誰にでも起こりうることです。困ったことや心配
がある時は早めに相談することをお勧めします。
しかし、介護に関してはいろいろな状況があり、どのような時に、どこに行けばよ
いのかわからないという方が多いと思います。
そこで、たとえばこんなときに利用するとよい相談窓口を知っておきましょう。
・要介護認定を受けたい
・足腰が弱くなり転ぶことがある
・家で寝てばかりいる
・もの忘れが多くなった
・家族の知らない請求書や
品物がある
など・・・
地域包括支援センター
・要介護認定を受けたい
・介護保険サービスを知りたい
・サービスを利用したい
・サービスを増やしたい
など・・・
居宅介護支援事業所
・施設利用を考えている
・施設のサービスを知りたい
・施設入所の手続きをしたい
など・・・
22%
介護保険施設
介護保険制度の仕組みや利用方法については、市町村やお近くの介護相談
窓口でも対応しています。気軽にご相談ください。
介護保険サービスを利用するためには、医療サービスの利用と異なり要介護
認定を受ける必要があります。
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介護保険サービスを利用するには
1.「要介護認定」を受けましょう
2.「要介護認定」を受けたら
①申請する
・申請の窓口は、お住ま
いの市町村の介護保険
担当課です。
・申請は、ご本人のほか
家族でもできます。
① 要介護 1~5 の場合
・要介護 1~5 と認定された方は、居宅介護
支援事業者に連絡し、担当ケアマネジャー
を決めましょう。
・ケアマネジャーに希望を伝え、ケアプランを
作った上で、介護サービスを利用しましょう。
②要介護認定
② 要支援 1・2 の場合
・どれくらいの介護サービ
スが必要か判断するた
め、下記の審査をします。
●訪問調査
●主治医の意見書
●一次判定
●二次判定(認定審査)
・要支援 1・2 と認定された方は、地域包括
支援センターに連絡し、介護予防ケアプラ
ンを作った上で、介護予防サービスを利用
しましょう。
③ 非該当(自立)の場合
③結果通知
・通知は申請から原則 30
日以内に届きます。
・要介護度に応じて、利
用できるサービスや介護
保険で認められる月々の
利用限度額が異なりま
す。
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・非該当(自立)と認定された方は、これから
も元気でいるために地域支援事業を利用し
ましょう。
変更ポイント
介護予防サービスの訪問介護、通所介護は地域支
援事業の「新しい総合事業(介護予防・日常生活支
援総合事業)」に移行します。移行する時期は、市区
町村によって異なります。(平成 29 年 4 月までにすべ
ての市区町村が移行)
サービス利用料について
・介護保険のサービスを利用したときは、原則として利用料の1割または2割を支払い
ます。
・自己負担が重くなったときや、所得の低い方には負担を軽減するしくみがあります。
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地域支援事業の介護予防サービス
地域支援事業の介護予防サービスは、利用者の目標に合わせた
様々なメニューがあります。
地域包括支援センターの職員などと相談しながら目標を決め、計画
にそってサービスを利用します。
これからも元気でいるために
介護や支援を必要としない元気な高齢者に向けて
健康づくりや介護予防に関する各種講習会をして、
いつまでも元気でいられるようアドバイスをします。
介護予防サービスの例
栄養改善
運動器の機能向上
・ストレッチ
・筋力トレーニング
・有酸素運動
・バランストレーニング
などの指導や、運動に関する
相談を行います。
栄養改善のための、食材の選び
方や調理方法などに関する指導
や、相談を行います。
口腔機能の向上
閉じこもり、うつ、認知症の予防
・口の中や義歯の手入れ方法
・運動や機能訓練などの各種教
・味覚障害や気道感染の予防法
室への参加呼びかけ
・咀嚼、飲み込みの訓練法などの
・うつ、認知症の治療の必要性の
指導を行います。
確認を行います。
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わかりやすい認知症~認知症は身近な脳の病気です~
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認知症とは
・認知症とは、いろいろな原因で脳の機能が徐々に損なわれていく状態をいいます。
・記憶、見当識障害、理解・判断力の低下などの症状が現れます。
・加齢によるものとして見すごされがちですが、認知症は身近な脳の病気です。
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加齢によるもの忘れ
認知症によるもの忘れ
体験の一部を忘れる
体験全体を忘れる
ヒントがあると思い出せる
ヒントがあっても思い出せない
人や時間、場所などがわかる
人や時間、場所などがわかりにくい
日常生活に支障がない
日常生活に支障がある
認知症は、誰にでも起こりうる病気です
平成 24 年で、高齢者の約 4 人に 1 人が認知症かその予備軍(MCI=正常と認知症
の中間の状態)と推計されています。認知症は、若年者を含めて誰にでも起こりうる病気
であり、今後さらに増加する見込みです。
脳梗塞や脳出血によって起こる脳血管性認知症は、基礎疾患として高血圧、糖尿病、
脂質異常、心疾患などの生活習慣病が存在しますので、生活習慣を見直し、生活習慣
病の予防に努めましょう。また、過度の飲酒や喫煙は発症の危険因子となりますので、禁
煙や適度な飲酒に努めましょう。
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認知症に早く気づくためにかかりつけ医に相談
~早期診断・早期治療が大切な理由~
認知症は、どうせ治らない病気だから医療機関にいっても仕方がないと思っていませんか?
症状が軽いうち
から準備するこ
とができます。
症状が軽いうちに、ご本人・家族やまわりの人も認知症のことを知り、
病気と向き合い話し合うことで、今後の生活の備えをすることができ
ます。認知症になっても、自分らしい生活をすることは可能です。
治療により改善
する場合があり
ます。
正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫によるものなど、早期発見・早期
治療により改善が可能なものがあります。
進行を遅らせる
ことが可能な場
合もあります。
アルツハイマー型の認知症では、薬で進行を遅らせることができると
言われています。
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高齢者が尊厳を持って、安心して暮らせるための制度があります
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「高齢者虐待防止法」
高齢者の虐待防止と養護者の支援
・「介護が思うようにできない」「経済的に困っている」など、様々な背景や理由から高齢者
虐待が起こります。この法律では、被虐待者だけでなく、虐待者への支援も行われます。
身体的虐待
暴力や体罰によって身体に傷やあざ、痛みを与える行為や、身体を縛り付けた
り、過剰な投薬によって身体の動きを抑制したりする行為をいいます。
心理的虐待
脅し、侮辱などの言葉や態度、無視、嫌がらせなどによって精神的に苦痛を与え
ることをいいます。
介護・世話の放棄、放任
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食事や排泄、入浴、洗濯など身辺の世話や介助をしない、必要な福祉サービス
や医療や教育を受けさせない、などによって生活環境や身体・精神的状態を悪
化させる、または不当に保持しないことをいいます。
性的虐待
本人の合意なく、性的な行為を行ったり、強要したりするような行為をいいます。
経済的虐待
本人の同意なしに財産や年金、賃金を使ったり勝手に運用したりして、本人が希
望する金銭の使用を理由なく制限することをいいます。
「成年後見制度」
判断能力が十分でない方の財産や権利を守る制度
・認知症などによって、自分で財産の管理やさまざまな手続きなどが行えなくなったと
き、本人の権利を守る成年後見人等による支援を受ける事ができます。
任意後見制度
判断能力があるうちに、将来に備えて代理人(任意後見人)を決め、
財産の管理や療養看護などの代理について、契約をしておくことがで
きます。契約は公証人の立会いのもと公正証書で結ばれます。
法定後見制度
判断能力が不十分になってから、家庭裁判所により代理人(成年後
見人等)が選ばれ、判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の 3 つの
類型に分けて支援を受けることができます。
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「日常生活自立支援事業」
福祉サービスの利用や金銭管理などの支援
・日常生活を送る上で、十分な判断ができない方や、体の自由が利かない方が、福祉
サービスの利用の援助、金銭管理などの支援を受けることができます。
福祉サービス利用援助
財産管理サービス
財産保全サービス
福祉サービスについての情報提供や利用の手続きの支援など
が受けられます。
医療費、税金、公共料金等の支払いや、生活に必要なお金の
通帳からの出し入れなどの支援が受けられます。
年金証書や預貯金通帳、実印や銀行印など大切な書類や印
鑑などの預かりが受けられます。
・高齢者の権利擁護に関するご相談、お問合せは、各市町村の地域包括支援センターまで
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「地域包括支援センター」が介護予防の拠点です
リーダー的な
ケアマネジャー
高齢者が住み慣れた地域で、その人らしい生活を
(主任ケアマネジャー)
送るためには、介護保険、介護予防サービスを
はじめ、福祉、医療、権利擁護などさまざまな
支援が、包括的・継続的に提供される
必要があります。そこで、高齢者の
生活を支える総合相談機関として、
保健師
(または経験豊富な
看護師)
社会福祉士
また介護予防マネジメントの拠点として、
地域包括支援センターが設置されています。
専門職が連携して
対処します
お気軽にご相談ください。
地域包括支援センターの主な役割
介護予防の
ケアマネジメント
介護予防対象者の介護予防ケアプランの策定、
評価などを行います。
地域支援の総合相談
権利擁護、虐待の
早期発見・防止
ケアマネジメント支援
介護保険だけではなく、さまざまな制度や地域資源との連携による、
制度横断的な支援を行います。
高齢者の人権や財産を守る権利擁護事業の拠点として、
成年後見制度の活用促進や虐待の早期発見・防止を進めます。
包括的・継続的なケアマネジメントが行われるよう、
地域のケアマネジャーの後方支援を行います。
お問い合わせ・ご相談は
お近くの地域包括支援センターへ
介護予防は、元気なうちから継続的に取り組
んでいく必要があります。元気な高齢者を対
象にした市区町村のプログラムや介護予防教
室などもあります。地域包括支援センターや
市区町村の窓口に問い合わせて、積極的に
参加してみましょう。
発行/一般社団法人 日本介護支援専門員協会
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町 1-11 金子ビル 2 階
電話:03-3518-0777 FAX:03-3518-0778
この冊子は生活協同組合連合会の 2014 年度助成金を受けて作成しています。
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