重要文化財「東京府・東京市行政文書」保存修理事業に係る業務仕様書

東京都公文書館
平成 27 年 4 月 20 日
重要文化財「東京府・東京市行政文書」保存修理事業に係る
業務仕様書
１事業の趣旨・目的
本文化財は、慶応 4 年（1868）開設の東京府及び明治 22 年（1889）開設の東京市及び関
係機関にて授受・作成・保管されてきた近代行政文書群であり、昭和 18 年（1943）の東京
都制成立以前の文書を対象とする一括資料として 33,807 点を数える。
これらの中には虫損、擦れによる劣化、絵図の折目の損傷、綴じ込まれた図面の破損など
が見受けられ、優先順位をつけた計画的な保存修理措置が必要となる。
この史料群のうち大型の絵図で損傷の甚だしい「明治 5～6 年東京実測図」
（18 鋪）につ
いてはさらなる劣化の危険が認められるため、最優先で保存修理を実施する。
○「明治 5～6 年東京実測図」
（18 鋪の内 2 鋪）
明治 5 年（1872）
、6 年（1873）頃の東京都心部を描いた非常に詳細な実測地図である。
市街地の改正のため行政利用目的で作成されたもので、道路・水路・河岸地・橋梁などが
正確に描きこまれている。
最大、縦 274 ㎝、横 354 ㎝を数える大型図であるが、虫損の他、折損が見られるため、
緊急に保存修理を行う必要がある。
本事業では、平成 27 年度に全 18 鋪の内 2 鋪について本紙欠失箇所の補填、折損修繕に
よる保存修理を行う。また他の 16 鋪についても順次修理を実施する予定であり、これに関
する詳細な長期的修理計画を作成する。
（本事業の最終年度は平成 31 年度の予定である。）
なお、修理後は、適切な養生期間をおいた上で、公開活用に供する供する予定である。
２事業概要
（１）文化財の内容及び現況
文化財種別：重要文化財（美術工芸品〈歴史資料〉）
指定年月日：平成 26 年 8 月 21 日
文化財名称：
「東京府・東京市行政文書」
員
数：33,807 点
所有者：東京都
所在地：東京都世田谷区玉川一丁目 20 番 1 号東京都公文書館
修理対象：「明治 5～6 年東京実測図」（18 鋪の内 2 鋪）
(別添リスト参照)
（２）実施期間
平成 27 年 10 月 1 日から平成 28 年 3 月 31 日まで
（３）業務の内容
重要文化財（歴史資料）
「東京府・東京市行政文書」の中から「明治 5～6 年東京実測図」
（18 鋪）のうち 2 鋪の保存修理を行う。
また、残りの 16 鋪について詳細な長期的修理計画を企画・立案する。
修理は、以下のとおりとする。
①本紙修理
・剥落止め
・クリーニング
・補紙・補強
など
②収納
・中性紙による保存箱の新調
③記録
・修理後は、当該資料の公開に供するため、デジタル写真撮影を行う。
（４）修理報告
本事業は、重要文化財（建造物・美術工芸品）保存修理・防災事業に申請予定であり、
「文化庁文化財補助金交付規則」第 5 条、及び「文化財保存事業費関係補助金交付要綱」第
9 条に基づき、修理報告書を 5 部作成する。
報告書の内容は、修理前の現況（法量、形状、損傷状態）
、修理方針、修理・施行の内容、
現状変更の内容、修理前後の比較、用いた修理材料等、その他参考資料を記載し、図面（修
理箇所などできるだけ詳しく）
、写真（修理前、修理工程、修理後、判明したもの）などを
添付して編集する。
また、
「明治 5～6 年東京実測図」中で平成 27 年度に修理を施さない 16 鋪についての長
期的な修理計画を記載する。
報告書の体裁はＡ４判、縦型、本文横書きとする。また、報告書のデジタルデータを保
存したＤＶＤもあわせて提出すること。
３本事業の範囲
（１）事業実施計画の企画・立案
（２）事業実施業務（状況に応じた調査の実施を含む）
（３）事業の詳細な報告書等の作成
（４）
「明治 5～6 年東京実測図」修理対象外の 16 鋪についての長期的修理計画の企画・立案
（５）その他事業実施に必要な業務
４著作権、成果物の取り扱い
（１）本事業の実施にあたり発生した著作権、成果物については、原則として東京都に帰属する
ものとする。
（２）本事業の実施にあたっては著作権、成果物等の保護に十分配慮するものとする。
５修理報告書の納入期限・場所
（１）納入期限
平成 28 年 3 月 31 日
（２）納入場所
東京都世田谷区玉川一丁目 20 番１号東京都公文書館
６工事事務
（１）補助事業運営の基準
本修理事業は、重要文化財（建造物・美術工芸品）保存修理・防災事業への申請を予定し
ており、文化財保護法、文化財保護法施行令、文化庁文化財補助金交付規則、文化財保存事
業費関係補助金交付要綱を参照して、年度毎に事業を運営する。
施工に当たっては、東京都の指示を受けること。また、上記事業の補助金交付決定後は文
化庁の指示も受けること。
なお、完了時には完了確認を受けることとする。
（２）現状変更
旧規の判明したもの又はその他の理由により現状の変更を行おうとする場合は、所定の様
式により要旨、説明図面、写真その他の資料を添付し、東京都に申請し許可を得て実施する。
（３）設計変更
現状変更、仕様の変更その他の理由により経費の増減を生じ、設計変更の必要が生じた場
合は、東京都に申請し、許可を得て実施する。
（４）竣工
修理完成後すみやかに清算書、実施仕様書、図面、写真その他必要な資料とともに修理報
告書を東京都に提出する。
７その他
（１）契約締結に際し、東京都はその修理設計書の内容の一部について必要に応じて修正するこ
とができる。
（２）原則として提出された書類等は一切返却しない。なお、返却を必要とする書類があれば事
前に申し出ること。
（３）提出した報告書または当該修理工事について、即時説明のできる体制を整えておくこと。
（４）当事業のすべてを下請負することはできない。当該事業の一部を下請負する場合、下請負
先との明確な責任と役割を示すことができ、適切に遂行できる企業等を選定すること。
（５）本修理契約は「明治 5～6 年東京実測図」18 鋪のうち 2 鋪の修理についてであり、長期的
修理計画の対象となる他の 16 鋪の修理契約を約束するものではない。
（６）仕様書に定めのない事項がある場合、または疑義が生じた場合には、東京都及び文化庁の
指示に従うこと。
８修理費用区分
費目
支出対象
作業に係る人件費
(1)人件費
記入例
基準
＠単価×人数×回数× ・請負団体の規定等による
時間数・日数
事業への協力者の会議出席に役割毎に記載
(2)諸謝金
・会議出席謝金については、１
対する謝金、報告書等の原稿＠単価×人数×回数× 回出席につき12,500円程度
の執筆等に対する謝金
時間数
・原稿執筆謝金については、40
0字あたり2,000円程度
事業への協力者の会議出席及事項毎に記載
(3)旅費
・運賃実費（日当、宿泊費等相
び実地調査等に要する旅費等旅費（交通費）の計× 当分を含めることができる）
人数×回数×日数
会議等を開催する際の会場の＠単価×数量×回数・・実費
(4)借料
借用に要する経費、調査に使日数・時間
用する器具、機械等の借用に
要する経費等
(5)消耗品費
事務用品（用紙、封筒、文＠単価×数量
・実費
房具等）の購入に要する経
費等
(6)会議費
会議を開催する場合のお茶＠単価×数量
・会議１回につき１人150円程
代等（酒類及び宴会等の誤
度（食事を含む場合は2,000円程
解を受ける形態のものにつ
度）
いては、所要経費としては
認めない）
(7)通信運搬費
郵便料、宅配便に要する経＠単価×数量
・実費
費等
(8)雑役務費
外部の団体に依頼して行う内容毎に記載
・実費
請負業務に係る経費等（外＠単価×数量・人数（
の費目に係る経費を除く） ×日数・回数・時間）
(9)下請負費
本事業の目的となる行為の請負事項毎に所要額を・実費
一部で、外部の団体に依頼記載
して行う業務に係る経費等
(10)一般管理費
・(1)~(8)の合計金額の10％を上
限とする
（団体内規が10％より
も低い場合はそれに従う）
合
計
年代
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
（Ｍ5-6）
通番
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
寸法：下記のとおり
ZH-618
ZH-617
ZH-616
ZH-615
ZH-614
ZH-613
ZH-612
ZH-611
ZH-610
ZH-609
ZH-608
ZH-607
ZH-606
ZH-605
ZH-604
ZH-603
ZH-602
ZH-601
東京都公文書館
請求番号
東京第五大区四小区ノ図　十八第五十九号
東京第四大区二小区ノ図　十七第四十七号
東京第三大区四小区西部　十六　第三十六号西部乙
東京第三大区三小区東部　十五　第三十五号
東京第二大区二小区東部　十四　第二十号　東京第二大区一小区東部　十三　第十九号甲
東京第一大区十六小区ノ図　十二　第十八号
東京第一大区十三小区ノ図　十一
東京第一大区十小区南部　十　第十二号甲
東京第一大区十小区北部　九　第十二号乙
東京第一大区十小区石川島ノ図　八　第十二号丙
東京第一大区八九小区ノ図　七
東京第一大区六七小区ノ図　六
東京第一大区五小区ノ図　五
東京第一大区三小区ノ図　四
東京第一大区二小区ノ図　三　第六号
西丸下ノ図　二
皇城代官町ノ図　一　第四号
史料名
177×245
205×338
197×230
274×356
224×288
235×248
185×325
218×332
255×281
235×315
157×198
155×346
203×342
204×240
212×353
165×213
179×251
191×188
寸法(ｃｍ）
平成２７年度
平成２７年度
備考（修理予定年度）
形状：本紙（小判薄楮紙を継いだもの）、裏打ち(肌裏・増裏・総裏）あり、全面雲母塗布（雲母塗布なし３点）、地図畳み（畳上がり寸法約37.5cm×25.5cm）
品質：紙本著色
名称：「明治５～６年　東京実測図」　員数：１８鋪
重要文化財「東京府・東京市行政文書」修理予定物件リスト

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