動き出す再生医療ビジネス

マーケットウィークリー・824号
産業ニュース
2015.4.17
動き出す水素関連ビジネス
作成者:兵藤三郎
水素インフラ産業
市場規模は2050年
に160兆円へ拡大
4月6日、東芝(6502)は水素インフラ事業説明会を開催した。同事業における
ビジネスモデル、研究開発拠点の開設を発表した。水素の製造から貯蔵・運搬、
発電等での利活用まで一貫したシステムを構築し、現在200億円程度の水素関連売
上高を21.3期には1,000億円規模に拡大させる方針を示した。同社はNANDフラ
ッシュを中心とした半導体と原子力に強みを持つ電力インフラ事業が中核事業。
現在第3の事業としてライフサイエンス事業に注力中。今後拡大が見込める水素関
連事業への注力は、東芝の新たな事業拡大戦略を示したものとして好感されよう。
日本エネルギー経済研究所が示した世界の水素・燃料電池関連機器・インフラ産
業の市場規模は2030年に40兆円、2050年には160兆円への拡大を予想している。
水素は扱いにく
く、燃料用途の活
用は進んでいない
水素は燃焼時、二酸化炭素を発生させないため、クリーンなエネルギー源とし
て注目されていた。質量当たりのエネルギー密度も高く、地球上に豊富に存在す
る元素である。しかし、水素は通常2つの水素原子が結合した分子状態および水な
ど化合物の状態で存在する。燃料となる水素分子は非常に軽く拡散しやすいため、
大気中にはほとんど存在しない。燃焼・爆発しやすい特性もあり扱いにくく、一
般での燃料用途への活用は進んでいなかった。
「MIRAI」販
売開始で、改めて
注目を集める
昨年、トヨタ(7203)が燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」の販売を開
始、燃料としての水素が改めて注目を集めた。水素ステーションなどインフラ整
備が前提ではあるが、エコカー減税対象等の基準が高まる中、燃料電池自動車へ
の需要は高まってくると考えられる。前出の市場拡大予想のけん引役でもある。
水素ステーション関連銘柄では、運営を手掛けるJX(5020)、蓄圧機の日製鋼
(5631)、センサー等の新コスモス(6824)、輸送・運搬を手掛ける川重(7012)、
千代建(6366)などがあげられる。
地球規模のエネル
ギー供給網の構築
も可能
今回東芝が発表した水素インフラ事業モデルは、1社が水素の製造から貯蓄・運
搬、利用まで一貫したソリューションを提供することに注目したい。同モデルで
は発電等に利用することで離島などでの電力自給自足を可能とする。緊急時の非
常用電源などにも活用でき、企業のBCP(事業継続計画)策定としても有用と
なろう。貯蔵できない電力を水素に変換することで大容量の電力貯蔵システムも
構築できよう。再生可能エネルギー導入時の課題解決にもつながる。将来的には
海外での余剰電力を水素に変換し、電力の需要地へ運ぶなど地球規模のエネルギ
ー供給網の構築が可能となろう。
◇株価とコメント
コード
銘柄
JX
5020
日製鋼
5631
千代建
6366
東芝
6502
トヨタ
7203
岩谷産
8088
(単位:円、倍)
株価
487.4
523
1,030
484.8
8,248
815
PER
19.8
17.1
12.2
46.6
(注)株価は4月13日終値、PERは15.3期推定
コメント
商用水素ステーションを展開、国内で水素製造も検討
水素ステーション向け高容量鋼製畜圧器の製造
水素を常温常圧で液体にして輸送可能な技術を開発
製造から利用まで一貫した水素ソリューションを提供
水素を燃料とする自動車「MIRAI」を開発
水素製造販売を手掛ける、水素ステーションの展開も計画