平成26年度3学期終業式 式辞

平成26年度3学期終業式
式辞
校長
中村
勝年
今日はいよいよ1年を締めくくる3学期の終業式の日となりました。2年生は4月には
3年生となり、進路を決定する最終学年を迎えます。1年生は2学年という中核の学年と
して、勉強、部活、クラスなどでの活躍が期待されます。
進路や勉強、部活などで悩みを抱えたあなたがたに、気持ちを強く持って、これらに打
ち勝つ「心の力」を得るために、今日は、「ポジティブ心理学」についてのお話をします。
これは21世紀になってハーバード大学などで研究され、発展している心理学です。
ポジティブというのは前向きとか積極的という意味です。自分自身の考え方をポジティ
ブにすることにより、勉強や仕事における能力を上昇させ、ストレスや不安を消し去るこ
とができると言われています。
「ポジティブ」の逆は「ネガティブ」で、後ろ向きとか、消極的であるという意味にな
ります。
今日は、
「ポジティブ心理学」で、自分をポジティブにするために、効果があると言われ
ている四つの具体例を紹介します。皆さんは、ぜひともこれらの方法を身に付けてくださ
い。
第一の方法は、学校や生活の中に起きたいいことを、毎日、三つリストアップするとい
うことです。たとえば、友達と楽しい話ができたでもいいですし、人から援助してもらっ
て嬉しかったことでもいいですし、何でもいいです。それを、毎日、紙に書く。それを習
慣化するために、寝る前とか、家に帰った時と
か、時刻を決めておいた方がいいでしょう。
これはお馴染みの人間の脳の図です。ネガテ
ィブなことだけが脳の中にあると、ネガティブ
なことがどんどん膨らんで、脳の中がネガティ
ブなことで一杯になります。
では、脳からネガティブなことを追い出すに
はどうしたらよいでしょうか。
ネガティブなことを考えないというのも一つの方法です。他に、ポジティブなことを思
い浮かべ、ネガティブなことを追い出すことです。人間の脳の中に収容できる数には限り
があるので、後ろ向きすなわちネガティブなことが脳の中にあったとしても、ポジティブ
なことを思い浮かべると、ネガティブなことは脳の外に押し出されてしまいます。
このように、
「三つのよいこと」を書きだした人たちは、しなかった人たちよりも、幸福
度が高く、落ち込む回数が少ないことが確かめられています。
第二の方法です。悪いことが起こっても、自分は不運とは思わず、幸運だと思うことで
す。
たとえば、あなたが転倒して足を擦りむいたとしましょう。このとき、自分はみじめで
不運だと思ってはいけません。考え方を変え、骨を折らなくてよかった、この程度ですん
でよかったと考えるのです。
第三の方法です。何かの理由で、ひどく落ち込んでいる状況から、立ち直る方法です。
第一の段階は、自分の気持ちを言葉で表現することです。たとえば、気持ちを日記に書
くこと、信頼できる人に話すことです。自分の気持ちを言葉で表現すると、ネガティブ感
情が静まって、自分の気分も改善され、物事を決める力も高まってきます。
第二の段階は、解決できることとできないことを分けて、できることからやっていくと
いうことです。
状況全体のうち、どの部分が自分で解決でき、どの部分ができないのかを分けます。自
分ができることをリストアップし、その中ですぐできそうなものに集中して取り組みます。
それができたら次にできそうなものに取り組み、少しずつ範囲を広げます。
このように、小さな成功を積み重ねて、それがやがて大きな成功につながります。
第四の方法です。危機に遭遇したときに、人と互いに手を離さないということです。
自分に危機が訪れたときに、どうしても人と手を離してしまいます。つまり、人とコミ
ュニケーションをとらずに、自分で考え込んでしまいます。危機の時こそ、手をつないで
ください。周りの人に助けを求めてください。それが危機を切り抜ける唯一の道です。
人とつながっているという感覚を持つことは、挫折からも早く立ち直り、幸福感を増す
と言われています。
これら紹介した四つの方法以外にも、他に、運動するとか、人に親切にする、自分の強
みを伸ばす、人に感謝をするなどがありますが、皆さんには、これら四つの方法をまず、
実践してみてください。
復習しますと、一つ目は「毎日、三ついいこと
をリストアップする」、二つ目は「自分は不運と
は思わず、幸運と思うこと」、三つ目は、
「悩みを
言葉で表現し、解決できることと、できないこと
を分けて、できることからやっていく」、四つ目
は「危機に遭遇したら、人と手を離さない」とい
うことです。
新年度からも、元気で、ポジティブに頑張って
いきましょう。