4. - 日本電気協会Website

添付資料3
平成 14 年度抽出課題
実機試験SWG検討結果について
平成 14 年度に抽出された課題のうち,主に実機を用いて検証等が必要なものについて,検討結果をまと
めた。
目次
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.具体的な検討内容
Ⅲ.検討結果
83
84
Ⅰ.はじめに
実機試験 SWG では燃料電池発電設備を一般家庭に設置する場合の「設備面(燃料電池発電設備)」の基
準及び「運用面」の基準を検討する上で、実機を用いた検討が必要な項目について、
① 試験実施の必要性
② 試験実施方法
(固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備事業 定置用固体高分子形燃料電池システム普及
基盤整備(以下、定置用ミレニアム事業)への試験実施を依頼)
③ 試験により得られたデータの解析と安全性の検証
等について検討した。
なお、本 SWG で検討・実施した各試験方法は基準を検討するためのデータ収集方法であり、燃料電池
コージェネレーションシステムの認証試験方法等を規定しているものでは無い。
Ⅱ.具体的な検討内容
(1)検討項目
①平成 14 年度に抽出された課題(17 件)
②平成 15 年度基準検討 WG で新たに抽出された課題(1 件)
の計 18 件について検討した。
(2)検討ステップ
検討にあたっては、以下のようなステップで行った。
① 検討すべき課題の整理・確認
基準検討 WG で取りまとめられた実機試験 SWG にて検討すべき課題の内容を整理・確認する。
② 取り組み方針の検討
個々の課題について当 SWG での取り組み方針(机上検討、試験実施等)を審議・検討する。
③ 試験方法の検討
実機を用いた試験を実施すべき項目については、それぞれ試験方法を審議・検討する。
④ 試験結果の解析
定置用ミレニアム事業に対して、試験方法を提示してデータ収集を依頼したものについては、そ
の結果について解析し、安全性の検証を実施する。
また、机上検討により既存のデータ等で判断可能なものについては、それらについても安全性の
検証を行う。
なお、収集データのうち、相対値で安全性の検証が可能な項目については、供試体となる燃料電池発電
設備の秘密保持の観点から定格値などを基準とした相対値表記とした。
85
Ⅲ.検討結果
○検討結果のまとめ
検討結果の概要を表1に示す。
表1
検討結果の概要
(※)A:技術基準の見直しが不要な項目、B:技術基準の見直しの可能性が示された項目
NO.
1
検討課題
実機試験
検討結果
技術基準
(括弧内は平成14
見直し
年度検討WG名)
(※)
可燃性ガスの新し 定置用ミレ
改質器バーナへの補助燃料供給がなされない仕様の場合は、改質器バー
B
い検知方法につい ニアム事業 ナの燃焼状態をフレームロッドや火炎温度等で監視することにより、燃料
て(WG1)
で新たに試 電池発電設備からの可燃性ガス漏えいを安全に検知できる可能性が確認
験実施
できた。
改質器バーナへの補助燃料供給がなされる仕様の場合は、上記のような
燃焼状態の監視では異常を検知できない可能性があるので、冒頭の課題の
中でも紹介されている「補助燃料流量」の監視による方法が考えられるの
で可能性の確認が必要である。
2
過圧防止装置の非 定置用ミレ
定格運転状態から封入状態とする異常状態において、封入部の最大圧力
設置について
ニアム事業 が封入部分の設計圧力を超えておらず、特に、1kW級供試体においては、
(WG1)
で新たに試 前記異常状態において、常圧システムとしての最高使用圧力である0.1MPa
験実施
B
を超えないことがわかった。
本試験結果から、今回の1kW級供試体のように、過圧防止装置を動作不
能としても異常時の圧力が0.1MPaを超えない設計が可能であり、このよう
な設計の場合には、過圧防止装置を設置せずとも安全を確保できる可能性
があることがわかった。
なお、5kW級供試体においては異常時の最大圧力が0.1MPaを超えている
が、これは、発電出力の違いによるものではなく、本試験で想定したよう
な異常時には過圧防止装置にて圧力を逃がすことを前提としたシステム
設計によるものであり、一概に大容量のシステムが過圧防止装置の設置省
略に適さないことを示すものではないと考えられる。
3
CO除去器への空気 定置用ミレ
CO除去器への空気供給量を定格の2倍程度まで上昇させても、電池設備
A
過剰混入について ニアム事業 の電圧は安定しており、発電異常は生じなかった。また、CO除去器の温
(WG1)
で新たに試 度が約30℃ほど上昇しているが、設計温度(220℃)以下であり、温度上
験実施
昇が継続する現象もみられなかった。CO除去器への空気供給量が定格時
の2倍以上となる機器を選定する事はコストダウンの観点からも稀である
ことを考慮すると、電池設備等による特別な監視を行うまでもなく、CO
除去器への空気過剰混入による安全性については問題ないと考えられる。
4
セルスタックのク 定置用ミレ
燃料電池セルスタックへの燃料供給ガス量に対して17%程度のクロスリ
ロスリークについ ニアム事業 ークが生じた時点において、セルスタック電圧が約20%低下する結果が得
て(WG1)
で新たに試 られた。また、クロスリーク量の増加にともないセルスタック電圧が低下
験実施
することを確認した。これらの結果から、セルスタック電圧を監視するこ
とにより、クロスリーク量の増加を検知することが可能であることが確認
できた。
また、空気極オフガスの分析結果では水素濃度が0.1%となっていること
86
A
から、リークした水素はほぼ全量が燃焼反応により消費されていると判断
できる。このときのセルスタックの温度上昇幅は約2℃であり、クロスリ
ークが原因となって発生する熱量では火災が発生するレベルには至らな
いことを確認した。
5
不活性ガスパージ 定置用ミレ
レス化について
ニアム事業 が、技術基準適合評価委員会での評価対象と同様あれば、家庭用燃料電池
(WG1)
のデータを 発電設備を小出力発電設備に位置付けた場合においても、不活性ガスパー
活用
6
システム構成や燃料改質装置・燃料電池セルスタックに使用する触媒
適切な設置離隔距 定置用ミレ
A
ジ省略時の安全を確保することができると判断する。
平常運転時及び異常運転時の各部の最高温度は、ガス温水機器等の技術
A
離について(WG1,ニアム事業 上の基準(JIA C 002-99)による温度以下となる事が確認された。
WG3)
のデータを
活用
資料中の表4に示す距離又は製造業者の指定する距離のいずれか大きい
離隔距離にて設置することにより、防火上の安全を保つ事ができる事を確
認できた。
7
直流地絡検出につ 定置用ミレ
いて(WG2)
インバータ非絶縁、セルスタック非接地方式の場合、ZCT を用いた直流
A
ニアム事業 地絡検出による保護により燃料電池発電設備を停止する機能を有すると
で新たに試 共に、燃料電池発電設備用のELBを設置しELB動作時には燃料電池発電設
験実施
備を停止する機能を有する事により安全性の確保が可能である。なお、万
一需要家分電盤等のELBが動作した場合でも燃料電池発電設備を停止す
る機能を有することも必要である。
インバータ絶縁、セルスタック接地方式の場合、接地線を流れる地絡電
流検出やセルスタック電圧の低下により直流地絡を検出し燃料電池発電
設備を停止することで安全を確保できる。
インバータ絶縁、セルスタック非接地方式の場合、地絡による火災、感
電の危険はないため、地絡検出機能は不要である。
8
制御機能を失った 定置用ミレ
半導体素子が制御を失った場合等の制御装置異常の際も、ウォッチドッ
A
場合の安全性につ ニアム事業 グタイマ機能等にて安全を担保できることが確認できた。
いて(WG2)
で新たに試
験実施
9
高温部における安 定置用ミレ
一体型燃料電池発電設備のインバータ制御基板等の温度は、改質器や燃
全性について
ニアム事業 料電池セルスタック等の比較的高温部分の放熱の影響を受け、別置き型に
(WG2)
のデータを 比べると高くなっているものの、適切な放熱方式を選択することにより正
活用
A
常運転が可能な範囲であり、制御基板等に異常を与えるレベルの温度上昇
はないことが確認できた。
10 電磁放射の影響に 定置用ミレ
ついて(WG2)
今回の試験によって、JIS C 1000-4-3に定義されているレベル3(厳しい
A
ニアム事業 電磁放射環境)においても電磁放射による影響を受けないことが確認でき
で新たに試 た。
験実施
11 直流重畳について メーカー試
(WG2)
小出力の燃料電池発電設備においても、現状技術で交流側への直流分流
験結果を活 出を検出できることを確認できた。
用
なお、燃料電池発電設備の導入普及を考慮すると、検出レベルの見直し
が今後の課題の一つである。
87
A
12 結露に対する安全 定置用ミレ
JIS C 0027に従い、厳しさ条件55℃、2サイクルにて試験を実施した結果、
A
性について(WG2)ニアム事業 供試体内部に水滴が確認され、充電部と筐体間の絶縁性能の低下(700 M
で新たに試 Ω→150 MΩ)も認められたが、感電の危険性が発生するレベルではない
験実施
ことが確認できた。
万が一これ以上の絶縁性能の低下が起きた場合、交流部分での結露によ
る絶縁性能低下については、基準検討WGにて検討された交流側の漏電遮
断器設置がなされれば、それにより安全が担保できると思われる。
また、直流部分での結露による絶縁性能低下については、課題NO.7(直
流地絡検出について)で提示されている安全装置(直流地絡検出回路によ
る保護)により安全が担保できると思われる。
13 長期停止時におけ 実機試験不
る安全性の検討
要と判断
通常運用時に関する検討でカバーされると考えられ、長期停止時を想定
A
した実機での検証は必要ない。
(WG3)
14 圧力の影響につい 実機試験不
て(WG1)
要と判断
設置する燃料電池発電設備の最大ガス消費量に応じた適切なガス配管
A
工事を実施することによって、一次側圧力変動は低圧ガス範囲内に納ま
り、安全上の問題は生じないと考えられるので、特に確認試験を行う必要
はないと考えられる。
15 漏洩電流限度につ 定置用ミレ
いて(WG2)
燃料電池コージェネレーションシステムの通常運転状態の漏えい電流
A
ニアム事業 値が1mA程度であり、JETの太陽光インバータの認証基準である「漏えい
で新たに試 電流が5mA以下であること。又は、フィルターの出力端子電圧が5V以下
験実施
であること。」のレベルが担保できることが確認できた。直流発電部分と
燃料配管が電気的に絶縁されている事を考慮すると、漏えい電流による燃
料配管の電食は起こり難い事から、上記基準を満足する事で十分安全性を
担保できると考える。
16 高調波について
(WG2)
定置用ミレ
各相とも分散型電源系統連系技術指針の基準である総合電流歪み率5%、
A
ニアム事業 各次電流歪み率3%以内を満たしていることが確認できた。
で新たに試
験実施
パワーコンディショナ単体試験の結果は、総合電流歪み率3.2%、各次電
流歪み率2.5%であり、燃料電池発電設備としての試験結果と同じ値でない
ことを踏まえると、燃料電池発電設備としての試験により高調波を測定す
ることが望ましい。
17 絶縁性能(絶縁抵抗 定置用ミレ
パワーコンディショナ部分については、太陽光インバータの試験方法と
値)について
ニアム事業 同様に、印加電圧DC500Vによる従来の試験方法が適用できるものの、燃
(WG2)
のデータを 料電池設備部分については、定格電圧が数十V程度であり、供試体によっ
活用
A
てはDC500Vの印加により性能低下が危惧される供試体もあることが明ら
かになった。従って、燃料電池部分の絶縁抵抗測定の際は、定格電圧に応
じて印加電圧を規定するなど、性能低下を起こさないよう柔軟な対応が必
要であると言える。
18 連系開始時の安全 定置用ミレ
性について
現行の燃料電池発電設備の場合において、太陽光発電用インバータの
ニアム事業 JETの認証基準を満足できる事が確認できた。
で新たに試
験実施
88
A
NO.1 可燃性ガスの新しい検知方法について(WG1)
1.課題
基本的に可燃性ガスが漏えいした場合に非常停止するという従来の基準・規定自体には問題はないが、
可燃性ガス漏えい検知の方法として、可燃性ガス漏えいに伴うプロセス内での物質熱収支異常(例:改質
ガス漏えいによる燃料極オフガス熱量減少に起因する改質器温度低下、補助燃料流量増加などの事象)に
よる方法の可能性が提起され、その有効性についての技術的検討が必要とされた。
2.検討内容
(1)試験方法
① ガス漏えい模擬方法
下記、3 箇所にガスサンプリングポートを設置し、可燃性ガスの漏えいを模擬する。
a.原料ガス系統
都市ガスブロワ出口(都市ガス流量計下流)
b.プロセスガス系統 燃料改質装置(改質器、CO 変成器、CO 除去器)出口
c.プロセスガス系統 燃料電池セルスタック出口
燃料電池発電設備
ガスブロワ
燃料電池セルスタック
燃料改質装置
都市ガス
改質反応等
a
排気
b
燃焼反応
c
<漏えい流量の計測>
漏えい流量はニードルバルブで調整し、石鹸膜流量計で読み取ることで計測する。
サンプリングポート
ニードルバルブ
石鹸
膜流
外へ排気
量計
② 試験条件
定格運転状態に到達後 30 分以上経過した後、サンプリングポートを開け、可燃性ガスの漏れを模
擬する。水素の燃焼範囲下限の 1/4 である 1%を踏まえ、模擬漏れ量はパッケージ換気量の 0.25%、
0.50%、0.75%、1.00%に順次設定し、それぞれ一定時間保持することとした。
③ 測定項目
炎検知温度もしくはフレームロッド※注 1 電圧、燃料改質装置各部の温度、流量、圧力、燃料電池セル
スタック電圧について 15 秒周期でデータ収集を行う。また、試験途中にアラーム停止した場合は、ア
ラーム要因等を確認する。
※注 1:『フレームロッド』とは、『炎の整流作用』を利用した「炎検出型」の安全装置。炎が消える
と瞬時にガスを遮断する。原理は、炎に電流を整流する作用があることを利用して、バーナのすぐ側
に電極(フレームロッド)をおいて炎の中を流れる電流を検知する。炎が消えるとその電流が流れな
89
くなり、瞬時にガスの通路の弁を閉じるというものである。
④ 供試体:1kW 級
(2)試験結果
①試験条件
システム供試体のパッケージ換気量は 271 L/min であることから、約 0.7 L/min ずつ漏えい量を上げてい
った。可燃性ガスの漏えいを検知できる可能性のあるデータ項目として、炎検知温度とフレームロッド電
圧を加えた。
②試験結果
a. 原料ガス系統
都市ガスブロワ出口(都市ガス流量計下流)
漏えい量
保持時間
18 分
0.7 L/min
停止原因
失火
0.7 L/min を漏えい開始して 18 分後に失火により異常停止した。
図 1-1 よりフレームロッド電圧と炎検知温度が漏えい開始直後から大きく変化したことがわかる。改質
器におけるオフガス燃焼量が漏えいにより不足したためと考えられる。それに伴い、改質触媒温度にも影
響が出ているが、CO 変成器及び CO 除去器の触媒温度には影響がなかった。図 1-2 より送電端電力、燃料
電池セルスタック電圧及び燃料ガス流量には余り変化がなかったこと、昇圧器出口圧力は下がる傾向にあ
るが異常を検知するほどではなかったこと、がわかる。
原料ガス系
炎検知温度
フレームロッド
700
7
600
6
500
5
400
4
300
3
200
2
100
1
0
16:00
16:10
図 1-1
16:20
16:30
時間
16:40
FW002 ガス瞬時流量 L/min
リーク量
16:50
流量(L/min)
TI012 CO除去器温度 ℃
0
17:00
ガス流量、圧力、電圧(L/mink,kPa,V)
温度(℃)
TI011 CO変成器温度 ℃
漏えい量
VI044 セルスタック電圧 V
WI002 発電電力 kW
リーク量
50
5
40
4
30
3
20
2
10
1
0
16:00
各温度とフレームロッド電圧
b.プロセスガス系統
PI003 昇圧器出圧力 kPa
16:10
図 1-2
16:20
16:30
時間
16:40
16:50
電力、リーク(kW,L/min)
原料ガス系統
TI010 改質器温度 ℃
0
17:00
電力・電圧・ガス流量・圧力
燃料処理器出口
0.75 L/min
保持時間
15 分
1.4 L/min
2.0 L/min
2.9∼3.2 L/min
11 分
11 分
2分
停止原因
失火
図 1-3 より漏えい量の増加とともにフレームロッド電圧の変化が大きくなったこと、炎検知温度と改質
触媒温度も低下したことがわかる。原料ガス系のときと同様、改質器にて燃焼するオフガス量が漏えいに
より不足して火炎が小さくなり、失火を検知したと考えられる。最初の漏えい量増段のときにフレームロ
ッド電圧が大きく下がっているのは、漏えい量を調整するニードルバルブを開けすぎたためである。図 1-4
より送電端電力、燃料電池セルスタック電圧(以下「セルスタック電圧」という。
)及びガス流量には余り
90
変化がなかったこと、昇圧器出口圧力は下がる傾向にあるが異常を検知するほどではなかったことがわか
る。
プロセスガス系 燃料処理器出口
炎検知温度
フレームロッド
700
7
600
6
500
5
400
4
300
3
200
2
100
1
0
11:00
FW002 ガス瞬時流量 L/min
リーク量
流量(L/min)
TI012 CO除去器温度 ℃
11:20
11:30
11:40
11:50
12:0
12:10
リーク量
4
30
3
20
2
10
1
0
11:00
0
0
11:10
各温度とフレームロッド電圧
c.プロセスガス系統
WI002 発電電力 kW
40
11:20
11:30
時間
図 1-3
VI044 セルスタック電圧 V
5
0
11:10
PI003 昇圧器出圧力 kPa
50
ガス流量、圧力、電圧(L/min,kPa,V)
温度(℃)
TI011 CO変成器温度 ℃
電力、リーク量(kW,L/min)
プロセスガス系 燃料処理器出口
TI010 改質器温度 ℃
図 1-4
11:40
時間
11:50
12:00
12:10
電力・電圧・ガス流量・圧力
スタック出口
漏えい量
保持時間
11 分
10 分
0.85 L/min
1.0∼1.2 L/min
停止原因
21 分
2.2 L/min
ニードルバルブ交換のため3分間漏えいを停止
26 分
2.4∼2.7 L/min
改質下流温度異常
図 1-5 より漏えい量の増加とともにフレームロッド電圧の変化が大きくなったこと、炎検知温度と改質
触媒温度も低下したことがわかる。システム停止は改質触媒が所定の温度を下回ったためであり、改質器
に戻るオフガス燃焼量が不足したことが原因と考えられる。また、フレームロッド電圧や炎検知温度から
も、システムの異常が読み取れる。図 1-6 より送電端電力、セルスタック電圧、ガス流量及び昇圧器出口
圧力は、漏えい量の増加に伴い変化があるもののわずかであり、異常を検知するほどではなかったことが
わかる。
プロセスガス系 スタック出口
炎検知温度
フレームロッド
700
7
600
6
500
5
400
4
300
3
200
2
100
1
0
13:30
13:40
13:50
図 1-5
14:00
14:10
14:20
時間
14:30
14:40
14:50
15:00
FW002 ガス瞬時流量 L/min
リーク量
ガス流量、圧力、電圧(L/min,kPa,V)
TI012 CO除去器温度 ℃
流量、電力(L/min,kW)
温度(℃)
TI011 CO変成器温度 ℃
各温度とフレームロッド電圧
WI002 発電電力 kW
リーク量
5
40
4
30
3
20
2
10
1
13:40
13:50
図 1-6
91
VI044 セルスタック電圧 V
50
0
13:30
0
15:10
PI003 昇圧器出圧力 kPa
14:00
14:10
14:20
時間
14:30
14:40
14:50
15:00
電力・電圧・ガス流量・圧力
電力、リーク(kW,L/min)
プロセスガス系 スタック出口
TI010 改質器温度 ℃
0
15:10
3.検討結果
以上の結果から今回試験した 3 箇所からの漏えいは、いずれの場合も燃料電池発電設備の改質器にて燃
焼するオフガス量が漏えいにより不足したことが原因となる異常状態として検知され、
保護停止となった。
換気量の 1%程度の漏えい量で異常を検知していることから、漏えいさせたガスが純水素でも 1%、実際に
漏えいするガスの水素濃度はそれ以下であり、可燃性ガス検知器より先に異常を検知できている。
参考までに図 1-7、図 1-8 に通常運転時の各温度、フレームロッド電圧、送電端電力等を示す。通常運転
の定格出力時のフレームロッド電圧及び炎検知温度は安定しているのに対し、漏えい試験時は明らかに不
安定になった。
今回の供試体のように改質器バーナへの補助燃料供給がなされない仕様の場合は、改質器バーナの燃焼
状態をフレームロッドや火炎温度等で監視することにより、燃料電池発電設備からの可燃性ガス漏えいを
安全に検知できる可能性が確認できた。
改質器バーナへの補助燃料供給がなされる仕様(実際には効率向上の観点から採用される可能性は低い)
の場合は、上記のような燃焼状態の監視では異常を検知できない可能性があるので、冒頭の課題の中でも
紹介されている「補助燃料流量」の監視による方法が考えられるので可能性の確認が必要である。
電力、ガス
温度
TI011 CO変成器温度 ℃
TI012 CO除去器温度 ℃
炎検知温度
FW002 ガス瞬時流量 L/min
フレームロッド
PI003 昇圧器出圧力 kPa
VI044 セルスタック電圧 V
WI002 発電電力 kW
7
70
7
600
6
60
6
500
5
50
5
400
4
40
4
300
3
30
3
200
2
20
2
100
1
10
1
0
9:00
10:00
11:00
12:00
13:00
フレームロッド
700
ガス流量、圧力、電圧(L/min,kPa,V)
温度(℃)
TI010 改質器温度 ℃
0
14:00
0
9:00
10:00
時間
図 1-7
11:00
12:00
13:00
時間
各温度とフレームロッド電圧
図 1-8
92
電力・電圧・ガス流量・圧力
0
14:00
NO.2 過圧防止装置の非設置について(WG1)
1.課題
不活性ガスパージに代わる安全確保手段の一つとして開発されている可燃性ガス封入方式の場合におけ
る過圧防止装置の必要性が議論となった。従来の技術基準においては最高使用圧力 0.1MPa 未満の耐圧部
分にも過圧防止装置の規定があるが、小出力すなわち小保有エネルギーの設備だという観点から、異常時
でも過圧になりえない設計の場合や、過圧の場合に安全に壊れて圧力を逃がすことのできる設計の場合に
は、過圧防止装置の設置対象とせずとも安全を確保できるというものである。本件については、実機デー
タの検証等によるその可能性の検討が必要とされた。
2.検討内容
(1)試験方法
①試験準備
・改質器を含む燃料系統の封入部において、通常運転時に最も圧力が高くなる部位に圧力計を設置する
(既存の供試体には設置済。ただし、以下試験時の封入部最大圧力が計測できる仕様とすること)
。
・当該封入部の過圧防止装置は動作不能な状態とする。
②測定項目及び測定周期
・測定項目;送電端出力、封入部圧力、燃料改質装置各部温度(以上測定周期;15 秒)
封入部の変形、破損の目視確認
異常音、異常臭の確認
③手順
・定格出力到達後 30 分以上経過していることを確認し、10 分後に制御装置の電源を遮断し燃料処理系
統を封入状態とすることにより、最も圧力上昇の起きやすい異常状態を模擬する。
・燃料処理装置温度が低下傾向を示すとともに封入部圧力が低下し、安定した時点でデータ収集を終了
する。
④システム供試体
停止時に燃料処理系統を封入する方式の、1kW 級及び 5kW 級それぞれ1台
(2)試験結果
表 2-1 のとおり、封入部の最大圧力及び試験時の外観異常がないことを確認した。封入部圧力等のパラ
メータ推移は図 2-1 及び図 2-2 参照。
表 2-1 試験結果一覧
試験機器
1kW 級供試体
5kW 級供試体
封入部最大圧力
外観異常
82 kPa
異常音、異臭、損傷なし
142 kPa
異常音、異臭、損傷なし
参考:設計圧力
100 kPa
150 kPa
93
120
封入部圧力
600
CO変成器温度
改質器温度
400
脱硫器温度
200
0
-30
CO除去器温度
0
30
60
90
100
80
60
40
20
0
120 150 180 210
140
800
封入部圧力
改質器温度
600
120
100
80
400
60
CO変成器温度
200
0
-30
脱硫器温度
0
経過時間(min)
図 2-1
160
送電電力
30
60
CO除去器温度
40
20
圧力(kPa)
電力(定格平均値=100)
140
800
燃料処理装置温度(℃)
燃料処理装置温度(℃)
1000
160
送電電力
圧力(kPa)
電力(定格平均値=100)
1000
0
90 120 150 180 210
経過時間(min)
1kW 級供試体パラメータ推移
図 2-2
5kW 級供試体パラメータ推移
3.検討結果
定格運転状態から封入状態とする異常状態において、封入部の最大圧力が封入部分の設計圧力を超えて
おらず、特に、1kW 級供試体においては、前記異常状態において、常圧システムとしての最高使用圧力で
ある 0.1MPa を超えないことがわかった。
本試験結果から、今回の 1kW 級供試体のように、過圧防止装置を動作不能としても異常時の圧力が
0.1MPa を超えない設計が可能であり、このような設計の場合には、過圧防止装置を設置せずとも安全を確
保できる可能性があることがわかった。
なお、5kW 級供試体においては異常時の最大圧力が 0.1MPa を超えているが、これは、発電出力の違い
によるものではなく、本試験で想定したような異常時には過圧防止装置にて圧力を逃がすことを前提とし
たシステム設計によるものであり、一概に大容量のシステムが過圧防止装置の設置省略に適さないことを
示すものではないと考えられる。
94
NO.3 CO 除去器への空気過剰混入について(WG1)
1.課題
CO 除去器への空気過剰混入の場合の挙動については、「平成 12 年度電気施設技術基準機能性適合調査
(電気設備)
」
(
(社)日本電気協会:技術基準適合評価委員会)で既に検討されている。すなわち、CO 除
去器へ空気が過剰混入し CO 除去器の温度が上昇しても、CO 濃度が上昇し燃料電池設備において発電異
常となるため自発的に停止すると報告されているが、家庭用燃料電池発電設備については実機データに基
づく確認が望ましい。
2.検討内容
(1)試験方法
試験実施前の準備として、CO 除去器の空気流量をマニュアルで調整できるような措置を施しておく。
① 燃料電池発電設備を起動し、定格出力に到達し 30 分経過(運転が安定していることを確認)後から
CO 除去器への空気の流量を徐々に増加(5%/min 程度)させ、定格流量の2倍まで増加させる(た
だし、構成機器の供給能力を超えないものとする)。
② それでも異常がない時は、CO 除去器へ供給される空気流量の上限まで、同様の速度で流量を増加させ
る。この間に各パラメータ(システム内部計測項目)を 15 秒周期で測定する。
③ 燃料電池発電設備が緊急停止した場合には、作動した保護機能を確認する。
(2)試験結果
結果を図 3-1 に示す。試験方法に従い、CO 除去器への空気流量を 2 倍まで増加させたが、燃料電池発電
設備は運転を継続した。その状態で1時間放置したが、安定して運転を継続した。次に、試験予定には無
かったが、空気流量を最大にすべく空気流量の設定値(実際にはブロワの回転数設定値)を最大にしたが、
実際の流量は定格流量の 2 倍で頭打ちとなりそれ以上増えることは無かった。
CO除去器温度(℃)
セルスタック電圧相対値(定格値を100とする)
燃料ガス流量相対値( 定格値を10とする)
CO除去器空気ポンプ操作量 (%)
CO除去器空気流量相対値( 定格値を1 とする)
送電端電力(kW)
4
160
空気流量=定常
の2倍で保持
120
3
操作量=100%へ
100
空気増加
操作開始
80
2
60
1
40
20
0
0
0
0.5
1
1.5
時間(hr)
図 3-1
試験結果
95
2
相対値(空気流量)、電力(kW)
温度(℃),相対値(燃料ガス流量、セ
ルスタック電圧),操作量(%)
140
3.検討結果
今回の試験では、CO 除去器への空気供給量を定格の 2 倍程度まで上昇させても、燃料電池セルスタッ
クの電圧は安定しており、発電異常は生じなかった。また、CO 除去器の温度が約 30℃ほど上昇している
が、設計温度(220℃)以下であり、温度上昇が継続する現象もみられなかった。CO 除去器への空気供給
量が定格時の 2 倍以上となる機器を選定する事はコストダウンの観点からも稀であることを考慮すると、
電池設備等による特別な監視を行うまでもなく、CO 除去器への空気過剰混入による安全性については問
題ないと考えられる。
96
NO.4 セルスタックのクロスリークについて(WG1)
1.課題
燃料電池セルスタック(以下「セルスタック」という。)のクロスリークに関する挙動については、
「平
成 12 年度電気施設技術基準機能性適合調査(電気設備)
」
(
(社)日本電気協会:技術基準適合評価委員会)
で既に検討されているが、家庭用燃料電池発電設備については実機データに基づく確認が望ましい。
【ご参考:「平成 12 年度電気施設技術基準機能性適合調査(電気設備)」での検討結果概要】
ガスクロス(※)による水素と酸素の燃焼反応が継続して進行すれば、発電のための電気化学反応が阻
害され電池電圧が低下する。固体高分子形燃料電池は、電池電圧低下を検出し、自動的に停止するシーケ
ンスとなっていることから、万一、ガスクロスが進行した場合であっても、固体高分子膜が全面破壊に至
る前に数セル以下での破損による電圧低下により自動停止する。
※:燃料極のガス又は空気極のガスが他へリークする状態。正式な用語は「クロスリーク」であるが、慣用語として「ガ
スクロス」が用いられることがある。(「JIS C 8801 燃料電池発電用語」より)
2.検討内容
(1)試験方法
①基本事項
a.4セルで構成されるセルスタックを使用する。
b. 1 セルのみ燃料流路の上流側に数mmの穴をあける。
c.燃料ガスは、水素 80%、二酸化炭素 20%の模擬ガスとする。
d.酸化剤ガスは、空気もしくは窒素 79%、酸素 21%の模擬ガスとする。
②測定項目
セルスタック電圧(以下、
「スタック電圧」という。
)、温度、燃料ガス圧力、酸化剤ガス圧力、オ
フガスのガス組成を測定する。
③試験方法
a.定格運転条件でセルスタックを発電させる。
(※必要に応じて、極間差圧(燃料ガス圧力−酸
化剤ガス圧力)を増加させることによりクロスリーク量を増加させる。)
b.保護装置(電圧低下、温度上昇等)が動作するレベルに達した時点で燃料極及び空気極の排
ガスをサンプリング・分析し、データ収集を終了する。
(2)供試体の主な仕様
項目
セルの積層枚数
定格電流
運転温度
定格運転条
件
運転圧力
供給ガス流量
値
4枚
28.8A
75℃
燃料極入口:6.1kPa
空気極入口:5.4kPa
燃料極:1.3L/min
空気極:4.8L/min
97
(3)試験結果
試験結果を図 4-1 に示す。定格運転条件で発電した場合、スタック電圧は定格電圧と比較して約 2%低下
していることを確認した。燃料極出口に取り付けた圧力調整弁にて燃料ガスの圧力を上昇させ、燃料極か
ら空気極へのクロスリーク量を増加させるにしたがい、スタック電圧が低下することを確認した。データ
収集終了直前(定格電圧に対して約 20%の電圧低下時)のクロスリーク量を概算した結果、クロスリーク
量はセルスタックの燃料供給ガス量に対して 17%程度であった。また、データ収集中のセルスタックの温
度上昇幅は約2℃であり、顕著な温度上昇は発生していないことを確認した。
データ収集終了直前のセルスタック・オフガスの組成を表 4-1 に示す。空気極オフガス中の水素濃度は
0.1vol%であることから、空気極側にリークした水素のほぼ全量が触媒酸化反応によって消費されており、
空気極内に水素は滞留しないことを確認した。
105
極間差圧を
増加
105
極間差圧を
増加
100
極間差圧を
増加
100
データ収集終了
95
95
90
90
85
85
80
80
75
75
電圧
温度(℃)
電圧(定格電圧に対する相対値%)
110
70
温度
70
65
0
10
20
図 4-1
表 4-1
30
40
時間(分)
50
60
クロスリーク試験結果
試験終了時のセルスタック・オフガスの組成
濃度(Vol%)
燃料極オフガス
空気極オフガス
水素
酸素
窒素
二酸化炭素
2.2
0.9
0.1
11.6
4.1
92.8
87.2
1.1
3.検討結果
セルスタックへの燃料供給ガス量に対して 17%程度のクロスリークが生じた時点において、スタック電
圧が約 20%低下する結果が得られた。また、クロスリーク量の増加にともないスタック電圧が低下するこ
とを確認した。これらの結果から、スタック電圧を監視することにより、クロスリーク量の増加を検知す
ることが可能であることが確認できた。
また、空気極オフガスの分析結果では水素濃度が 0.1%となっていることから、リークした水素はほぼ全
量が燃焼反応により消費されていると判断できる。このときのセルスタックの温度上昇幅は約 2℃であり、
クロスリークが原因となって発生する熱量では火災が発生するレベルには至らないことを確認した。
98
NO.5 不活性ガスパージレス化について(WG1)
1.課題
燃料電池発電設備停止時に不活性ガスによるパージを省略した場合の安全性については、現状では関連
する規格・規定類がないため、実機データ等による確認が必要である。なお、不活性ガスパージ省略時の
安全性については、既に定置用ミレニアム事業においてデータ収集とその解析が行われており、この検討
結果を利用することで確認できると考える。
【ご参考:「平成 15 年度技術基準適合評価委員会」での検討結果概要】
小規模固体高分子形燃料電池の不活性ガスパージレスに関する挙動については、平成 15 年度の「技術基
準適合評価委員会」((社)日本電気協会)において、定置用ミレニアム事業でのデータ収集結果等を踏ま
えて検討が行われ、既存の技術基準が要求する安全性が確保されているとの結論が出された。
(1)結論
事業用設備である固体高分子形燃料電池について、表 5-1 と同様の仕様である場合には、電技省令第 44
条第 1 項(発電設備の損傷による供給支障の防止)、電技解釈第 45 条第 1 項(燃料電池の保護装置)
、及び
火技省令 35 条(燃料ガスの置換)並びに国の指導(燃料電池停止時には毎回不活性ガスにて燃料ガスを置
換すること)の目的に照らして、これらが求める要件を満足していると判断する。また、常時監視をしな
い発電所の要件に係わる電技省令第 46 条、電技解釈第 51 条の 51-1 表が要求する安全性は確保されている
と判断する。
表 5-1 評価対象
項目
仕様
型式
定格出力
運転圧力
固体高分子形
10kW 未満
100kPa 未満
使用燃料
都市ガス、プロパン、ナフサ、灯油など発熱量が 13kcal/g 以下
の燃料および水素
水蒸気改質方式、オートサーマル方式、部分酸化方式のいずれ
かまたはこれらの組み合わせ。
(純水素を使用する場合を除く)
給湯、暖房等への排熱利用あり。(排熱を温水として回収し貯
湯タンクに蓄えた後に、給湯や暖房等に利用する。)
ただし、原燃料として純水素を使用する場合は排熱を利用しな
いケースがありえる。
改質方式
排熱利用
(2)評価内容
a.停止時の残留エネルギー評価
不活性ガスパージを実施しないことにより、パージ対象部分に残留する燃料ガスの熱エネルギーは
10kW 機で 41.1kcal であり、ガスライター2個以下のレベルである。10kW 未満の PEFC において不活
性ガスパージが行われなかったとしても、残留するエネルギーは、日常的に用いられている機器と比
較して、同等以下であることが確認された。
b.停止時・起動時の PEFC 内部挙動(別紙1ご参照)
(a)停止時、保管停止時
PEFC の停止時の内部挙動(停止直後、膨張過程、放熱過程、拡散過程)を検討した結果、不活性
ガスパージの省略が安全に及ぼす影響はないと判断する。
99
(b)起動時
PEFC の起動時の内部挙動(通常停止後、異常停止後の両ケース)を検討した結果、不活性ガスパ
ージの省略が安全に及ぼす影響はないと判断する。
c.PEFC 内部挙動の運転データによる検証(委員会に提示されたデータの一例を別紙2に示す)
申請者より提示された運転データから、PEFC 内部の異常昇温などは確認されず、停止時の PEFC
内部挙動は、想定したとおりであると考えられる。これより、不活性ガスパージを実施しない場合に
おいても、不活性ガスパージを実施した場合と比較して、安全性を損なうような現象はないと判断す
る。
d.経年劣化に対する評価
原燃料ガス供給弁を遮断した状態で不活性ガスパージを省略した場合、仮に経年劣化による燃料改
質装置の触媒劣化や燃料電池セルスタックのクロスリーク量の増加、燃料電池セルスタックの電極触
媒劣化などが発生したとしても、正常時と同等の安全性を確保することができると判断する。
e.個別仕様に関する安全評価
燃料種別の違いについては、液体燃料である灯油を使用するもの、純水素を直接供給するものにつ
いて検討した。これら2種類の燃料の違いについては都市ガスを用いるシステムと比較して燃料に応
じた構造上の違いが生じるが、特に安全性を損なうような原理、構成などは確認されない。
燃料を改質処理して水素を生成する燃料処理方式には、水蒸気改質方式、オートサーマル方式、部
分酸化方式の3種類があるが、
改質方式の違いによって安全性に影響を及ぼすことはないと判断する。
f.不活性ガスパージ省略時に想定される事象
問題となる事象としては、燃料入口弁の故障、内外部における爆燃気の形成などが抽出されたが、
現状の設備対策によって安全を損なう事象に至ることはないと判断する。
g.性能維持措置実施時の現象説明
PEFC は、性能維持措置の目的で付帯設備が付加されることがあり、これの付加が安全を損なう要
因となるかどうかの評価を行う。
評価要望のあった付帯機能は、蒸気パージ機能、空気パージ機能、都市ガスパージ封じ込め機能、
燃料系統出口遮断による封じ込め機能である。
蒸気パージ機能、空気パージ機能については、不活性ガスパージの代替機能といえるものであり、
付帯しない場合と比較して安全性を損なうことはないと判断する。また、原燃料ガス、改質ガス、燃
焼排ガスについても残留エネルギーレベルから判断して、
安全性を損なうレベルではないと判断する。
出口遮断による封じ込め機能については、内部圧力上昇あるいは圧力低下による設備損傷が懸念されるが、
当然、想定される圧力変化に応じた設備設計がされるものとした場合には、当該機能を付帯しない場合と比
較して安全性を損なうことはないと判断できる。
h.常時監視をしない発電所の施設要件における影響評価
今回の検討対象である PEFC については、その内部挙動メカニズムや可燃性ガスが通ずる部分の燃
料の熱エネルギーなどから評価して、
安全性が懸念されるような事象が発生することは考えられない。
従って電技省令第 46 条(常時監視をしない発電所等の施設)のうち、「燃料電池内の燃料ガスを自動
的に排除する装置を施設すること。
」という規定に対しては、常時監視の有無にかかわらずこれの対象
外とすることができると判断する。
100
2.検討内容
平成 15 年度の技術基準適合評価委員会では、表 5-1 に示す仕様の燃料電池発電設備を事業用電気工作物
として評価し、不活性ガスパージを省略した場合であっても安全性が確保されるとの判断がなされた。家
庭用燃料電池発電設備を小出力発電設備に位置付けた場合において、不活性ガスパージ省略時における安
全性が確保されているかどうかを検討した。
技術基準適合評価委員会にて検討が行われた不活性ガスパージ省略時の安全確保の方法は、いずれも機
器の構造に関するものであり、電気主任技術者による管理は必須事項にはなっていない。また、経年劣化
により各部の触媒性能が低下した場合や固体高分子膜のクロスリーク量が増大した場合であっても、正常
時と同等の安全を確保することができることが確認されている。このことから、家庭用燃料電池発電設備
を小出力発電設備として位置付けた場合であっても、システム構成や燃料改質装置、燃料電池セルスタッ
クに使用する触媒が、技術基準適合評価委員会での評価対象と同様であれば、停止時に不活性ガスパージ
を省略したとしても安全性を確保することができると判断できる。
3.検討結果
システム構成や燃料改質装置・燃料電池セルスタックに使用する触媒が、技術基準適合評価委員会での
評価対象と同様あれば、家庭用燃料電池発電設備を小出力発電設備に位置付けた場合においても、不活性
ガスパージ省略時の安全を確保することができると判断する。
101
No.5 別紙 1
停止時・起動時における固体高分子形燃料電池システムの内部挙動メカニズム
1.停止時、停止保管時
(1)停止直後
•
(図 1.1)原燃料弁を閉じた停止直後は、燃料改質装置・セルスタックからバーナ部ま
では改質ガスが残留し、バーナ部から排気口までは燃焼排気ガスが残留する。
図1.1
CO変成器/
CO除去器
改質器
排気口
セルスタック
バーナ
脱硫器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
(2)膨張過程
•
(図 1.2)改質器等内に残留する水が残熱により蒸発するため系内のガスが排気口の外
に徐々に押し出される。最初に燃焼排気ガスから排出される。
•
(図 1.3)さらに時間が経過すると、燃焼排気ガスに替わって改質ガスが排気口から外
に押し出されていく。徐々に押し出された改質ガスは、排気口の外で空気中に拡散す
る。
•
しかし、この改質ガスが排気口の外に押しだされる現象は、不活性ガスパージを実施
した場合も起きる現象であり、その流出速度は、不活性ガスパージの方が短時間で急
速である。(窒素ガスによりピストン式に押し出されるため)
図1.2
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
バーナ
脱硫器
図1.3
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
バーナ
脱硫器
102
(3)放熱過程Ⅰ
•
燃料改質装置の温度低下に伴い、残留ガスの占める体積が減少し、排気口から徐々に
空気を吸込む。
•
(図 1.4)排気口から徐々に空気が流入する(10kW機で最大 0.4NL/min 程度)こと
により、セルスタック、燃料改質装置のCO除去器等の触媒上で改質ガス中の水素と
空気中の酸素が触媒酸化反応し水が生成される。
•
排気口から徐々に空気が流入及び触媒酸化反応による発熱量はセルスタックやCO除
去器の自己放熱量と比べて小さいこと等から、温度上昇は発生しない。
排気口
図1.4
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
バーナ
脱硫器
(4)放熱過程Ⅱ
•
(図 1.5)系内に流入した空気中の酸素と改質ガス中の水素のみが消費されていくため、
時間の経過とともに系内は空気中の窒素と改質ガス中の二酸化炭素からなる混合気の
濃度が上昇していく。
排気口
図1.5
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
バーナ
脱硫器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
(5)拡散過程(拡散による空気置換)
•
(図 1.6)長期的には系内は空気で置換されることになる。
排気口
図1.6
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
バーナ
脱硫器
103
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
このように、セルスタック内及び燃料改質装置内では触媒上で水素と酸素が触媒酸化反
応するために燃焼は起きない(触媒酸化反応は、炎がないため着火源となることはなく、
燃焼も発生しない)。また、触媒が存在しない場所(配管等)には着火源がないため燃焼は
起きない。
2.再起動時
(1)燃焼部および排気系統のプレパージ
•
再起動時は、燃焼バーナ着火前にバーナに付随するファンまたはブロワ等(システム
フロー図の空気ブロワB1)を作動させ、燃焼バーナの燃焼部および排気系統を空気
で置換、掃気するプレパージを行う。すなわち、起動時は常にプレパージを行うこと
になっており、再起動時も同じである。このように常に燃焼バーナ着火前は、可燃性
ガスの残存しない状態とすることで起動時の安全を確保している。
•
バーナ部に改質ガスが残留した(図 1.2、1.3)状態で再起動を行うことになった場合で
も、事前に空気によるプレパージを行い、改質ガス等の可燃性ガスが存在しない状態
とした後に、バーナを着火し安全を確保している(図 2.1、図 2.2)。
図2.1
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
バーナ
脱硫器
図2.2
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
バーナ
脱硫器
(2)燃料改質装置、セルスタックのプレパージ
1)水蒸気改質方式
•
再起動時、水蒸気改質方式の場合はバーナ着火後に水蒸気によるプレパージを行い、
この工程は、起動時も再起動時も同じである。
•
燃焼バーナが着火した後、徐々に温度が上昇していき改質器の温度が規定温度に達す
ると改質器の上流から水蒸気を導入し、水蒸気パージを実施した後に、水蒸気と共に
原燃料を導入し改質反応を開始させる。このような工程を有しているため水素と酸素
が直接接することがなく安全性を高めている。触媒が充填された反応系に酸素が残留
した状態(図 1.5)で再起動を行うことになった場合でも、改質器温度が規定温度に達
104
した時点で水蒸気パージを実施し(図 2.3)、原燃料が導入され水素主成分の改質ガス
が生成される(図 2.4)。このため、空気中の酸素と改質ガス中の水素が反応系で同時
に存在することはなく常に安全を確保している。
図2.3
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
バーナ
脱硫器
図2.4
CO変成器/
CO除去器
改質器
セルスタック
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
バーナ
脱硫器
2)オートサーマル方式、部分酸化方式
•
燃焼バーナ着火前に燃焼バーナ系及び反応系を同時に空気プレパージする。触媒が充
填された反応系に改質ガス等が残留した状態で再起動を行うことになった場合も空気
パージを行うことになるが、この時空気が上流から供給され残留する改質ガス等を系
外に押出し排出する。この時、空気と改質ガスが接する部分では空気中の酸素と改質
ガス中の水素が接触し触媒上で触媒酸化反応を起こす。しかし、空気は上流から下流
へと連続的に流れているので酸素と水素が接している部分は連続的に移動する(図 2.5
∼2.7)。このため、触媒酸化反応は局所的には発生せず、発熱量が小さいため、触媒の
温度上昇はほとんど発生しない。なお、10kW 機の内部保有エネルギーは燃料改質装置
では 32.7kcal 程度、セルスタックでは 8.4kcal 程度であり、残留する改質ガスが全量燃
焼したとしても、温度上昇は燃料改質装置で 5∼6℃程度、セルスタックで 1∼2℃程度
である。また、触媒酸化反応のため着火源もないため安全性を確保している。
図2.5
CO変成器/
CO除去器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
セルスタック
オフガス処理用
バーナ
改質触媒
改質器
酸化
触媒
脱硫器
起動専用
バーナ
105
図2.6
CO変成器/
CO除去器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(
CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
セルスタック
オフガス処理用
バーナ
改質触媒
改質器
酸化
触媒
脱硫器
起動専用
バーナ
図2.7
CO変成器/
CO除去器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(
CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
セルスタック
オフガス処理用
バーナ
改質触媒
改質器
•
酸化
触媒
脱硫器
起動専用
バーナ
さらに、空気パージの後、起動専用バーナ又は触媒燃焼反応により改質触媒又は酸化
触媒を規定温度まで上昇させた後、水素を発生させる。この規定温度に上昇させるま
での間、燃料が完全燃焼され、いわゆる燃焼排ガスパージ(CO2+H2O+N2)を行
うため、発生した水素と空気が直接混合することがなく、安全性を確保している(図
2.8、2.9)。
図2.8
CO変成器/
CO除去器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(
CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
セルスタック
オフガス処理用
バーナ
改質触媒
改質器
酸化
触媒
脱硫器
起動専用
バーナ
図2.9
CO変成器/
CO 除去器
原燃料ガス(CH4等)
改質ガス(
H2等)
空気
燃焼排気ガス(CO2、N2、O2等)
N2、CO2、O2等の混合気
水蒸気
セルスタック
オフガス処理用
バーナ
改質触媒
改質器
酸化
触媒
脱硫器
起動専用
バーナ
106
3)純水素を原燃料とする場合
•
起動時/再起動時は、空気で満たされたセルスタック内に純水素を導入する場合があ
る。この時、純水素が上流から連続的に供給されセルスタック内の空気を系外に排出
する。水素と空気が接触する部分では水素と空気中の酸素が電極触媒上で触媒酸化反
応を起こすが、水素は上流から連続的に供給されているので触媒酸化反応を起こして
いる部分は連続的に移動する(図 2.10、2.11)。このため触媒酸化反応は局所的には発
生せず、発熱量が小さいため、触媒上での温度上昇はほとんど発生しない。なお、10kW
機の内部保有エネルギーは 21.4kcal 程度であり、残留する未燃ガスが全量燃焼したとし
ても、セルスタックの温度上昇は 3∼4℃程度である。さらに、触媒酸化反応のため着
火源もなく安全性を確保している。
図2.10
原燃料ガス(H4)
空気
セルスタック
図2.11
原燃料ガス(H4)
空気
セルスタック
(3)起動時のインターロック
•
再起動時及び通常の起動時に燃焼バーナのファンやブロワ等に不良が発生し、プレパ
ージができないような故障が生じた場合でも、システムは事前にこれを検知して、プ
レパージの操作が不能な場合には、再起動又は起動できないようになっており、安全
上の問題はない。
107
No.5 別紙 2
固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備事業におけるデータ収集結果
(1)データ収集方法
1)目的
不活性ガスパージを省略した場合の安全性評価を行うための運転データを収集する。
2)測定項目
測定目的
項目
温度変化
脱硫器
改質器
CO 変成器
CO 除去器
セルスタック
排気、換気
パッケージ内温度
燃焼反応等により、可燃性ガスを通ずる部分
の温度が、異常に上昇しないことを確認する
ため。
原燃料昇圧ポンプの出口圧力
燃焼反応等により、可燃性ガスを通ずる部分
の圧力が、異常に上昇しないことを確認する
ため。
窒素ガス流量
燃料ガス流量
窒素パージ量を把握するため
運転停止を判断するため
大気温度
大気圧
湿度(参考)
セルスタック電圧
試験条件を把握するため
圧力変化
流量変化
環境変化
電圧変化
ガス組成
(停止時のみ)
停止時の残存電位の推移を把握するため。
水素、酸素、窒素、メタンの濃度
3)システム状態
不活性ガスパージを実施した場合、省略した場合それぞれにおいて、以下のAからCに示すシステム状
態のデータを収集する。停止動作期間においては可燃性ガス分析を実施する。
A.停止動作期間
発電運転状態から、停止操作により PEFC システムが停止に至るまで。
(停止操作開始 10 分前から1時間後までの間。)
B.停止中期間
停止操作により PEFC システムが停止して、次の起動までの間。
(停止操作開始1時間前から 24 時間後までの間。)
C.再起動期間
24 時間の停止期間に続き、起動操作から発電状態に移行するまで。
(起動操作開始 10 分前から 2 時間後までの間。)
108
AC送電端
出力
停止操作
▼
起動操作
▼
定格出力
時間
A.停止動作期間(停止操作の10分前から1時間後まで)
B.停止中期間(停止操作の1時間前から24時間後まで)
C.再起動期間(
起動操作の10分前から2時間後まで)
システム状態図
4)測定周期および測定回数
期間
測定周期
測定回数
停止動作期間
15秒
1回
停止中期間
60秒
1回
再起動期間
15秒
1回
109
(2)システム供試体仕様
1)共通仕様
項目
仕様
形式
定格出力
燃料・改質系の圧力
固体高分子形
10kW 未満
100kPa 未満
燃料
改質方式
排熱利用
都市ガス
水蒸気改質
あり(温水)
不活性ガスパージ省略の
方式
停止時に燃料弁を遮断する
2)個別仕様
定格
出力
(kW)
ガス保有容積
(L)
燃料改質 セ ル ス
装置
タック
性能維持措置(※2)
燃料改質装置
セルスタック
(※1)
A社
代替ガスパージ→開放
1
3.5
0.5
B社
閉め切り
閉め切り
5
4.5
1.0
(※1)改質装置のガス保有容積:原燃料弁出口から CO 除去器出口までの部分の保有容積(触媒の占有
容積を除く)
(※2)代替ガス:窒素以外のガス(水蒸気、空気、原燃料ガス、改質ガス、燃焼排ガス)
(3)データ収集結果
不活性ガスパージ省略時、性能維持措置(代替ガスによるパージまたは閉め切り)実施時のデータと不
活性ガスパージ実施時のデータを比較することにより、安全性の評価を行った。これら試験データから、
それぞれの停止方法において PEFC 内部の異常昇温などは確認されないことから、不活性ガスパージを省
略した場合および性能維持措置を実施した場合においても、不活性ガスパージを実施した場合と比較して、
安全性を損なうような現象はないと判断できる。
110
111
112
113
114
115
116
ガス分析結果(不活性ガスパージ実施時、性能維持措置を実施した時)
1)ガスサンプリング箇所
改質器出口ポートまたは CO 除去器出口ポートからガスを採取した。
改質器出口ポート
CO除 去 器 出 口 ポ ー ト
電力
貯湯槽
窒素ガス
供給装置
連系用遮断器
制御装置
交流出力
空気
燃料改質装置
V5 NO
V4 NC
熱交換器
冷却器
バーナ
空気
B3
空気極
G1
上水
燃料極
V1 NC×2
改
質
器
CO除去器
原燃料
CO変成器
脱硫器
窒素
ボンベ
インバータ
B2
V2 NO
水処理装置
冷却水タンク
排熱回収装置
V3 NC
電池オフガス
空気
燃料電池
セルスタック
B1
W2
改質用水
W1
改質ガス
原燃料
排気
2)ガス分析結果
●A社製1kW 級 PEFC(ガスサンプリング箇所:CO 除去器出口ポート)
①不活性ガスパージ実施時
ガス採取
停止操作 8 分後
H2 (%)
O2 (%)
N2 (%)
CH4 (%)
CO(%)
0.463
0.000
99.266
0.000
0.000
H2 (%)
O2 (%)
N2 (%)
CH4 (%)
CO(%)
1.980
2.663
94.864
0.000
0.000
②性能維持措置を実施した時
ガス採取
停止操作 8 分後
●B社製5kW 級 PEFC(ガスサンプリング箇所:CO 除去器出口ポート)
①不活性ガスパージ実施時
ガス採取
停止操作 15 分後
H2 (%)
O2 (%)
N2 (%)
CH4 (%)
CO(%)
1.193
3.624
94.451
0.000
0.000
H2 (%)
O2 (%)
N2 (%)
CH4 (%)
CO(%)
29.164
0.756
27.983
1.019
0.000
②性能維持措置を実施した時
ガス採取
停止操作 15 分後
117
NO.6 適切な設置離隔距離について(WG1,WG3)
1.課題
高温の排気や換気、パッケージ表面からの輻射熱による周囲の可燃物温度上昇については、それらの影
響を防ぐ設置離隔距離についての実機検証が定置用ミレニアム事業において実施されており、その結果を
利用することで、確認できると考える(WG1)。
家庭用燃料電池は、一般家屋等の限られた場所に設置されることから、火災予防上支障がないと認める
構造を有していることが必要である。したがって、家庭用燃料電池からの延焼を防止する措置が有効に機
能する事の検証が必要と思われる(WG3)。
2.検討内容
(1)試験方法
燃料電池コージェネレーションシステム各供試体を図 6-1 に示す温度上昇試験装置に、表 6-1 に示す離
隔距離にてそれぞれ設置し、定格運転および燃料処理装置バーナの異常燃焼運転を行い、起動~停止に至
る間の各壁面及びシステム表面温度等を測定、記録する。
木壁
天面
(天井面)
背面
(側面)
側面
(背面)
供試システム
(床面)
(前面)
床面
図 6-1
表 6-1
温度上昇試験装置
温度上昇試験時の測温板からの離隔距離
供試体
離隔距離
(
A
B
C
D
E
F
G
H
1kW 級
1kW 級
1kW 級
1kW 級
1kW 級
1kW 級
5kW 級
1kW 級
天井面 mm
10
10
10
10
10
10
●10
10
背面 mm
10
(30)
10
10
10
10
10
10
側面 mm
●150
10
10
●300
10
●10
10
(15)
正面 mm
(100)
●200
●100
(30)
●100
10
(300)
●300
)内は製造業者の指定する距離
118
(2)試験結果
表 6-2 及び表 6-3 に示すとおり、平常運転時及び異常運転時の各部の最高温度は、ガス温水機器等の技
術上の基準(JIA C 002-99)による温度以下となる事が確認された。
表 6-2
温度上昇結果(平常運転時)
最大温度(℃)
温度測定部位
測温板
100℃以下
(下段は最大温度の面)
操作時に手を触れる部分の表面
60℃以下※1
(つまみ類)
70℃以下※2
操作時に手を触れる恐れのある
140℃以下
部分の外表面
ガス閉止弁(器具栓を含む)本体
85℃以下※3
のガスの通る部分の外表面
点火ユニット(圧電素子を含む)
85℃以下※4
の表面
排気
表 6-3
供試体
基準温度
260℃以下
A
B
C
D
E
F
G
H
48
53
61
40
60
64
57
56
側背
背面
背面
背面
側面
正面
天井
側面
37
49
44
35
52
30
30
36
39
52
54
39
53
31
31
41
50
61
47
32
55
34
34
61
40
55
47
57
59
40
−
67
56
55
110
50
56
42
119
95
温度上昇結果(異常運転時)
最大温度(℃)
温度測定部位
測温板
135℃以下
(下段は最大温度の面)
操作時に手を触れる部分の表面
−
(つまみ類)
操作時に手を触れる恐れのある
−
部分の外表面
ガス閉止弁(器具栓を含む)本体
−
のガスの通る部分の外表面
点火ユニット(圧電素子を含む)
−
の表面
排気
供試体
基準温度
−
A
B
C
D
E
F
G
H
48
46
60
39
59
65
67
55
側面
背面
側面
背面
側面
正面
天井
側面
36
40
42
33
52
32
30
27
38
42
52
37
54
32
31
32
49
55
44
31
54
44
34
53
38
84
44
54
58
40
−
64
54
51
119
50
56
40
121
91
基準温度は、ガス温水機器等の技術上の基準(JIA C 002-99)による
●印は排気口のある面を示す。
※1 金属製、陶磁器製及びガラス製のもの
※2 金属製、陶磁器製及びガラス製以外のもの
※3 又は耐熱試験によってガス通路の気密の項に適合し、かつ、操作に異常のないことが確認された温度以下
※4 又は耐熱試験によって使用上支障のないことが確認された温度以下
119
3.検討結果
表 6-4 に示す距離又は製造業者の指定する距離のいずれか大きい離隔距離にて設置することにより、防
火上の安全を保つ事ができる事を確認できた。
表 6-4 設置離隔距離
離隔距離(mm)
後方
10
側方
10
上方
10
前方
10
ただし、排気口のある面は 300mm とする
120
NO.7 直流地絡検出について(WG2)
1.課題
感電事故、火災事故が生じないようにするため、地絡検出を行い、地絡保護を確実に行う必要がある。
このため、交流側の地絡に関しては漏電遮断器(過電流保護装置付)又は、配線用遮断器とパワーコンデ
ィショナの漏電検出(地絡検出)機能の組合せを行うことが適当である。直流側の地絡に関しては、現状
では規定されておらず、その検出方法は、燃料電池セルスタック(以下「セルスタック」という。)の接地・
非接地により、相違するため実機試験により直流地絡検出の有効性や検出レベル等について詳細検討する
必要がある。
2.検討内容
燃料電池発電設備の場合、インバータ及びセルスタックの接地の有無により、直流地絡発生時の保護方
法は表 7-1 のように分類できる(詳細は別紙 1 参照)。
方式 2 の場合、セルスタック出力回路の片側が接地されることから接地線に計測器を取り付け接地電流
を直接計測することにより検出可能である。もし、接地線を接続していない側に地絡が発生した場合にも
電池電圧低下等により検出可能である。いずれの場合も、単純に電圧/電流を計測し、設定値との比較をす
るという他の燃料電池発電設備でも実績のある保護方法に基づくもので、実機による検証試験を行わなく
ても安全性を確認できると考えられる。
方式 3 の場合、セルスタック電圧(以下「スタック電圧」という。
)は 300V 以下であり、1 箇所の地絡
では地絡電流が生じないため地絡に起因する火災発生の危険性はない。また、筐体が接地されていること
から、感電の危険もない。さらに、万一 2 箇所で地絡が発生した場合でもスタック電圧を検出し停止する
ため、地絡検出機能は不要と考えられる。
そこで、方式 1 について試験を実施し、直流地絡保護の有効性について、詳細検討を行うこととした。
表 7-1
セルスタックの接地方式と直流地絡検出方法
接地方式
直流地絡保護方法
方式 1
インバータ非絶縁、
セルスタック非接地
実機試験に基づき検討。
方式 2
インバータ絶縁、
セルスタック接地
接地線を流れる地絡電流検出や電池電圧の低下により検出し燃料電
池発電設備を停止する。
方式 3
インバータ絶縁、
セルスタック非接地
地絡検出機能は不要。
(1) 試験方法
a.システム供試体:1kW級燃料電池発電設備(インバータ非絶縁、セルスタック非接地)
b.試験装置
試験回路を図 7-1 に示す。直流主回路とアースを接続し、その間に抵抗、スイッチ、電流計を設置
する。測定データはオシロスコープで記録する。
121
燃料電池発電設備
連系遮断器
+
インバータ
セルスタック
−
DC補機、制御機器、
放熱器等
燃料電池発電設備用
ELB
A
スイッチ
可変抵抗
電流計
図 7-1
試験回路
c.試験手順
・定格到達 30 分以上経過後、10mA 程度の地絡電流を流せるようあらかじめ可変抵抗値を設定し、スイ
ッチを閉とする。
・次に、可変抵抗値を 0.1∼1kΩステップで低下させ、地絡電流を徐々に上昇させる。この際、各設定抵
抗値で 10 秒以上保持する。
d.測定項目
オシロスコープにて以下のデータを計測する。
地絡電流、直流電圧、直流電流、交流電流
122
(2)試験結果
試験結果を図 7-2 に示す。84mA の直流地絡電流(直流地絡検出レベル 100mA 以下)が流れたところで、
直流地絡を検出しインバータゲートブロック、連系遮断器を解列、さらに 2 秒後にセルスタック電流(以
下「スタック電流」という。)がゼロとなり発電を停止している。なお、スタック電圧は徐々に低下し最終
的にはゼロとなる。
交流電流〔A〕
スタック電圧相対値(定格値を1とする)
スタック電流相対値(定格値を1とする)
6
1.4
1.2
2
1
0
0.8
-2
0.6
-4
0.4
-6
0.2
0
200
-8
-50
0
50
100
150
時間〔秒〕
(a)試験結果概要
交流電流〔
A〕
地絡電流〔
A〕
スタック電圧相対値(定格値を1とする)
スタック電流相対値(定格値を1とする)
1.2
地絡検出
10
1
0
0.8
-10
0.6
-20
0.4
-30
0.2
84mA
-40
-50
-0.1
0
-0.2
-0.08
-0.06
-0.04
-0.02
0
時間〔
秒〕
0.02
(b)地絡検出時詳細データ
図 7-2 直流地絡試験結果
123
0.04
0.06
0.08
0.1
地絡電流〔A〕、スタック電圧相対値、スタック電流相対値
20
交流電流〔A〕
交流電流〔A〕
4
スタック電圧相対値、スタック電流相対値
セルスタック発電停止
地絡電流
79mAから84mAに増加
なお,本試験実施に先立つ予備試験において、直流地絡電流を 0 から 50mA にステップ状に流す試験を
実施したところ、燃料電池発電設備用の ELB(富士電機製 EG103F、保護レベル 30mA。時限 0.1 秒以内)
が作動し、地絡電流が遮断されるという事象が確認された。ELB が遮断されたため、その 0.1 秒後に系統
電圧異常を検出して、インバータはゲートブロック、連系遮断器を開放し、燃料電池発電設備は待機運転
状態(直流部分での発電を継続)に移行した。予備試験では地絡電流をステップ状に増やす手順で実施し
たため、地絡電流の交流脈動成分等により燃料電池発電設備用 ELB が動作する状況が生じたと推定される。
3.検討結果
本試験結果より ZCT を用いた直流地絡検出機能により、燃料電池発電設備が安全に停止できることが確
認された。また、地絡の発生状況によっては、ELB が動作する可能性がある事も確認された。以上の結果
を踏まえると、燃料電池発電設備の直流地絡発生時の保護については表 7-2 のとおり整理できる。
表 7-2
直流地絡保護についての検討結果
接地方式
直流地絡保護方法
方式 1
インバータ非絶縁、
ZCT を用いた直流地絡検出による保護により燃料電池発電設備を停止す
セルスタック非接地 る機能を有すると共に、燃料電池発電設備用の ELB を設置し ELB動作時に
は燃料電池発電設備を停止する機能を有する事により安全性の確保が可能
である。なお、万一需要家分電盤等の ELB が動作した場合でも燃料電池発
電設備を停止する機能を有することも必要である。
方式 2
インバータ絶縁、
セルスタック接地
インバータ絶縁、
セルスタック非接地
方式 3
接地線を流れる地絡電流検出やスタック電圧の低下により直流地絡を検出
し燃料電池発電設備を停止することで安全を確保できる。
地絡による火災、感電の危険はないため、地絡検出機能は不要である。
124
No.7 別紙 1
方式 1
インバータ非絶縁、セルスタック非接地
燃料電池
セルスタック
遮断器
(解列点)
燃料電池
発電設備用ELB
遮断器
(解列点)
燃料電池
発電設備用ELB
遮断器
(
解列点)
燃料電池
発電設備用ELB
インバータ
地絡検出
方式 2
インバータ絶縁、セルスタック接地
燃料電池
セルスタック
インバータ
絶縁
トランス
地絡検出
方式 3
インバータ絶縁、セルスタック非接地
燃料電池
セルスタック
インバータ
絶縁
トランス
125
NO.8 制御機能を失った場合の安全性について(WG2)
1.課題
人体への危険防止として、感電や火災防止のためには、電子部品の損傷時、制御能力を失ったときの動
作についても考慮する必要があるが、半導体素子が制御を失った場合における燃料電池設備の挙動や燃料
電池コージェネレーションシステム全体としての挙動を実機試験において把握したうえで、燃料電池発電
設備に対応する取り扱いを検討する必要がある。
2.検討内容
(1) 試験方法
家庭用燃料電池保安技術検討会の認証・検査 SWG にて、燃料電池発電設備の保護装置のフェイルセー
フ機能については「制御用のマイコンが、何らかの原因でフリーズした場合の安全対策としては、ウォッ
チドッグタイマ機能によりそれを検知し、緊急停止することによりこれを担保する」と整理されており、
当該機能確認を行うことで、制御装置を失った場合の安全性についての検証を実施する。
①供試体及び試験装置
a.システム供試体:1kW級
b.試験装置:定置用ミレニアム事業の基本性能試験装置及びオシロスコープ
②試験手順
a.機器状態を定格出力後、30 分以上経過し、貯湯槽から出湯している状態とする。
b.ウォッチドッグタイマの出力を停止することにより、制御装置異常を模擬する。
③データ収集項目;燃料電池セルスタック電圧(以下「電池電圧」という。)、
燃料電池セルスタック電流(以下「電池電流」という。)、
燃料改質装置各部温度等(以上 1 秒周期)
ウォッチドッグタイマ出力、補機電源電圧
外観異常、停止状態
④参考;ウォッチドッグタイマの動作概要
ウォッチドッグタイマとは、マイコンが正常かどうかを常に監視するためのタイマである。タイ
マは指定した時間(T)をオーバーするとタイムアップし、安全制御回路をリセットさせる動作
となるため、常に指定された時間以内にマイコンから、タイマ0のクリア命令実行が必要となる。
下図のように常にタイマがタイムアップする前にタイマクリア命令を実行すれば、タイマはリセ
ットされ、カウントが再開される。万一、マイコンに異常が発生すると、マイコンからのクリア
命令実行自体ができなくなるため、タイマはタイムアップし、安全制御回路がリセットされる。
タイマ
スタート
タイマ再
スタート
T
マイコン正常時
タイマクリア命令
T
マイコン異常時
タイマクリア命令
タイムアップによる
ハードリセット
126
(2)試験結果
供試体のマイコン異常時のシーケンスは以下の通りである。
①マイコン異常発生
②マイコンから安全制御回路へのウォッチドッグタイマ出力停止
③安全制御回路からの指令による、補機電源遮断
図 8-1 にオシロスコープにより観察したウォッチドッグタイマ動作を示す。マイコン正常時は、ウォ
ッチドッグタイマ出力が継続され、補機電源が給電されている。タイマ出力が途絶えると、その結果、
安全制御回路により補機電源が遮断されていることが確認できる。
0.64s
ウォッチドッグ
タイマ出力(V)
4
2
0
4
補機電源電圧(V)
2
0
図 8-1 ウォッチドッグタイマ動作
図 8-2 にウォッチドッグタイマ出力停止前後の燃料流量等の推移を示す。ウォッチドッグタイマ出力
停止とともに、燃料流入は遮断され、送電系統は解列し、受電系統へ切替わるものの、燃料電池発電設
備への給電は停止している。
図 8-3 に示している燃料電池内部パラメータ推移を把握するためのデータについては、補機電源が遮
断されることにより、計測装置への信号出力が停止する。停止してから 3 分経過後に制御用電源を含む
補機電源を強制的に再投入することによってデータ収集を再開し、電池電圧等の燃料電池内部パラメー
タ推移を確認したが、異常は見られなかった(図 8-3 参照)
。なお、電源再投入後も補機が動作しないこ
とや、燃料流入がないなど安全に停止した状態が保たれていることも確認できた。
その他、試験中に異常音や異臭の外観異常も確認されなかった。
受電電流
120
(計測装置用電源)
80
80
送電電力
40
送電電流
補機電源復電
40
0
-5 -4 -3 -2 -1 0 1 2
経過時間(min)
図 8-2
3
4
改質器温度
800
電池電流
200
80
電池電圧
400
CO変成器温度
脱硫器温度
40
CO除去器温度
0
-5 -4 -3 -2 -1
5
120
600
0
0
160
0
1
2
3
4
5
経過時間(min)
燃料流量等推移
図 8-3
127
燃料電池内部パラメータ推移
電圧・電流
(定格平均値=100)
燃料流量
出力データ損失
1000
燃料処理装置温度(℃)
120
160
受電電流
(計測最大値=100)
流量・電力
(定格平均値=100)
160
3.検討結果
半導体素子が制御を失った場合等の制御装置異常の際も、ウォッチドッグタイマ機能等にて安全を担保
できることが確認できた。
128
No.8 別紙
定置用ミレニアム事業における「制御装置異常試験による収集データの一例」
(1)試験方法等
① 供試体及び試験装置
a.システム供試体:1kW級
b.試験装置:定置用ミレニアム事業の基本性能試験装置
② 試験手順
a.機器状態を定格出力後、30 分以上経過し、貯湯槽から出湯している状態とする。
b.制御装置への電源供給を遮断することにより、制御装置異常を模擬する。
③ データ収集項目;燃料電池セルスタック電圧(以下「電池電圧」という。)・燃料電池セルスタック
電流(以下「電池電流」という。)、燃料処理装置温度等(以上 1 秒周期)
(2)データ収集結果
1000
120
受電電流計測装置用)
80
80
送電電力
送電電流
40
0
-10
40
電流
(計測最大値=100)
流量・電力
(定格平均値=100)
120
0
0
10
20
30
40
50
800
電池電流
80
改質器温度
400
CO変成器温度
CO除去器温度
200
0
経過時間(min)
図 8-4
120
電池電圧
600
0
-10
60
160
10
20
30
40
脱硫器温度
40
50
0
60
経過時間(min)
燃料流量等推移
図 8-5
129
燃料電池内部パラメータ推移
電圧・電流
(定格平均値=100)
160
燃料流量
燃料処理装置温度(℃)
160
NO.9 高温部における安全性について(WG2)
1.課題
家庭用燃料電池発電設備の構成としては、燃料電池設備部分(燃料電池セルスタックや反応器等)とパ
ワーコンディショナが別置きになったもの及び一体化されたものが存在し、特に一体化されたものに関し
ては燃料電池設備部分の放熱や換気方式の影響によるパッケージ内部温度上昇を考慮しなければならない
ため、実機での運転検証をもとに検討を行う必要がある。
2.検討内容
(1)試験方法
①熱電対を、制御基板周辺、インバータスイッチング素子表面(又は近傍)
、インバータ制御基板周辺、制
御ケーブル表面、改質器表面、燃料電池セルスタック(以下「セルスタック」という。
)表面に取り付け
る。
②燃料電池発電設備を起動し、定格で 3.5 時間以上発電し、停止させる。この間に上記温度を 15 秒周期で
測定する。
③データ収集は表 9-1 に示す、2種類の供試体で行った。
表 9-1 供試体仕様
供試体1(一体型)
定格出力
供試体 2(別置き型)
1kW 級
1kW 級
パワーコンディ
燃料電池設備電部分パッケージに内蔵 パワーコンディショナ別置き
ショナ
放熱方式
換気ファンによる強制対流放熱
パワーコンディショナ部は自然体流放熱
(2)試験結果
各供試体の各部最高温度を表 9-2 に、温度プロファイルを図 9-1、9-2 に示す。供試体1のインバータス
イッチング素子はインバータパッケージの内部にあり、熱電対の取り付けはできなかったがインバータ制
御基板と近い位置にあり、その温度とほぼ等しい(約 50℃)ものと考えられる。
表 9-2
各部の最高温度(単位:℃)
制御基板
インバータ
インバータ
周辺
スイッチング素子
制御基板
(内蔵※1)
表面
周辺
供試体1
(※2)
40
51
(一体型)
供試体2
45
38
37
(別置き型)
※1 燃料電池設備部パッケージに内蔵
※2 物理的に測定不可なため測定値無し。
※3 大気温度は試験中の平均値
制御ケーブル
改質器
セルスタック
大気温度
表面
表面
表面
※3
38
54
41
23
32
74
42
21
インバータスイッチング素子表面とインバータ制御基板周辺、制御ケーブル表面の温度については、別
置き型より一体型の方が大きくなっているが、最高でも 51℃(耐熱設計範囲内)であり、燃料電池の運転
に支障を与えることは無かった。
尚、制御基板周辺の温度は、供試体2の方が大きくなっているが、制御基板は両供試体とも燃料電池設
130
備部分と同一のパッケージ内にあり、改質器表面の温度が高い供試体2の方が放熱の影響をより受けてい
るためと思われる。また、システム停止直後に燃料処理系の温度が若干上昇している傾向が見られるが、
これは改質器バーナ部の保有する熱がより低温の改質器表面に移動するためであり、異常を示すものでは
ない。
3.検討結果
一体型燃料電池発電設備のインバータ制御基板等の温度は、改質器やセルスタック等の比較的高温部分
の放熱の影響を受け、別置き型に比べると高くなっているものの、適切な放熱方式を選択することにより
正常運転が可能な範囲であり、制御基板等に異常を与えるレベルの温度上昇はないことが確認できた。
1kW 級パワーコンディショナ内蔵型
1kW級_インバータ内蔵型
制御基板周辺
セルスタック表面
インバータ制御基板周辺
大気温度
制御ケーブル表面
電気出力発電電力
改質器表面
60
3
温度(℃)
40
2
30
20
1
送電端電力(kW)
50
10
0
0
0
1
図 9-1
2
3
4
時間(h)
5
6
7
各部温度プロファイル(パワーコンディショナ一体型)
1kW 級
パワーコンディショナ別置形
制御基板周辺
インバータスイッチング素子表面
インバータ制御基板周辺
セルスタック表面
改質器表面
制御ケーブル表面
大気温度
電気出力発電電力
80
1
70
温度(℃)
50
0.6
40
0.4
30
20
0.2
10
0
0
0
1
図 9-2
2
3
4
時間(h)
5
6
7
各部温度プロファイル(パワーコンディショナ別置形)
131
送電端電力(kW)
0.8
60
NO.10
電磁放射の影響について(WG2)
1.課題
電子機器が電磁放射によって受ける影響を試験する方法が、JIS C 1000-4-3 に定められている。燃料電池
コージェネレーションシステムについても、違法無線等の電磁放射による不具合が、保安上問題となるの
であれば、何らかの性能を担保する必要がある。
このため、
電磁放射が燃料電池コージェネレーションシステムに与える影響について詳細な検討を行い、
保安上問題となる不具合が発生するのであれば、試験方法、必要な耐力ならびに判断基準を明確にする必
要がある。
2.検討内容
(1)試験方法
a.参照規格
JIS C1000-4-3:電磁両立性 第 4 部試験および測定技術 第 3 節放射無線周波電磁界イミュニティ試験
を参考に、試験方法を以下のように規定した。
b.試験方法
イ.設置状態
燃料電池設備、貯湯システム、パワーコンディショナ(別置きのみ)
、リモコンを最接近(最小メン
テナンススペース)した状態とする。
ロ.意図された動作
①停止状態:外部から制御用の電源が供給され、停止している状態。
②定格運転状態:定格出力後、30 分以上経過し、貯湯槽から出湯している状態。出湯温度、流量は周
波数掃引中、貯湯システム下部温度が 10℃∼25℃を維持するよう調整すること(バ
ックアップボイラや放熱ファンが動作しないこと)。
ハ.試験レベル及び周波数
電界強度:JISC1000-4-3 に規定される以下のとおりとする。
レベル 2(中レベル電磁放射環境:典型的な商業環境) :3 V/m、
レベル 3(厳しい電磁放射環境:典型的な工業環境) :10 V/m、
周波数 :26 MHz∼1000 MHz
ニ.電磁放射の影響確認
①停止状態:周波数掃引中の誤動作等の有無を確認。
また、掃引後に起動し、定格運転への移行を確認。
②定格運転状態:周波数掃引中の誤動作等の有無及び温度、電圧、電流等の安定性を確認。
ホ.データ収集項目及びサンプリング周期
・収集項目:DC 電圧・電流、送電電圧・電流・電力、燃料処理装置温度、出湯温度・流量、
貯湯槽温度、燃料流量、試験室温度・湿度、掃引周波数
・サンプリング周期:1秒
へ.試験手順
①供試体のセットアップ
システム供試体としては、1kW級の4台を選定した。
燃料電池設備、貯湯システム、パワーコンディショナ(別置きのみ)
、リモコンを最接近(最小メン
テナンススペース)した状態に配置する。施工要領書に機器の向きが規定されていない場合は、電磁
放射する面の全幅が最小となるよう配置する。電磁放射する供試装置の面は、JIS C1000-4-3 に準じ、
電界の校正を行った均一領域の面に一致させる(全幅、全高における電界強度を記録)
。パワーコンデ
ィショナ及びリモコンも4面とも均一領域の面に一致させるよう配置する。
132
燃料電池設備、貯湯システムは非導電性の架台上に、パワーコンディショナ、リモコンは非導電性
の支持台に取り付ける。機器間の配線や機器外との配線は、電磁界にさらす長さを 1 m以上とする( 3
m以下に規定している場合は、規定の長さを電磁界にさらす)
。余剰の配線は影響を受けないような処
置を講じる。
注)・データ計測用の配線は影響を受けないような処置を講じる。
・機器間の配管:機器を回転させるため、過撓性や耐熱性を考慮する。
・通常の設置状態を模擬するため、出温流量及び温度計は電磁放射の影響を受けない場所に設置す
る。
横向きにしない
背面放射
パワーコンディショナ
リモコン
燃料
貯湯
システム
燃料
電池
貯湯
電池
設備
システム
設備
電磁放射面(均一領域)
正面放射(正面は製造者規定)
左側面放射
燃料
燃料
貯湯
電池
システム
設備
貯湯
電池
システム
設備
右側面放射
〇部が電界強度測定部
図 10-1
機器配置例
電界発生アンテナ
貯湯システム
燃料電池設備
写真 10-1
133
機器配置状況
②タイムチャート
表 10-1
タイムチャート
ON
(定格運転状態)
機器動作 OFF
1日目
OFF
電磁放射 調整 正面(3V/m)
正面(3V/m)正面(10V/m)
影響確認
誤動作・安定性確認
誤動作・定格運転移行確認
ON
2日目
ON
機器動作 OFF
OFF
電磁放射 正面(10V/m)
左側面調整
(定格運転状態)
OFF
影響確認 誤動作・定格運転移行確認
左側面(3V/m)
左側面(3V/m)
左側面(10V/m)
誤動作・定格運転移行確認
誤動作・安定性確認
以降、同様に右側面、背面について実施する。
(2)試験結果
システム供試体 4 台の結果を表 10-2 に示すが、各供試体とも、何れの条件下でも電磁放射による不
具合は確認されなかった。参考までに各供試体の電界強度 10 V/m、正面放射時のパラメータ推移を別
紙に示した。
表 10-2
結果一覧
供試体
電界強度
3V/m
10V/m
*1
*2
放射面
A
B
C
D
停止中
定格運転
停止中
定格運転
停止中
定格運転
停止中
定格運転
正面
○
○
○
○
○
○
○
○
左側面
右側面
背面
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
正面
左側面
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
右側面
○
○
○
背面
○
○
○
停止中の結果には定格運転への移行確認も含む
○印:通常運転
×:誤動作
3.検討結果
今回の試験によって、JIS C 1000-4-3 に定義されているレベル 3(厳しい電磁放射環境)においても電磁
放射による影響を受けないことが確認できた。
134
別紙
NO.10
データ収集一例(電界強度 10V/m:正面)
1.供試体A
80
40
送電電力
0
-30
0
30
60
90
120 150
40
0
180
60
80
出湯温度
20
0
-10
0
0
10
20
経過時間(min)
電池電圧
改質器温度
600
CO変成器温
度
CO除去器温度
400
120
電池電流
80
40
200
脱硫器温度
0
-30
0
30
60
0
120 150 180
90
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
800
160
800
120
電池電圧・電流
600
400
200
改質器温度
80
CO変成器温度
CO除去器温度
0
-10
経過時間(min)
30
掃引周波数
1000
160
電圧・電流
(定格平均値=100)
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
掃引周波数
40
40
経過時間(min)
1000
80
燃料流量
温度(℃)
受電電流
80
120
40
脱硫器温度
0
10
20
経過時間(min)
停止状態(定格運転への移行含む)
電圧・電流
(定格平均値=100)
燃料流量 120
100
送電電力
流量・電力
(定格平均値=100)
120
周波数掃引区間
160
160
受電電流
(計測最大値=100)
流量・電力
(定格平均値=100)
160 周波数掃引区間
0
30
定格運転状態
2.供試体B
160
120
受電電流
80
80
40
0
-30
40
0
30
60
90
120
0
150
60
80
40
20
0
-10
120
改質器温度
CO変成器温度
80
400
電池電流
200
0
-30
CO除去器温度
40
脱硫器温度
0
30
60
90
120
0
150
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
160
電池電圧
電圧・電流
(定格平均値=100)
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
600
40
出湯温度
0
0
10
20
30
経過時間(min)
掃引周波数
800
80
燃料流量
120
経過時間(min)
1000
100
送電電力
掃引周波数
1000
800
改質器温度
120
CO変成器温度
80
200 CO除去器温度
40
600
400
0
-10
経過時間(min)
停止状態(定格運転への移行含む)
160
電池電圧・電流
脱硫器温度
0
10
20
経過時間(min)
30
定格運転状態
135
0
電圧・電流
(定格平均=100)
120
燃料流量
周波数掃引区間
160
流量・電力
(定格平均=100)
送電電力
温度(℃)
周波数掃引区間
受電電流
(計測最大値=100)
流量・電力
(定格平均値=100)
160
3.供試体C
120
受電電流
80
80
燃料流量
40
0
-30
0
30
60
90
40
0
150
120
60
電池電流
40
CO変成器温度
脱硫器温度
0
30
60
90
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
120
80
CO除去器温度
0
-30
40
出湯温度
40
20
0
0
10
20
30
0
150
120
掃引周波数
1000
電圧・電流
(定格平均値=100)
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
電池電圧
改質器温度
200
80
80
0
-10
160
600
400
燃料流量
経過時間(min)
掃引周波数
800
100
120
経過時間(min)
1000
周波数掃引区間
送電電力
160
電池電圧・電流
800
600
120
改質器温度
80
400
200
CO変成器温度
CO除去器温度
0
-10
40
脱硫器温度
0
経過時間(min)
10
20
電圧・電流
(定格平均値=100%)
120
流量・電力
(定格平均値=100)
160
受電電流
(計測最大値=100%)
流量・電力
(定格平均値=100)
160
送電電力
温度(℃)
周波数掃引区間
160
0
30
経過時間(min)
停止状態(定格運転への移行含む)
定格運転状態
4.供試体D
80
受電電流
送電電力
40
0
-30
0
30
60
90
40
0
150
120
120
60
20
0
80
電池電流
CO変成器温度
CO除去器温度
0
30
60
90
120
40
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
120
600
0
-30
10
0
30
停止操作
20
掃引周波数
1000
電圧・電流
(定格平均値=100)
周波数(MHz)
燃料処理装置温度(℃)
改質器温度
200
40
出湯温度
40
0
-10
160
電池電圧
400
80
経過時間(min)
掃引周波数
800
燃料流量
80
経過時間(min)
1000
100
電池電流
800
改質器温度
600
200
120
CO変成器温度
40
CO除去器温度
0
-10
0
150
0
10
20
経過時間(min)
経過時間(min)
停止状態(定格運転への移行含む)
0
30
停止操作
定格運転状態
136
160
電池電圧
80
400
温度(℃)
80
120
送電電力
流量・電力
(定格平均値=100)
燃料流量
120
周波数掃引区間
160
160
電圧・電流
(定格平均値=100)
周波数掃引区間
受電電流
(計測最大値=100)
流量・電力
(定格平均値=100)
160
No.11
直流重畳について(WG2)
1.課題
太陽電池発電設備に比べて小容量のものが汎用的になると予想されるため、直流検出器の検出レベル実
現の困難化が懸念される。このため、今後、実機により常時の直流電流流出レベル把握や直流検出機能の
性能検証、インバータ熱破壊時(直流と交流が導通した場合)の挙動確認等の安全性評価を実施する事に
加え、絶縁変圧器を設置した場合との経済性比較を行った上で、システム設計を行う必要があると考えら
れる。
2.検討内容
(1)直流重畳分検出機能の性能について
平成 14 年度の検討において、比較的小容量な燃料電池発電設備では、直流検出器の検出レベルの確保が
困難となることが懸念された。太陽電池発電設備などで採用されている”定格交流電流の 1%以下、検出
時限 0.5 秒程度以内”での直流検出の実現可能性を判断するため、定置用ミレニアム事業に参加している
各製造者に、各機器の直流重畳分の検出方式ならびにその精度を聞き取り確認した。その結果を表 11-1 に
示す。I 社のように検出精度向上が望まれる供試体もあったが、概ね必要な検出レベルを担保できており、
技術的には十分可能であることが確認できた。
製造者
B
C
出力
1kW 級
1kW 級
E
1kW 級
1kW 級
H
I
1kW 級
表 11-1 直流重畳分検出の状況
検出精度(分解能)
0.1%程度
0.04%
0.1%程度
0.05%
0.8%
試験結果
0.070A
1%,0.38 秒
0.064A,0.48 秒
+0.025A,0.37 秒
-0.025A,0.34 秒
+0.180A,0.31 秒
-0.180A,0.31 秒
定置用ミレニアム事業に参加している製造者では、絶縁トランスが使用されているため、直流分検出試験
未実施のものも 4 社ある。
(2)直流重畳分検出機能の検出レベル
直流重畳分検出機能の検出レベルについてメーカー7社に聞き取り調査を行った結果を以下に示す。
① 検出レベルが緩和されると、検知器と検知回路の精度を見直すことにより、数千円程度のコストダ
ウンが見込める。
② 検出レベルが緩和されると、系統の外乱等に起因する誤検出による不要動作を防ぐことが可能に
なる。
(3)絶縁変圧器を設置する場合との比較
絶縁変圧器の有無による相違について、メーカー7社から聞き取り調査を行った結果を以下に示す。
①絶縁変圧器搭載により、重量が増加する。(13kg/kW 程度増加)
②絶縁変圧器搭載により、効率が低下する。(4~5 ポイント程度低下)
③絶縁変圧器搭載により、コストが上昇する。(1 万円/kW程度上昇)
絶縁変圧器を用いるよりも直流重畳分検出機能を採用した場合の方がコスト、サイズ、効率面で有利で
あることが確認できた。
3.検討結果
小出力の燃料電池においても、
現状技術で交流側への直流分流出を検出できることを確認できた。なお、
燃料電池の導入普及を考慮すると、検出レベルの見直しが今後の課題の一つである。
137
NO.12
結露に関する安全性について(WG2)
1.課題
燃料電池発電設備は、屋外設置される場合が大半と考えられることと、発電時には発熱を伴うことか
ら、設備内部に結露が生じやすい状態にある。結露により、充電部と筐体間の絶縁抵抗が減少すると、
感電等の安全面での問題発生が懸念される。
太陽光発電用パワーコンディショナの JIS や、電気安全環境研究所(JET)での太陽光発電及びガスエ
ンジンコジェネシステムの保護装置の認証試験においては、設置周囲環境の変化を考慮した絶縁性能試
験が規定されており、燃料電池発電設備についても、
これらの規定を準用することが妥当と考えられる。
しかしながら、燃料電池発電設備は、セル本体、パワーコンディショナ、補機類などの構成が、機種
により大きく異なり、ガス・水配管も存在する。このため、結露の発生状況や各測定点での絶縁耐力を
実機試験により確認し、耐周囲環境試験の実施方法を検討する必要がある。
2.検討内容
(1)参照規格
・ JIS C 0027 環境試験法(電気・電子) 温湿度サイクル(12+12 時間サイクル)試験方法
・ 太陽光発電システム用系統連系保護装置等の試験方法(JET)
(2)温湿度サイクル試験によるデータ収集方法
①試験条件:
・ JIS C 0027 に規定される 24 時間サイクルを 2 サイクル実施。
・ 上限温度は、55℃とする。(図 12-1 は 40℃の例)
・ 温度の下降は、「方法1」に従う。
(内部に空筒があって、その内部に結露が生じるものの試験に適している)
②測定項目及び測定周期
a.初期測定
・ 機器内部の結露状態の外観確認する。
・ 絶縁抵抗測定(DC500V)及び耐電圧試験(60Hz、1000V、1 分)を実施する。
b.①の処理直後
・ 機器内部の結露状態の外観確認する。
・ 絶縁抵抗測定(DC500V)及び耐電圧試験(60Hz、1000V、1 分)を実施する。
c.測定項目、周期等
・ 試験室内温度及び相対湿度
・ 燃料電池発電設備内温度(確認用、メイン制御基板 1 点)
・ 測定記録周期;1 分
③試験手順
a.機器内部の結露状態を確認し、メイン制御基板に温度センサを取り付ける。
b.メイン制御基板温度を(環境試験室の調整により)25±3℃に保ち、相対湿度 45∼75%RH で安定
させる。
c.絶縁抵抗測定及び耐電圧試験(耐電圧試験機;KIKUSUI 5030)を実施する。その後、周囲温度、
相対湿度、メイン制御基板温度の測定を記録周期1分で開始する。
d.相対湿度を 1 時間以内に 95%以上にする。
e.24 時間サイクルを 2 サイクル実施する(「方法1」 図 12-1 参照)。
f.後処理を実施する(図 12-1 参照)
138
g.後処理完了後、絶縁抵抗測定及び耐電圧試験(耐電圧試験機;KIKUSUI
h.機器内部の結露状態を観察する。
5030)を実施する。
④試験の供試体
1kW 級システム1台。
⑤24 時間サイクルと後処理
12±0.25h
96%
100
95%
90
95%
90%
80
70
60
50
42℃
40
38℃
30
3±0.5h
28℃
1.5h
12±0.5h
20
3±0.25h
10
22℃
6h
0
0
3
6
9
12
15
18
21
24
24時間サイクル
図 12-1
24時間サイクル
2サイクル終了点
後処理終わり
100
周囲温度(℃) 相対湿度(%)
周囲温度(℃) 相対湿度(%)
3±0.25h
90
80
70
60
50
試験場所の温度±1℃
40
30
20
1∼2h
10
0
-1
0
1
2
後処理(h)
図 12-2
139
後処理
3
4
(3)試験結果
①初期測定
電源部分とアース間で絶縁抵抗測定(DC500V)及び耐電圧試験(60Hz、1000V、1 分)を実施。また、
供試体のケーシングを取り外し、結露状況の確認を実施。
温度:25℃
相対湿度:65%
供試体
絶縁抵抗
耐電圧試験
結露状況
02-13(1kW 級)
700MΩ
異常なし
水滴なし
②サイクル終了後の測定
電源部分とアース間で絶縁抵抗測定(DC500V)及び耐電圧試験(60Hz、1000V、1 分)を実施。また、
供試体のケーシングを取り外し、結露状況の確認を実施。
温度:25℃
相対湿度:75%
供試体
絶縁抵抗
耐電圧試験
結露状況
02-13(1kW 級)
150MΩ
異常なし
水滴あり
③温湿度サイクルグラフ
温湿度サイクル試験(供試体 02-13)
3.検討結果
JIS C 0027 に従い、厳しさ条件 55℃、2 サイクルにて試験を実施した結果、供試体内部に水滴が確認さ
れ、充電部と筐体間の絶縁性能の低下(700 MΩ→150 MΩ)も認められたが、感電の危険性が発生する
レベルではないことが確認できた。
140
万が一これ以上の絶縁性能の低下が起きた場合、交流部分での結露による絶縁性能低下については、
交流側の漏電遮断器設置がなされれば、それにより安全が担保できると思われる。
また、直流部分での結露による絶縁性能低下については、課題 NO.7(直流地絡検出について)で提示
されている保護装置により安全が担保できると思われる。
141
No.13
長期停止時における安全性の検討(WG3)
1.課題
家庭用燃料電池を長期間停止した場合、留守中に火災が発生しないことや長い留守から帰宅しての始動
時に事故・災害が発生しないように安全性について検討し、必要に応じて検証を行うことが望ましい。
2.検討内容
本項目で想定されるハザードとしては、家庭用燃料電池発電設備を長期間停止しての留守中に火災が発生す
ることや長い留守から帰宅しての始動時に事故・災害が発生することである。それぞれの場合に想定されるハザー
ドに関して安全性の検討をおこなった。
(1)長期停止中の安全性の検討
① 可燃性ガス、液体の漏えいによる火災、爆発
火災、爆発を防止するための対策としては、機器・配管から可燃性ガス・液体が漏洩しない構造とすることや可
燃性ガスが滞留しない構造とするなどの対策がある。
燃料電池発電設備は、停止時に供給される原燃料ガスが2連の遮断弁により閉止されていること、パッケージは
可燃性ガスが滞留しない構造に作られていることなどから安全を確保している。さらに、現在試験中のものについ
ては、停止時に配管を不活性ガスでパージして可燃性ガスを取除いている。なお、不活性ガスパージを実施しな
い場合の安全性評価については、平成 15 年度の技術基準適合評価委員会((社)日本電気協会)で検討されて
いる。この検討のなかで、10kW 未満の固体高分子形燃料電池発電設備において「燃料ガスを排除する機能が無
く、停止時に燃料遮断のみ行う構造」について、以下に示すとおり、停止時、停止保管時の安全性が確認されて
いる。長期保管する場合は、燃料改質装置、燃料電池セルスタック内部に残留する可燃性ガスは、最終的には空
気に置換されるため、火災、爆発に至ることはない。
【平成 15 年度技術基準適合評価委員会報告書からの抜粋】
PEFC の停止時の内部挙動(停止直後,膨張過程,放熱過程,拡散過程)を確認し,不活性ガスパージの
省略が安全に及ぼす影響の有無について検討を行った。
不活性ガスパージを行わない場合の内部挙動は概ね次の通りである。改質器内の残留水と残熱で生成
する水蒸気により系内のガスが排気口から徐々に押し出されて,時間を掛けて排気口の外で空気中に拡散
する。その後,改質装置の温度低下に伴い,残留ガスの占める体積が減少し,排気口から徐々に空気を吸
込み,セルスタック,燃料改質装置の CO 除去器等の触媒上で改質ガス中の水素と空気中の酸素が触媒酸
化反応し(空気供給量は 10kWシステムで最大 0.4NL/min 程度)水が生成される。この触媒酸化反応による
発熱量は自己放熱量と比べて小さいため温度上昇の恐れはなく,また,触媒が存在しない場所(配管等)に
は着火源がないため燃焼は起きない。
以上により,停止時の内部挙動を検討した結果,不活性ガスパージの省略が安全に及ぼす影響はないと判
断する。
また、不活性ガスパージを実施しない場合は、性能維持の目的で、窒素ガス以外のガス(水蒸気、空気、燃焼
排ガス)で可燃性ガスを排除する方法や燃料系統出口遮断による可燃性ガス封じ込めといった方法が採用される
場合がある(別紙1参照)。このときの安全性については以下のとおり評価されており、いずれのケースにおいても
長期保管中に火災、爆発に至ることはない。
142
【平成 15 年度技術基準適合評価委員会報告書からの抜粋】
PEFC は,性能維持措置の目的で付帯機能が付加されることがあり,これの付加が安全を損なう要因とな
るかどうかの評価を行う。
評価要望のあった付帯機能は,蒸気パージ機能,空気パージ機能,都市ガスパージ封じ込め機能,燃料
系統出口遮断による封じ込め機能である。
蒸気パージ機能,空気パージ機能については,不活性ガスパージの代替機能といえるものであり,また,
原燃料ガス,改質ガス,燃焼排ガスについても,残留エネルギーレベルから判断して,付帯しない場合と比
較して安全性を損なうことはないと判断する。出口遮断による封じ込め機能については,内部圧力上昇ある
いは圧力低下による設備損傷が懸念されるが,当然,想定される圧力変化に応じた設備設計がなされるも
のとした場合には,当該機能を付帯しない場合と比較して安全性を損なうことはないと判断できる。
但し,今後の技術開発や市場ニーズの多様化により,今回想定していない設備が付帯される場合には,
その都度,安全性への影響について評価する必要があると考える。
②漏電
漏電遮断器を設置しており、万一漏電が発生してもブレーカが開放となり安全である。
③感電
セルスタックの充電部はパッケージ内にあり、通常では人が触れることができない構造になっていること、燃料電
池セルスタックの電圧はほぼゼロ(停止後数時間でゼロ、つまりエネルギーがない)であることなど、人(通行人等)
が充電箇所に触れることで感電することはなく安全である。
(2)長い留守からの始動時の安全性の検討
①雑草の発生等による火災
長期停止後に燃料電池発電設備の周囲に雑草が発生し、再起動した場合に、燃料電池発電設備の熱で雑草
が発火する可能性が考えられるが、雑草が発火するだけの温度にパッケージの温度が上昇する前に、パッケージ
内温度異常上昇により装置が停止するため安全である。
②小動物の侵入、巣などによる吸気口閉塞
長期停止中に吸気口に小動物が侵入し、巣を作って吸気口をふさぐ可能性がある。このような原因で吸
気口がふさがれないように吸気口の構造を工夫することが望ましいが、万一、吸気口が閉塞したことを知
らずに燃料電池発電設備を起動しても、燃焼空気量不足でバーナ不着火となり燃料電池発電設備は起動す
ることが出来ず安全に停止する。また、吸気口が半閉塞で燃焼不安定等により立ち消えした場合も、立ち
消え安全装置により停止するため安全であるため問題ない。
③機器、配管類の経年劣化
長期停止中に機器、配管類が劣化することが考えられるが、運転中の劣化とは別の要因で特別に劣化が進む
とは考えられない。万一弁やファンなどが固着して作動しなくなっている場合は、システムのプロセス系で異常を
検知して起動しないか、異常を検知した時点で安全に停止する。従って通常運用時における経年劣化と同様の
検討でよいと考えられる。なお、経年劣化による安全性低下の防止については平成14年度家庭用燃料電池保安
技術検討会報告書【Ⅳ.第1章、1-5-2 (5) 経時劣化による安全性低下の防止】にまとめられている。
3.検討結果
いずれの場合においても、通常運用時に関する検討でカバーされると考えられ、長期停止時を想定した
実機での検証は必要ない。
143
No.13
別紙
停止時の性能維持措置について
1.性能維持措置の目的
PEFC システムは、停止時に連系用遮断器を開放するとともに原燃料弁を閉止することにより安全性を
確保している。一方、財産保護(燃料改質装置内の各種触媒及びセルスタック内電極触媒の性能維持)の
目的のために、原燃料弁を閉止した後に、燃料改質装置やセルスタックを水蒸気、空気等でパージする機
能等を付加したもの、あるいは燃料改質装置やセルスタックの出口弁を閉止するもの等がある。
2.性能維持措置の種類・実施例
(1) 性能維持措置の種類
原燃料弁を閉止した後、燃料改質装置やセルスタックを水蒸気又は空気等でパージする方式や燃料改質
装置やセルスタックの出口側に設けた弁を閉止する方式がある。
また、それらの方式の組み合わせがある。
(2) 性能維持措置の実施例
1) 閉止:原燃料弁(V1)を閉止した後に、燃料改質装置やセルスタックの出口側に設けた弁を閉止する。
2) 水蒸気パージ:原燃料弁を閉止後、改質用水ポンプ(W1)を作動させ、水を改質器へ導入する。改質
器の余熱で水蒸気となり、燃料改質装置やセルスタックに残留する可燃性ガスを系外に排出する。
3) 空気パージ:例えば改質器等の触媒温度が規定値以下になった後、空気ブロワ(例えば B2)を作動さ
せて空気を改質器へ導入し、残留ガスを系外に排出する。
4) 原燃料ガスパージ:例えば改質器等の触媒温度が規定値以下になった後、原燃料弁(V1)を一時的に
開にして原燃料ガスを系内に導入し、残留ガスを系外に排出する。この時、残留ガス及び導入した原燃
料ガスは燃料改質装置のバーナ等で燃焼させた後に系外へ排出させる。残留ガスが排出された後、原燃
料弁及び燃料改質装置又はセルスタックの出口側に設けた弁を閉にする。
電力
貯湯槽
窒素ガス
供給装置
連系用遮断器
制御装置
交流出力
空気
気化器
B4
V2 NO
燃料改質装置
熱交換器
V5 NO
V4 NC
冷却器
バーナ
空気
B3
空気極
起動
専用
バーナ
上水
燃料極
V1 NC×2
G1
CO除去器
原燃料
改
質
器
インバータ
B2
CO変成器
脱硫器
窒素
ボンベ
空気
水処理装置
冷却水タンク
排熱回収装置
V3 NC
電池オフガス
空気
燃料電池
セルスタック
B1
W2
改質用水
W1
1)気化器は液体燃料時 のみ
2)起動専用バーナ及び空気(B4)はオートサーマル方式または部分酸化方式時のみ。
オートサーマル方式または部分酸化方式時のバーナはオフガス処理専用
排気
3)改質用水(W1) は水蒸気改質方式及びオートサーマル方式時のみ
家庭用燃料電池のシステムフロー例
144
改質ガス
原燃料
No.14 圧力の影響についての検討(WG1)
1.課題
都市ガス又は LPG 燃料の燃料電池発電設備の場合に、原燃料ポンプの昇圧方式・能力、原燃料ポンプ上
流側の配管構成によるガス供給配管側の圧力に与える影響について、家庭用 1kW 級では問題ないが、定格
出力の大きな燃料電池設備の場合はデータの整理が必要と考える。
2.検討内容
本項目において懸念されたハザードは原燃料ポンプの間欠的吸引、ポンプ停止時の二次側圧力の一次側
圧力への伝播による、燃料電池発電設備と同時使用中のガス機器の立ち消えである。定格出力の大きな燃
料電池発電設備についてデータの整理が必要とされたのは、原燃料ポンプの出力が大きいので、一次側圧
力への影響も大きく立ち消えが発生するのではないかという懸念からと考えられる。
定格出力の大きな燃料電池発電設備の場合、
例えば 10kW 級では 3 Nm3/h 程度の最大ガス消費量となる。
これは、現在普及している一般的な家庭用ガス機器の最大ガス消費量(例えば、24 号給湯暖房器の場合 5.4
Nm3 /h)と比較して同レベルと言える。
これら家庭用ガス機器においても間欠的な消費の発停が起きるが、これらガス機器を接続する場合には、
最大ガス消費量に照らし、ガス工事業者によって適切なガス配管工事がなされることにより、その一次側
の圧力変動は低圧ガスの圧力範囲内(都市ガス:1∼2.5 kPaG、LPG:2∼3.3 kPaG)に納まる。また、ガス
コンロ等の燃焼機器は、低圧ガスの圧力範囲(概ね都市ガス:1∼2.5 kPaG、LPG:2∼3.3 kPaG)内の圧力
変動では立ち消えは発生しない。
(なお、現在普及しているガス燃焼機器は立ち消え安全装置が装備されて
おり、万が一燃焼に影響が出たとしても安全上問題はない。)
定格出力の大きい燃料電池発電設備においても、ガス消費の発停に関しては他ガス機器と同様なので、
最大ガス消費量に応じた適切なガス配管工事によって、一次側圧力変動は低圧ガス範囲内に納まり、安全
上の問題は生じないと考えられるので、特に確認試験を行う必要はないと考えられる。
3.検討結果
設置する燃料電池発電設備の最大ガス消費量に応じた適切なガス配管工事を実施することによって、一
次側圧力変動は低圧ガス範囲内に納まり、安全上の問題は生じないと考えられるので、特に確認試験を行
う必要はないと考えられる。
145
NO.15
漏えい電流限度について(WG2)
1.課題
感電防止等の観点から、漏えい電流を制限する必要がある。燃料電池発電設備での設置者の実態や、D
種接地の要求等を鑑み、漏えい電流限度値について、下記の項目を考慮し、燃料電池発電設備の形態に沿
った取り扱い等を実機により検討する必要がある。
① 定常時の燃料電池設備部分からの漏えい電流値の把握
(やむをえない部分としての要求値)
② 熱回収システム等を含む燃料電池コージェネレーションシステム全体としての漏えい電流の
限度値の検討
③ ガス管等の電食防止を考慮した限度値の検討
2.検討内容
(1)試験方法
定常時の燃料電池コージェネレーションシステムからの漏えい電流を把握する目的で以下の試験を実施
した。
① 供試体及び試験装置
a.供試体:1kW 級(セルスタック非接地、インバータ非絶縁)
b.試験装置等
・供試体と配管接続を絶縁性のものに換え、器体据付部を床面から絶縁する。(ただし、FC 本体と
貯湯槽の間の循環ラインは、現状のままとする。)
・供試体の接地端子と大地間に 1kΩの抵抗を含んだフィルター回路を接続する。
② 試験手順
・ 燃料電池コージェネレーションシステムを起動し、定格到達 30 分以上経過後、貯湯システムから
出湯している状態にて各データを収集する。
③ 測定項目
・ フィルター回路の端子電圧(漏えい電流)
・ 送電端電力、セルスタック電圧、セルスタック電流、気温、湿度
④ 測定個所
パッケージ器体、貯湯システム器体について、それぞれ別々に試験する。
(2)試験結果
燃料電池設備と貯湯システムの間の循環ラインも絶縁して測定した。
送電端電力[kW]:0.916
セルスタック電圧[V]:37.9、セルスタック電流[A]:35.2
気温[℃]:20.8、湿度[%]:49.3
漏えい電流値[mA]:1.383(参考:セルスタックの絶縁耐力試験の結果:0.5mA@DC500V)
3.検討結果
燃料電池コージェネレーションシステムの通常運転状態の漏えい電流値は 1mA 程度であり、JET の太
陽光インバータの認証基準である「漏えい電流が 5mA以下であること。又は、フィルターの出力端子電
圧が 5V以下であること。」のレベルが担保できることが確認できた。直流発電部分と燃料配管が電気的に
絶縁されている事を考慮すると、漏えい電流による燃料配管の電食は起こり難い事から、上記基準を満足
する事で十分安全性を担保できると考える。
146
NO.16
高調波について(WG2)
1.課題
燃料電池発電設備又は燃料電池コージェネレーションシステムから流出する高調波電流については、
JET の認証試験(太陽電池、ガスエンジン)や分散型電源系統連系技術指針に準拠して、総合電流歪み率
5%、各次電流歪み率 3%以下とすることが望ましい。
太陽電池発電設備については、パワーコンディショナ出力端子で測定・評価しているが、燃料電池コー
ジェネレーションシステムについては、補機や貯湯槽が存在することから、電流歪みを測定するに当たっ
ての測定位置や動作条件・判断基準(定格電流の考え方含む)について実機を用いて詳細検討を行い、明
確にする必要がある。
2.検討内容
(1)試験手順
①試験条件
a.試験回路は下図とする。
b.交流電源は、定格電圧及び定格周波数で運転する。
c.パワーコンディショナ出力が定格出力の 100%となるように設定する。
d.SWLN を開放し、線路インピーダンスを単相 3 線式中性線:0.21Ù+0.14mH 及び 200V 系:0.19Ù+
0.23mH となるように設定する。
SWLN
流
電
パワーコンデ
ィショナ
交
燃料電池
セルスタック
Z LN :
線路インピ
ーダンス
源
補機
システム
出力
燃料電池発電設備
【計測範囲外】
熱回収
システム
147
別置の熱回収システムは
計測の範囲に含まない。
(JET の認証試験では含まない)
②測定方法
a.システム出力において、交流出力電流(高調波成分)を測定する。
第 40 次まで測定するものとする。総合電流歪率DFは、次式によって求める。
DF =
∑i
2
ACn
I ACO
× 100(%)
i 2ACn :システムの出力電流のn次高調波電流成分実効値
IACO :パワーコンディショナの交流定格電流実効値(A)
n:高調波次数 2∼40 次とする。
③システム供試体:1kW 級
(2)試験結果
試験結果を表 16-1 に示す。R 相、T 相いずれも分散型電源系統連系技術指針の基準である総合電流歪み
率 5%、各次電流歪み率 3%以内を満たした。なお、今回の供試体では、太陽光発電用の 4.5kW のパワー
コンディショナ(JET 認証品)と同等品を搭載しており、パワーコンディショナとしては低負荷運転であ
ったため、高調波のピークは 2 次となっている。
表 16-1 高調波測定試験結果
燃料電池発電設備
パワーコンディショナ
単体(※)
R相
T相
各次電流歪率の最大値(%)
2.3
(2 次)
カッコ内は最大となる次数
総合電流歪率(%)
3.7
※ インバータ単体の試験結果は工場内試験結果
2.3
(2 次)
2.5
(2 次)
3.0
3.2
3.検討結果
各相とも分散型電源系統連系技術指針の基準である総合電流歪み率 5%、各次電流歪み率 3%以内を満た
していることが確認できた。
パワーコンディショナ単体試験の結果は、総合電流歪み率 3.2%、各次電流歪み率 2.5%であり、燃料電
池発電設備としての試験結果と同じ値でないことを踏まえると、燃料電池発電設備としての試験により高
調波を測定することが望ましい。
148
NO.17
絶縁性能(絶縁抵抗値)について(WG2)
1.課題
感電・火災防止のための絶縁性能の指標としては、絶縁抵抗値として規定されている。その規定は電気
用品技術基準や JET の認証試験(太陽電池)に定められているが、その試験電圧が異なることから、燃料
電池発電設備における絶縁抵抗測定時の印可電圧の取り扱いを検討する必要がある。また、燃料電池設備
部分の取り扱い等、燃料電池発電設備に特化する測定電圧や測定方法を実機を用いて検討する必要がある。
2.検討内容
(1) 試験方法
①測定項目
温度、湿度、絶縁抵抗
②試験条件試験環境
JIS C 0010 に規定する試験場所の標準状態で行う。
周囲温度
15∼35℃
相対湿度
25∼85%
気圧
86∼106kPa
絶縁抵抗の測定には、JIS C 1302 「絶縁抵抗計」に定められている絶縁抵抗計を使用する。
③対象範囲
・燃料電池発電設備及び燃料電池セルスタック(以下、セルスタック)の入出力端子と非充電金属部及
び外郭(外郭が絶縁物の場合は外郭の表面に密着させた金属箔)との間
・セルスタックの入出力端子と非充電金属部及び外郭(外郭が絶縁物の場合は外郭の表面に密着させた
金属箔)との間
④試験手順
a.電源はすべて停電されていることを確認する。
b.電圧の印加により破損する恐れのあるサージアブソーバ、バリスタに関しては、電気用品の技術基準別
表第 8 附表第 3 に準じて回路から取り外して行うことができる。
c.天候、温度、湿度を計測し、標準状態の範囲内であることを確認する。
d.絶縁抵抗計により、燃料電池発電設備又はセルスタック入出力端子と非充電金属部及び外郭(外郭が
絶縁物の場合は外郭の表面に密着させた金属箔)とに DC500V の電圧を印加する。
e.電圧印加後、指示値が安定すればその時点の値を読み取る。指示値が不安定な場合は1分後の値とす
る。
f.計測終了後被測定回路を接地してたまった電荷を放電しておく
⑤システム供試体
7 種類の供試体にて試験を実施する。
149
参考:試験回路
交流電源
インバータ
コンバータ
燃料電池
電気特性
交流電圧
直流電圧
直流電流
直流電源
電気特性
交流電流
電気特性
交流電力
交流電圧
交流電流
補機類
直流電源
直流電力
交流電力
補機類
制御装置
補機類
バルブ
ファン
ポンプ等
(2) 試験結果
試験結果を表 17-1 に示す。供試体 02-01 では 500V の印加により性能低下が予測されたため、100V の印
加電圧で絶縁抵抗を測定した。なお、燃料電池は冷却水に純水等を用いている事もあり、インバータの絶
縁抵抗より低い値を示しているが、0.1MΩ以上を示しており現状の技術基準を満たしている。
表 17-1 試験結果
供試体
番号
02-01
02-03
02-04
02-05
02-06
02-07
02-09
送電電圧(V)
100/200
100/200
100/200
100/200
100/200
100/200
100/200
燃料電池電圧
~50
50~100
50~100
~50
~50
100~200
~50
温度(℃)
31
27
26
25
26
25
22
相対湿度(%)
48
51
48
47
62
46
47
気圧(hPa)
1013
1010
1020
1023
1012
1011
1024
4210
339
817
0.10
7.2
(定格時、V)
試験時周囲
条件
インバータ
燃料電池
※1
印加電圧(V)
500(DC)
絶縁抵抗(MΩ)
4545
印加電圧(V)
100(DC)※1
絶縁抵抗(MΩ)
0.25
9980
6760
10000
500(DC)
3.91
0.96
0.70
1.02
性能低下の恐れがあるため、メーカー希望により印加電圧 100V にて実施
3.検討結果
インバータ部分については、太陽光インバータの試験方法と同様に、印加電圧 DC500V による従来の試
験方法が適用できるものの、燃料電池部分については、定格電圧が数十 V 程度であり、供試体によっては
DC500V の印加により性能低下が危惧される供試体もあることが明らかになった。従って、燃料電池設備
部分の絶縁抵抗測定の際は、定格電圧に応じて印加電圧を規定するなど、性能低下を起こさないよう柔軟
な対応が必要であると言える。
150
NO.18
連系開始時の安全性について
1.課題
パワーコンディショナ出力と系統電圧との電位差、位相差が存在すると起動時に突入電流による過電流
が発生し、パワーコンディショナの破損や連系のためのケーブル損傷に繋がる可能性がある。そのため、
ソフトスタート機能等により、起動時に過電流にならない設計や制御が必要である。
JET の認証基準である「定格電流の 150%、0.5 秒」を遵守すれば、燃料電池発電設備の場合も安全性は
担保できると考えられるが、現行システムが本基準を満たしていることを実機データで確認する必要があ
る。
2.検討内容
(1) 試験方法
①試験手順
燃料電池発電設備を起動し、図 18-1 に示す測定点で系統連系時の交流出力電流波形を測定する。
インバータ
電力系統
燃料電池
セルスタック
連系
遮断器
フィルタコンデンサ
補機
燃料電池発電設備
図 18-1
交流出力電流測定点
②供試体
定格出力:1kW級
定格電流:5A
インバータ方式:自励式電圧型電流制御方式
151
電流測定点
(2)試験結果
試験結果を図 18-2 に示す。連系開始前後の位相にずれはなく、同期が取れていることが確認できる事か
ら、同期投入時の突入電流はないものと考えられ、「定格電流(=5A)の 150%(=7.5A)、0.5sec」を満たすこ
とが確認できた。
図 18-2 に示す連系直後に計測されている 5A 程度の電流は、インバータと連系遮断器間に設置されてい
るフィルタコンデンサへの充電電流と推定される。また、連系開始から 0.05 秒以降に見られる波形歪は、
インバータ出力電流が次第に増加していく事により燃料電池発電設備から発生する電流歪によるもと推定
される。
電流
6
連系開始
5
4
3
電流(A)
2
1
0
-0.1
-0.08
-0.06
-0.04
-0.02
-1
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
-2
-3
-4
-5
時間(sec)
図 18-2
連系前後の電流波形
3.検討結果
現行の燃料電池発電設備の場合において、太陽光発電用インバータの JET 認証基準を満足できる事が確
認できた。
152
○主な試験装置の仕様
1.試験装置・機器一覧
試験項目
NO.1 可燃性ガスの新しい検知方法につ
いて
NO.2 過圧防止装置の非設置について
NO.3
て
NO.4
いて
NO.5
NO.6
CO 除去器への空気過剰混入につい
セルスタックのクロスリークにつ
試験装置・機器
共通事項
石鹸膜流量計
システム
基本性能試験装置
NO.8 制御機能を失った場合の安全性に
ついて
NO.9 高温部における安全性について
圧力センサ
セルスタック
基本性能試験装置
不活性ガスパージレス化について
適切な設置離隔距離について
NO.7 直流地絡試験方法について
個別事項
温度上昇試験装置
システム
基本性能試験装置
可変抵抗器
流量計(地絡電流測定用)
オシロスコープ
熱電対
NO.10 電磁放射の影響について
NO.11 直流重畳について
電磁界発生装置
絶縁抵抗計
耐電圧試験機
NO.12 結露に対する安全性について
NO.13 長期停止時における安全性の検討
NO.14 圧力の影響について
NO.15 漏洩電流限度について
NO.16 高調波について
NO.17 絶縁性能について
NO.18 連系開始時の安全性について
システム
基本性能試験装置
システム
基本性能試験装置
153
電圧計(漏れ電流測定用)
高調波測定器
絶縁抵抗計
オシロスコープ
備考
2.計測装置・機器仕様
(1)共通事項
1)システム基本性能評価装置
①構成
燃料電池のデータ収集装置は、データ計測部、データロガー、データ収集部、データ処理部から構成さ
れる。
a.データ計測部;燃料電池コージェネレーションシステムの運転に必要な燃料ガス、給水、排水、供給
電力、及び運転に際して出力する電気、排熱温水、排水等のデータを計測するための計
測器(センサ)からなる。
b.データロガー;データ計測部で計測したデータ、及び燃料電池コージェネレーションシステム等から
出力されるデータをロギングするデータロガー。
c.データ収集・処理部;データロガーに集められた各種データを収集・記録すると共に、各種データを目
的に応じて数値表示、グラフ表示等を行う。また、収集したデータはデータベー
ス化して保存する。データ収集・処理部は、そのために必要となる、パソコンやソ
フトウェア等からなる。
図1
データ収集装置の構成
154
②計測仕様:各計測点の計測器、計測範囲等を表 1∼3 に示す。
表 1 データ計測部仕様(システム外部データ、1kW 級)
計測点
燃料ガス
電気出力
計測器
計測範囲
信号
流量(瞬時)
膜式メータ
0.16∼84L/min
±2.0%
電圧(1∼5V)
温度
熱電対
-200∼1370
±0.1%
電圧
圧力
圧力計
0∼10kPa
±2.0%
電圧(1-5VDC)
発電電力
電力計
0∼3kW
(瞬時)
電圧(1∼5V)
±0.3%
電流
発電電圧
PT
0∼300V
±0.3%
電圧
発電電流
CT
0∼20A
±0.3%
電流
45∼65Hz
±1.0%
電圧
発電周波数
温水出力
精度
流量(瞬時)
電流出力
0∼25L/min
±0.5%
電圧(1∼5V)
流量(瞬時)
電流出力
0∼30NL/min
±0.5%
電圧(1∼5V)
温度
T 熱電対
-200∼400
±0.1%
電圧(1∼5V)
圧力
圧力計
0∼0.5MPa
±1.5%
電圧(1∼5V)
換気
温度
T 熱電対
-200∼400
±0.1%
電圧
排気
温度
T 熱電対
-200∼400
±0.1%
電圧
大気
温度
測温抵抗
-39∼60
±0.3%
電圧(0∼1V)
湿度
湿度計
10∼90%
±3.0%
電圧(0∼1V)
大気圧
大気圧計
900∼1100hPa
±2.0%
電圧(1∼5V)
(貯湯槽)
窒素ガス
表2
データ計測部仕様(システム外部データ、5kW 級)
計測点
燃料ガス
電気出力
計測器
計測範囲
精度
信号
流量(瞬時)
膜式メータ
0.16∼84L/min
±2.0%
電圧(1∼5V)
温度
K 熱電対
-180∼1000
±0.1%
電圧
圧力
圧力計
0∼10kPa
±2.0%
電圧(1∼5V)
発電電力
電力計
0∼6kW
±0.3%
電圧(1∼5V)
発電電圧
PT
0∼300V
±0.3%
電圧
発電電流
CT
0∼20A
±0.3%
電流
45∼65Hz
±1.0%
電圧
(瞬時)
発電周波数
温水出力
流量(瞬時)
電流出力
0∼30L/min
±0.5%
電圧(1∼5V)
流量(瞬時)
電流出力
2.5∼50NL/min
±0.5%
電圧(1∼5V)
温度
K 熱電対
±0.1%
電圧
±1.5%
電圧(1∼5V)
(貯湯槽)
窒素ガス
-180∼1000
圧力
圧力計
換気
温度
K 熱電対
-180∼1000
±0.1%
電圧
排気
温度
K 熱電対
-180∼1000
±0.1%
電圧
大気
温度
測温抵抗
-39∼60
±0.3%
電圧(0∼1V)
湿度
湿度計
10∼90%
±3.0%
電圧(0∼1V)
大気圧
大気圧計
900∼1100hPa
±2.0%
電圧(1∼5V)
0∼0.5MPa
155
表3
データ計測部仕様(システム内部データ)
計測項目
電池特性
出力信号
電池電圧
DC4-20mA
電池電流
改質特性
排熱温水出力
同
or
DC1-5V
上
電池温度
T熱電対
or
DC4-20mA
脱硫器温度
K熱電対
or
DC4-20mA
改質器温度
同
上
CO 変成器温度
同
上
CO 除去器温度
同
上
往温度
T熱電対
or
DC4-20mA
戻温度
同
上
貯湯槽湯温(上)
同
上
貯湯槽湯温(中)
同
上
貯湯槽湯温(下)
同
上
循環流量(積算)
DC4-20mA
or
パルス
2)セルスタック基本性能評価装置
①構成
試験装置は、燃料供給部、燃料加湿部、制御計測部、セルスタック冷却部、電子負荷、試験台等から構
成される。
a.燃料供給部
燃料ガス供給ライン、酸化剤ガス(空気)供給ライン、窒素供給ラインの3系統がある。燃料ガス供給
ラインでは純水素、二酸化炭素、一酸化炭素・水素混合ガスを用い、これらを流量調整弁により混合する
ことで、任意の組成での改質模擬ガスを作り出すことができる。空気供給ラインでは流量調整弁により、
任意流量で空気を供給することができる。また、窒素供給ラインでは、燃料ガス供給ライン、空気供給ラ
インに通じており、試験装置の停止時等に反応ガスを置換する目的で、窒素パージに用いられる。
b.加湿部
燃料ガス供給ライン又は空気供給ラインからの調整ガスに対してセルスタックに適度な水分を与える
のに、バブリング方式等を採用した加湿装置により適度に水分調整する。
c.制御計測部
セルスタックの発電状態の制御・監視(異常があれば緊急停止)を行うとともに、発電データの計測及
び蓄積を行う。
d.セルスタック冷却部
発電中のセルスタックの温度制御を行う部分で、ポンプ、流量計、熱交換器、加熱ヒータ等を含む循環
経路から成る。発電中は、循環水温度を熱交換器および流量弁等で調節することにより、電池温度を所定
の温度に制御する。
e.電子負荷部
セルスタックの負荷電流を、連続的に変化調整する機能を有している。
f.試験台
供試体であるセルスタックを据え付け、ガスライン、信号ラインを接続する部分である。
156
H2
排気
流量調節器
減圧弁
発電台1
アノード
流量調節器
排気
カソード
流量調節器
冷却水
加湿器
流量計
流量調節器
CO 2
減圧弁
開閉弁
ドレンタンク
評価試験用電池
熱交換器
電子負荷装置
流量調節器
水タンク
流量調節器
加湿器
水ポンプ
H 2 +CO
減圧弁
流量調節器
ドレンタンク
アノード
流量調節器
発電台2
排気
カソード
流量調節器
冷却水
加湿器
減圧弁
流量計
N2
流量調節器
開閉弁
評価試験用電池
熱交換器
電子負荷装置
水タンク
流量調節器
流量調節器
排気
加湿器
水ポンプ
H2 O
AIR
減圧弁
加湿装置
ガス供給装置
図2
電池冷却装置
電子負荷装置
セルスタック試験装置のフロー例
②計測仕様
各計測点の計測器、計測範囲等を表 4 に示す。
表 4 データ計測部仕様
計測点
燃料ガス
計測器
水素(瞬時)
マスフローメータ
二酸化炭素(瞬時)
圧力
酸化剤ガス 酸素(瞬時)
〃
計測範囲
0∼5L/min
0∼2L/min
圧力計
0∼0.3MPa
マスフローメータ
0∼20L/min
窒素(瞬時)
〃
0∼20L/min
圧力
圧力計
0∼0.3MPa
セルスタック 電圧
電圧計
0∼50V
T 型熱電対
0∼100℃
温度
157
制御装置/データ計測装置
(2)個別仕様
①可燃性ガスの新しい検知方法について
石鹸膜流量計
メーカー
型式
測定範囲
エステック
SF-101 V-4
0.2∼10L/min
②過圧防止装置の非設置について
圧力センサ
メーカー
型式
測定範囲
③適切な設置離隔距離について
温度上昇試験装置:JIS S 2093
長野計器
KH-15
0∼300kPa
「10.温度上昇試験装置」の木壁表面温度測定装置の仕様に準ずる。
④直流地絡試験方法について
可変抵抗器
メーカー
型式
抵抗可変範囲
電流計(地絡電流測定用)
メーカー
型式
測定範囲
横河電機
TYPE2786
0∼1MΩ
日本テクトロニクス
TCP202
0∼15A
⑤制御機能を失った場合の安全性について
オシロスコープ
メーカー
日本テクトロニクス
型式
サンプリングレート
TDS5054
1.25GS/sec
⑥高温部における安全性について
熱電対
メーカー
型式
測定範囲
福電
T-FFF
−180℃∼+300℃
158
⑦電磁放射の影響について
電磁界発生装置一式
品名
メーカー
型式
シグナルジェネレータ
増幅器
FLUK
6061A
AMPLIFIER RESEARCH
①150A220
②25W1000M7
EMC TEST SYSTEMS
Model 3140
周波数範囲
10kHz∼1050MHz
①10kHz∼220MHz
②100MHz∼1000MHz
26MHz∼2000MHz
⑧結露に対する安全性について
絶縁抵抗計
メーカー
型式
印加電圧範囲
SANWA
DM-5257
0∼500V
測定範囲
0∼1000MΩ以上∞
耐電圧試験機
メーカー
型式
印加電圧範囲
⑨漏洩電流限度について
電圧計(漏れ電流測定用)
メーカー
型式
測定範囲
(電流換算)
KIKUSUI
TOS 5030
0∼3kV
日置電機
3156
0∼25mA
⑩高調波について
高調波測定器
メーカー
横河電機
型式
測定次数範囲
WT2000
0∼50 次
⑪絶縁性能について
絶縁抵抗計
メーカー
日置電機
型式
印加電圧範囲
測定範囲
3153
DC50∼1000V
0.10∼9999MΩ
159
アンテナ
⑫連系開始時の安全性について
オシロスコープ
メーカー
型式
日本テクトロニクス
サンプリングレート
1.25GS/sec
TDS5054
160