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脚本企画案2 段階B 「ヘルメット田中。」
絵コンテ向け
企画説明会議資料
「ヘルメットは、僕を代弁してくれるんです。
侵略者として、生きる僕を」
ヘルメット田中。
これは、内部向け文書です。発行担当者の許可なく、一部または全部を複製、外部流
出してはいけません。
開邦高校映画研究部
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コンセプト
この脚本案の提出サイドとしては、エンターテインメントとしての作品の面白さを重点に置いて
います。
あくまでコメディタッチを基調としているため、高い主題性、心理描写は求められていないは
ずですが、東方の脚本の書き方が悪いのか、一見、一貫したテーマ性が見えそうです。そのような
意図はまったくありません。ハイ。ノリで書き上げました。
笑いを狙う
笑いを狙うと、あるリスクが生まれます。「滑る」というものです。
そのため、笑いを狙うということは、客観的検証から笑いを理論的に計算する必要が生まれて
きます。頭痛いですね∼。
本作では、以下の理論から笑いを狙いました。
⒈意外性からくる笑い
⒉繰り返しによる笑い
⒈が成分として多く含まれています。
・田中がヘルメットを着けてること
・彼が地球侵略を目論んでいること
・女子が田中に技をかけること
・ヘルメットを取ることでここまで大事に発展すること
にこれといった理由はありません。これらの要素が含まれることに、観客は「なんでやねん」
と疑問に思わせることで、ストーリーを際立ったものにする効果を狙っています。
今回は、意外性に加え、「ストーリーが持つシュールさ」「馬鹿らしさ」をテイストとして組
み込みました。これにより、作品の方向性が「馬鹿らしいシュールコメディ」方向に明確になり、
映像の個性が演出される効果を期待しています。
以上の行為は、あくまで「狙って」やったものであって、実際の効果を保証するものではあり
ません。
開邦高校映画研究部
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同様の、意外性から笑いを取る行為は、テレビ番組のいたるところで観られます。
テレビドラマ「TRICK」では、阿部寛さん演じる上田次郎が、本人を模して作られた人形を手
にとって、他の登場人物とやりとりをするシーンが見られることがあります。
しかし、そこに作品論的な深い意味合
いがあるわけではないでしょう。
上田が人形を手に取る理由は、画面上
に、シュールな光景を作ること、ではな
いでしょうか。
また、アニメ「日常」では、さらにシュールな演出がなされています。
はかせ(声 - 今野宏美)や、東雲なの(声 - 古谷静佳)の正体についても、はっきりとした説
明はなされていません。はかせはなぜ、ここまで高度な技術を幼いながらに持っているのか、東
雲なのは、何のために作られたのか(若干ではあるが作中でつっこまれている)。
背後にちらりと見える不思議な張り紙なども、作風を演出する上では必要です。しかし、それ
らについては、あえて登場人物が明確なツッコミをすることはありません。
また、番外的に(これもはっきりとした説明描写は少ない)出てくる異世界(っぽい)シーン
などでは、フェイ王国という飛行船で地球旅行している国家が、ちょっと出てきてストーリーを
進行させることもあり、彼らが時々、現実世界と干渉するシーンもあります。
今回は、このような意外性の笑いを、映像表現で補強、追加していただきたいです。
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カットの割り方 ∼推理と裏切り∼
観客の興味が減少しないように、カットにある程度の工夫が必要と思われます。
一番手っ取り早い方法としては、シーン冒頭に「なんだろう?」と思わせるカットから始める
ことでしょう。
p2 ⚪昼食、休み時間・教室
昭雄「げっ、お前、マジでそれで進路調査出すのかよ・・・」
から始まるシーン
ここでは、進路調査票に「地球侵略者」と書いた田中を、昭雄が諭すものの、そのまま教師に
提出してしまうシーンです。
最初の段階で、書類と二人を映し出すと、観客は「なるほど、書類を出そうとしているけど、
まずいことが起きてるんだな。もしかしたら、その書類にまずい内容が書いてあるのかも」と読
みを当てられます。わかりやすい画面です。
それでも効果的に使うことは十分可能ですが、これが昭雄の顔のアップからだと、観客は「な
んだろう?」と思ってしまいます。これからのカットに答えが出ることは自ずと明確なので、次
のカットに注目が向かいます。ここで、「引き込まれるストーリーだった」という現象が起きるで
あろうと思います。
こうして、映像の作り手は観客を意図的に「推理させる」ことで、観客の心をコントロールする
ことができます。そこに「職業欄に大きく地球侵略者と書かれている」ことによって観客にさせ
た推理を逸脱した裏切りをすることができます。
このシーンでは、以上の狙いがあります。
映像からの影響
推理の否定側
推理の肯定側
観客の推理
推理を正反対に裏切る意外性
推理をはるかに上回る意外性
!!!!
!!!!!!!!
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カットの割り方 ∼緊張と緩和∼
では、次の2つのシーンの終わりと始まりの間に注目してください。
⚪昼食、休み時間・教室 ∼ ⚪同時刻、進路室前
田中が立ち上がり、進路室へ向かう。
進路室から、頬をさすりながら出てくる田中。
先ほど、進路調査票に地球侵略者と書いたことを突っ込まれた田中。昭雄の制止を聞かず、田中
は進路室へ向かうべく、教室を飛び出します。
次のカットでは、田中は頬をさすりながら進路室から出て行きます。進路指導の森脇先生にビ
ンタされたんですね。
ここで注目して欲しいのは、進路室で森脇先生に調査票を提出して怒られてビンタされる一部
始終が省略されていることです
なぜか、緊張と緩和の波が急激になるからです。
あなたは、今、大学の入試会場にいます。2次試験です。
とても緊迫した、ただならぬ雰囲気の中、受験生は生死を分かつような
険しい表情で、前を睨んでいます。
そこへ、この大学の学長が舞台に現れました。
学長が頭を下げます。受験生たちは一糸乱れぬ動きで返礼します。頭を
上げた受験生。そこに驚愕の光景が目に入ったのです。
なんと、学長のカツラがずれている。きっと、礼をしたときでしょう。
しかしここは厳かな受験会場。物音一つ立てるのも勇気がいるのに、ま
して笑うわけにはいきません。
学長が挨拶文を読み上げます。
「エー、本日は、我がちゅく・・・筑波大学を∼」
どうでしょうか。笑えましたか?
その程度では笑えませんか、そうですか。すいません。
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小学校くらいのときに、牛乳を飲んでいる男子に向かって、他の男子が耳元で「プゥ∼ウッ」と
囁いて、牛乳を吹かせようとしたことがありませんか?
男子はバカなんです。基本的に。
何が言いたいかというと、絶対に笑ってはいけない状況・条件(緊張)のなかで、笑い(緩和)
があると、笑いが倍増されて、うっかり笑ってしまう、ということです。
緊張する試験会場、厳かな雰囲気、そこに学長が挨拶をしている。ましてやそれがずれている
カツラについて笑ってしまうなんて以ての外。牛乳を飲んでいる最中に吹き出してしまうと、相手
の思う壺。しかも汚い。そのような圧力がかかるほど、突然の緩和は、笑いにつながってしまう
のです。
ちなみに、本作中のような、緊張→緩和→緊張 からなるオチの流れを「ドンデン」オチとい
います。これは、2代目桂枝雀(かつらしじゃく)によって理論化された「下げ(オチ)の4分
類」の一つです。
本作の例のシーンの場合、森脇先生に
ビンタされるシーンを挿入すると、「ド
ン」から「デン」への下がり方が緩やか
に間延びしてしまう可能性があったので、
あえて省略しました。
このことで、カットがテンポ良く切り
替わり、変化による笑いを生みやすくなっ
ています。
このテクニックは、⚪放課後・運動場の階段のところ にも応用されています。
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冒頭の掴みを魅力的に
ここまでは、中盤時点の笑いの取り方について、コントのテクニックを使って検証してきまし
た。
ただし、これは映像作品なので、映像的なビジュアルの良さも工夫しましょう。
⚪登校時間、授業が始まる前・教室
昭雄のモノローグが田中を説明するシーン
モノローグから入るところがいかにもラノベらしいですね。
映画「探偵はbarにいる」でも、冒頭は大泉洋さんのモノローグからはじまっています。ただ
し、「キミコイ」のように、単純にストーリーの設定をわざとらしく明かしているというよりは、
だいぶ文章的な工夫がなされています。
ここでは、いかに序盤から客席の心を掴むかが肝心ですので、オープニングらしい発想を求めて
おります。
従来の作品より
・タイトルコール。単色に文字を表示させるだけのシンプルなものだっ
た。実写映像を織り交ぜた、面白いタイトルでも良いのでは?
・監督名も入れてみては?
別にダメとは言われてないし。
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メモ欄
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