第2章2~4(PDF文書)

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あらゆる場を通じた人権教育・啓発の推進
富岡市では 、先に掲げた人権問題に常に配慮するとともに、人権 教
育・啓発の普及、高揚を図るため、次に掲げるような「あらゆる場」に
おける人権教育・啓発の推進を図ります。
(1)家庭
(現状と課題)
各家庭の価値観に基づき行われるものであるが、家庭教育は教育の原
点であると言われるように、幼児期からの豊かな情操や思いやり、善悪
の判断等社会的なマナー、自制心や自立心など「生きる力」の基礎的な
資質や能力が培われる場であり、人間形成の基礎を育む上で重要な役割
を果たしており、人権教育の基礎を育む場としてその充実を図ることが
重要です。
また、親の差別的な意識が子どもに伝わることにより、差別や偏見の
再生産につながっていくことも考えられます。
そのため、家庭の教育力の向上を図るとともに、親自身が偏見を持た
ず、差別しないことなど、日常生活を通じて自らの姿を子どもに示して
いくことができるよう、様々な機会をとらえて家庭教育のための支援に
努める必要があります。
(今後の取り組み)
女性や高齢者、障害のある人などに対する差別など、様々な人権問題
について正しい理解と認識を持った子どもたちを育てるには、まず、基
本となる家庭の教育機能を充実することが必要となります。
このため、親自身が偏見を持たず差別しないことなど、日常生活を通
じて子どもに示すなど、家庭において子どもに豊かな心を育む教育が実
践されるよう、また、人権を尊重する気持ちが自然と身につくよう、家
庭教育を支援する取り組みの充実を図ります。
具体的には、次のように取り組みます。
(ア)啓発資料等を作成、配布し、家庭内の人権教育の充実に努めま
す。
(イ)親子で参加できる人権教育・啓発講演会など、家族で人権に つ
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いて考える事業を推進します。
(ウ)子育てや家庭教育上の悩みや不安に応える等の相談事業を推 進
します。
(エ)児童虐待などの深刻な人権侵害に対して関係機関と連携を図 り、
子どもの人権が尊重され、保護されるような環境づくりを推進し
ます。
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(2)地域社会
(現状と課題)
幼児から高齢者に至るまで、一人ひとりが人権の意義や重要性につい
て正しい知識や豊かな人権感覚を身に付け、真に人々の人権が尊重され
る地域づくりを推進することが重要です。
また、それぞれのライフサイクルにおける学習活動に対応して、生涯
にわたって人権に関する多様な学習機会の提供の充実を図るとともに、
日常生活において態度や行動に 表 れるような人権感覚を育成してい く
ため、各種の社会教育活動を通じて、参加体験型学習等の体験活動や身
近な課題を取り上げるなど創意工夫をして推進する必要があります。
今後の人権教育の推進に役立てるために、平成 16 年度に「人権問題
に関する市民意識調査」を実施しました。
この調査で、特筆すべき大きな問題が2点あると考えられます。その
まず第1点目は「同和地区の起源に関する理解度」であります。同和地
区の起源(おこり)について、「政治起源説」と回答した人が 27.6%と
低いこと、また、同和教育を受けていない 40 歳代以上では「職業起源
説」の割合が高く、特に 60 歳代では 42.8%と高くなっております。こ
のことからより一層、正しい知識を伝える啓発活動が必要であります。
次に大きな問題としての第2点目では、72.9%の市民が「結婚のとき」
に差別を受けていると感じていることです。平成 11 年の調査をみても、
「結婚のとき」に差別を受けていると感じている人が多い結果となって
おります。
同和地区の人々への差別は、過去のものと考える人も多いようですが、
この結果をみると決してそうではなく、結婚問題を軸に同和問題の解決
が急務であります。
(今後の取り組み)
すべての人々の人権が真に尊重される社会の実現を目指し、生涯学習
の振興のため諸施策を通じて人権に関する学習の一層の充実を図っ て
いく必要があります。人権を知識として学ぶだけではなく、日常生活に
おいて態度や行動に表れるような人権感覚の涵養が必要です。
そのために、生涯学習の視点に立って、幼児から高齢者に至るそれぞ
れのライフサイクルに応じた様々な学習機会を通して、人権問題を直感
的にとらえる感性や日常生活において、態度や行動に表れるような豊か
な人権感覚を育成することが大切です。
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具体的には、次のように取り組みます。
(ア)生涯学習の視点に立って、住民の多様なライフスタイルを考慮
し、多くの人が学習に参画できるよう、学習機会の提供の充実に
努めます。
(イ)人権尊重の精神の普及や人権問題の解決に向けた指導者の養成
の充実に努めます。
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(3)学校等
(現状)
学校教育では、日本国憲法と教育基本法に基づき、幼児、児童、生徒
の発達段階に応じて、基本的人権尊重の精神を高め、すべての人の人権
を尊重する教育を進めています。また、これまで本市では、国・県及び
本市人権教育基本方針に基づき、人権教育の総合的、計画的な推進を図
ってきました。
人権教育は、人権を相互に尊重し合うという人権の共存の考え方を理
念とし、基本的人権尊重の精神が正しく身に付き、人権という普遍的文
化を構築するための教育活動であり、幼児、児童、生徒一人ひとりに、
人権の意義やその重要性を知識として確実に身につけること、また、人
権問題を直感的にとらえる感性や日常生活における人権への配慮が そ
の態度や行動に表れるような人権感覚を十分身につけることが 必要 で
す。
各小・中学校及び幼稚園においては、幼児、児童、生徒が発達段階に
応じて、人権尊重の理念に対する理解を深め、体得し、実践できるよう
に努めています。
幼稚園では、人間形成の基礎が培われる極めて大切な時期であること
から、幼児の発達段階を踏まえ、身近な動植物に親しみ、生命の大切さ
に気付かせ、豊かな心情を育てるなど、人権尊重の精神の芽生えが 感性
として育まれるよう努めています。一人ひとりの幼児の調和のとれた全
人的発達の基礎を築き、人間を尊重する気持ちをもてるような人間関係
づくりを進めること、各々の幼児の生活環境を十分把握しつつ適切な指
導を行うこと、幼児が日常生活の基礎的な事項を十分身につけるととも
に、将来にわたって人間として自立することができるようにすることな
どに配慮しています。
小・中学校では、児童生徒の発達段階に即しながら、各教科、道徳、
特別活動、総合的な学習の時間等のそれぞれの特質に応じて学校の教育
活動全体を通じて人権尊重の意識を高める教育が行われています。人権
尊重の理念についての理解を促し、生命を大切にし、自他の人格を尊重
し、お互いの個性を認め合う心、正義感や公正さを重んじる心などの豊
かな人間性を育成することが重要であり、そのために必要な体験活動や
交流活動等の機会の充実に努めています。
学校での人権教育の充実を図るためには、各学校の推進体制が整備さ
れ、教職員の資質向上を図ることが大切であることから、市内すべての
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学校の校務分掌組織の中に人権教育主任が位置付けられ、各学校におけ
る人権教育推進の中心となって教育と啓発に取り組むとともに、各学校
では校内研修や職員会議が定期的に開催され、自校の課題を踏まえた人
権教育に関わる研修が計画的に実施されています。また、 12 月上旬を
中心として、市内すべての学校が人権問題を集中的に学習する「人権集
中学習」の期間を設定しています。
さらに、本市では、各小・中学校の人権教育主任を対象として、年2
回の「人権教育主任会議」を実施しています。また、毎年8月には、管
理職を含む本市に転入したすべての教職員及び新規採用教職員を対 象
として、「富岡市人権教育研修会」を実施しています。 これらの会議や
研修会を通して、人権尊重の精神を基盤とした人権教育に対する理解を
深め、教職員の資質向上を図るよう努めています。
また、人権教育資料「めぶき」「かがやき」「はぐくみ」を各家庭に配
布し、保護者の人権感覚も磨くことができるように努めています。
(課題)
国・県及び本市人権教育基本方針に基づき、各学校において推進組織
や指導計画が整備され、学校の教育活動全体を通じて人権教育が推進さ
れています。
しかし、本県全体としては、人権について知的理解にとどまり、児童
生徒に人権感覚が十分身についていないという問題や、教職員に人権尊
重の理念について十分な認識が必ずしもいきわたっていないという 問
題が指摘されています。
本市においては、教職員及び児童生徒が言葉を磨き、言語環境を一層
整えていくことで、人権感覚の向上を更に図る必要があります。
また、児童生徒が、様々な人権問題の解決を自分自身の課題としてと
らえるためには、保護者や地域の大人の人権意識を高めることが重要で
あり、家庭や地域社会との連携を更に深める必要があります。
(今後の取り組み)
学校教育においては、生命を大切にし、自他の人格を尊重し、お互い
の個性を認め合う心、他人の気持ちを理解して行動できるなどの他人を
思いやる心、正義感や公正さを重んじる心などの豊かな人間性を育成す
ることが重要となっています。
そのために、次のような事項について取り組みます。
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(ア)人権教育指導資料・学習教材等の有効活用
児童生徒の興味・関心を引き出し、主体的・自主的な学習が でき
るよう、県教育委員会や県総合教育センター等で作成された発達段
階に応じた指導資料や、地域に根ざした教材を有効活用できるよう
支援します。
(イ)効果的な人権教育推進のための学習活動の展開
ボランティア活動などの社会奉仕体験や自然体験、高齢者や障害
のある人等との交流などの体験を重視した体系的な学習活動を各
学校が展開できるよう支援します。
(ウ)教職員の人権意識や指導力を高める研修の充実
人権や人権問題について認識を深め、人権問題を解決しようとす
る熱意や使命感、教科等の実践的指導力を培うための研修等の機会
を提供します。
(エ)家庭・地域社会・校種間等との連携
家庭、地域社会、校種間、関係団体との連携を深め、人権教育を
推進する環境を整備します。
(市民のみなさんへ)
学校教育では、幼児、児童、生徒の発達段階に応じて、基本的人権尊
重の精神を高め、すべての人に対して人権を尊重する教育を進めていま
す。幼児、児童、生徒が各学校・園での人権教育で培った知識や態度が、
家庭や社会での日常生活の中で更に高められ、人権尊重社会の実現のた
めの力となることが望まれます。
保護者をはじめ、市民の皆様が、人権や人権問題について正しい理解
を深め、将来を担う子どもたちのために、学校と共に、それぞれの立場
で人権を尊重し合う社会の実現に向けて取り組んでいただくことを お
願いいたします。
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(4)企業・団体等
(現状と課題)
企業は、本来、営利を目的として活動していますが、近年は社会的責
任や社会的貢献が問われるようになり、社会の重要な課題として、女性、
障害のある人、高齢者、外国人などの人権を取り巻く環境も変化してい
ます。このような中で、企業も社会を構成する一員として、人権問題に
ついても決して無関心ではいられない時代となってきています。
市では、ハローワークと連携を図りながら、公正採用選考人権啓発推
進研修会等の開催案内や、企業の人権担当者や従業員採用・選考担当者
に研修会へ積極的に参加するよう要請をしています。
また、研修、啓発冊子の配布、啓発ポスターの表示など、人権への取
り組みは、企業の社会的責務として、周知、徹底されるよう取り組んで
います。
また企業内では、公正採用選考人権啓発推進 員 (※1) を中心に、ハ
ローワークと連携を図りながら、公正採用選考を阻害していないかなど
の点検・是正を行っています。その他にも個別事業所からの要請により、
ハローワークにおいて公正採用選考に関する研修を実施しております。
団体等では、人権全般やそれぞれの人権問題について、広報、講演会
などを通じて市民への啓発を推進しております。
このように、多くの企業では様々な立場から人権教育・啓発を推進し
ています。今後とも人権感覚に基づいた明るい職場づくりや社会貢献を
推進するため、企業のトップをはじめ勤労者一人ひとりに対する学習の
機会を増やすことが必要です。そのためにも、企業、職場での研修会、
学習会を開催しやすい環境づくりから、採用後における障害のある人、
女性などに対する賃金、昇進格差の差別的取り扱いの解消やセクシュア
ル・ハラスメントの防止などについての自主的な取り組みを促進するこ
とが期待されます。
また、このことは、団体等にも言えることで、団体自ら積極的に取り
組むとともに、市民から理解と協力を得られる取り組みが求められてい
ます。
(今後の取り組み)
市としては、各企業における自主的・主体的な取り組みをさらに支援
するため、公正採用選考人権啓発推進員を対象とした研修会や、企業に
おける人権教育や啓発の指導的役割を担う方々を対象とした研修会 な
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どを積極的に行います。
また、団体等が行う研修会、講演会などを積極的に支援するとともに、
自主的な取り組みが更に活発化するよう支援に努めていきます。
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公正採用選考人権啓発推進員
同和問題をはじめとする人権問題の正しい理解と認識のもとに、職業選択の自
由を確保するための公正な採用選考システムの確立をめざし、常時使用する従業
員の数が 100 人以上である事業所に、群馬労働局が選任を推奨している。
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人権に関係の深い職業に従事する人たちに対する人権教育・啓発
差別のない社会、人権が尊重される社会を実現するためには、私たち
一人ひとりが人権に配慮する必要があります。そのためには、この基本
計画による人権教育・啓発は、すべての人を対象に推進することが必要
です。
しかし、特に、人権に関わりの深い職業に従事する人たちは、厳に人
権の擁護に努めなければならないことから、次のような職業の従事者に
対しては、積極的に人権教育・啓発を推進しています。
(1)教職員・社会教育関係者
(教職員)
学校教育においては、教職員が幼児、児童、生徒の人権意識を高める
上で、重要な役割を果たしています。そのため、教職員が人権尊重の理
念について十分な知識をもち、人権に関する確かな知識を身につけるこ
とが重要です。
特に、各学校において人権教育推進の中心となる人権教育主任や本市
に転入した教職員・新規採用教職員に重点を置いて、人権や人権問題に
ついて十分な認識を深め、人権問題を解決しようとする熱意と使命感を
もって教育活動が展開できるように、研修等の充実を図ることが大切で
す。
また、尐子高齢化、男女共同参画社会の推進、国際化等の社会 の変化
に対応した教育の推進のため、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習
の時間等の場面に指導できるような資質の向上が望まれます。
現在、教職員に対しては、各学校における日常的な研修を基本として、
各小・中学校の人権教育主任を対象とした人権教育主任会議や、本市に
転入したすべての教職員及び新規採用教職員 を対象とした富岡市人 権
教育研修会を実施しています。また、県の新任教員研修会や地区別人権
教育研究協議会、群馬県総合教育センターでの研修講座などの人権教育
に関する各種研修会が実施されています。これらの機会を通して、本市
教職員の人権についての理解と認識を深め、指導力の向上を図っていま
す。
さらに、幼児、児童、生徒の「豊かな心」の育成のため、家庭や地域
社会との連携、校種間、幼児、障害のある人、高齢者との交流等におけ
る指導力の向上を推進します。
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なお、幼児、児童、生徒の人権に関する問題にも対応できるよう教育
相談に関する研修の充実に努めます。
(社会教育関係者)
社会教育において、社会教育主事、公民館職員などの社会教育関係職
員は、社会教育を行う人々を支援する立場であり、地域において人権教
育を指導・助言する立場にあります。地域における人権教育を充実させ
るためには、これら社会教育関係職員の人権教育に関する理解・認識を
一層深めるとともに指導力の向上を図ることが重要です。そのため、人
権一般の普遍的視点からの取り組みや、具体的な各人権課題に即した個
別的視点からの取り組みを推進する広い識見と各人権課題について 幅
広い知識を持ち、効果的に学習を進める手法を身につけた指導者の養成
が重要です。そこで、指導者研修会等を実施するとともに、研修内容・
方法について、体験的・実践的手法を取り入れるなど創意工夫を図り、
指導者の資質の向上や指導体制を充実していきます。
具体的には、次のように取り組みます。
(ア)人権教育では、日常生活の中で人権尊重を基本においた態度や
行動が表れるような人権感覚を身につけることが大切です。そこ
で、家庭や地域など身近な人権課題の解決に向け行動できる指導
者を地域や組織の中で養成していくことが必要であります。また、
幼 児 か ら 高 齢 者 に至 る そ れ ぞ れ の ラ イフ サ イ ク ル に お け る多 様
な学習活動を提供するために、性別や年齢等にとらわれず幅広い
指導者の養成を推進します。
(イ)人権の意義や重要性についての確かな知識と課題解決の効 果的
な学習方法を身に付けるとともに、研修会等において研修内容を
計画的・系統的に組み立て実施することができるよう指導者研修
等を創意工夫して実施するとともに、指導者養成講座等を終了し
た指導者を各種人権教育講座や研修の場において活用し、指導力
の向上に努めます。
(2)医療・保健福祉関係者
(医療関係者)
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他医療技術者などの医療従事
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者は、人の生命と健康に直接かかわることから、人権意識に基づいた考
えや行動が特に求められている職業の一つです。
このため引き続き、医療従事者育成の学校や養成施設をはじめ、医師
会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会等関係団体に人権教育・啓発が推
進されるように働きかけるとともに、自主的な取り組みが行なわれるよ
う積極的に支援していきます。
(保健福祉関係者)
保健師、生活保護ケースワーカー、民生委員・児童委員、社会福祉施
設職員その他の保健福祉関係者は、子ども、高齢者、障害のある人、生
活困窮者等の人々と直接関わりを持っており、健康増進、疾病予防、生
活相談、介護などの業務を担当しています。業務の遂行にあたっては、
個人のプライバシーや個人の尊厳に 対する十分な認識と配慮が必要 と
されています。
これからも、福祉施設や関係機関等に、人権教育・啓発が推進される
ように働きかけていくとともに、自主的な取り組みが促進されるように
積極的に支援していきます。
(3)行政・消防職員
(行政職員)
行政職員は、その業務を通じてまたは間接的に市民と深く関わりを持
っていることから、常に細心の人権的配慮を心がける必要があると言え
ます。
現在、市職員に対しては、職員研修として人権、男女共同参画などの
研修を実施するとともに人権教育・啓発講演会へ積極的な参加を要請し、
人権問題全般に対する正しい理解を図っています。
今後も引き続き、職員一人ひとりが人権感覚を身につけ、市民の立場
に立って職務を行うよう、人権研修の充実に努めるとともに、様々な機
会を通じて人権意識の醸成に努めます。更に、職員が地域社会の一員と
して地域における人権教育・啓発の推進に積極的な役割を担うよう、職
員の意識改革に努めます。
(消防職員)
消防職員は、火災予防と、火災や様々な災害から市民の生命、身体及
び財産の保護、被害を軽減することを職務としており、その活動を通じ
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て深く私たちの日常生活と関わっているため、人権意識を持って職務を
行うことが要求されています。
消防学校においては、消防教育の中で消防職員の人権意識の醸成を行
っていますが、地域や各企業等で開催される訓練等においても、人権教
育・啓発の推進に積極的な役割を担えるよう支援していきます。
(4)マスメディア関係者
新聞やテレビ、ラジオ、雑誌などのマスメディアが社会に及ぼす影響
は、あらゆる面において大変大きいものがあります。人権教育・啓発意
識の高揚にマスメディアが果たす役割は大きいことから、不適切な報道
がされた場合の影響も非常に大きなものがあります。
これからの人権教育・啓発に関しては、啓発に取り組む関係機関のネ
ットワーク化とともに、マスメディアとの連携の重要性があげられてい
るところです。
マスメディアに従事する関係者に対しては、その活動の中で市民へ積
極的に人権尊重を訴えるよう、常に人権に配慮した活動を促すとともに、
差別を助長する可能性のある用語への配慮等、人権教育・啓発が自主的
に取り組まれるよう促します。
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国、県、企業、関係団体、ボランティア等との連携
人権教育・啓発を効果的に進める上では、市民の皆さんの理解と協力
とともに、関係機関と一丸となった取り組みが必要です。そのために、
国、県、関係団体、企業、ボランティア等との緊密な連携を図り、市民
の皆さんが参画しやすい環境づくりに努めます。
現在、法務局が中心となってネットワーク化(※1)が図られており、
県内の市町村間においてもネットワーク化が進められています。富岡市
も「西毛地域人権啓発活動ネットワーク協議会」(※2) に参加、協力を
しています。
今後も、民間団体やボランティア等との連携を積極的に推進していき
ます。
※1
ネットワーク化
人権啓発活動は、これまで法務省の人権擁護機関、都道府県、市町村などが、
それぞれ独自に実施してきましたが、人権問題が複雑化・国際化している今日、
啓発活動をより一層、総合的・効果的に推進することが必要になってきました。
そこで、これからの啓発活動を実施機関が互いに連携協力して行うことにし、各
都道府県に「人権啓発ネットワーク協議会」を設置することになりました。
※2
西毛地域人権啓発活動ネットワーク協議会
平成 12 年 10 月「高崎地域協議会」として発足。その後市町村合併等により平
成 18 年 11 月から現在の「西毛地域人権啓発活動ネットワーク協議会」となる。
前橋地方法務局高崎支局、高崎市、藤岡市、富岡市、安中市、多野郡、甘楽郡
に所在する人権啓発活動にかかわる機関等が、連携・協力関係を確立し、同管轄
内における各種人権啓発活動を総合的かつ効果的に推進することを目的としてい
る。
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