北 海 道 浮 魚 ニ ュ ー ス

北 海 道 浮 魚 ニ ュ ー ス
平成 20(2008)年度 10 号
(通巻 No.262)
2008 年 7 月 23 日
北 海 道 立 水 産 試 験 場
ホームページ:http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/ukiuo/uki_index.htm
北西太平洋サンマ北上期調査結果
◎北辰丸(釧路水産試験場試験調査船)で行ったサンマ北上期調査の結果をお知らせします。
今回の調査は、秋期に北方四島方面から北海道周辺海域へと南下してくるサンマの分布状況を
事前に把握することを目的に実施しました。
調査期間:2008 年 7 月 8 日∼ 22 日
調査海域と調査点(図 1):北西太平洋(40 ゚ 30'N∼ 46 ゚ 30'N、149 ゚ 30'E ∼ 162 ゚ 30'E)
の 17 調査点(漁獲調査は 9 点)
調査方法:9種類の目合(22,25,29,37,48,55,63,72,82mm)の流し網を用いた漁獲試験及び
CTD を用いた海洋観測
1.表面水温は全地点で昨年よりも
高い。
各調査 点での 表面水温 は 10.2 ∼
19.9 ℃の範囲内でした(表 1)。各調
査点の表面水温を昨年と比較すると、
0.5 ∼ 6.4 ℃上回っていました。特に
St.11 と St.12 では、昨年を 6 ℃以上も
上回っていました。
2.漁獲尾数、CPUE ともに昨年を
若干上回った。
刺し網調査の結果、今年のサンマ総
漁獲尾数は 1,622 尾で(表 1)、昨年
(1,603 尾)を上回りました。
調査点別に漁獲状況をみると、漁獲
図1 2008 年サンマ北上期調査点図
尾数 0 尾という点はなく、最も漁獲が
(図中、四角内は漁獲尾数、その上段に表面水温)
多かったのは、St.7 の 964 尾(全体の 59 %)でした(図 1、表 1)
。今年の CPUE *(流し網 1 反
あたりの漁獲尾数)は 14.9 尾で、昨年(14.1 尾)よりも若干上回りました。
*目合 29,37,48,での漁獲尾数から算出。1 反は 30 間切りで換算。
漁獲されませんでした(図 1、3)。
50
CP U E (尾 / 反
3.体長組成は昨年に比べて、大型魚の割
合が高い。
調査全体では、大型魚(体長 29cm 以上)
が漁獲全体の 86 %、中型魚(体長 24cm 以上、
29cm 未満)が 14 %であり、小型魚・ジャミ
(体長 24cm 未満)が 0.1 %でした(図 3)
。
また、例年成熟した大型個体が主体である
St.15、17 では、昨年同様にサンマがほとんど
40
30
20
10
0
'9 7 '9 8 '99 '0 0 '0 1 '0 2 '0 3 '0 4 '0 5 '0 6 '0 7 '08 年
図2 CPUE の経年変化(目合:29,37,48mm)
-1-
なお、今回の調査で漁獲されたサンマの北上群は今後成長し、日本近海へ来遊する 9 ∼ 12 月
頃には大型魚で約 1cm、中型魚・小型魚で 2 ∼ 3cm 程大きくなると考えられます。したがって、
漁船が漁獲するサンマの魚体は今回の結果よりも大きくなることにご注意下さい。
今回の調査結果はサンマ資源全国調査の北海道担当分だけの調査結果です。8月6日に
塩竃市で開催される平成20年度北西太平洋サンマ長期漁海況予報会議において、今回の
調査結果も加えた全国の調査結果が検討され、今年度の漁海況予報が発表される予定です。
(文責:釧路水産試験場資源管理部、TEL:0154-23-6222、FAX:0154-23-6225)
10.2℃
40
St.9
N=17
30
20
13.3℃
10
0
10.9℃
N=3
11.6℃
頻度(%)
頻度(%)
St.5
N=4
N=964
11.5℃
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
18.6℃
2008全体
N=1,622
20
0
100
80
60
40
20
0
St.13
N=1
19.9℃
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
100
80
60
40
20
0
30
20
2007年全体
N=1,603
10
0
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
頻度(%)
頻度(%)
St.7
30
17.6℃
N=2
10
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
50
40
30
20
10
0
40
St.11
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
100
80
60
40
20
0
50
40
30
20
10
0
St.17
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
頻度(%)
St.3
N=617
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
頻度(%)
頻度(%)
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
50
40
30
20
10
0
100
80
60
40
20
0
頻度(%)
St.1
N=2
頻度(%)
100
80
60
40
20
0
頻度(%)
頻度(%)
表1 2008 年サンマ北上期調査結果概要
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
St.15
N=12
18.5℃
:特大魚(32cm以上)
:大型魚(29∼32cm)
:中型魚(24∼29cm)
:小型魚(20∼24cm)
:ジャミ (20cm未満)
11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31 33 35
体長(cm)
図3 2008 年サンマ北上期調査におけるサンマの体長組成(N は漁獲尾数)
-2-