1.はじめに 1.はじめに わが国では、持続可能な都市として維持・継続していくためにコンパクトシ ティの構築が求められていますが、人口減少・高齢化が進み人口構成を大きく 変えていく局面に入っています。北陸地方においては、全国平均よりもその進 捗が早く、すでに中心市街地の主要な商業機能の撤退などが見受けられており、 持続可能な都市へと再構築していくことが喫緊の課題となっています。 北陸地方の既成市街地を再編するにあたっては、今後の限られた人口・投資環 境を踏まえると、旺盛な床需要を前提とした再開発事業は成立しない状況です。 さらには、老朽化した既存ストックが多く現存する構造的課題や、市町村合 併などにより膨らんだ公的資産の活用などの複合的な観点で捉える必要があり、 既成市街地の再編にあたっては、戦略的に取組む必要があります。 本書では、北陸管内の自治体の方々にアンケート調査やヒアリング調査等の ご協力をいただきながら、既成市街地の再編に関するまちなかの現状や課題、 まちなか再生やまちなか居住につながる取組の事例紹介のほか、関連する国や 自治体の補助制度を取りまとめています。なお本書は、今後も取組事例の追加 や内容の充実を図り、北陸管内のまちなか再生やまちなか居住の動きを反映す る予定です。 今後各自治体において、それぞれの地域に見合う身の丈にあった、まちなか 再生やまちなか居住を進める際の参考としてご活用頂ければと思います。 最後に、本書をとりまとめるにあたり、調査にご協力をいただいた自治体の 皆様、ご意見をいただいた北陸発まちなか居住推進協議会の皆様に、改めて感 謝いたします。 ※北陸地方とは、まちづくり・住まいづくり分野において、国土交通省北陸 地方整備局が管轄する地域を指しており、以下対象地域は、新潟県、富山 県、石川県としてご理解ください。 1‐1 本書は、次のような2部構成になっています。 ◎北陸管内の先進事例、まちなか再生・まちなか居住に係る制度・事業 2.北陸発 まちなか再生・まちなか居住に向けた取組事例 3.まちなか再生・まちなか居住に係る制度・事業 ◆身近な先進事例を知る! 北陸管内の自治体におけるまちなか再生やまちなか居住につながる取組事業のうち、拠 点系・居住系施設について Pick up し、事業概要や経緯等について紹介しています。 ◆制度・事業手法を学ぶ! 施設別(拠点系・居住系)にまちなか再生やまちなか居住のアイデアや相乗効果 を発現するような制度・事業手法を紹介しています。 ◆今後のすすめ方の参考とする! 事業の Point!を整理し、各プロセスにおける住民との協働や行政における取組み 方などについて参考となる事例を紹介しています。 それぞれの事例のなかでは、取組の内容(工夫・ノウハウ)、取組の効果から 今後の課題・展望をまとめています。 また、関係自治体へのヒアリング調査を踏まえ、より具体的な取組状況がわか る内容とし、必要に応じて、コラムで補足情報を掲載しておりますので、事業に 至る背景などを知ることができます。 ◎北陸発 まちなか居住推進に向けた「9つの視点」「3つの課題」 4.北陸発 まちなか居住推進協議会での取組 H25 年度に設立した『北陸発 まちなか居住推進協議会』の概要と、協議会において議 論してきたなかで整理した、まちなか居住推進に向けた「9つの視点」「3つの課題」 について解説しています。 【9つの視点】 ①各都市の特性に応じた集約型都市構想 ②雪国でこそのまちなか居住 ③高齢者のまちなかライフスタイル ④「祭り」や「町家」。まちなかに住む求心力を生む北陸文化 ⑤質の高い教育環境が呼び込むまちなか居住 ⑥中心市街地の中の地域特性を生かした住宅需要 ⑦中心市街地の地価下落がまちなか居住の契機に ⑧マイナス要因がまちなかの再生を動かす契機に ⑨地元・行政におけるキーパーソンの存在 【3つの課題】 ①市町村合併と集約型都市構想の両立の難しさ ②都市間競争が生む市街地外縁部の開発の現実 ③北陸地域にあった民間誘導と公共関与のバランス 1‐2
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