里山特集1[PDFファイル/972KB]

「 春 の 里 山 の 魅 力? ん だ な い、 や っ
ぱり新緑だべ。カエデ、ヤマツツジ、カ
タ ク リ、 い ろ ん な 植 物 を 見 な が ら 歩 く
ことがでぎっかんない。次から次へと新
しい花が咲いてくっから、行くたんびに
違った山の姿を見れるのが春の里山の魅
力だべない。あと、芽吹きかい。
芽吹きの美しさは言葉では言い
表 せ な い よ。 ど ん な 花 で も 芽 吹
きの姿はきれいだもんない」
少しずつ春のあたたかい風が
感じられるようになってきた3
月9日、女神山を案内しながら、
も り の 案 内 人『 ヌ マ ち ゃ ん 』 こ
と蓮沼昇さん(以下ヌマちゃん)
は、 春 の 里 山 の 魅 力 を 語 っ て く
れた。
「子どもたちを山に連れてくっ
と、 ほ ん と に お も せ ぇ ぞ い。 山
で 見 る も の 見 る も の が、 不 思 議
な ん だ べ な い。 木 が 揺 れ れ ば 木
が 風 と お 話 し て る と 言 う し、 昼
間の三日月を見れば、誰かが半分お月様
を 食 べ ち ゃ っ た っ な ん て 言 う が ん な い。
素 直 な 子 ど も た ち の 言 葉 に、 改 め て 気
づかされっことも多いよ。子どもたちに
とって山は、楽しくて感動できる場所な
んだべない。山にはその材料がいっぱい
「雨の日には、雨の楽しみが
あっがんない」降った雨は、
葉や枝を伝って木の根元に
運ばれる。樹幹流と呼ばれる
この水の流れは、それぞれ
の木に個性的な模様を作る。
それを眺めるだけでも、森
の息づかいが聴こえてくる。
木の枝から落ちる雨の雫も
芸術的。天気の変化で里山
は常に違った表情を見せる。
春の里山を旅する
冬の寒さにさようなら。
少しずつ春らしい日も増えてきた今日この頃。
川俣町の里山も本格的な春に向けて、
少しずつ準備を進めています。
今月から各地区で山開きが開催されます。
春の里山に一歩足を踏み入れてみませんか?
を語りながら、小さな春を見つけるたび
蓮沼さんは、山頂までの道のりをゆっ
くりとした足取りで歩き、里山の楽しみ
にはたくさんの魅力があんだぞい」
事だない。ここにも、あそこにも…、山
けど、よっく見て、よっく聞くことが大
れ る は ず だ ぞ い。 ど ん な こ と に も 言 え っ
な 心 と 目 で 山 を 歩 け ば、 感 動 を 見 つ け ら
だ け に 言 え る こ と じ ゃ ね ぇ よ な い。 素 直
落ちてっかんない。でも、これは子ども
もりの案内人『ヌマちゃん』と、
2
広報かわまた・4月号
小さな春
これはオニグルミの殻。きれいに真ん中から割れている
のは、固い歯を持つリスが食べた証拠。ネズミが食べる
と小さな穴がたくさん空いてしまうそう。
コブシの木も立派な花芽をしっかりとつけ、春に向けて
準備万端(右)/この毛皮を脱いで春には真っ白な花を
咲かせるコブシ(左上)/登山道入り口近くの紅梅の木
に、その由来や、植物の持つ意味をじっ
くりと教えてくれた。
そ し て、 里 山 を 守 る 活 動 に つ い て も
語ってくれた。
「 里 山 は、 山 と 人 が 会 話 し な が ら、 人
の手で守っていくもんだがんない。ただ、
今は地域の人が高齢化してきて、やっと
や っ と 手 入 れ し て る 面 も あ っ が ん な い。
どうしたらいいのか、どこの地区でも悩
んでんでねぇがな。そう考えっと、これ
から山を守っていくことになる次の世
代、今の子どもたちに山の大切さを伝え
ていくしかねぇんだべない。葉って字書
くとわかっぺ。この『世』の中は、草と
木に支えられてるわけだ。子どもたちは
素 直 で 正 直 だ か ら な い、 き っ と 俺 ら の 言
うことはわかってくっちっと思うぞい」
その後も、ヌマちゃんは、花や地名の
話、子どもたちへの森林環境学習、木工
クラフトの話など、ありとあらゆる話を
し な が ら 山 頂 ま で 案 内 し て く れ た。 小 雨
交じりのくもりだったため、山頂からの
絶景を楽しむことはできなかったが、今
まで気づかなかった里山の魅力を存分に
感じられる登山であった。
山、花、木、草、土、そしてその山を愛し、
守り続ける人たちがいるからこそ生まれ
る里山。そこには、私たちが守り続けな
ければならない無限大の魅力があった。
3
福島県でもわずかな山でしか見られないというマルミノウルシの若芽を発見。
に花を発見。みんなで「これは春だ!」と大興奮(左下)
もりの案内人『ヌマちゃん』とは?
『もりの案内人』となりました。『もりの案内人』は、多くの人に、森の大切さを伝える役割を持っていま
ヌマちゃんの正体は、秋山に在住の『蓮沼昇さん』です。蓮沼さんは、平成 10 年に福島県が養成する
す。蓮沼さんは、ユーモアを交えた森の案内で、里山を訪れた人々に、森の楽しさや大切さを伝えていま
す。川俣町で 10 名いる『もりの案内人』の中で最高齢となった現在は、自分のように
森を愛し、森の大切さを伝えてくれる後継者づくりに力を注いでいます。 ※ 取材日には、もりの案内人 安斎正博さん(羽田)にもご協力いただきました▶