需給・周波数調整マニュアル 北海道電力株式会社 P-20-2 需給・周波数調整マニュアル 平成5 年12 月1 日制定 平成27 年4 月1 日施行(第11 次改正) (所管)工務部 目 Ⅰ.一般事項 次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.用語の定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.需給計画の作成および調整ならびに周波数調整の目的 Ⅱ. 供給区域の需給バランス 1 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1.需給計画の受領 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2.発電計画の受領 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3.発電設備の停止計画の受領 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4.当社における需給計画の算定 5.供給区域の需給計画算定 6.供給区域の需給に関する計画提出 Ⅲ.需給調整 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 1.需給調整の概念 2.需給調整 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 3.需給逼迫時の措置 4.下げ代の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 5.運転予備力の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 6.瞬動予備力の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 2.周波数調整および指令 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.周波数調整方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 9 Ⅳ.系統周波数調整 1.周波数調整目標 4.周波数制御装置の運用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 様式1 周波数制御装置整定票(水力発電設備用) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 様式2 周波数制御装置整定票(火力発電設備用,原子力発電設備用) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 P-20-2 需給・周波数調整マニュアル このマニュアルは, 「系統運用規程」のうち,需給計画および需給調整ならびに周波数調整について具体的事項 を定めるものである。 Ⅰ.一般事項 1.用語の定義 このマニュアルの主な用語の定義は,以下のとおりとする。 (1)給電指令箇所 中央給電指令所(以下, 「中給」という。 )および統括電力センター系統運用グル ープ(以下, 「系制」という。 )をいう。 (2)運転制御担当箇所 系制および所運転担当課(火力発電所,原子力発電所の運転担当課および工事機 関の工事所管課)をいう。 (3)所運用担当箇所 火力発電所および原子力発電所の運用担当課ならびに工事機関の工事所管課をい う。 (4)保守担当箇所 統括電力センター各設備所管グループ,電力センター設備所管課,所保守担当課 (火力発電所および原子力発電所の保守担当課) ,水力センター設備所管課ならび に工事機関の工事所管課をいう。 (5)特定規模電気事業者 当社の電力ネットワークを利用し,電気事業法の規定により特定規模電気事業を 営む者で一般電気事業者以外の者をいう。 (6)受電他社 当社が電力受給契約を締結している事業者をいう。 (7)小売事業者 一般電気事業または特定規模電気事業として電気を供給する事業者をいう。 (8)送電系統 一般電気事業者又は卸電気事業者が維持し,および運用する流通設備をいう。 (9) 発電者 一般電気事業,特定規模電気事業または自己等へ電気の供給の用に供する電気を 発電する者(送電系統に電力を流入する自家用発電設備設置者を含む)をいう。 (10)需要者 一般電気事業,特定規模電気事業または自己等へ電気の供給の用に供する電気を 供給する事業者から電気の供給を受けて,専ら電気を消費する者(送電系統に電 力を流入しない自家用発電設備設置者を含む。 )をいう。 (11)出力調整 (12)供給支障 有効電力の増加および抑制をいう。 電気の使用者が受電可能な状態で,かつ,電気を使おうとしているにもかかわら ず,当社の電気工作物が故障,損傷,破壊等の事故で,電気の供給を中止または 制限を余儀なくされた場合をいう。 (13)停電作業 電気所および送電線等の電力設備を停止して行う作業,出力支障を伴う作業およ び系統運用に影響を及ぼす通信回線の作業ならびに当社との系統協調上必要な発 電者および需要者の保護継電器の動作に影響を及ぼす作業をいう。 (14)系統対策 供給信頼度を平常時並に維持するための他の系統への切り替え,常時の系統構成 と異なる系統での運用および発電機運転(入り)等の運用制約条件を付けること をいう。 (15)供給力 供給区域の需要に対して安定した供給を行うための発電可能な総量をいい,供給 区域の需要と予備力(待機予備力および運転予備力)に分けられる。 (16)供給区域の需給計画 供給区域の需要に対して供給力充足度合を確認するための需給計画 1 (17)待機予備力 起動から全負荷をとるまでに数時間程度を要する供給力をいう。 (18)運転予備力 即時または短時間(10分程度以内)で並列し,待機予備力が並列して発電する までの時間,継続して発電可能な供給力をいう。 (19)瞬動予備力 電源脱落時の周波数低下に対して即時に応動を開始し,急速(10秒程度以内) に出力を上昇し,少なくとも瞬動予備力以外の運転予備力が発動されるまでの時 間,継続して自動発電可能な供給力をいう。 (20)長期固定電源 (21)下げ代 原子力発電所,水力発電所および地熱発電所をいう。 需要が低い時期等において,下げ代不足が発生することに備え,電気の供給を抑 制するための調整力をいう。 2 2.需給計画の作成および調整ならびに周波数調整の目的 需要と供給との均衡を欠くと電力系統の周波数を標準値に保持できず,電力品質の維持および電力系統の 安定な運用ができなくなる。このため,需要の変動および突発的な電源の脱落等を考慮し,必要な予備力お よび調整力を確保した需給計画の作成により安定した供給力の確保を図る。また,その運用において,給電 指令および周波数制御装置により発電機出力および揚水機入力を調整し,各瞬時の需給均衡を図り,電力系 統の周波数を標準値に保持する。 Ⅱ.供給区域の需給バランス 1.需給計画の受領 (1)中給は,供給区域内に需要を有する特定規模電気事業者から提出される需給計画のうち第 1 表に示す需 給計画を受領する。 (2)需給計画における提出期限および提出内容は,当社が定める「託送供給約款」による。 2.発電計画の受領 (1)中給は,供給区域内に発電設備を有する特定規模電気事業者から提出される発電計画のうち第 1 表に示 す発電計画を受領する。 (2)発電計画における提出期限および提出内容は,当社が定める「託送供給約款」による。 (3)中給は,受領した発電計画のうち停電作業の検討に必要とする系制へ,関係する発電計画を通知する。 3.発電設備の停止計画の受領 (1)第2表に示す当社における需給計画の算定箇所は,当社の発電部門および当社と電力受給契約を締結す る事業者から提出される発電設備の停止計画を受領する。 (2)発電設備の停止計画における提出期限および提出内容は,当社が定める「停電作業手続き運用マニュア ル」による。 4.当社における需給計画の算定 (1)供給力予想における算定断面および算定内容は,第2表による。 (2)第2表に示す当社における需給計画の算定箇所は,以下により総需要予想および供給力予想を算定する。 作成予想 総需要予想 供給力予想 考 慮 事 項 ① 需要の周期的変化特性(日間,週間,月間の変化,季節的な変化等) ② 需要の気象条件による変化特性(気温,降雪,日照時間による変化等) ③ 需要の社会的,経済的要因による変化特性(テレビ,冷暖房負荷,大口需要の生産調整による 変化等) ① 自流式および調整池式発電所の予想出力(系制から流入状況,作業関係および下流制約等を集 計) ② 貯水池式および揚水式発電所の運転条件(流入状況,作業関係,洪水制限水位,確保水位およ び下流制約等) ③ 火力発電所および原子力発電所の運転条件(作業関係,試運転出力等) ④ 北海道・本州間連系設備(以下, 「北本連系設備」という。 )の利用計画 ⑤ 受電他社からの受電計画 ⑥ 電力系統の経済運用 ⑦ 待機,運転および瞬動予備力の確保※ ⑧ 適正な潮流分布 ※ 大電源が脱落しても,北本連系設備による受電を考慮して周波数安定維持ができる量の確保を図る。 3 5.供給区域の需給計画算定 (1)中給は,受領した需給計画,総需要予想および供給力予想を考慮し,第3表に基づき供給区域の需要電 力および供給区域の供給電力を算定する。 (2)翌日計画については,以下により供給区域の需給計画を作成する。 作成箇所 作 成 計 画 系 制 ① 指定された発電所の発電計画 ② 指定された受電他社からの受電 計画 (中給へ報告) 中 給 ① 供給区域需給計画 ② 受電他社からの受電計画 (関係箇所への通知および通告) 考 慮 事 項 需要の動向 系統電圧および潮流状況 停電作業予定 河川の出水状況 水系の総合的な効率運用 水力発電所(自流式および調整池式)の効率運用 社 ① 総需要予想 ② 発電計画および受電計画 ③ 水力発電所(貯水池式および揚水式) の効率運用 ④ 火力発電所の効率運用 ⑤ 北本連系設備利用計画 ⑥ 運転予備力および周波数調整 特定規模電 ① 需給計画 気事業を営 ② 北本連系設備の利用計画 む者 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 当 (3)系制および中給は,作成した発電計画および受電計画等について,関係箇所に通知および通告をする。 6.供給区域の需給に関する計画提出 中給は,第3表に基づき,供給区域における需給バランス(供給区域の需要電力および供給区域の供給電 力)を電力広域的運営推進機関(以下,広域機関という)へ提出する。 4 第1表 需給計画,発電計画および発電設備の停止計画における対象 計画名称 対象となる計画 需給計画 全ての需給計画 発電計画 全ての発電計画 発電設備の停止計画 全ての発電設備の停止計画 第2表 当社における需給計画の算定箇所および算定内容 算定断面 算定箇所 算定内容 年間計画 月間計画 週間計画 (第1~2年度) (翌月) (翌週) 工務部系統運用グループ 中給 中給 中給 月毎の 日毎の 日毎の 総需要予想 最大時総需要予想 最大時総需要予想 最大時総需要予想 および および供給力予想 および供給力予想 および供給力予想 供給力予想 翌日計画 第3表 供給区域における需給バランスの提出 提出する 年間計画 月間計画 (第1~ 計画 第2年度) 提出期限 供給 区域 提 出 内 容 需要 電力 供給 区域 供給 電力 毎年 毎月 25 日 3 月 25 日 各月の最大時 需要電力 週間計画 翌日計画 当日計画 毎週 毎日(※) 随時 木曜日 17 時 30 分 (翌月、翌々月) (翌週、翌々週) 各週の最大時需 要電力 日別の最大時需要 電力 翌日の 当日の 最大時需要電力 と予想時刻 最大時需要電力 と予想時刻 最小時需要電力 最小時需要電力 と予想時刻 と予想時刻 需要電力に対 する供給電力 需要電力に対す る供給電力 (※)提出日が休業日の場合も含む。 5 需要電力に対する 供給電力 需要電力に対す る供給電力 需要電力に対す る供給電力 Ⅲ.需給調整 1.需給調整の概念 供給区域の需要電力予想 供給区域の供給電力予想 供給区域の需給計画 運用値の設定 標準値 周波数および北本連 系設備潮流 発電機出力の調整 給電指令による調整 制御装置による調整 2.需給調整 給電指令箇所は, 「Ⅱ.5.供給区域の需給計画の算定」で作成された供給区域の需給計画をもとに当日の 出水,需要,潮流および電圧状況を勘案し,需給調整を行う。 なお, 需給調整を行うにあたって供給区域の需給計画の変更が必要な場合は, 関係箇所に連絡のうえ行う。 3.需給逼迫時の措置 (1)運転予備力の確保対策 中給は,電力設備の故障,需要予測又は発電予測の誤差等により運転予備力が不足し,需給が逼迫または 逼迫が予想される場合,需給の均衡を確保するため需要動向(需要の増加度合)および気象状況の変化等を みながら,以下の措置により運転予備力の増加に努める。 a.当社が調達した発電機による供給力の確保 ① 待機予備力の追加並列 ② 発電機の出力抑制を伴う電力設備の作業の中止 ③ 水力発電機の運転パターンの変更および調整 ④火力発電機の定格出力を超える運転 ⑤ その他速やかに供給区域内の供給力を増加することができる方法 b.他の電気事業者からの供給力の調達 (2)広域機関に対する電力受電指示の要請 中給は, (1)の処置を行っても,当日の最大需要に対して運転予備力が3%を下回った場合あるいは 下回ると予想される場合は,必要により翌日計画提出期限の後に,広域機関に対して電力受電の指示を要 請する。 6 (3)運転予備力が不足する場合の需要の抑制または遮断 中給は, (1)および(2)の処置を行っても運転予備力が不足する場合,需要の抑制または遮断を行う。 ただし,緊急の場合は,全ての運転予備力の確保対策を講じることなく,需要の抑制または遮断を行うこ とができる。 なお,中給は需要の抑制または遮断を行うにあたり,社会的影響を考慮するとともに,電気事業者および 需要者間の公平性に配慮する。 また,中給は,需要の抑制または遮断を行った場合,遅滞なく,対象となった電気事業者および需要者に 対して需要の抑制または遮断の措置を講じた理由を説明する。 4.下げ代の確保 (1)下げ代の確保 中給は,当社が調達した水力発電機、火力発電機その他の発電機(但し、迅速に出力の抑制が可能なも のに限る。)の出力の抑制及び揚水式発電機の揚水運転(以下、発電機の出力の抑制及び揚水式発電機の 揚水運転を総称して「出力抑制等」という。)により確保する。 (2)下げ代不足時の措置 中給は,需要予測または発電予測の誤差,出水の増加,揚水式発電機の故障等により,下げ代不足が発生 するまたは発生するおそれがある場合,次に掲げる順序に基づく措置により,下げ代の確保に努める。 a.当社が調達したバイオマス専焼電源の出力抑制 b.当社が調達した地域資源バイオマス電源(燃料貯蔵の困難性,技術的制約等により出力制御が困難なも のを除く。ただし,緊急時はこの限りではない。 )の出力抑制 c.卸電力取引所における取引による電力の販売 d.当社が調達した自然変動電源の出力抑制 e.広域機関の指示による電力の送電 f.特定規模電気事業者,特定電気事業者または自己託送を利用する発電者(以下,「特定規模電気事業者等」 という。 )の発電機(長期固定電源を除く。 )の出力抑制等 g.長期固定電源の出力抑制 (3)発電機の出力抑制および停止時の考慮事項 当社および特定規模電気事業者等の発電機の出力抑制に際しては,事後の運用に支障が生じないよう, 常に完全に停止させるのではなく,最低負荷限度相当に抑制する等の措置を行う。ただし,発電機の停止 が可能な場合は,必要に応じ停止する。 なお,出力抑制または停止を指令する際には,個別の発電機の出力変化速度,燃料種別および抑制可能 量を考慮する。 (4)広域機関に対する電力送電指示の要請 中給は, (2)に定める順序に基づき,必要により翌日空容量算出用提出期限の後に,広域機関に対して 電力送電の指示を要請する。 (5)自然変動電源の出力抑制を行った場合の検証 中給は, (2)に定める自然変動電源の出力抑制を行った場合,広域機関に対し,速やかに次に掲げる事 項の説明を行うとともに,これを裏付ける資料を提出する。 a.当社が調達した自然変動電源の出力抑制を指令した時点で予想した需給状況 b.中給が講じた下げ代不足時の措置の具体的内容 c.aおよびbの措置を行う必要性 (6)特定規模電気事業者等の発電機の出力抑制の発令条件 中給は,調達した周波数調整に必要な調整容量を確保したうえで(3)に基づいて発電機を運用するが, 広域機関からの指示による電力の供給を実施しても,以下の状況が予想される場合は,原則として特定規 模電気事業者等と事前協議のうえ,発電機の出力抑制を指令する。 7 a.発電力より需要と揚水動力の合計が下回る場合 b.揚水動力の継続により,揚水式発電所のダム(上部および下部)の貯水量が貯水容量を超過する場合 (7)特定規模電気事業者等の発電機の出力抑制の発令対象者 中給は,原則としてエリア内の特定規模電気事業者へ発電機の出力抑制を指令する。ただし,需要の急激 な減少,急激な出水その他緊急を要する場合は, (2)の順序によらず,エリア内の発電機を保有する者に 対して直接指令することができる。 この場合,中給は,出力抑制を指令した発電機を保有する者から電気の供給を受ける特定規模電気事業者 等へ,速やかに連絡する。 (8)特定規模電気事業者等の発電機の出力抑制を行った場合の説明および検証 中給は,特定規模電気事業者等の発電機の出力抑制を指令する場合,特定規模電気事業者等に対し,事前 または事後速やかに,次に定める事項について説明する。 a.出力抑制を発令した時点における需給状況の見込み b.出力抑制の具体的内容 c.出力抑制を行う必要性 中給は,特定規模電気事業者等の発電機の出力抑制を指令した後,速やかに,広域機関に対してa~cの 説明を行うとともに,これを裏付ける資料を提出する。 5. 運転予備力の確保 (1)基本的考え方 中給は,供給区域の電力系統の供給信頼度を確保するため,気温予測誤差等による最大需要予測差を考 慮し,原則として当日の最大需要に対し少なくとも3~5%の運転予備力の確保に努める。ただし,供給 区域における最大電源ユニット相当量の発電機事故に対しては,上記に加え北本連系設備からの受電を考 慮し,必要量の確保に努める。 なお,中給は,天候急変による需要変動ならびに塩害,雷害および雪害等により電力系統に事故が発生 する可能性がある場合は,運転予備力の増加に努める。 (2)運転予備力の保有方法 中給は,運転予備力を保有することに努め,運転予備力の保有にあたっては,出力変化速度,調整容量 等機器の特性および燃料種別等需給運用の経済性も考慮する。具体的には以下のとおりとする。 a.中給は,常時,以下により運転予備力を確保する。 ① 水力発電所および火力発電所の運転中発電機の余力 ② 停止待機中の水力発電機(揚水発電機を含む。 ) b.中給は,運転予備力の増加対策が必要な場合,以下の処置をする。 ① 停止待機中の火力発電機の追加並列 ② 発電機の出力抑制を伴う作業(送変電設備を含む。 )の中止 ③ 揚水運転の中止 ④ 取引所取引での供給力の調達 6.瞬動予備力の確保 (1)基本的考え方 中給は, 瞬時性の需要変動や発電機の事故等極めて短時間内に生じる需給アンバランスに対応するため, 原則として系統容量に対し3%程度の瞬動予備力の確保に努める。 (2)瞬動予備力の保有 中給は,以下により瞬動予備力を保有することに努める。 ① 発電機のガバナフリー運転 ② 北本連系設備の緊急融通分 ③ 揚水式発電所の揚水運転時における揚水遮断 8 Ⅳ.系統周波数調整 当社は標準周波数50Hzに対し,平常時はこの標準周波数±0.3Hz以内に保持することを目標に周波 数調整を行う。 1.周波数調整目標 標準周波数 50.0Hz 調整目標範囲 ±0.3Hz以内 常時の状態での時差 3 秒以内 2.周波数調整および指令 電力系統全体の周波数調整は,中給が行う。ただし,事故により単独系統が発生した場合は,中給の指令 により運転制御担当箇所が単独系統の周波数調整を行う。これには供給区域内の受電他社を含む。 3.周波数調整方法 周波数調整は,電源側で行うことを原則とし,当社が調達した発電機を優先して以下により行う。 調 整 箇 所 調 整 方 法 お よ び 調 整 内 容 水力発電所(自流式,調整池式) ,火力発電 所および原子力発電所 火力発電所 調速機運転 AFC水力発電所 AFC 北本連系函館変換所 北本連系設備によるAFC (注) EDC:経済負荷配分制御 有効電力制御(EDC,AFC) AFC:自動周波数制御 (1)平常時の周波数調整 a.周波数調整にあたっての基本事項 中給は,以下の事項に留意して当社が調達した発電機で周波数調整を行う。 (a)需要の動向にあわせて当社が調達した発電機の出力を調整し,需要と供給との均衡を維持する。 (b)原則として,系統容量の1~2%の周波数調整能力を確保し,供給区域内の需要変動に応じて出力 指令値を補正し,周波数および時差を周波数調整目標に維持するよう努める。 (c)朝の立ち上がり等需要の急変時においても周波数および時差の変動を周波数調整目標以内とするよ う周波数調整能力の保持に努める。 b.調整箇所における対応 (a)中給 常に電力系統の総需要および供給力の現状ならびにこれらの予想を的確に行い,必要な供給力(瞬 動予備力および運転予備力を含む。 )および調整量を確保するため,以下の処置をとる。 ① 火力発電所に所管箇所の発電機出力調整または運転方式の変更を指令する。 ② 系制に管轄区域内発電所の発電機出力調整または運転方式の変更を指令する。 (b)系制 周波数調整に必要な以下の情報を中給へ報告または連絡をする。 ① 管轄区域内の需要動向を的確に把握し,平常時の周波数調整に必要な情報を中給に報告する。 ② AFC運転およびガバナフリー運転中の発電機出力応動状況に異常を認めた場合または運転継 続に支障を生じた場合は,速やかに中給に報告する。 ③ 中給の指令またはAFC装置等による出力調整により,電力系統内の潮流調整,水系運用およ びその他系統運用上不都合な影響を生ずる場合またはその可能性がある場合は,速やかに中給 に報告する。 ④ 周波数制御発電所の出力,水位,電力系統の周波数および潮流状況を監視し,必要があれば中 給に連絡する。 9 (c)火力発電所 運転制御担当箇所は,AFC運転およびガバナフリー運転中の発電機出力応動状況等に異常を認め た場合または運転継続に支障を生じた場合,速やかに中給に報告する。 (d)原子力発電所 運転制御担当箇所は,運転に異常を認めた場合,速やかに中給に報告する。 (2)異常時の周波数調整 中給は,発電機の故障,需要の急変および系統故障により周波数が大幅に低下または上昇あるいは平常 時の周波数調整目標値を継続的に逸脱した場合またはその可能性がある場合,電力系統の安定維持および 発電機の安定運転のため,発電機の出力調整または遮断あるいは需要の抑制または遮断を行う。 なお,実施においては,発電者の発電機の出力調整または遮断を優先する。 a.異常天候時の対応 中給および系制は,次により対応する。 (a)暴風,暴風雪,雷および塩害等の異常現象が予想される場合,瞬動予備力および運転予備力の確保 ならびに電源の適正配分に留意する。 (b)系統事故の可能性が高まった場合は,送電線ルートアウト等による大容量電源脱落等を考慮した系 統対策を行う。 b.周波数異常時の回復処置 周波数が大幅に変動し,周波数の維持が困難な状態が継続する場合又は継続するおそれがある場合には, 以下により対応する。 (a)発電側の対策 中給は,以下の処置を行う。 イ.発電機の出力調整または遮断の指令にあたっては,当社が調達した発電機を優先する。 ロ.中給は,発電機の出力変化速度等を考慮し,周波数の回復に効果的な発電機に対して出力調整また は遮断を指令する。 ハ.中給は,イ.を行っても周波数が平常時の周波数調整目標値を継続的に逸脱している場合または逸 脱することが予想される場合は,供給区域内の特定規模電気事業者に供する発電者に対し,給電協定 書等に基づき発電機の出力調整または遮断を指令する。指令を受けた特定規模電気事業者に供する発 電者は,発電機の出力調整または遮断について,設備上可能な範囲で行う。 ニ.中給は,系統周波数が上昇し,発電機の出力調整では間に合わず安定供給が維持できないと判断し た場合は,発電機の遮断を指令する。 ホ.中給は,特定規模電気事業の用に供する発電者へ直接指令した場合,速やかに当該の特定規模電気 事業者へ連絡する。 (b)系制の自主操作 系制は,系統周波数が異常の場合は,中給からの指令を待つことなく「事故時操作細則(その1)」 で定める自主操作を行う。 なお,操作を行った後は速やかに中給に報告する。 (c)火力発電所の自主操作 火力発電所の運転担当箇所は系統周波数が異常の場合は,中給の指令を待つことなく「事故時操作細 則(その1)」で定める自主操作を行う。 なお,操作を行った後は速やかに中給に報告する。 (d)原子力発電所の自主操作 原子力発電所の運転担当箇所は系統周波数が異常の場合は,中給の指令を待つことなく「事故時操作 細則(その1)」で定める自主操作を行う。 なお,操作を行った後は速やかに中給に報告する。 10 (e)周波数異常低下時における需要側の対策 中給は,b. (a)の対策を行ってもなお周波数が低下する場合または発電側の対策が間に合わず安 定供給が維持できない場合は,以下の事項を考慮し,需要の抑制または遮断を行う。 イ.中給は,以下の需要の抑制または遮断を指令する。 (イ)揚水機の入力制限 (ロ)負荷抑制を指令 (ハ)送電線の開放を指令 (ニ)系統分離を指令 ロ.中給は,需要の抑制または遮断するにあたり,社会的影響を考慮するとともに,需要者すべてを 公平に扱うよう努める。 ハ.需要の抑制または遮断が長時間に及ぶと判断される場合は,「d.継続的供給力不足時の処置」に 移行する。 (f)北本連系設備による緊急的な電力の受給 c.周波数回復後の処置 (a)平常運用への復帰の給電指令 中給は,周波数を適正に戻すための処置の終了後,電力系統の安定運用の確保を優先しつつ,給電 指令を行った発電者および需要者に対して平常運用への復帰を指令する。 (b)事後説明 当社は,周波数が周波数調整目標値に回復した後,給電指令を行った発電者および需要者に対し, 周波数の上昇または低下の状況および行った給電指令について求めに応じて説明する。 d.継続的供給力不足時の処置 大電源脱落事故等による供給力不足が長時間継続し,周波数調整目標範囲の保持が困難と予想される 場合または困難となった場合,中給は,需要者に対し節電要請および必要需要抑制期間,抑制量および 抑制方法について関係箇所と協議のうえ行う。 4.周波数制御装置の運用 (1)制御装置の適用範囲 このマニュアルを適用する自動周波数制御装置(AFC装置)および関連制御装置は,以下のとおりと する。周波数自動制御対象発電所は,工務部系統運用グループが決定する。 設 置 箇 所 周波数自動制御対象発電所 装 置 内 AFC関連制御装置(調速機調定,出力調整) 容 (2)制御装置の整定 a.整定内容 制 御 装 置 AFC関連制御装置 整 定 内 容 (水力発電所) 様式1「周波数制御装置整定票」 (水力発電設備用)の整定項目による。 (火力発電所,原子力発電所,地熱発電所およびガスタービン発電所) 様式2「周波数制御装置整定票」 (火力発電設備用および原子力発電設備 用)の整定項目による。 11 b.周波数制御装置の整定手続き 発電所の新設,増設,改良および運用変更等に伴い整定または整定変更が必要な場合は,下表に基づ き整定手続きを行う。 (a)整定の依頼 設備区分 火力発電所 原子力発電所 工事機関 水力発電所 地熱発電所 ガスタービン発 電所 依頼箇所 所運用担 当箇所 保守担当 箇所 系制 内 容 発電所の新設,増設,改良および運用変更等に伴い整定または整定変更が 必要な場合は,工務部系統運用グループに整定検討を依頼する。この場合, 整定検討に必要な資料および運用上の制約事項を連絡する。 発電所の新設,増設および改良に伴い整定または整定変更が必要な場合 は,管轄する系制経由で工務部系統運用グループに整定検討を依頼する。 この場合,整定検討に必要な資料および運用上の制約事項を連絡する。 運用変更等に伴い整定変更が必要な場合は,工務部系統運用グループに整 定検討を依頼する。 (b)整定検討書の作成 作成箇所 工務部 系統運用グループ 手 続 き 内 容 整定または整定変更が必要な場合および整定変更の依頼があった場合は,整定に必要 な資料および制約事項等を勘案のうえ,整定検討書を作成し,整定依頼箇所に提出す る。 ① 火力発電所,原子力発電所および工事機関の場合は,整定検討書を所運用担当箇 所に提出する。 ② 水力発電所,地熱発電所およびガスタービン発電所の場合は,整定検討書を管轄 する系制を経由のうえ設備所管箇所に提出する。 (c)整定の決定および通知(別表2「周波数制御装置整定の通知,指令および報告経路」参照) 作成箇所 工務部 系統運用グループ 手 続 き 内 容 整定検討書に基づき周波数制御装置整定票(以下, 「整定票」という。 )を発行し,整 定依頼箇所に通知する。 ① 火力発電所,原子力発電所および工事機関の場合は,整定票を発行し,所運用担 当箇所に通知する。 ② 水力発電所,地熱発電所およびガスタービン発電所の場合は,整定票を発行し, 管轄する系制を経由のうえ保守担当箇所に通知する。 注1 周波数制御装置整定票は,以下の様式を用いる。 様式 1 周波数制御装置整定票(水力発電設備用) 様式2 周波数制御装置整定票(火力発電設備用,原子力発電設備用) 注2 地熱発電設備およびガスタービン発電設備は,様式2を用いる。 注3 工事機関で発電所が営業運転開始前の場合は,暫定の周波数制御装置整定票を発行することがで きる。 (d)整定の実施および報告(別表2「周波数制御装置整定の通知,指令および報告経路」参照) 箇 所 所運用担当箇所 保守担当箇所 実 施 ・ 報 告 中給の指令により,整定票に従い整定する。 整定実施後,速やかに整定完了を報告する。 管轄する系制の指令により,整定票に従い整定する。 整定実施後,速やかに指令箇所に整定完了を報告する。 12 内 容 c.整定の臨時的な変更 整定を臨時的に変更して運用する必要が生じた場合は,以下のとおりとする。 箇 所 中 給 系 制 所運用担当箇所 保守担当箇所 変 更 内 容 作業その他により整定変更が必要な場合は,口頭により整定変更を指令することがで きる。 なお,系制は,中給と打合せのうえ変更を指令する。 ① 中給および系制の指令により整定を変更する。 ② 整定変更後,速やかに指令箇所に整定変更を報告する。 13 供給区域の需給計画作成フロー 別表1 中 給 系 ① 当日水力発電所の流入,水位および 運転状況確認 制 ① 当日水力発電所の流入,水位お よび運転状況確認 ② 当日需給状況確認 ② 当日需給状況確認 ③ 停電作業計画確認 ③ 停電作業計画確認 ④ 既決定融通確認 特定規模電気事業者の 需給計画,その他事業 供給区域の需要予想 者の北本連系設備の利 用計画 水系使用方針打合せ 水系使用方針打合せ ① 指定された発電所の ① 主要水力発電所の発電計画作成 発電計画作成 ② 受電他社の発電計画作成 ② 指定された受電他社の発 電計画作成 発電計画,受電計画の報告 発電計画,受電計画の収集 火力・原子力発電所の運転計画作成 供給区域の需給計画帳票出力 北本連系設備利用計画作成 決定 決定通知・通告 決定通知・通告受領 終了 決定通知・通告 終了 14 別表2 周波数制御装置整定の通知,指令および報告経路 1.水力発電設備(地熱発電設備,ガスタービン発電設備および工事機関の発電設備を含む。 ) 1部 中 給 工務部系統運用グループ 3部作成 報告 2 部 報 告 1 部 系 制 指 令 系制管轄の設備所管箇所 報 告 凡例 :整定担当箇所 :整定票送付経路 2.火力発電所および原子力発電所 1部 工務部系統運用グループ 中 3部作成 給 報告 1 指 報 部 令 告 1 部 系 制 所運用担当箇所 凡例 :整定担当箇所 :整定票送付経路 15 様式1 第 号 経由 経由 経由 御中 周波数制御装置整定票(水力発電設備用) 発行 年 月 日 工務部系統運用グループ 整定 年 日 変更 年 月 発電所 運転方式 ガバナフリー 制御方式 AFC MW ~ MW (Hz) 整定 機 器 出 力 変化速度 周波数異常 検 出 号 (MW/分) (Hz) 周 直線 1段折線 調 速 機 波 2段折線 数 出力(%) 調 定 率 (Hz) 運転制約 事 日 中央給電指令所 所 名 出力調整幅 月 項 そ の 他 北 海 道 電 力 株 式 会 社 16 様式2 経由 経由 工務部系統運用グループ 周波数制御装置整定票(火力発電設備用,原子力発電設備用) 中央給電指令所 御中 発行 年 所 月 日 整定 年 名 月 日 変更 発 電 所 出 力 上 下 限 値 下限値 ゾーン ミル台数 (MW) 上限値 (MW) ALR(APC) AFR 変化速度 余裕値 MW (MW/分) % 年 機 月 日 器 号 出 力 上 下 限 値 ゾーン名 ミル台数 下限値 (MW) 上限値 (MW) ALR(APC) AFR 変化速度 余裕値 MW (MW/分) % EDC+LLM EDC+G F 17 固定ベース ガバナフリー セ ミ ガバナ ロード リミッタ 整 定 周 調 速 機 直 線 調 定 率 1段折線 2段折線 波 出力(%) 数 (Hz) そ の 他 必 要 事 項 注;その他必要事項の他に参考事項として使用燃料ミル型式,ミルチャージ時間, 最低負荷,過負荷運転,周波数継電器整定値等を記載する。
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