発 表 資 料

軟弱地盤対策に関するニーズ
経済的に沈下と側方流動を抑制できる
杭・壁併用型地盤改良工法(コラムリンク工法)
・住居等が近接しているので周辺地盤への影響を低減
⇒盛土基礎地盤の側方流動低減等
・工期の短縮
⇒圧密沈下促進、改良体作成工期の短縮等
・工費の縮減
⇒特別な機材が不要、工期短縮による人件費軽減等
・盛土構築後の残留沈下量抑制
(独)土木研究所 施工技術チーム
主任研究員 近藤 益央
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
1
Public Works Research Institute
コラムリンク工法の開発
軟弱地盤上の道路盛土・河川堤防の構築
・盛土近傍に家屋などが近接する箇所では、盛土基礎地盤の
側方流動や引き込み沈下に伴う周辺地盤への影響が課題
法尻ブロック形式
周辺変位は小さく抑えられる
断面図
.
2
Public Works Research Institute
・周辺地盤への影響の抑制と経済性を両立できる工法の開発
⇒盛土基礎地盤の側方流動低減等
⇒圧密沈下促進、改良体作成工期の短縮等
⇒特別な機材が不要、工期短縮による人件費軽減等
浮式・低改良率形式
周辺変位が発生
断面図
.
盛土
・民間13社との協同開発(平成18年~23年度)
「側方流動対策としての地盤改良技術に関する共同研究」
盛土
清水建設、大成建設、小野田ケミコ、五洋建設、三信建設工業、
三和機材、竹中土木、東亜建設工業、東洋建設、日特建設、
不動テトラ
軟弱層
軟弱層
改良体積が多い
平面図
・特許・商標
改良体積は少ない
平面図
(特許番号)特許第4310502号
(商標番号)商標第5244477号
.
.
周辺変位抑制:○ 経済性:×
・新技術情報提供システムNETIS
登録番号 QS-120003-A
周辺変位抑制:△ 経済性:○
周辺変位抑制と経済性を両立する工法が求められる
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コラムリンク工法とは
5
平面図
・壁内部地盤の側方流動を抑制
・基本的には基盤定着型
断面図
盛土
繋ぎ材
側部壁
外部杭
内部杭
(PC鋼線)
内部杭(杭状改良体)
・壁内部地盤の沈下を抑制
外部杭(杭状改良体)
芯材
(H鋼)
中間砂層k=10-2cm/s
8.0
上下流水頭 H (m)
・壁内部地盤の側方流動を抑制
・杭に比べて盛土荷重を多く負担
側部壁の影響
側部壁(壁状改良体)
・杭状改良体と壁状改良体を
機能的に配置した地盤改良工法
→経済性と変位抑制を両立
側部壁(壁状改良体)
CASE1 無改良
CASE2 低改良工法
CASE3 コラムリンク工法
・壁頭部の傾斜を抑制
コラムリンク
盛土区間
7 .3 3 m
36.48m
7.5
7 .3 0 m
低改良工法
6 .9 8 m
7 .2 5 m
6 .9 2 m
7.0
無改良
6 .8 8 m
6.5
0
10
20
30
40
・法面下部地盤の変形を抑制
芯材+繋ぎ材
4
Public Works Research Institute
3
コラムリンク工法
(名称)盛土支持地盤の補強構造
(商標)コラムリンク
軟弱層
支持層
50
60
70
距離 L (m)
80
90
100
110
120
130
地下水流の阻害はほとんどない
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Public Works Research Institute
6
57
コラムリンク工法の適用範囲
コラムリンク工法が適用できない範囲
1)深層混合処理工(セメントミルク攪拌工あるいは粉体噴射撹拌工の適用範囲に準拠)
・地盤改良深度 : 40m以下を標準とする
・地盤改良体の改良径 : φ1000~1300mm×2軸を標準とする
・適用地盤 : 粘性土 最大C=100kN/㎡(N=10)、砂質土 最大N=30
・改良体強度 : 設計強度は、1.0MN/㎡以下を標準とする
2)芯材(H鋼)打設工
・芯材打設深度 : 5m以下を標準とする
・芯材形状 : H-200×200を標準とする
1)地盤条件
・粘着力100 kN/㎡(N=10)以上の粘性土
・N値30以上の砂質土
2)現場条件
・深層混合処理工のベースマシンが入らない狭隘地
3)敷き網工
・材料 : ジオテキスタイルを標準とする
・仕様 : 製品基準強度 Tmax=100kN/m(100L)を標準とする
4)繋ぎ材
・材料 : アンボンドPC鋼より線
・仕様 : φ15.2mm、引張荷重Tus=261kN
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平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
7
Public Works Research Institute
9
遠心模型実験による効果の検証
・静的載荷実験
目的:盛土載荷時の地盤挙動の確認、他工法との比較
実験:改良した粘土地盤に盛土を載荷→地盤の変形を計測
模型概要
断面図
m
2
.
4
m
7
.
3
8
Public Works Research Institute
遠心模型実験による効果の検証
・静的載荷実験
鉛直変位コンター
試験状況
(cm)
90
70
50
30
10
数値は実大換算
盛土:ジルコン砂
(かさ密度31.8kN/m 3 )
内部杭
m
0
.
m 5
8 1
.
9
1
外部杭
軟弱層:カオリン粘土
側部壁
m
8
.
0
m
0
.
1
m
0
.
3
支持層:東北硅砂6号
平面図
壁状改良体位置
m
0
.
2
1
m
8
.
m
1
6
.
m2
2
.
2
m
8
.
0
1
=
3
@
6
.
3
m
2
.
2
m
6
.
m2
8
.
1
m
0
.
2
1
・コラムリンク工法では側部壁内側でのみ鉛直変位が発生し、
壁の外側ではほとんど鉛直変位が発生していない
10
解析による効果の検証
解析による効果の検証
・2次元解析を用いた他工法との比較
目的:コラムリンク工法と他工法の変位抑制効果・経済性の比較
解析:下記3形式の複数の仕様で、改良体積と変位の関係を比較
法尻から10m離れた地点の沈下量
m
m
8
.
6
8
断面図 .
6
m
2
.
9
3
低改良率形式
m
0
.
1
浅層改良
m
2
.
9
3
コラムリンク工法
m
8
.
6
m
0
.
3
芯材 繋ぎ材
ジオテキ
スタイル
m
2
.
9
3
コラムリンク
m
5
.
6
3
m
5
.
6
3
m
5
.
6
3
11
低改良率形式
法尻ブロック形式
8
6
4
2
0
0
平面図
58
法尻から10m地点の沈下量(cm)
法尻ブロック形式
10
100
200
300
400
奥行1mあたりの改良体積(m3/m)
500
・他工法に比べて、少ない改良体積で周辺地盤変位を抑制
⇒周辺変位抑制と経済性を両立
12
解析による効果の検証
解析による効果の検証
盛土中央部の沈下量
2次元解析との比較
盛土中央沈下量(cm)
コラムリンク
低改良率形式
盛立完了後の地表面沈下量増分(cm)
100
法尻ブロック形式
80
60
40
20
0
0
100
200
300
400
奥行1mあたりの改良体積(m3/m)
500
-10
周辺地盤変位制限値:±2cm
10m
-5
盛土の概形
地表面
0
5
10
側部壁位置
動態観測結果
15
解析結果
20
0
10
20
30
・盛土の沈下抑制に優れる低改良率形式と
同程度の効果を確認
13
設計手法における工夫
最適仕様の検討手順
最適仕様の検討手順
平面配置の設定
改良深度の検討
仕様決定
60
改良率の設定
平面配置の設定
改良深度の検討
14
仕様決定
②側部壁を法肩下部付近に配置
→盛土荷重の負担と地盤の側方流動抑制を両立する位置
①盛土荷重を支えるために必要な平面改良率
→盛土荷重と改良体強度のつり合いから算出
例えば…
・盛土高さ7.0m(単位体積重量γ=19.0kN/m3)
・改良体の設計基準強度1,000kN/m2
③算出した平面改良率を上回る量の内部杭・外部杭を
概ね均等になるように配置
→内部杭:盛土中心部の荷重を負担
外部杭:法尻部の荷重を負担
繋ぎ材は6本を基本
盛土荷重=7.0×19.0=133kN/m2
平面図
内部杭・外部杭のピッチ
平面図
・横断方向 2.0~5.0m
盛土荷重を改良体が全て負担する時の平面改良率αは
α×1,000>133
α>13.3%
50
・実地盤の挙動を2次元解析で精度よく再現できた
設計手法における工夫
改良率の設定
40
盛土中心からの距離(m)
・縦断方向 2.0~7.0m
最小改良率は13.3%
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15
Public Works Research Institute
設計手法における工夫
17
最適仕様の検討手順
改良率の設定
16
設計手法における工夫
最適仕様の検討手順
平面配置の設定
改良深度の検討
仕様決定
改良率の設定
平面配置の設定
改良深度の検討
仕様決定
⑤変位制限値との比較から、最適仕様の検討範囲を絞り込む
⑤変位制限値との比較から、最適仕様の検討範囲を絞り込む
Public Works Research Institute
盛 土
盛 土
変位制限値
小
←
改良体積
→
変位
←
壁・杭着底
壁のみ着底
⑥検討範囲付近で、
変位制限値を満足
する、最小改良体
積の仕様を検討し
最適仕様とする
壁・杭浮き
→
大
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Public Works Research Institute
最適仕様の
検討範囲
盛 土
盛 土
壁・杭着底
壁のみ着底
盛 土
盛 土
小
→
変位
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
最適仕様の
検討範囲
盛 土
小
←
壁・杭浮き
壁・杭浮き
大
④改良仕様の極端な3形式の変位を計算し、改良体積との
関係を図化
大
④改良仕様の極端な3形式の変位を計算し、改良体積との
関係を図化
変位制限値
小
←
改良体積
→ 大
18
59
現場施工例
現場施工例
目的:実施工と事後の動態観測から、施工性・改良効果を検証
適用場所:熊本県の有明海沿岸部、軟弱粘土層が40m
断面図
位置図
平面図
土層断面図
熊本宇土道路
L=3,800m
変位制限値
海路口IC
・盛土沈下量
→30cm以下(供用開始後)
城塚IC
・法尻から10m地点の沈下量
→10cm以下(施工開始後)
19
20
現場施工例
現場施工例
既存の深層混合処理機械で施工可
地盤改良後の地表面状況
内部杭
外部杭
側部壁
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21
現場施工例
盛土直下の改良のみのため盛土施工に影響を与えない
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60
22
現場施工例
対策効果を高める芯材、敷材
Public Works Research Institute
Public Works Research Institute
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
23
Public Works Research Institute
24
現場施工におけるニーズの確認
ニーズ
沈 下 量
・周辺地盤への影響を低減
⇒盛土基礎地盤の側方流動低減等
沈下量 (cm)
・工期の短縮
⇒圧密沈下促進、改良体作成工期の短縮等
・工費の縮減
⇒特別な機材が不要、工期短縮による人件費軽減等
(cm)
・盛土構築後の残留沈下量抑制
「周辺地盤への影響低減」
のり尻
のり肩
25
25
のり尻から10m
盛土完成時
20
20
盛土完成後40ヶ月
15
15
・法尻から10m地点の沈下量
→10cm以下(施工開始後)
10
10
5
00
00
10
10
20
20
30
30
40
40
盛土中心からの距離 (m)
50
50
60
60
盛土中心からの距離 (m)
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平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
25
Public Works Research Institute
ニーズ
「周辺地盤への影響低減」
のり尻
11
水平変位
水 平 変 位 (cm)
現場施工におけるニーズの確認
・周辺地盤への影響を低減
⇒盛土基礎地盤の側方流動低減等
のり尻から10m
00
・工期の短縮
⇒圧密沈下促進、改良体作成工期の短縮等
‐1
‐1
・工費の縮減
⇒特別な機材が不要、工期短縮による人件費軽減等
‐2
‐2
(cm) ‐3
盛土完成時
‐3
‐4
‐4
26
Public Works Research Institute
盛土完成後40ヶ月
10
10
00
20
20
40
40
30
30
・盛土構築後の残留沈下量抑制
60
60
50
50
盛土中心からの距離 (m)
盛土中心からの距離
(m)
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
27
Public Works Research Institute
ニーズ
「工期の短縮」
現場施工におけるニーズの確認
比較 :法尻から10m地点の鉛直変位が2cmとなる仕様を
条件
解析で求め、縦断方向100mの工期を比較した
改良形式
m
0
.
8
m
8
.
6
m
0
.
8
断面図
法尻ブロック形式
m
2
.
9
3
低改良率着底+浅層改良
m
8
.
6
m
0
.
1
28
Public Works Research Institute
浅層改良
m
8
.
6
m
0
.
3
ジオテキ
スタイル
芯材 繋ぎ材
m
0
.
1
3
m
2
.
9
3
m
2
.
9
3
・周辺地盤への影響を低減
⇒盛土基礎地盤の側方流動低減等
コラムリンク工法
・工期の短縮
⇒圧密沈下促進、改良体作成工期の短縮等
・工費の縮減
⇒特別な機材が不要、工期短縮による人件費軽減等
側部壁
m
0
.
3
3
=
2
1
@
5
7
.
2
m
0
.
1
24,923m3
294日(59.2%)
m
5
.
2
m
0
.
5
m
5
7
.
2
・盛土構築後の残留沈下量抑制
m
5
7
.
2
m
5
.
6
3
m
5
.
6
3
49,260m3
497日(100%)
m
0
.
5
1
m
5
7
.
2
m
1
.
2
m
5
7
.
2
m
0
.
1
m
5
.
6
3
工期
m
0
.
1
深層改良体積
m
0
. m
5
.
1 0
1
m
3
.
6
=
3
@
1
.
2
m
6
.
3
3
=
6
1
@ m
1 1
.
.
2
2
m
0
.
7
=
7
@
0
.
1
平面図
17,526m3
255日(51.3%)
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
29
30
Public Works Research Institute
61
ニーズ
「工期の短縮」
現場施工におけるニーズの確認
比較 :法尻から10m地点の鉛直変位が2cmとなる仕様を
条件
解析で求め、縦断方向100mの工期を比較した
改良形式
法尻ブロック形式
m
0
.
8
m
0
.
8
m
8
.
6
断面図
m
2
.
9
3
低改良率着底+浅層改良
m
8
.
6
m
8
.
6
浅層改良
m
0
.
1
m
0
.
3
ジオテキ
スタイル
芯材 繋ぎ材
m
0
.
1
3
m
2
.
9
3
m
2
.
9
3
・周辺地盤への影響を低減
⇒盛土基礎地盤の側方流動低減等
コラムリンク工法
・工期の短縮
⇒圧密沈下促進、改良体作成工期の短縮等
・工費の縮減
⇒特別な機材が不要、工期短縮による人件費軽減等
側部壁
m
5
.
2
17,526m3
24,923m3
49,260m3
24,700万(100%)
17,700万(71.7%)
14,500万(58.7%)
31
ニーズ
「残留沈下量抑制」
20
20
6.0
15
15
4.5
沈 下 量
盛土完成ま
での沈下量
約12cm
55
盛土高さ
00
0
0
200
200
400
400
600
600
時
800
800
1000
1,000
1200
1400
1,200
1,400
(m)
1.5
・コラムリンク工法マニュアルの作成
平成27年発行に向けて作成中
0.0
1600
1,600
間 (日)
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
Public Works Research Institute
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
33
まとめ
・本工法は、盛土や周辺地盤に設定された変位制限値に対して、
杭状の改良体と壁状の改良体を最適に配置することで、低改
良で効果的に沈下・水平変位を抑制できる工法である。
・本工法は、組合せにより改良仕様が無数に存在する工法であ
るが、要求される変位制限値に対して、最適仕様を簡易に求
められる設計手法を考案した。
・従来技術の深層混合処理をベースにしているため、施工に特
殊な機械を必要としないため、汎用性の高い工法である。
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
Public Works Research Institute
62
32
・事務局
(一財)土木研究センター
3.0
盛土中央A1
盛土中央A6
Public Works Research Institute
・本技術の向上及び普及の促進を通じて、社会に貢献すること
を目的とし、技術の改良、普及活動に取り組むために「コラ
ムリンク工法研究会」を平成24年9月に設立
(1)本工法の普及及び関連技術情報の収集
(2)本工法の設計、施工に関わる技術資料の整備
(3)本工法の改善・改良及び用途開発と用途拡大のため
の技術開発
(4)本工法に関わる産業財産権の運営管理業務の支援
盛 土 高 さ
25
25
盛土完成後の9.0
残留沈下量
約9cm 7.5
(cm) 1010
平成26年度土研新技術ショーケース in 大阪
コラムリンク工法研究会
・盛土完成後の中央部における残留沈下量は約9cm
・盛土完成後約2年で沈下はほぼ収束
30
30
・盛土構築後の残留沈下量抑制
m
5
7
.
2
m
5
.
6
3
m
0
.
5
m
5
7
.
2
m
5
7
.
2
m
0
.
5
1
m
5
7
.
2
m
0
.
1
m
1
.
2
m
5
.
6
3
m
5
.
6
3
深層改良体積
直接工事費
m
3
.
6
=
3
@
1
.
2
m
0
.
1
m
0
.
3
3
=
2
1
@
5
7
.
2
m
0
.
1
m
0
. m
5
.
1 0
1
m
6
.
3
3
=
6
1
@ m
1 1
.
.
2
2
m
0
.
7
=
7
@
0
.
1
平面図
35
Public Works Research Institute
34