植物培養細胞系が産生する レクチン様蛋白質の食品カロエヘの利用

植物培養 細胞 系が産 生す る レクチ ン様 蛋 白質 の 食 品加 工 へ の利用 に 関す る試験研 究 (H4∼H6)
応用 技術 部 生 物 工 学 科 中 川 良 二 池 田隆 幸 長 島浩 二
研 究 の概 要
レ クチ ンは特 定 の 構 造 を持 った糖 に結 合 し、血 球 や細 胞 を凝 集 した り、 多 糖 類 や
糖 蛋 白質 を沈 降 させ る特 性 を もつ 蛋 白質 で 、植 物 、動 物 、微 生 物 な ど広 く生 物 界 に
“
存 在 して い る 。 こ れ ら レ クチ ンは 糖 鎖 を認 識 す る天 然 の モ ノ ク ロー ナル 抗 体 " と
も言 われ 、 医学 分 野 を 中心 に 複 合糖 質 や 細 胞 の 分 離 、分 画 、検 出な どに応 用 され 、
成 果 を上 げ て い る。 食 品業 界 に お い て も、 レクチ ンを使 って 物 質 を分 離 。精 製 しよ
うとす る試 みや 食 品 中 の 微 生 物 を加 熱 せ ず に除去 した り、分 離 。検 出 しよ うと い う
考 え が 出て きて い る。我 々は短 期 間 で 常 に 一 定 の 原 料 を供給 で き る細 胞 培 養 技 術 に
着 日 し、 道 内で栽 培 、 或 いは 自生 して い る植 物 を用 いて 培養 細 胞 を誘導 し、 レ クチ
ン様 蛋 白質 を産 生 させ る と共 に 、得 られ た レ クチ ン様 蛋 白質 を 食 品 の 加 工 分 野 へ
利
用 す る こ と を 目的 に本 研 究 を行 って い る。
2.
これ ま で の 経 過
こ れ ま で にアル フ ァル フ ァ幼 葉 由来 の 液 体 培養 細 胞 及 び キ クイ モ塊 茎 由来 の カル
ス細 胞 を誘導 し、 その 培養 細 胞 中 の レクチ ン様 蛋 白質 に つ い て 、以 下 の 結 果 を得 て
い る。
アル フ ァル フ ァ液体 培 養 細 胞 は、 1 . O m g / 2 ナ フ タ レン酢酸 、 1 . O m g / 2 ベ ン ジル ア
ミノプ リンを 含 む ム ラ シゲ ・ス ク ッグ ( M s ) 培
地 を用 い 、 2 6 ℃、 3 0 日 間 、 8 5 回転
/ 分、 暗所 の 条 件 で 振 盪 培養 し誘導 した 。 この 条 件 で 、培 地 1 2 当 た り約 5 0 g の細 胞 が
得 られ た 。 この 細 胞 の 界 面 活 性 剤抽 出画 分 に レクチ ン活 性 が 認 め られ た 。 レクチ ン
活 性 は 2 倍 段 階希 釈 系 列 に よ る ウサ ギ赤 血 球 の 凝 集 反 応 を判 定 す る方 法 で 行 った 。
本 レ クチ ンは メ リビオ ー ス に 特 異性 を示 し、 金属 イオ ン要 求 性 で あ った 。
キ クイ モの カル ス は塊 茎 か ら1 . O m g / 2 ナ フタ レン酢 酸 、0 . 2 m g / 2 ベ ンジル ア ミノ
プ リンを 含 む M S 寒
天 培 地 を用 い 、 2 6 ℃、 4 0 日間 、 暗所 で 静 置 培養 し、 誘 導 した 。
この 条 件 で 、培 地 1 2 当 た り約 1 0 0 g の細 胞 が 得 られ 、 レクチ ン様 活 性 は ウサ
ギ赤血球
の 凝 集 反 応 を用 い て 測 定 した 。 その 結 果 、 活 性 は 可 溶性 画分 に 認 め られ た
。 本 レク
チ ン様 活性 は長 期 冷 蔵 保 存 に も安 定 であ った 。
3.
平成 6 年 度 計 画
食 品加 工 にお け る微 生 物 制 御 へ の レクチ ンの 利 用 を検 討す る。 具 体 的 に は 、乳 酸
菌 、 酵 母 、 か び に 対 す る凝 集 反 応 及 び 増 殖 抑 制効 果 、蛍 光 標 識 レ クチ ンに よ る微 生
物 の 検 出、 レクチ ンの 固定化 に よ る再 利 用 等 を試 み る 。
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