平成 26 年度スマートコミュニティ構想普及支援事業 成果報告書(要約版) 1. 補 助 事 業 者 名:国立大学法人東京工業大学、横浜熱供給株式会社 2. 対 象 地 域:横浜駅周辺地区 3. 補助事業の名称:横浜駅周辺地区の地域冷暖房と連携した新たな熱融通システム(スマートヒートグリッド) の導入による既成市街地におけるエネルギーマネジメントシステム事業化検討調査 4. 内 容: (1) 現況 横浜駅周辺はまちの骨格形成から長い時間が経過し、まちの機能更新に伴うエネルギー効率の向上と環 境負荷の低減を推進する事が急務となっている。そこで、横浜市では横浜駅周辺地区を対象に平成 21 年 3 月「エキサイトよこはま22」計画を策定、その後東日本大震災を受けて、平成 26 年 3 月に「同 インフラ基本計画」に見直しを行い、概ね4~5年以内の具体的な検討を着手するものに関して、横浜 駅周辺地区の開発方針を示している。一方、同地では横浜熱供給㈱が熱供給事業を行っており、現在、 国レベルで熱供給の在り方が議論される中、新たな事業展開を模索している状況にある。 (2) 新しい熱融通システム(SHG)技術開発について 東京工業大学は、地域冷暖房の年間ピーク熱負荷の 10%程度の負荷合計が年間総負荷の 40%程度とな る事に着目、原則自己熱源を保有する建物間を各建物のピーク負荷の 10%程度の熱が融通可能な細い配 管で接続、その熱源の中で高効率な機器や再生可能エネルギー・未利用エネルギー等の省エネ・低炭素 な熱を融通可能とするSHG技術を考えた。なお、SHGは細い熱融通配管であるが故に、既成市街地 の既築建物の熱融通や熱源更新・建替え等建物の計画に合せてネットワーク化する事が従来に比べて容 易である特徴を有する。 (多様性・拡張性がある) (3) 横浜駅周辺地区へのSHGの適用(環境性・事業性の定量評価) 横浜駅周辺地区の➀エリアA(再開発地区並びに既存商業ビル)②エリアB(新規再開発ビル)と横浜 熱供給㈱プラントとSHGを構築、エリアA・エリアBに関する環境性・事業性評価を行った。 (4) 環境性評価・事業性評価 個別方式に比べて省エネ性・CO2 削減効果共に、大きな効果を得る事が分かった。更に、地下公共空 間の活用と熱融通配管の耐用年数を従来実績から 40 年とする事で、その事業性に関しては、従来の面 的エネルギー利用の補助率 1/2、もしくは 2/3 程度を考慮できれば事業性確保できる事が分かった。 1次エネルギー(MJ/年) 200,000,000 環境性評価:エリアA 150,000,000 100,000,000 79,901,694 100,000,000 47,172,016 電力 50,000,000 都市ガス 0 合計 -50,000,000 省エネ率 41% 79,901,694 47,172,016 50,000,000 0 -50,000,000 -100,000,000 -100,000,000 対象エリア CO2 削減率 比較ケース 47% SHGケース 8,000,000 -150,000,000 6,000,000 都市ガス 1,000,000 合計 合計 2,141,834 -6,000,000 比較ケース 比較ケース SHGケース SHGケース 省エネ率 19% 25,281,724 3,000,000 CO2排出量(kg-CO2/年) 1次エネルギー(MJ/年) 環境性評価:エリアB 31,243,305 ケース ケース1 ケース2 電力 エリアA ケース3 都市ガス +DHC ケース4 合計 ケース5 ケース6 ケース7 ケース8 エリアB ケース9 +DHC ケース10 ケース11 ケース12 ケース13 ケース14 エリアA・B ケース15 +DHC ケース16 電力ケース17 ケース18 都市ガス 4,059,340 4,000,000 電力 2,000,000 都市ガス 0 合計 -2,000,000 -4,000,000 -150,000,000 60,000,000 50,000,000 40,000,000 30,000,000 20,000,000 10,000,000 0 -10,000,000 -20,000,000 -30,000,000 -40,000,000 事業性評価 ◎事業収支計画 10,000,000 CO2排出量(kg-CO2/年) 1次エネルギー(MJ/年) 200,000,000 省エネ率 41% 150,000,000 2,500,000 2,000,000 CO2 削減率 23% 1,578,270 電力 1,500,000 1,214,096 500,000 補助 割合 75% 50% 50% 50% 50% 50% 75% 50% 50% 50% 50% 50% 75% 50% 50% 50% 50% 50% 事業資金構成 融資比率 出資 等 (利率) 25% 0% - 50% 0% - 25% 25% 無利子 25% 25% 1.0% 25% 25% 1.5% 25% 25% 2.0% 25% 0% - 50% 0% - 25% 25% 無利子 25% 25% 1.0% 25% 25% 1.5% 25% 25% 2.0% 25% 0% - 50% 0% - 25% 25% 無利子 25% 25% 1.0% 25% 25% 1.5% 25% 25% 2.0% IRR(事業期間) 10年 -5.4% -11.6% -15.8% -18.8% -20.0% -20.6% -14.6% -19.1% -23.2% #NUM! -27.4% -28.2% -7.9% -13.6% -21.6% -25.3% -15.2% -15.8% 20年 30年 40年 3.2% 6.1% 6.9% -1.2% 2.6% 4.0% -4.5% 0.5% 2.0% -6.7% -0.7% 1.1% -7.5% -1.0% 0.8% -7.7% -1.1% 0.8% -11.2% -0.3% 0.7% -15.1% -2.6% -1.3% #NUM! -4.7% -3.5% #NUM! #NUM! #NUM! #NUM! -6.3% -4.9% #NUM! -7.4% -6.4% 1.0% 5.7% 6.3% -3.2% 1.4% 2.7% -11.0% -2.7% -0.9% -15.5% -4.1% -1.9% -17.8% -4.5% -2.3% -21.9% -5.0% -2.5% 0 -500,000 比較ケース SHGケース 比較ケース SHGケース (5) 既成市街地における地域冷暖房と連携したSHGの可能性について 以上の検討成果から横浜駅周辺地区を対象に環境性向上・事業性確保できる事を確認した。又、電力ピ ーク削減効果も比較システムに比べ、3 倍程度の大きな効果を得る事が可能である事も分かった。
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