第3章(保健事業の基本的な考え方と評価指標)(PDF 98.9 KB)

第3章
保健事業の基本的な考え方と評価指標
尼崎市国保の健康実態を踏まえ、がん対策並びに脳血管疾患や心筋梗塞をはじめとする生活習慣病予
対策等を実施し、結果として医療費適正化と国保被保険者の健康寿命の延伸につながるよう、重点化方
策を次のとおり定めます。
項目、現状、目標は下記を除いて 第 2 次いきいき健康プランと整合性をとっています。
※1 第 2 次いきいき健康プランと同項目ですが、現状と目標値の算定方法が異なるもの
※2 新規項目
1.がん対策
(1)がん検診受診率の向上(※1)
項目
対策の考え方
項目
受診率
の向上
がん検
診
・がん検診受診率を上げる
ことが何より重要
・乳がんは 50 歳代、子宮体
がん、子宮頸がんは 40 歳代
と、より若年で検診を受診
してもらえるような対策が
必要
・乳がん及び子宮頸がん検
診の受診率が全市の半分に
満たない状況にあるため、
国保総合健診でのレディー
ス健診デイなど、女性のが
ん検診のPRの強化が必要
・大腸がん検診は全市の受
診率より低い状況にあるた
め、健診会場でさらにPR
をしていくことが必要
※1
現状(H24)
肺がん
男性 8.1%
女性 9.2%
胃がん
男性 2.5%
女性 2.5%
大腸がん 男性 7.5%
女性 10.4%
乳がん
女性 5.2%
子宮頸がん女性 3.8%
(平成 24 年度国保被保
険者の受診率)
目標
肺がん
男性 12.3%
女性 16.0%
胃がん
男性 2.7%
女性 3.5%
大腸がん 男性 10.7%
女性 17.4%
乳がん
女性 6.6%
子宮頸がん女性 5.0%
(目標設定は、国の示す
現状値から目標値への伸
び率を、国保被保険者の
現在の受診率に掛け合わ
せ算出)
達成
年度
29 年度
(国の達
成目標は
28 年度だ
が、
第 2 次健
康プラン
に整合)
数値は国保被保険者の実績に基づく。第 2 次いきいき健康プランはアンケート結果による。
(2)要精密検査該当者の、未受療の防止(※2)
項目
がん検
診
対策の考え方
項目
現状(H24)
要 精 密 肺がん
検査該
精査の必要性を十分理解 当者の、 胃がん
してもらえるような説明や、 未 受 療
大腸がん
受療できる医療機関等の情 の防止
報提供など、受療につながる
ような対策が必要。
男性 88.1%
女性 92.1%
男性 67.9%
女性 88%
男性 69.8%
女性 71.3%
乳がん
女性 85.4%
子宮頸がん女性 92%
(平成 24 年度 受療率)
目標
要精 密検査該 当者
の受療率
100%
達成
年度
29 年度
(3)より精密ながん検診の導入の検討(※2)
市の実施するがん検診だけでなく、それ以外のがん検診についても、必要に応じ情報提供していく。
59
2.生活習慣病対策
(1)未治療、治療中断の確実な防止 (重症化ハイリスク者への確実な介入)
重症化
ハイリ
スク
対策の考え方
項目
高血圧の改善
(Ⅱ、Ⅲ度高血圧
者の改善率の向
上)
6.7%
25 年度に
( 24 年 度 対する 29
40 歳以上) 年 度 の 改
善率 90%
29 年度
Ⅱ度以
上高血
圧
・65 歳以上で増加する状況から、65 歳未
満で血圧のコントロールをしておくことが
必要。
・受療に併せて、減塩、減量など確実なリ
スクコントロールにつながる保健指導が必
要。
脂質異常症の減少
3.4%
2.6%
29 年度
(男性の
LDL-c180 ㎎/㎗
以上の割合の減少)
(40 歳以上
男性)
1%
34 年度
減少率の
維持
34 年度
LDL180
㎎ / ㎗
以上
・家族性高コレステロール血症が高率に含
まれることが様々な研究で明らかにされて
おり、生活習慣改善だけによるデータ改善
(※1)
は難しいことから、受療勧奨が重要。
※※1 虚血性心疾患
・特に男性の LDL コレステロール 180 ㎎/
発症リスクとして、
㎗以上は心血管疾患発症リスクが高く、確 エビデンスのある男
実な受療につながる保健指導が必要
性のみに絞った目標
現状(H24)
目標
達成
年度
値とした
・受療に併せて減量など、継続的な生活習
慣改善の支援が必要。
HbA1c
7%以
上
腎機能
低下者
・糖尿病発症からおよそ 20 年を要して糖尿
病腎症を発症することが明らかになってい
る。国民健康保険の人工透析導入者の 65%
が糖尿病を合併しており、糖尿病のより早
期段階から、血糖コントロールの支援を行
えるような対策が必要。
・腎機能を低下させている原疾病の診断の
ための受療や、腎機能低下を防ぐための減
塩、減量などの生活習慣改善のため、保健
指導による個別対応が必要。
・尿蛋白定性検査だけでは、問題のある人
を十分に抽出できなかったり、問題のない
人まで受療をすすめ、不要な心配や負担を
かけることにつながったりするため、市独
自に、尿蛋白定性検査で擬陽性以上だった
人に対し、尿蛋白定量検査の実施が必要。
血糖コントロール
不良者の割合の減
少
(HbA1c が 8.4%
以上(NGSP)の者
の割合の減少)
治療継続者の割合
の増加
(25 年度 HbA1c8%
以上の未治療者の
減少)
1.2%
糖尿病有病者の増
加の抑制
31,437 人
(40 歳以上
糖尿病有病
者)
24 年度
新規透析導
入者 81 人
中、糖尿病
性 腎 症 32
人
糖尿病合併症(糖
尿病腎症による年
間新規透析導入患
者数)の減少
(40 歳以上)
Hba1c8%
以上 404 人
中未治療
37 人
(40 歳以上)
(40 歳以上)
60
35,209 人 34 年度
(1.12 倍)
糖尿病腎
症による
年間新規
透析導入
患者数の
減少
34 年度
(2)重症化予防のための予備群対策 (健診結果にもとづく保健指導の徹底)
項目
メタボ リ
ックシン
ド ロ ー
ム
特定保
健指導
その他
の保健
指導
対策の考え方
項目
・国保被保険者の 28.0%が高血圧、25.4%
が糖尿病、25.7%脂質異常症で受療してお
り、これら基礎疾患の発症予防や重症化予
防が必要。
メタボリックシン
ドロームの該当者
及び予備軍の減少
29.5%
特定保健指導の完
了率の向上
保健指導実施率の
向上(※2)
・男女とも収縮期血圧、HbA1c、LD
Lコレステロールの有所見率が高く、収縮
期血圧、HbA1cの有所見率は県国保平
均よりも高率。男性で腹囲有所見が 51.2%
で県よりも高い状況。これらの確実なリス
クコントロールが重要であり、必要な受療
や生活習慣改善を選択してもらえるような
保健指導が必要。
現状(H24)
目標
達成
年度
22%
29 年度
特定保健
指導
45.2%
60%
29 年度
83%
90%
29 年度
(40 歳以上)
保健指導実施率の向上に向けては、医療
機関との連携とともに、継続保健指導のプ
ログラム化を図り、確実な減量や減塩につ
なげることが必要です。
・女性では、肥満の有無に関係なくリスク
因子の集積が心血管疾患の発症リスクにな
ることを知ってもらう学習機会を増やすこ
とや、更年期以降にリスクを増やさない対
策が必要
(3)メタボリックシンドロームの該当者、予備群対策
項目
対策の考え方
・肥満を背景に生じたリスク因子は、肥満の
改善でリスクを回避できることから、改め
て肥満対策の強化が必要。
メタボ リ ・男性で腹囲有所見が 51.2%で県よりも高
ックシン い。
ド ロ ー ・男女とも年代を追うごとに、内臓脂肪+リ
ム対策
スク因子 3 項目集積する易心血管疾患発症
状態にある割合が増加。
保健指導や学習会による早期の肥満改善が
必要。
項目
メタボリックシン
ドロームの該当者
及び予備軍の減少
61
現状(H24)
29.5%
( 40 歳 以
上)
目標
22%
達成
年度
29 年度
(4)受診率向上対策(未受診者対策、継続受診率向上)
項目
対策の考え方
項目
現状(H24)
特定健診受診率の
向上
特定健診
39.2%
受診率
向上
・健診受診率がさらに向上するよう多様な
方策を講じるとともに、治療の有無にかか
わらず健診が自分にとって意義があると感
じてもらい、継続的に健診を受けてもらえ
るよう、保健指導を充実させる。
項目
現状(H24)
目標
60%
達成
年度
29 年度
3.その他の対策
(1)認知症対策
項目
対策の考え方
学習の
機会の
確保
健診結果説明会や地域での学習会などの機
会に、認知症の治療や予防についての情報
提供を行うことが必要。
医療と
の連携
認知症は早期の段階で治療することで進行
を遅らせることが可能なため、早期に受療
につながるよう支援する。
認知症有病率
(※2)
70∼74 歳
0.76%
60 歳代
0.25%
目標
70∼74 歳
3.6%
60 歳代
1.5%
達成
年度
34 年度
(国並み)
(2)COPD・喫煙対策
項目
対策の考え方
項目
喫煙率
(※1)
学習の
機会の
確保
・健診結果説明会等において、喫煙と血管の
障害との関係など健康障害についての学習
機会を確保する。
・禁煙対策が重要。
※1 実績と国の減
少率に基づいた目標
値を採用
COPD 受療率
(※2)
現状(H24)
目標
達成
年度
特定健診
受診の
男性 28%
女性 8%
男性 25%
女性 7%
40∼79 歳
0.9%
8.6%
34 年度
(国並み)
COPD の認知率の
向上
34 年度
80%
34 年度
100%
29 年度
・ COPD は身体活動を低下させ、代謝障害や
サルコペニアにつながる可能性が高いこと
を様々な機会で伝えることが必要。
医療と
の連携
・スパイロメーターの実施結果に応じ呼吸
器内科や禁煙治療実施医療機関への受療勧
奨が必要。
スパイロメーター
で 1 秒率 70%未満
者のうち、COPD 分
類中度以上の受療
勧奨 (※2)
62
受 療 率
80%
(3)若年者対策
項目
子ども
対策の考え方
・子どもの頃から、肥満にならない生活習慣
の選択と、受療行動につながるような学習
の機会を積極的に作ることが必要。
医療保
険を超
えた対
策
・医療保険を超えた糖尿病の重症化予防及
び高血圧予防対策が必要。
16 ∼ 39
歳
・40 歳までの若年層を対象にした生活習
慣病予防対策が必要です。
・女性もより若年から、リスク集積を招く
肥満を解消できるような対策が必要。
項目
現状(H24)
目標
尼っこ健診受診率
(※2)
11 歳 39%
14 歳 20%
11 歳 43%
14 歳 22%
生活習慣病予防健
診受診率、保健指
導実施率
(※2)
健診受診率
4%
保健指導実
施率
80%
健診受診
率 6%
保健指導
実施率
90%
63
達成
年度
29 年度
29 年度