企画書 - 四国学院大学

演劇公演情報
青年団
第 73 回公演
暗愚小傳
作・演出:平田オリザ
ⓒ青木司
戦争の中で一人の詩人が守ろうとした、彼の「世界」。
平田オリザ 90 年代初期の名作、10 年ぶりの上演。
平成 26 年度
文化庁
大学を活用した文化芸術推進事業
●作品解説
『暗愚小傳』は、青年団が学生劇団として活動を開始したばかりの 1984 年に国際基督教大学内で初演、
1987 年に平田が現在芸術監督を務めるこまばアゴラ劇場にて再演されました。
その後、劇団の演劇様式の大きな変化と共に、同タイトルながら、まったく異なる戯曲・演出へと改訂
が成され、再演を繰り返してきたレパートリー作品です。
今年度は 10 月に吉祥寺シアターを皮切りに、1 月に兵庫県伊丹市の AI ・ HALL、香川県善通寺市の四
国学院大学ノトススタジオにて上演を行います。
●ものがたり
舞台は、詩人・高村光太郎とその妻・智恵子の住む自宅アトリエ。
彼らの生活とその周辺の人々を題材に、
〔1910 年代~結婚初期〕〔1920 年代~智恵子の精神病〕
〔1930 年代~智恵子の死と戦争〕〔1940 年代~戦後の隠遁〕の 4 シーンで構成され、
激動する時代と変わりえぬ日常の狭間で一人の詩人が守ろとしたものを緻密に、微細に描きます。
高村光太郎は当時の戦争協力者の 1 人で、詩集、「暗愚小傳」はそのことの反省の上に立った作品とさ
れています。
平田オリザの『暗愚小傳』も、この文学者の戦争協力という問題が 1 つのモチーフとなっています。
ⓒ青木司
●関連事業
今回、四国学院大学ノトススタジオで上演される「善通寺公演」は、今年度本学が採択された文化庁事
業「大学を活用した文化芸術推進事業 四国広域圏の劇場運営を担える人材の育成を目的としたアートマ
ネジメント実践講座」プログラムの一環として行われます。
上記事業の詳細については下記URLをご覧ください。
http://www.notos-studio.com/amc/
●第26回公演『暗愚小傳』劇評(1993.10~11)
従来のリアリズム演劇批判
ここに登場する光太郎は、歴史上の人物でも偉大なる詩人でもない。人々や状況を淡々と受け入れる生
活者としての光太郎。平田に言わせれば「光太郎のような人、光太郎のイメージ、絵でいえば抽象画」
となる。高村家を訪れる永井荷風や宮沢賢治にしても私たちと等身大だ。そこでは戦争や転向、智恵子
の精神異常や死も事件ではなく、単なる事実として処理される。それでも何気ない人々の言動はおかし
みに満ち、ときに無意識の差別や偏見が潜んでいるのである。「感動を強要することなく、観客に舞台
と同じ時間を過ごし空間を共有してもらいたい」と平田は言う。日常を描きながらそれは日常とは少し
違った時間だ。
1993.11.8.山陽新聞(共同通信配信)より抜粋
見慣れた風景にトリック光太郎の非日常的な交友
作・演出の平田オリザは、史実に基づいた評伝の手法をとらず、声高なメッセージや視覚的な仕掛けも
意図的に排除している。提示するのは、高村家に集まる友人や知人との、一見何の変哲もない会話と見
慣れた風景だけだ。ところが、芝居が進むにつれて、実際には存在するはずもない会話や風景であるこ
とに気付かされる。この日常のように見せかけた非日常の世界が、奇妙に現代人の感覚に訴えかけてく
る。時代に流され、挫折を繰り返す大正の知識人・光太郎を現代によみがえらせ、改めて日本人とは何か
と考えさせられる舞台だった。
杉山弘/1993.11.1.読売新聞より抜粋
青年団の『暗愚小傳』は、高村光太郎とその周辺を30年間のスケールの中から、四つの情景に描いた物
語である。光太郎宅の茶の間。訪れ、去っていく人々。妻の発狂、死、戦争、という極めて劇的な状況
が、淡々とした会話の中から浮かび上がってくる。ここには、現代の私たちの眼を通して世界をとらえ、
現代の私たちの言葉で発することによって初めて可能になる「リアリティー」がある。それは、どんなに
平凡な時間も歴史の一瞬であり、いかなる劇的な時間も日常の歴史の中に還元されるということだ。
“嵐”
を前にして、彼らはゆっくりと茶を飲む。私たちはその小さな「針穴」の向こうに、「世界」の幻像を視
る事が出来る。この静かなアンサンブルは、具象画ではない。「世界についての」抽象画なのだ。
田北鑑生/1994.1.28『週刊金曜日』より抜粋
ラストシーンで、忽然と現れた智恵子と遊ぶ光太郎を見たら、なんだか私は泣けてきた。この二人の役
者はちっとも「らしく」ないのに、智恵子と光太郎はこういう夫婦だったに違いないと思えて仕方がなか
ったのだ。
三田つばめ/1994.1 月号『太陽』より抜粋
青年団第 73 回公演
『暗愚小傳』
作・演出:平田オリザ
高村光太郎と智恵子の生活を素材に、
変わりえぬ日常を縦軸に、文学者の戦争協力の問題を横軸に、
詩人の守ろうとしたものを独特の作劇で淡々と描く・・・。
平田オリザ 90 年代初期の名作、10 年ぶりの再演。
上演時間=110 分(予定)
●平田オリザ
1962 年東京都生まれ。劇作家、演出家。こまばアゴラ劇場芸術監督、劇団「青年
団」主宰。東京藝術大学・アートイノベーションセンター特任教授、大阪大学コミ
ュニケーションデザイン・センター客員教授、四国学院大学客員教授・学長特別補
佐、京都文教大学客員教授。
1983 年に劇団「青年団」結成。「現代口語演劇理論」を提唱し、1990 年代以降
の演劇に大きな影響を与える。1995 年『東京ノート』で第 39 回岸田國士戯曲賞
受賞。2003 年日韓合同公演『その河をこえて、五月』で、第 2 回朝日舞台芸術
賞グランプリ受賞。2006 年モンブラン国際文化賞受賞。2011 年フランス国文化
省よりレジオンドヌール勲章シュヴァリエ受勲。近年はフランスを中心に各国と
©Tsukasa Aoki
の国際共同製作作品を多数上演している。
2009 年鳩山内閣にて内閣官房参与に就任(2011 年 9 月退任)。
●劇団青年団
青年団は、劇作家・演出家・こまばアゴラ劇場芸術監督の平田オリザを中心に、1983 年に結成された劇団です。
以来、1980 年代からこまばアゴラ劇場を拠点とし、平田オリザが提唱した「現代口語演劇理論」を通じて、新
しい演劇様式を追求してきました。この実践的で新しい演劇理論は 1990 年代以降の演劇界に強い影響を与え
続けています。
また、1990 年代には日本全国に、2000 年以降は、ヨーロッパを中心とした世界各地にも活動の場を広げ、近
年では国内・海外問わず各地の劇場・アーティストとの共同製作公演を行うなど、着実な成果をあげています。
また、子ども向け・親子向け作品やロボット研究との協働「ロボット演劇プロジェクト」にも取り組み、演劇・
劇場を広く開く活動を積極的に展開しています。
青年団では、劇団員誰もが公演企画を提出することができ、その中から審査を通ったものを「若手自主企画」
として上演しています。さらに、観客の一定の評価を得た集団は「青年団リンク」としてユニットをつくり、
やがて劇団から独立して独自の活動を行うこととなります。こうしたシステムをとることで、青年団は若手
アーティスト育成の場として着実な実績を上げ、既に才気あるアーティストを数多く輩出しています。
現代口語演劇理論…日本人の生活を起点に、いま一度、新たな言文一致の新鮮な劇言語を創造し、緻密で劇的な空間を再
構成していこうという戦略に基づいた演劇の方法論。
参考著作:『平田オリザの仕事 1 現代口語演劇のために』(晩聲社)、『演劇入門』(講談社)など。
●公演概要
【作品名】
青年団第 73 回公演
『暗愚小傳』
【作・演出】
平田オリザ
【出演】
山内健司、松田弘子、永井秀樹、川隅奈保子、能島瑞穂、堀 夏子、
森内美由紀、木引優子、伊藤 毅、井上みなみ、折原アキラ、佐藤 滋
【日程】
2015 年 1 月
22 日(木)
19:30 開演★
23 日(金)
19:30 開演
24 日(土)
14:00 開演
受付開始は開演の 60 分前、開場は開演の 20 分前。
★の回終演後、平田オリザによるポストパフォーマンストークを開催いたします。
【会場】
四国学院大学ノトススタジオ
善通寺市文京町3-2-1
Tel:0877-62-2324
JR善通寺駅より徒歩約 8 分
【チケット料金】日時指定・全席自由席・整理番号付
前売
一般:2,500 円
学生:1,500 円
当日
一般:2,800 円
学生:1,800 円
*学生の方は当日受付にて学籍を確認できる証明書をご提示ください。
*未就学児童はご入場いただけません。
【チケット取り扱い・お問い合わせ】
四国学院大学パフォーミング・アーツ研究所(SIPA)
Tel:0877-62-2324
Mail:[email protected]
青年団
Tel:03-3469-9107(12:00~20:00) http://www.seinendan.org(オンライン予約あり)
【スタッフ】
舞台美術:杉山 至
照明:三嶋聖子
音響:泉田雄太
衣裳:正金彩
舞台監督:中西隆雄
宣伝美術:工藤規雄+上野久美子 太田裕子
宣伝写真:佐藤孝仁
宣伝美術スタイリスト:山口友里
制作:石川景子
企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【主催】四国学院大学
平成 26 年度 文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業
様々な方に知ってもらい、地域に根付いていけるよう演劇の世界を発信していきたいと考えております
ので、貴媒体にて広くご紹介頂ければ幸いです。本公演に関しまして、舞台写真、稽古取材、撮影など
のご要望やご質問等がございましたら、対応させて頂きますので下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
詳細をご説明します。
【本公演に関するお問い合わせ先】
四国学院大学 パフォーミング・アーツ研究所
担当:小野
0877-62-2324
[email protected]