指定講習実施機関に関するガイドライン[PDF:159KB];pdf

指定講習実施機関に関するガイドライン
消費者庁
平成 27 年3月 27 日制定
≪目次≫
1.目的
2.消費生活相談員の職務と求められる知識及び技術
(1)消費生活相談員の職務
(2)消費生活相談員に求められる知識及び技術
3.指定講習実施機関の社会的役割
4.指定講習会の内容
(1)指定講習会の目的
(2)指定講習会の実施
(3)科目・時間等
(4)指定講習会の実施方法
(5)指定講習会の実施形式
(6)指定講習会の修了基準
(7)講師の選任
5.指定講習会の運営
(1)指定講習会の実施時期及び実施場所
(2)受講手数料・収納方法
(3)修了証の交付・再交付と修了者名簿の作成・管理
(4)指定講習業務に関する帳簿及び書類の管理方法
(5)消費者庁へ提出する書類等
別紙「指定講習科目に関する例示」
別紙様式集(別冊)
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1.目的
このガイドラインは、消費者安全法(昭和 21 年法律第 50 号。以下「法」と
いう。)、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律(平成
26 年法律第 71 号。以下「景表法等改正等法」という。)消費者安全法施行規
則(平成 21 年内閣府令第 48 号。以下「規則」という。
)及び不当景品類及び
不当表示防止法等の一部を改正する等の法律の一部の施行に伴う経過措置を
定める内閣府令(平成 26 年内閣府令第 17 号。以下「経過措置府令」という。)
に基づき、景表法等改正等法附則第3条第2項に規定する内閣総理大臣が指定
する者が実施する講習会(以下「指定講習会」という。)を適切に実施するこ
とを目的とするものである。
2.消費生活相談員の職務と求められる知識及び技術
都道府県及び市町村の消費生活相談員の職務と求められる知識及び技術を
整理すると、おおむね以下のとおりである。指定講習会を実施する者(以下「指
定講習実施機関」という。)は、このような消費生活相談員の職務と求められ
る知識及び技術を認識した上で、講習を行う必要がある。
(1)消費生活相談員の職務
・事業者に対する消費者からの苦情に係る相談・あっせん
・消費者による主体的な問題解決の促進・支援(消費生活の専門家としての
一般的な消費生活に係る適切な助言等)
・他の専門家等への橋渡し
・相談結果の整理・分析及び消費者教育・消費者啓発への活用
・消費生活相談の現場で把握した問題点等の関係部局等に対する情報提供
(2)消費生活相談員に求められる知識及び技術
ア.消費生活相談を行うために必要な知識
①商品・役務
・商品等及び役務の特性、使用等の形態その他の商品等及び役務の消費安全
性に関する知識
・商品等及び役務並びに生活に関する知識
②消費者行政
・消費者行政に関する法令に関する知識
・消費者問題の動向等についての知識
・消費者行政についての知識
③関連分野
・福祉などの関連分野や行政一般に関する知識
・経済等に関する知識
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・家計管理等に関する知識
イ.消費生活相談を行うために必要な技術
・消費生活相談の実務に関する技術(ヒアリング力、コミュニケーション
スキル、交渉力)
・文章作成力
・関係部局等に対する問題提起をする能力
・法令を事案解決のために活用する能力
3.指定講習実施機関の社会的役割
情報や交渉力等において事業者との間に構造的格差のある消費者を支える
のは、消費生活相談の現場にいる消費生活相談員であり、指定講習実施機関は、
消費生活相談員を養成するという社会的な役割を認識して、法令の趣旨にのっ
とり、適切に講習を行うべきである。消費生活相談員の社会的な役割を考慮せ
ず、単に講習を行うことだけを目的とする機関は、指定講習実施機関にはふさ
わしくない。
4.指定講習会の内容
(1)指定講習会の目的
景表法等改正等法附則第3条第2項の規定に基づき試験に合格した者と
みなされた者が適切に消費生活相談に応じることができるよう、指定講習実
施機関が指定講習会を適切に実施することを目的とする。
(2)指定講習会の実施
指定講習実施機関は、法、規則及びこのガイドラインに基づいて指定講
習会を実施することとする。また、指定講習実施機関が本事業の目的達成
のために業務の一部を委託することが適当な場合には、消費者庁と協議す
ることとする。なお、指定講習会の社会的役割とその目的に鑑み、指定講
習実施機関が受講対象者を限定することは望ましくない。
(3)科目・時間等
指定講習会において実施する科目・時間の下限等については、以下のとお
りとする。また、各科目の講習内容については、別紙に示す、各科目に該当
する事項の例示を参考にすることとする。
科目名
商品等及び役務の特性、使用等の形態
その他の商品等及び役務の消費安全
性に関する科目
3
時間の下限
備考
1時間
法第 10 条の3第
3項第1号に定め
る科目
1時間
法第 10 条の3第
3項第2号に定め
る科目
1時間
法第 10 条の3第
3項第3号に定め
る科目
1時間
法第 10 条の3第
3項第4号及び規
則第8条の2第1
号に定める科目
消費者のための経済知識に関する科
目
1時間
法第 10 条の3第
3項第4号及び規
則第8条の2第2
号に定める科目
合計
5時間
消費者行政に関する法令に関する科
目
消費生活相談の実務に関する科目
消費生活一般に関する科目
(4)指定講習会の実施方法
指定講習実施機関は、受講者の利便性を鑑み、指定講習会を1日で修了で
きるカリキュラムで実施することが望ましい。
(5)指定講習会の実施形式
指定講習会の実施形式については、集合形式やインターネットを用いた受
講形式(e ラーニング等)も可能とする。
(6)指定講習会の修了基準
指定講習会の修了基準については、受講者の出席状況に加え、各受講科目
の評価を行い、修了を認めることとする。
(7)講師の選任
講師の選任については、法第 11 条の 11 第1項第2号に基づく、下記に掲
げる条件のいずれかに適合する知識経験を有する者であることとする。
①学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)による大学において民事法学、行政
法学若しくは経済学に関する科目を担当する教授若しくは准教授の職に
あり、又はこれらの職にあった者
②国又は地方公共団体の職員又は職員であった者で、講習科目について専門
的な知識を有する者
③消費生活相談に5年以上従事した経験を有する者
④①から③までに掲げる者と同等以上の知識及び経験を有する者
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5.指定講習会の運営
(1)指定講習会の実施時期及び実施場所
指定講習実施機関は、受講者が身近な場所で指定講習会を受講できるよう、
受講希望者にとって利便性の高い時期及び場所で指定講習会を実施すると
ともに、地方でも指定講習会を実施する等の配慮をするものとする。
指定講習実施機関は指定講習会を実施する日時、場所その他指定講習会の
実施に関する事項をあらかじめインターネット等により公示するとともに、
消費者庁、地方公共団体、消費者団体等は周知に協力するものとする。
(2)受講手数料・収納方法
ア.受講手数料
受講手数料については、明確な積算根拠に基づき設定され、受講者等から
照会があった場合には、説明責任を果たす必要がある。また、受講手数料の
設定後においても、必要以上の収入が生じていないかを検証し、これを見直
していくことで手数料の適正化に努めることとする。
イ.収納方法
受講手数料の収納方法については、指定講習実施機関が指定する方法によ
り収納することとする。
(3)修了証の交付・再交付と修了者名簿の作成・管理
ア.修了証の交付・再交付
指定講習実施機関は、指定講習会を修了した者に対し、指定講習会を修了
したことを証明する修了証を交付することとする。なお、指定講習会を修了
した者が修了証を紛失等したときは、再交付を申請することができることと
し、再交付に掛かる手数料については、指定講習実施機関が決定することと
する。
イ.科目ごとの受講証明書の交付・再交付
受講者が複数の指定講習実施機関にまたがって指定講習会を受講した場
合には、指定講習実施機関は、受講者に講習科目ごとの受講証明書を交付す
ることとし、受講者が修了に必要な最終科目を受講する指定講習会を実施し
た指定講習実施機関については、修了証を交付することとする。なお、講習
科目を受講した者が受講証明書を紛失等したときは、再交付を申請すること
ができることとし、再交付に掛かる手数料については、指定講習実施機関が
決定することとする。
ウ.修了者名簿の作成・管理
指定講習会修了者に係る名簿を作成の上、管理することとする。なお、指
定講習会修了者に係る名簿については、紙以外の電子的方法によるものも可
能とする。
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(4)指定講習業務に関する帳簿及び書類の管理方法
指定講習実施機関は、以下のとおり、指定講習業務に関する帳簿及び書類
を管理し、保存しなければならない。帳簿及び書類の保存については、情報
漏えい防止に必要な安全管理が確実に図られる方法により行うこととする。
ア.指定講習業務に関する帳簿の管理
指定講習業務に関する帳簿については、指定講習会実施年月日、会場、修
了者の受講番号・氏名・生年月日・住所その他試験に関し必要な事項を記載
することとする。また、指定講習業務に関する帳簿については、指定講習業
務を廃止するまで保存することとする。
イ.指定講習業務に関する書類等の管理方法
指定講習業務に関する書類等については、受講申込書、指定講習会で使用
した教材類とすることとする。また、指定講習業務に関する書類等について
は、指定講習業務を廃止するまで保存することとする。
(5)消費者庁へ提出する書類等
指定講習実施機関は、毎年度、指定講習会の実施時期、実施場所、受講者
の定員等を記載した指定講習の実施計画を消費者庁長官に提出するものと
する。また、毎年度5月末までに、次の事項を記載した指定講習実施結果報
告書を、消費者庁長官へ提出することとする。
①指定講習会の会場の名称及びその所在地
②指定講習会の実施日時
③受講者の定員
④指定講習担当者及び講師の氏名
⑤指定講習会の修了者の氏名、生年月日及び住所並びに指定講習修了証の
番号を記載した指定講習会の修了者の一覧表
⑥指定講習会の実施状況の概要及びその評価
⑦その他参考となるような資料がある場合は当該資料
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(別紙)
指定講習科目に関する例示
1.商品等及び役務の特性、使用等の形態その他の商品等及び役務の消費安全性
に関する科目
①衣料品の材質、品質、性能及び管理方法
②衣料品の生産・流通及び表示
③衣料品の資源・環境問題
④繊維製品のクリーニングトラブルとその対応
⑤栄養素・食品成分の概要と健康との関係
⑥食品需給並びに輸入食品及び食生活の変化
⑦食品の衛生・安全性と表示問題
⑧住宅の計画、取得及び管理方法の在り方
⑨住宅の構造とその特徴及び建築材料の種類と性質
⑩欠陥住宅、賃貸借及び有料老人ホーム
⑪室内環境と住宅設備及び今後の住宅の在り方
⑫製造物責任と被害者救済制度
⑬広告の役割と在り方
⑭広告規制と監視の枠組み
⑮暮らしにおける電子情報化
⑯電子情報社会を支える技術、ルール及びセキュリティ対策等
⑰旅行及び運送サービス
⑱医薬品・化粧品
2.消費者行政に関する法令に関する科目
①製品安全と法制度
②食の安全と法制度
③相談対応に必要な法律の基礎概念
④相談対応に必要な民法の知識
⑤普通契約約款に関わる知識
⑥訴訟・調停・裁判外紛争解決手続に関わる知識
⑦消費者基本法
⑧景品表示法
⑨消費者安全法
⑩消費者契約法
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⑪特定商取引法
⑫割賦販売法
⑬個人情報保護法
⑭独占禁止法
⑮金融・保険(金融商品販売法・金融商品取引法・貸金業法等)
⑯多重債務
⑰情報通信サービスに関連する法令
⑱生活環境の保全とリサイクルに関連する法令
⑲電子商取引の関連法
⑳医薬品・薬事法
㉑消費者裁判手続特例法
㉒食品表示法
3.消費生活相談の実務に関する科目
消費生活相談員には消費生活相談を行う上で知識はもとより、コミュニケー
ションスキル、ヒアリング力、交渉力、法律の活用力、文章作成力などの実践
的な技術も求められることを踏まえ、指定講習内容を決定する。
4.消費生活一般に関する科目
①消費者の歴史(消費者運動、消費者被害、最近の消費者問題等)
②国・地方における消費者行政(役割、内容、仕組み、歴史)
③国際機関による消費者保護等の動向
④企業の社会的責任と消費者対応
⑤商品テストの意義と活用方法
⑥消費者教育
⑦社会保障制度の現状と課題
⑧社会保険の現状と課題
⑨公的扶助制度の概要
⑩介護保険制度の目的と仕組み
⑪生命保険と損害保険の仕組み
⑫高齢者を含めた余暇活動への参加動向と地域社会との関係強化
⑬業界団体の消費者対応
5.消費者のための経済知識に関する科目
①我が国経済の発展及び活動の特徴
②我が国の財政及び資本・金融市場の特徴と問題点
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③景気変動、物価変動の原因と種類及び対策
④国際貿易、国際収支及び外国為替相場の仕組み
⑤需要と供給の仕組み、産業構造の変化、市場経済のメカニズム
⑥企業の役割、経営原理、経営改革及びコミュニケーション
⑦経営分析の手法及び企業経営の課題と対応
⑧市場の変化とマーケティング活動及び消費者行動
⑨家族形態の多様化や国民経済と家計の関係
⑩家計の収支構造の変化と資金計画
⑪今後の社会構造の変化と生活設計の在り方
⑫家計に関する税と社会保障費の負担
⑬主たる経済統計の概要(経済統計の考え方と特性)
⑭経済統計と景気の見方及び国民経済計算の仕組み
⑮エネルギー利用の歴史とエネルギー需給の現状
⑯廃棄物処理とリサイクル問題、化学物質の環境問題
⑰地球温暖化問題への対応と省エネルギーの現状と対策
⑱余暇産業の変化と新たな余暇活動への動き
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