Title Steroid Alcohol の測定法に就て Author(s) 細井, 稔; 神戸川, 明 Citation 金沢大学結核研究所年報 = Annual report of the Research Institute of Tuberculosis, Kanazawa University, 16(1): 135-144 Issue Date 1958-06-20 Type Departmental Bulletin Paper Text version publisher URL http://hdl.handle.net/2297/41225 Right *KURAに登録されているコンテンツの著作権は,執筆者,出版社(学協会)などが有します。 *KURAに登録されているコンテンツの利用については,著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲内で行ってください。 *著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲を超える利用を行う場合には,著作権者の許諾を得てください。ただし,著作権者 から著作権等管理事業者(学術著作権協会,日本著作出版権管理システムなど)に権利委託されているコンテンツの利用手続については ,各著作権等管理事業者に確認してください。 http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/ 135 SteroidAIcoholの測定法に就いて 帝国臓器製薬株式会社研究部 (部長:薬学博士新延信吉) 金沢大学結核研究所薬理製剤部 (主任:伊藤亮教授) 細 井 稔 神 戸 川 明 (受付:昭和33年1月6日) ’一二巨 緒、 生体Steroidの化学的測定法に関しては, SteroidAlcoholを酢化し,次に生成した酢化 C17位にKeto基をもつ17-Ketosteroidや 物にアルカリ性でHydroxylamineを反応ざ 側鎖にa-ketol基をもつCorticoid等の如 せAcetohydroxam酸を分離せしめ,最後に く,その分子中に特有な反応基をもつものの場 第二鉄イオンで赤紫色のAcetohydroxam酸 合には,測定も比較的容易であって,今日迄に 鉄にして比色定量するものであって,原理的に 種々な検出定量法が研究報告されている.しか はHydroxam酸による水酸基-OHの定量法 し,この様な特異反応基をもたない例えば所謂 を利用した方法である. NeutralNon-ketonicSteroidAlcoholと称 されているSteroid類の様なものでは,簡易 な特異的検出法がない為に,従来は殆んど臨床 検査の対象外にあることが多かった.しかるに 最近,これらNon-ketonicSteroidAlcohol 及びalcohl基含有の一部Keto-steroidをも 含めたSteroidAlcohol(又はHydroxysteroid)群の尿中排泄量の消長がSteroidホルモ ピリヂン ROH+(CH3CO)20−→ CH3COOR+CH3COOH NaOH CH300R-I-NH20H−→ CH3CONHOH-│-ROH ++十 3CH3CONHOH+Fe−→ (CH3CONHO)3Fe+3H+ Hydroxam酸生成法を応用した定量法には ンの代謝,引いては性腺や副腎皮質等の内分泌 Lipmann等3)のAcetylphosphate定量法を 器管の機能状態の検知や疾病の診断上,極めて 重要な意義をもつものであることが論ぜられる 初めとして,その他種々エステル類9)10)11)12)や アミド'3)の測定に関する研究がある. 様になった為,こ上にSteroidAlcoholの検 Hydroxam酸法が−OH基の定量に応用し 出・定量に関する研究が相次いで報告されるに 得ることはHill9)によってリポイドの定量実験 至った.即ち,三塩化アンチモン法')無水フタ で実証されたのであるが,その後Zaffaronil4) ール酸法2),無水コハク酸法3)・'),Dinitromlth- が本法をDesoxycorticosteroneの定量に利 alate法5),Dinitrobenzoate法6)等があるが 用し,次いでEngel7)15)が之をSteroidAlc- 何れも感度が低く臨床検査法としては尚十分で oholの一・般定量法としたのである.著者等は はないEngel7)は1954年Acetohydroxam酸 本法を更に詳細に検討し種々反応条件の吟味改 法を発表した.本法は3段階より成り,第一に 良を行ったのでその結果を報告する. } 136 細井・神戸川 一 一 一 一 r - - - 一 宇 一 一 一 一 一 一 - - - 一 一 一 ー 一 一 一 一 1 - 弓 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 - 一 一 一 - 一 _ _ − 実験必要な試薬類及び器具 試薬:何れもJIS特級を用う.e.5N-HaOH 1 f.塩化鉄,塩素酸カリ試薬……0.06gのKCIO3・ 董 縦 苧 ヂ ン │ … … 再 溜 精 製 し た も の 6H200.5gmを溶解させる. c・無水酢酸・ピリジン混液.….、使用前に酢酸とピg.Dehydroepiandrosterone標準液…Dehydroepian- ソヂンの同量を混和する.drost…標準液,融点140 ,4,。C,["]if、,'.01 d_0.5N NH20H・HClの90%アルコール溶液10mgを10m.lのアルコールに溶解する. ……NH20H・HClO.7gmに水2mlを加え加温浴2.器具;BeckmanDU分光光度計 解させアルコールを加え20mlとする. 実験 本法は,Hydroxysteroidの酢化,NH20H の郡 OH基1ケのDehydroepiandrosterone, によるAcetohydroxamicAcid(AH)の生 Testosterone,Cholesterol等では1ミリ分子 成,及びFe+++によるAH-Fe酷塩の生成の 吸光係数は約1.1を示し,Androstenediol, Estradiol,Allopregnanediolの如くOH基 2ケのものでは略々2.2を示す.−一方C11位や 8段階よりなるのであるが,著者等は先ず標準 Dehydroepiandrosteroneを用いてこれら3 種の反応について,反応条件を詳細に検討し た . I.Acetohydroxam酸鉄生成に関する基礎 実験 1.HydroxysteroidのAcetyl化 C17(")位にOH基をもつSteroidでは, 例えばOH基2ケのCortisone,並びにOH 基3ケのHydrocortisoneの1ミリ分子吸光 係数が夫々1.20及び1.19であって20H基1 ケのSteroidに相当しているのであるが.この a)Acetyl化の条件 ことはこれらSteoidのもつOH基の中で HydroxysteroidのAcetyl化は無水酢酸・ Acetyl化出来る活性水酸基が何れも1ケしか ピリヂン混液中100-110。Cで行った.Ddly- ないことを示すものである.即ちC11位やC17 droepiandrosterone5001′を,無水酢酸・ピ 位のa-OHは不活性で,この方法ではAcetyl リヂン混液量及び加熱時間を種々に変えて 化され難い Acetyl化し,Acetyl化された量をAcetohydr- 2.HydroxylamineによるAcetdlydroxa- oxam酸法で測定して第1表の結果を得 た.この成績からDHlydroepiandrosterone の酢化には無水酢酸・ピリヂン混液0.1mlで 30分加熱すれば十分であることが分る.尚無水 micAcidの生成. a)アルカリ性Hydroxylamineの安定度 の吟味. Hydroxylamine塩酸塩NH20H・HClは 酢酸の代りに塩化アセチルを用いても同様であ アルカリによって強い還元性を示すと同時に不 った.本反応は湿気を嫌うためグリセリン浴又 安定で室温でも分解する.従ってAcetyl化さ は油浴で行う. れたHydroxysteroidにアルカリ性でNH20H b)諸種SteroidAlcoholの水酸基Acetyl 化実験. を作用させて,AcetohydroxamicAcidを生 成せしめるに当っては,出来るだけNH20H 水酸基を有する種々のSteroidを本法で の分解を少くすることが必要である.著者らは Acetyl化し,Acetyl化された-OH基を定品 先ず種々な温度に於けるNH20Hの分解速度 すると第2表の如く水酸基の数と1ミリ分子吸 をその還元力の減退を指標として測定した.即 光係数(吸光係数/1ミリ分子量)は比例し, ち0.5N-NH20H・HClの90%アルコール溶 SteroidAlcoholの測定法について 137 液1mlと5N-NaOHO、2mlを混和して一 成は前2実験の場合に比して可成り劣り,而も 定温度(100。C,60。C又は室温)に放置し, 約10分で最高に達し,その後AH生成量は急 一定時間毎に残存Hydroxylamineを0.1% 激に減少を示した.よって著者等はAH生成 K3Fe(CN)6の消費量で測った.その結果は 条件として室温(25。C)80分放置して反応を 第1図に示した如くであって,アルカリ性 行わしめることとした. Hydroxylamineは60。C又は100。Cで加 3.AcetOhydroxam酸鉄の生成 熱した場合には20分乃至30分間で全部分解し, 室温に放置した場合でも30分後には約1/3量と なることが分った.Engel等11)の如くHydr- a)pH. 定量実験の最終段階ではAHにFe+++ (FeCl3)を加えて赤色のAH-Fe錯塩を生成 oxylamine塩酸塩とアルカリを混合して析出 せしめ,その着色度を比色測定するわけである する塩を遠沈してその上澄液を使う方法はその が,この際生成したAH-Fe錯塩の安定度が 操作に約10-15分間を要するものであって従っ pHによって著しい影響を受けることがEngel てその間に既にHydroxylamineの一部が分 解することがこの実験で明かとなった.そこで 等によって指摘されている.著者等は前項の実 験で得られたAHに種々のpHで2.5%FeCl3 著者らはAcetyl化した検体に0.5N.-NH20H 0.5mlを加え生じたAH-Feの着色度を光度 ・HClの90%アルコール溶液1mlを加えよく 計で測定して第3図に示す結果を得た.即ち 検体を溶かしてから5N-NaOHO,2mlを加 pH1.2-1.8の比較的狭い範囲内ではAH-Fe え室温に30分放置して反応せしめる方法を採用 の着色度は最高を示したがその前後のpHで した.この著者らの方法では反応操作による試 は着色度の急激な減少が見られた.そこで著者 薬の損失が少ないため,試薬量もEngel法に らは,NH20HでAHを生成した後,0.5 比して少量であって,NH20HoHClで約1/2 N-HCll、5mlを加えpHを1.2-1.8内に修 量(66mg→35mg),アルカリ量で約1/3量( 正した後FeCl3による発色反応を行うことと 139mg→40mg)に夫々減量することが出来た. した. 尚著者らの方法では析出する塩はそのま上で爾 b)塩化鉄の濃度と酸化剤の使用について. 後の反応操作に何等支障がなかった. pH1.2-1.8に調整したAH液にFeCl3を b)AcetOhydroxamicAcid生成条件の吟 味 加えて発色せしめる際,FeCl3の一部は残存 しているNH20HによってFe+++→Fe++に DdlydroepiandrosteroneaCetate500γに 還元され,この為AH-Fe色素の生成が定量 0.5N-NH20H・HClのアルコール溶液1ml 的に行われないことを考慮せねばならない.従 と5N-NaOHO、2mlを加え,種々の温度(室 ってFeC13を或る程度余分に加えることが必 温,60。C,100。C)で反応させ,生成した 要となってくるのであるが,しかし乍ら,不必 Acetohydroxam酸量を逐時的に比色測定し て第2図に示す成績を得た.即ち室温(25。C) 要に過剰のFeCl3を加えることは徒らにFeCl3 の着色によるBlankを大にして,比色測定上 放置実験では,時間と共に漸次AH生成量は 増加し,30分後に最高となり以後殆んど増減が に支障を来たす虞れがある.これらの点をいろ いろと検討して著者らはこの際,FeCl3を残存 なかった.又60。C加熱実験では,10分後に既 NH20Hの還元作用から防護する目的を以て にAH生成は最大となり,その値は室温30分 反応時に於けると略々同一量を示し,以後時間 適当な酸化剤の添加を試みた.酸化剤として KClO3,HClO4,H202,HIO4及びNaBrO4 の経過と共にAH生成量は漸減の傾向を示し の5種について検討を加えた.第2表は た.之に反し100。C加熱実験では,AH生 AcetOhydroxam酸液に各種濃度(O.2,0.5 138 細井・神戸川 − 及び2.5%)FeCl30.5mlを単独に加えて発色 資料(後述の尿よりPincus法16)によって抽 せしめた場合と,それに更に各種酸化剤を添加 出した中性エーテルエキス部分NeutralEther した場合とについて,AH-Fe錯塩の着色度 Extractのアルコール溶液でDehydroepian- (光度計のOpticalDensity)を逐次的に測定 drosterone200-2,0007相当量),(2)Ddly- した成績を示したものである.即ち,FeCl3単 droepiandrosterone標準溶液0.5ml(500γ含 独使用実験では,FeCl3の濃度2.5%を用いた 有),及び(3)アルコール0.5ml(Reagent 場合に着色度は最高を示したが,この場合時間 Blank)をとり,溶媒を加熱蒸発させ真空デシ の経過と共に色調の槌色が認められた.一方酸 ケーター中で乾燥した後,各々に無水酢酸・ピリ 化剤添加実験ではH202,HClO4,HIO4並び ヂン(1:1)混液0.1mlを加えグリセリン浴 にNaBrO3を用いた場合.には,夫々不純呈色'ハ で100--110。Cで30分加熱して酢化する.次 ロゲンの析出,白濁等を生じ何れも比色測定上 いで加熱しつょスプレーで溶媒を蒸発させ,更 に支障を来たし,この様な酸化剤の使用は不適 にメタノールを加えて蒸発を行い無水酢酸の痕 当であった.之に反してKCIO3は,その緩漫 跡を除く.この操作を数回繰り返した後,デシケ な酸化作用のため生成したAH-Fe錯塩を分 ーター中で減圧乾燥する.こ上に得られた 解歩ることなしに,NH20HによるFe+++-> SteroidAlcoholのAcetateに0.5N-NH2 Fe++の還元を防止して色調を安定せしめ,酸 OH・HClの90%アルコール溶液1mlを加え 化剤として好適であることが分った.そこで著 溶解させ,次いで5N-NaOHO.2mlを追加 者らは,本実験にはKCIO3を0.8%に加えた し室温25。Cで80分放置した後,0.5N-HCl 2.5%FeCl30.5mlを加えてAH-Fe錯塩色 1.5mlを加えてpHを1.2-1.8とする.更 素を生成せしめることとした. に蒸溜水を加え液量を4.5mlとする.これに c)Acetohydroxam酸鉄の吸収スペクトル 0.8%KClO3含有の2.5%FeCl30.5ml次い Dehydroepiandrostercneを用いてAceto- で,エーテル4mlを加え,よく振溌すれば, hydroxam酸鉄を生成発色せしめ,その吸収ス 資料並びに標準Steroid管ではAcetohydro- ペクトルを分光光度計で検査して第4図の如く xam酸鉄の生成によって水層は赤色を呈し, 波長510m〃に比較的鮮鋭な極大を示す吸収曲 同時に遊離したSteroidAlcdlol並びに不純 線が得られた.従って著者らは波長510m〃を 呈色はエーテルに移行する.20分後に資料及び 以って,若し又フィルター式光電比色計を使用 標準Steroid管の赤色水溶液(下層)をピペ する場合にはフィルターS52を以って比色測 ットで吸い取り,アルコール溶液のみのBlank 定を行うこととした.尚第5図は510m〃を用 試験管の水溶液を対照として分光々度計又はフ いて検測した標準Ddlydroepiandrosterone ィルター式光電比色計で夫々の吸光係数E及 に対する検量線(Calibrationcurve)を示した もであるが,SteroidO、1-1.Omgの範囲では 検量線は直線性であって,Steroid量とAce- tohydroxam酸鉄の色調度との間には完全な 比例的関係が実証された.尚Engel等15)は U<Esを測定し次式によって資料中のSteroid Alcohol量を算出する. S t e r o i d A l c o h o l ( 7 ) = S × 芸 こょで,S=標準SteroidAlcohol量(γ) Cary分光々度計を使用してAcetohydroxam E=検体の吸光係数 酸鉄のスペクトルの吸収極大が波長527m禅に Es=標準SteroidAlcmlolの吸光係数 あると報告している. 然し乍ら,本実験法ではSteroidAlcdlol以 II.測定法及び補正式 外の不純物のNH20H及びFeCl3による着 3球の試験管(15×150mm)に,夫々(1) 色が多少なりとも伴うのであって,従って光度 SteroidAlcoholの測定法について 139 計の実測値に対し何らかの方法で補正を加える 必要がある.Engel等15)はこの不純呈色によ る過大測定を修正するため,比色測定用波長と Alcohol排泄量をAcetmlydroxam酸法によ って定量追求した.尚この際,同時にZimm- して不純呈色による干渉の少い560m〃を使用 osteroidをも定量してSteroidAlcohol排泄量 し,更にAcetylationBlank並びにPrefor- と比較検討した. medEsterBlankを入れた補正式を採用して いる.著者らは次の様にして不純呈色に対する 家兎は体重2kgの正常雌を用い,各Steroid50mgを油溶及びサスペンション1mlとし 補正を行った.先ず尿抽出物に対し,Acetyl 化操作を行わずに,以下同様にNH20H及び, FeCl3反応を行って得られた不純呈色につい て吸収スペクトルの検査を行った.その結果, 第4図に示した様に,Acetohydroxam酸鉄 の吸収スペクトル曲線と全く逆の関係を示すス ペクトル曲線が得られた.即ちAH-Fe錯塩が 最低の吸収を示す420m〃に於て不純呈色が最 大吸収を示し,一方AH-Fe錯塩の吸収最大 波長510m〃では不純呈色の吸収は極めて僅少 て筋肉注射した.使用したSteroidはCorti- errnann反応(Callowの変法20))で17-Ket- s o n e , 1 7 H y d r o x y 1 1 d e s o x y c o r t i c o s t e r c n e , D e s o x y c o r t i c o s t e r o n e , 1 7 似 宇 H y d r o x y p r o g e g t erone"及びProgesteroneの5種注射前3 日間と注射後7日間の毎日尿について,PingIzs 法'6)によって中性エーテル・エキス部分を抽 出し,SteroidAIcoholと17-Ketosteroidを 測定した. 抽出法:トルオール少量を加え防腐貯臓せる24時間 尿より100mlをとり,conc・HCI15mlを加え,磨 であって,この関係は,Zimmermann反応'7) り合せ硝子冷却器をつけたコルベン中で8分間煮沸 によって17-Ketosteroidを測定する場合に於 けるSteroid呈色と不純呈色との関係に極め し,冷却後,尿を過酸化物除去エーテル100mlで 3回抽出.エーテルを飽和NaHCO3水浴液50ml て類似している,よって,著者らはFraserl8) で2回,蒸溜水30mlで1回,2NNaOH50mlで 19)の補正式を本呈色に利用し次式によって資 料の510m〃での実測吸収係数(E)の補正を 3回洗糠する.最後に再び蒸溜水50mlで3回洗漉 した後,エーテルを蒸発し,残澄をデシケーター中 で減圧乾燥する.かくして得た抽出物をアルコール 行った. 補正E=KigZ o==420 Ki-Ks ここで,E510,E420は夫々資料の510m", 420m似に対する吸光係数, K−芸鶚,K−吾簔: 5mlにとかし,その1mlをSteroidAlcohol測定 に,0.2mlを17-Ketosteroid測定に使用した. 第6図は各Steroidについて行った測定実 験の成績を示したものであるが,この成績から 明かな如く,何れの場合でも尿中Steroid Alcoholの排泄量はSteroid注射翌日又は翌 但し,Es420,Es510はDehydroepiandrost- 々日より著明に増加し1週間後には略々正常に erone標準溶液の420m",510m〃に対する吸 復することが判る.一方尿中17-Ketcsteroidの 光係数を示し,又Ej420,Ej510は尿抽出物 量は,Cortisone,17 Hydroxy-11-desoxycorti- の不純呈色の420m",510m禅に対する吸光係 costerone及び17-Hydroxyprogesteroneを 数を示す. 投与した場合にはSteroidAlcoholと同じく 尚フィルター式光電比色計を使用する場合に はフィルターS52及びS43を用いて同様に 増大の傾向を示したが,之に反しDesoxycor- 吸光係数を測定する. 兎では全く変化が認められなかった. III.諸種Steroid投与家兎に於ける尿中 ticosterone及びProgesteroneを投与した家 この実験結果から,SteroidHormone代謝 SteroidAIcoholの排洲試験 の研究に生殖腺や副腎皮質機能の状態を推知す 家兎に諸種Steroidを投与し,尿中Steroid るには,尿中SteroidAlcohOl排泄量の測定 140 細井・神戸川 が重大な意義をもつものであることが明瞭であ であって,殊に副腎皮質腫瘍や妊娠時に多量に る.他方,従来行われて来た尿中17-Ketoster- 排泄されるPregnane-8",20a-diol,Pregnane oid測定法が,本実験のDesoxycorticostercne -36,20Iz-diol,Pregnanetriol等の重要Alc- やProgesterone投与家兎例に見られた如く, ohol性Steroidはこの方法では捕捉されな SteroidHormone代謝産物の研究には不適当 い. 壷函 結 1.Acetohydroxam酸鉄呈色反応を利用し る補正式について検討した. たEngel等のSteroidAlcohol定量法を検討し 3.諸種C2,-Steroidを注射した家兎尿につ て,Hydroxylamine試薬の使用法を改良する と共に,FeCl3の還元防止の為に新たに酸化剤 いて,本法によるSteroidAlcoholの測定を 行って,凡ての動物に於て注射後その排泄量の KCIO3を添加して呈色反応の安定化を計った. 著明な増加を確かめ得た。しかし,その際尿中 2.本法による加水分解尿の中性抽出物中の SteroidAlcohol測定に際し,不純呈色に対す 17-Ketosteroidの排泄量は必ずしも増加を示 文 1)Pincus,G、:Endocrmol.,35,227,1944. 2)Dobriner,K、,Lieberman,S、,andRhoads, C・P.:J.Biol.Chem.,172,241,1948.3) Lieberman,S.,Fieser,L.F.,Dobriner, K・,andRhoads,C・P.:Endocrinol.,35,223, さなかった. 献 19,932,1947.11)Bauer,F,C、,JR・and Hirsch,E.F.:Aェch・Biochem.,20,242,1949. 12)Hestrin,S、:J.Biol・Chem.,180,249, 1949.13)Bergmann,F、:Anal.Chem., 24,1367,1952.14)Zararoni,A、:Recent H、,andShinkel,M.:J.Hol・Chem.,183,47, ProgressinHormOneResearch,8,51,1953. 15)Baggett,B、,Engel,L、L・and Fielding,L、L、:J・Biol、Chem.,213,87, 1955.16)Pincus,G、:J・clin・End.,5,291, 1950.6)Killie,AoE.,Smith,E、R、, 1945.17)Zimmermann,W、:Z.f.physiol. andWade,A・P.:Biochem.J.,53,578,582, C h e m . , 2 3 3 , 2 5 7 , 1 9 3 6 I 7 ; 2 4 5 , 4 7 , 1 9 4 5 . 1 8 ) 1953.7)Engel,L、L、,andBaggett,B. :RecexltProgressmHormoneResearchlX,251, Fraser,R・弧『.:J・clin・End.,1,234,1941. 1954.8)LIpmann,F、,andTuttle,L. 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Mol・wt. │ 肌 " M o l e ’ &。│]│O.3821288InU 1 ’039012881ユ.15 C3 ’0.27413861ユ06 Desoxycorticosteron 。lC;、│」│q3451-33'│ユユ4 , │C C 2 2 ,,& , 7C (" , ) 7 │1 ( α 0 ) . 3 | 3 ’ 4 1 3 3 6 6 0 1 0 . 3 4 1 11.20 Hydrocorthone ’ C2,§'8器(α)|Ⅱ’0.32713621Ⅱ、19 Fstrone ’ C31 ’030712701].'0 Androstenediol │Co,Ca(,)│210.770129012.30 ’ C3,C,7(8) ’0798127212.17 A l l o p r e g n a n e d i o l IC3,22。│21q675132。 1 2 . ' 5 T℃stoseer⑪ne − ’ ’ NUmberof C'7(") 1 CholesWol 1 1 Cortisone − ■ − − 1 − 1 2 Estmdiol 2 2 2 10mgsteroidwasused. 四・m 琶幹・尊刊三 い。、 @m CO“ “のつ o・]、 司 の 惇 の“ ● の③ 心四つ一“@。|“﹃。一四mm 心、o一四℃。一“﹃、 画。、 ○画 樫。つ − ︻穐可︵。z︶? ︺つ ﹄牌 画。、 題ロ○吟 ︺画 ﹄⑳ ]oの 屋巴時○ 四・m|函。、 国]○ 一 ]。。−﹄oつ “C﹃|心。ロ 皀題も題急用烏蔚員巨冒aご詳言曽旨目.箸言P﹂韻 ︵mmOo︶や①。m目﹄]つつ。。、崖舜ぐ興国。目、威日濡節歳彦①H①の匙屋堅 z幽○題弓画切画臣◎箸①﹄ざの国目色具9,日貢肖冒罵言愚 烏曽写匙甘召訳号呂昌画昌Pい且具mz 缶昌昌斡日の具]員侯臭Pmz]雷付○題・園昌︾ 國﹄丙国辱 甸侭.﹄F号匿ご具ご号○桝筥閏昌旨の言 四○﹄’四cm一心α割 心﹄]一四コ四 心﹄﹃|“四一|心○四一心、、 |C・四m − 心いい一吟。﹃ 心吟。 − 目凹巨の函 つ。① 尻go 、 ○x蔵尉言い崔胸①口誘夢の5○口 ]・画 心幽 、。 − 四噸の眉舜︾署鈎、色邑包①﹄8脚。①冒医望邑HoH興冒昼O脚凰色のC旨毎c目。 − 可月日異さ目呉鈩8さご号目曾凰。シo匙曾胃○日長gご豆静局員 。。、 四m。 心の。 くつ Og8員国威○儲呉蜀のO涼四国Q夢の固き目呉ぐ胃ざ易 ○.い Z。且包蔵目 胃の い心。一四℃⑮一四四心 。﹃ ]○つ一]心つ一mつの 心 昌心画 ﹄Ce間戸戸 牌 E ①一] の Pg﹂皇国①色守菖昏昌三罫屋。昌号①且佳罫◎昌呉号①。凶g言明 、 画mOo 吟 い ③。Oの 際 昌拘へ誤︶ ● 日冒昌$ 具奇聞 員樗冒昌胃庁①、 呉詳胃 11 ﹄い○ ﹄いつ 題 吟 四首 、。 ” 心 、C 0, “ ⑮ 巳 樫 ヨョの︵ョ旨.︶ 一 ‐ お − ごg 戸。。。、 − 9 一 樫 の “ 心 I ’ ’ 呂 ろ ● ‐ 、 罷 :設 鼻 . 固 K3Fe(CN)6(ml) StemidAlcoholの測定法について 143 0.,. 0.6 0., 0.5 0.3 0.4 0.2 0.3 0.1 0.2 5 1 0 ” 釦 4 0 釦 TYme(mm.) 0.1 Fig.2Conversionofacetoxylgroups toacetohydroxamicacidunder 0 variousconditions. 1.01.5;2.0 3.04.0 ‐‐pH A m i x t u r e o f d e h y d r o e p i a n d r o s t e r o n e a c e t a t e 5 0 0 r , Fig.3Showingthedependenceof 1mlofO、5NNH20H・HClm90%alcoholand fromationofferric-acetohydr oxamicacidcomplexuponpH. 0.2mlof5NNaOHwasallowedtostandatroom temperature(25。C),60andlOOoC・Acetohydroxamic a c : d w a s d e t e r m m e d c o l o r i m e t r i c a l l y a s f e m i c c o m p l e x . 正 O 鉦 s t 伽c 皿 函 ︾ 唖 皿 ●● C 一 ●●1▲今■し 唖 山y剛 ●● 曲 D 一 0.,. 0.4 0.,. 0.8 0.3 0.6 0.2 0.4 01 0.2 4 ” 掴 、 函 0 鋤 、 郷 Fig.4Absorptionspectraforthe coloredferric-acetohydroxamic acidcomplexandthecontaminantchromogen. O.10.40.60.81.0 mg Fig.5Calibrationcurvefordehydroepiandrosterone 144 細井。神戸川 mg・ Cortisone 2.4 , 蚕 j 2.0 1.6 Steroid alcohol I 1.2 8 4 00 17-Keto- ● steroid ● 1 1 1 ↓hljectionofsteroid day 師 も P,rogesterone 2.4 Desoxycortlcosterone 17-Hydroxy- Progesterone 2.0 4 1.6 1.2 0.8 0.4 , , ' ' ' 1 l l l l l l l l l l l l l l l 1 , 1 qay Fig.6Theeifbctofmtramuscularadministrationofvarious steroidsontheurinaryexcretionofsteroidalcoholandketosteroidsmfemale rabbits・Thevalueofsteroidalcoholandl7-ketosteroidwascalculatedas milligramequivalentsofdehydroepiandrosteroneper24hours.
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