小規模企業景気動向調査 [平成27年2月期調査] ~ わずかに改善したものの、一進一退の状況が続く小規模企業景況 ~ 2015 年 3 月 24 日 全国商工会連合会 <調 査 概 要> 調査対象:全国約 300 商工会の経営指導員 調査時点:2015 年 2 月末 調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式 <産 業 全 体> ◇…わずかに改善したものの、一進一退の状況が続く小規模企業景況…◇ 2 月期の小規模企業景気動向調査では、産業全体の採算、資金繰りおよび業況 DI(景気動向指数・前年同 月比)はわずかに改善し、売上額 DI は不変であった。経営指導員からは、建設業で、一部地域で、設備投資を する企業が増加しているなど好転を示す報告があったものの、①消費が落ち込んだ状態が続き、景気回復の兆 しは見えない、②地方全般にまで景気の回復は見られず、サービス業、建設業、小売業などで廃業する事業所 が見受けられるなど、悪化を示す報告もみられた。 <製 造 業> ◇…コスト増による影響がみられるものの、受注好調で改善を示した製造業…◇ 製造業は、売上額および資金繰り DI は多少悪化したものの、採算および業況 DI はわずかに改善した。経営指導員 から、好転材料として、①自動車関連や飛行機関連、機械部品関連などで、受注が好調であった、②造船関連部品製 造で、数年先まで受注の見込みが入っているケースがあるなどの報告があった。また、悪化材料としては、①食品関連 で、原材料価格の上昇分を価格に転嫁できず、採算が悪化している、②繊維関連で、消費低迷の影響を受け、受注が 減少している、③引き続き、仕入価格の上昇等コスト負担が増加しており、利幅が低下し厳しいなどの報告があった。 <建 設 業> ◇…受注増加により改善したものの、資材価格・人件費高の影響が残る建設業…◇ 建設業は、業況 DI は小幅改善、また、売上額、採算および資金繰り DI は大幅に改善した。経営指導員から、 好転材料としては、①土木関連で、道路工事や災害復旧関連の受注が多く、好況である、②公共工事関連は、 年度末に向け受注が増加している、③引き続き、リフォームや修繕工事の受注があるなどの報告があった。また、 悪化材料としては、資材価格や人件費の高止まりにより、好況とは言えないなどの報告があった。 <小 売 業> ◇…仕 入 価 格 の 上 昇 、 個 人 消 費 の 低 迷 が 続 く 小 売 業…◇ 小売業は、売上額および資金繰り DI は多少悪化したものの、採算および業況 DI はわずかに改善した。経営 指導員から、好転材料としては、衣料関連で、春に向けた衣類購入の動きが見られ、活発化してきているなどの 報告があった。また、悪化材料としては、①個人消費の低迷が続き、売上額が減少している、②食品関連で、仕 入価格の上昇により、利益が低下しているなどの報告があった。 <サービス業> ◇…依 然 、 消 費 意 欲 が 伸 び ず 、 厳 し い 状 況 に あ る サ ー ビ ス 業…◇ サービス業は、売上額 DI はわずかに悪化したものの、資金繰りおよび業況 DI はわずかに改善し、採算 DI は 不変であった。経営指導員から、好転材料としては、①運送業で、ガソリン価格下落の恩恵を受け業況が好転し た、②宿泊・観光関連で、一部地域で、客足が伸び、売上額が増加したなどの報告があった。また、悪化材料とし ては、①飲食関連で、客の節約志向により売上額が減少している、②理美容業で、来店頻度の低下が続いており、 売上額が減少しているなどの報告があった。 業種 売上額 採 算 資金繰り 業 況 1月 ▲ 21.4 ▲ 29.9 ▲ 23.3 ▲ 28.8 産業全体 2月 前月比 ▲ 21.7 ▲ 0.3 ▲ 28.1 1.8 ▲ 22.3 1.0 ▲ 27.2 1.6 1月 ▲ 35.9 ▲ 39.5 ▲ 30.8 ▲ 41.1 小売業 2月 前月比 ▲ 40.0 ▲ 4.1 ▲ 38.8 0.7 ▲ 32.3 ▲ 1.5 ▲ 40.5 0.6 業種 売上額 採 算 資金繰り 業 況 1月 ▲ 9.4 ▲ 25.2 ▲ 18.8 ▲ 24.6 製造業 2月 前月比 ▲ 11.6 ▲ 2.2 ▲ 23.5 1.7 ▲ 19.6 ▲ 0.8 ▲ 23.5 1.1 サービス業 1月 2月 前月比 ▲ 27.5 ▲ 29.1 ▲ 1.6 ▲ 28.0 ▲ 28.0 0.0 ▲ 23.2 ▲ 22.4 0.8 ▲ 29.4 ▲ 28.5 0.9 1月 ▲ 12.8 ▲ 26.9 ▲ 20.5 ▲ 20.4 建設業 2月 前月比 ▲ 5.9 6.9 ▲ 21.8 5.1 ▲ 14.9 5.6 ▲ 16.5 3.9 注)DI(景気動向指数)は 各調査項目について、増加 (好転)企業割合から減少 (悪化)企業割合を差し引い た値を示す。 全国商工会連合会 企業環境整備課 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館19F TEL:03-6268-0085 FAX:03-6268-0997 担当:小林 美香 小規模企業景気動向調査(月次) 産業全体の業況…過去10年のトレンド… 悪化 好転 DI 10 0 -10 -20 -30 -40 -50 -60 -70 -80 -90 2015年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2014年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2013年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2012年1月 11月 9月 11年3月 東日本大震災 7月 5月 3月 2011年1月 11月 9月 7月 5月 3月 08年09月15日 09年1月 08年1月2日 NY原油先物初 リーマン破産法 調査開始以来最低数値 の100ドル突破 適用申請 (-82.5)記録 2010年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2009年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2008年1月 06年7月14日 07年8月9日 日銀ゼロ金 BNPパリバ、傘下の3ファ 利政策解除 ンドの償還を一時凍結 11月 9月 7月 5月 3月 2007年1月 11月 9月 7月 5月 3月 2006年1月 11月 9月 7月 5月 2005年3月 06年01月16日 ライブドア強制捜査 14年4月 15年/2月 消費税率8%に -27.2 引上げ 小規模企業景気動向調査(2月期)における商工会経営指導員の主なコメント *コメントについては、経営指導員回答の原文を掲載。 1.景気全般 <改善傾向を示すコメント> ・建設業の中小零細企業は受注が多く、また、利益もやや増加したことから、設備投資をする企業が増加している。 (富山県富山市南商工会) ・原油価格の低下により、サービス業(クリーニング業)は好転している。 (北海道新ひだか町商工会) ・ウィンターシーズンの旅行客が増加し、飲食関連、衣類関連小売、旅館宿泊業で動きが見られる。建設業関連は 年前の繁忙期に近く人手不足や手が足りず外注に出している業者も見受けられる。 (新潟県黒埼商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・コスト増加分の価格転嫁の遅れや個人消費の鈍さにより、収益の圧迫が続き、業績改善の足かせ状態が続いてい る。 (埼玉県鳩山町商工会) ・消費動向は停滞している様子であり、客足、客単価ともに伸び悩んでいるとの声が多い。 (千葉県印西市商工会) ・まだまだ地方の中小企業の業績UPは望めないとの声あり。 (岡山県作州津山商工会) ・全体的に消費が落ち込んだ状態が続き、景気回復の兆しは見えない。 (群馬県中之条町商工会) ・地方全般にまで景気の回復は見られず、サービス業、建設業、小売業などで廃業する事業所が見受けられる。 (徳島県美波町商工会) 2.製造業 <改善傾向を示すコメント> ・自動車関連は好調を維持している。 (長野県佐久市望月商工会) ・飛行機関連は、成長分野となっており、好調に推移している。 (山形県山辺町商工会) ・建設機械部品製造業は、親会社の業績好調を受け、設備投資を行い増産に対応し、業績を伸ばしている。 (香川県高松市中央商工会) ・造船関連部品製造業では、数年先まで受注の見込みがあり、大きく崩れることなく推移する見込みである。 (岡山県瀬戸内市商工会) ・電子部品、アルミ関連は、順調に受注がある。 (富山県富山市南商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・繊維関連は、消費マインド低下の影響を受け、受注の低迷が続いている。 (群馬県中之条町商工会) ・食料品製造業では、原材料費の高騰を価格に転嫁できず、採算が悪化している。 (秋田県由利本荘市商工会) ・コストの増加により採算の悪化が大きく、利幅の減少等経営環境は悪化している。 (宮城県栗原南部商工会) ・食品製造業は、依然として個人消費が低迷しているせいか、売上が減少している。 (兵庫県吉川町商工会) 3.建設業 <改善傾向を示すコメント> ・道路工事や災害復旧関連工事の受注は多く、土木関連は好況が継続している。 (秋田県北秋田市商工会) ・官庁関係の仕事も増加してきており、活気づいてきている。 (三重県小俣町商工会) ・公共受注は年度末で忙しい。 (福島県大東商工会) ・屋根等修復修繕の仕事がある。 (神奈川県藤野商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・建設業全般において、資材価格や人件費の高止まり、加えて雇用のミスマッチ等が生じ、決して好況とは言えない。 (秋田県白神八峰商工会) ・住宅関連は、材料(特に輸入材料)の仕入価格が上昇しているため、利益が減少している。また、県内での仕事が なく、県外の仕事が増加している。 (静岡県岡部町商工会) ・労務費・資材費が高い状況が続いている。 (東京都調布市商工会) ・建築業は、受注件数が減少しており、厳しい状況となっている。 (石川県門前町商工会) ・住宅関連は、大手住宅会社に仕事を取られ、受注が減少してきている。 (静岡県浜名商工会) 4.小売業 <改善傾向を示すコメント> ・衣料関連は、春に向けた衣類購入の動きがみられ、活発化してきている。 (新潟県黒埼商工会) ・消費意欲が少し回復したことにより、零細商店でも売上が少し回復しつつある。 (富山県富山市南商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・食品を中心に仕入単価の上昇が見られ、利益率が低下している。 (北海道小平町商工会) ・衣料品関連は、季節的な影響により来店客が減少し、売上が低下している。 (山形県山辺町商工会) ・町内での個人消費が伸びないため、小売業全体で低迷が続いている。 (山形県小国町商工会) ・食料品などの値上げが相次ぐ中、消費者の節約志向は根強く、価格競争力の弱い店舗は苦戦が続いている。 (埼玉県鳩山町商工会) ・域内需要を対象とする小売業では、市場が縮小する中で、景気も低迷したまま、明るい材料もなく厳しさは増すば かりである。 (島根県石央商工会) 5.サービス業 <改善傾向を示すコメント> ・運送業は、ガソリン価格下落の恩恵を受け、好転した。 (埼玉県鳩山町商工会) ・宿泊・観光関連は、初春の観光シーズンに入ったこともあり、売上・来客数が増加しているように感じられる。 (千葉県鴨川市商工会) <悪化傾向を示すコメント> ・飲食業で、消費者が外食を控える傾向が見られる。 (徳島県美波町商工会) ・理美容関連は、来店頻度の低下が続いているようである。 (佐賀県神埼市商工会) ・飲食、旅館、観光関連は、冬季であるため、人の動きが悪い状況となっており、売上が伸び悩んでいる。 (大分県九重町商工会) ・宿泊関連は、閑散期のため低稼働状況となっている。 (青森県市浦商工会)
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