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タイからの観光誘客と日本食の流通
1.タイの基礎データ
2.タイへの在留邦人数及び訪日観光客数の
動向
タイへの在留邦人数及び訪日観光客数につ
いては増加傾向にあります。
その中でも、タイ人の日本への観光客は急
激に増加しており、タイ人訪日観光訪日国別
統計でもタイは第 6 位(中・韓・台・香・米
に次ぐ第 6 位です)。年間 45 万人、対 2012
年伸び率 74.0%と驚異的な伸び率を示して
います。
また、訪日するタイ人観光客は多くのお金
を日本国内で消費していく傾向があり、東南
アジア諸国中で最も消費意欲が旺盛で、菓子
やお土産を購入する傾向があります。
タイからの訪日観光客の買物支出額は平均
5 万円と言われており、東アジアの国・地域
と比べると韓国や台湾に比べ高く、中国に比
べ低いと言われています。
(出展:日本政府観
光局 JNTO より)
3.航空ネットワークの充実
その象徴となるのが、日本、タイ間での航
空ネットワークの充実です。在留邦人及び観
光客輸送の増加に伴い、世界最大級のジェッ
ト旅客機(エアバス社 A380 機)が定期就航し
ています。
タイ航空が運航する世界最大級のジェット
旅客機旅客機は、関西国際空港及び成田国際
空港で定期就航しており、輸送ニーズの高さ
上記のポイントを踏まえ、観光誘客のため
が表れており、安定的にかつ多数の人口が日
の戦略の立案とインバウンド効果を狙った事
本、タイ国
業の実施を検討していく必要があると思いま
間で交流し
す。
ているとい
えます。
5.タイにおける日本食品の流通事情
今後、タ
現在、食に対する「安全・安心」への関心や健
イを含むア
康志向が高まるなか、海外において日本食は
ジア諸国へ
世界最大級の旅客機械
エアバス社 A380 機
の交流人口
世界無形文化遺産の登録とともに「高品質」
の増加が見込まれており、タイのような航空
ネットワークの整備が進むものと思われます。
「美味しい」
「健康に良い」等の理由から人気
が高くなっており、日本料理店や日本食を提
供するレストラン等の外食産業や高級スーパ
ー等の小売店舗でも日本食ブームと言われて
4.北陸三県への来訪状況について
います。アジア諸国においても例外ではなく、
日本への観光面での注目及び訪日ニーズの
香港、シンガポール、タイ、マレーシアなど
高まりの中、北陸三県への来訪状況についい
の多くの国や地域で日本料理店や日本食や日
ての調査結果によると、下記のような結果で
本の食材が多く見られるようになりました。
あり、残念ながら福井県においては富山県、
こうした背景のもと、タイにおいても海外
石川県の2県に大きく数値をあけられている
向けの農水産物や加工食品の販売、日本料理
状況でありました。
店の出店などに関するお問い合わせが増えて
【富山県】約 15,000 人、
【石川県】約 8,000
人、
【福井県】211 人
いる状況であり、国内各地で行われている「ア
※ 2014 年 1 月~12 月
ジア向け食品販路拡大セミナー・相談会」等に
尚、タイ人が好む日本のイメージ(人気の
は多くの関係者が参加する状況になっていま
ポイント)は次の通りだそうです。
第1位
産物、第4位
雪、第2位
温泉、第3位
鉄道(新幹線)、第5位
す。
海
花
本視察において、アジア諸国の中で中国に
次いで在留邦人数が多く、日本食が一過性の
ブームではなく広く大衆に根付きつつあると
言われているタイにおける日本食品の流通事
情について調査を行いました。
①小売り店舗において、日本食品(加工食品)
は通常の3倍
る
⑦セブンイレブン
でも日常的に弁当
等が売られている
が、近隣の屋台に
で販売されて
比べ2倍の金額で
いる
あった。
②日本食品は主
セブンイレブンの多店舗
化と屋台の2倍の弁当類
に富裕層及び
結果、日本の食
在留邦人が購
品に関しては、ある程度の品揃えがあり、す
入している
③日本食品コー
日本製の銘柄商品
層は現地富裕層(海外赴任者)及び在留邦人
ナーもある程度面積があり、品添えも充実
している(100g@2,000~3,000/日本円)
④納豆や揚げ
が購買層だと思われます。
今後、食品市場への参入を検討する企業に
ついては、物流体制の確立、賞味期限、現地
などの品揃
表示義務の対応、味などのバリエーションの
えがあり、
対応などが課題となると思われます。
日本のパッ
(加藤永俊)
ケージのま
ま表示を現
日本メーカーの納豆製品
地のシール
対応で販売
⑤牛肉類も和
牛の品揃え
があり、現
地の肉の3
倍程度で販
でに流通網が確立されている。ただし、購買
高級和牛コーナー
売されている。
⑥農水産物である一次産品などは、現地の農
水産物や他海外の農水産物が販売されてい