職員アンケートから災害時通勤・帰宅困難と院内備蓄を考える;pdf

職員アンケートか
帰宅困難と
市立八幡浜総合病院
○川口
久美、越智
菊地 栄治、坂
本
ら、災害時通勤・
備蓄を考える
救急・災害対策委員会
元郎、宮谷 理恵
耕一、坂本 利治
1
【研究の背景と目的】
八幡浜市は、海と山に囲まれた、漁業が盛んな地域
です。遠くない将来、南海地震や東南海地震による被害
に遭遇することが考えられています。その被害が甚大で
ある場合、各地からの支援を受けることは、難しいかも
しれません。今回、当院全職員に対しアンケート調査を
おこない、災害時に通勤・帰宅が可能かどうか、宿泊を
希望するかなど について調べました。
その結果から、特に職員の通勤・帰宅困難と災害用
備蓄のあり方について考察しました。
当院は様々な災害時ハザードに取り囲まれている
土石流危険渓流
地すべり危険地帯
●
急傾斜地崩壊危険区域
津波浸水予想区域
津波浸水予想区域・浸水実績
八幡浜市ハザードマップより
2
【研究の背景と目的】
【方法】
【方法】
平成24年1月、非常勤・委託を含む全職員の
410人に14項目なるからアンケート用紙を
配布し、98.5%にあたる404人から、
無記名で回答をいただきました。
市立八幡浜総合病院
山本尚幸
伊方町の風車と三机湾
今回分析の対象とした項目
1.職員の背景―年齢、性、職種など
2.居住地と通勤距離
3.通勤困難:在宅中に発災し、自動車や公共交通
機関で通勤できなくなった場合に来院できるか
どうか。
4.帰宅困難と宿泊希望:勤務中に被災し、自動車
などで帰宅できなくなった場合に帰宅するか、
市立八幡浜総合病院
帰宅は困難で病院に宿泊したいか。
山本尚幸
3
5.自宅から伊方原発までの距離
6.放射線災害時の宿泊希望:放射線災害がおこり
当院が避難指示区域内に含まれた場合に、
入院患者の避難が終了するまで、病院に宿泊
したいか?
以上の、6項目です。
1.回答者の背景ー①年齢と性
男性88人(21.8%)女性316人(78.2%)
人数
男 女
年齢 ~40
41~50
51歳~
年齢と性
4
1.回答者の背景ー②職種
無回答
その他
医師
10 29
46
医師
42
事務職
39
他のコ・
メディカル
看護師
看護助手
看護師
171人
42.3%
31
クラーク
看護助手
クラーク
他のコ・メ
ディカル
事務職
*その他
36
無回答
職 種
1.回答者の背景ー③勤務形態
その他
30 9
常勤
65人
派遣・委託
非常勤
常勤
44人
非常勤
256人
63.4%
派遣・委託
*その他
回答なし
勤務形態
5
2.居住地
伊方
大洲 27
35
16 6
その他
西予 30人
7.4%
八幡浜
60人
保内 14.9%
旧八幡浜市
旧保内町
西予市
257人
63.6%
大洲市
伊方町
内子町
*その他
無回答
居住地
3.通勤距離
15人 30km以上
無回答 10人
10~30km
2km未満
84人
93人
2~5km 119人
5~10km
83人
通勤距離
6
4.通勤方法
歩行・
自転車
人数
自動車など
市立八幡浜総合病院
30km以上 10~30km
5~10km 2~5km 2km未満
山本尚幸
通勤方法
5.通勤困難:在宅中に発災し、自動車や公共交通
人数 1.
来院できない
来院できない理由
機関で通勤できなくなった場合に来院できるかどうか
来院困難
2家族
距離
来院可能
1
7
1
来院できる
歩行や自転車で通勤するには遠すぎる
2. 家族の世話をする必要がある
321 2
26
191 18
2
2
111 28
30km以上 10~30km 5~10km 2~5km
通勤距離
2
21 21
2km未満
7
6.帰宅困難と宿泊希望:勤務中に被災し、
自動車などで帰宅できなくなった場合に帰宅するか、
140
帰宅は困難で病院に宿泊したいか。
120
人数
3
2
4
100
3
80
60
病院宿泊
を希望
40
20
0
1
8
0
83
8
31
28
6
帰宅できる
39 44 帰宅したい
10
0 4 31 74
15 30km以上 10~30km 5~10km 2~5km 2km未満
通勤距離
1
2
3
4
5
7.自宅から伊方原発までの距離
3%
30km圏外
30km圏内 7%
10km圏内
29%
20km圏内 61%
8
8.放射線災害時の宿泊希望:放射線災害がおこり
当院が避難指示区域内に含まれた場合に、患者避難が
終了するまで、病院に宿泊したいか?
22
域外宿泊を希望
人数
120
100
33
院内宿泊を希望
80
2
6
1
4
33
27
63
69
60
40
20
01
9
31
0
1
1
5
11
5
40
20
73
宿泊希望なし
男~40歳 ~50歳 51歳~ 女~40歳 ~50歳 51歳~
性・年齢層
1
2
3
4
5
6
【考察と結論】
1)勤務時間外の自然災害で道路が寸断された場合、
職員の半数以上が、来院が難しいと答えました。
これは職員が、災害時の長時間にわたる激烈な勤務、
院内の宿泊環境が十分ではないこと、勤務後の帰宅も
また、困難となることなども予測し、災害時の出勤が
容易なものではないという、おそれを表したものと
考えられます。
一方、勤務中に自然被災に遭った場合に、宿泊を希望
9
する職員は約50人でした。
また、放射線事故のために通勤時に被ばくする恐れの
ある状況では、100人以上の職員が、自身が遠隔避難
できるまで、病院に宿泊を希望するとみられます。
2)当院の現在の食料備蓄は、入院患者200人分の
3食分です。これは診療活動をする職員の50~100人を
考慮した場合、十分ではありません。
災害の規模にもよりますが、八幡浜が孤立することを
想定すると、食料を含め、寝具や宿泊場所の確保に
ついても、事前の十分な計画が必要と考えられます。
3)災害時にできるだけ多くの職員に参集して
もらうためにも、食料備蓄や宿泊環境などの準備が
必要と考えます。
今後、病院として取り組んでいきたいと思います。
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