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学校教育目標
夢と希望をもち、
人間性豊かで
心身ともに
たくましい子の育成
寒さをのり越えて…
校長
川瀬
園江
○冬のトンネルを過ぎて
立春を迎えると「暦の上では春ですが…」という挨拶を耳にします。暦の上とは旧暦のこと
で、立春など二十四節季の区分は、大昔の華北(中国北部)で用いられていたそうです。日の自
然や季節感とはズレますが、立春は春の気が立つ、立夏は夏の気が立つということで目に見え
ない大地の動きをうまく表している言葉だと思います。
さて、暦の上と言えども春の気配は光や風の中に感じられ、季節の変化は静かに進んでいま
す。陽光の中で開花するその日のために、草花は厳しい寒さのトンネルを通過しなければなり
ません。このように、物事を成就させる、成果を上げるためには努力と忍耐の長い時が必要で
す。ある日突然、幸運が舞い込むなんてことはないので、人知れずの努力を重ね先に春(成果)
が待っていると考えるべきなのでしょう。
○無花果(いちじく)は一時間では実らない
古代ギリシアの哲学者エビクテトスは、目に見える成果が早くほしいと訴える人に次のよう
に説きました。「大事なことは何事も突如として生ずることはない。…もし君が今、無花果が
ほしいと言うなら、私は君に時間が必要だと答えよう。まず花を咲かせるがいい、次に実を結
ばせるがいい、それから熟(う)れさせるがいい。無花果の実は突如として、そして、一間の内
に出来上がらない…」と。どんな途にも最短はない、まさに“ローマは一日にしてならず”で
す。
今、学校では、子どもたちが学習発表会や感謝の会など、学年のまとめに取組んでいます。
エピクテトスの教えのように、当然ながら短時間では仕上がりません。何度も練習し、やり直
し、また練習します。子どもたちが、集中して取り
組んでいる態度が微笑ましいと思って見ていまし
たが、真剣な眼差しや表情、姿を見ると昨年の四月
の頃と比較して、着実に成長していることを感じま
す。本番の発表会ではどの学級も練習以上のできに
なったようです。
草花が冬の寒さに耐えるように、我慢し努力を重
ねる過程が、心身の成長を促すのだと思います。で
も時には、心の栄養…励ましやほめ言葉をかけてあ
げることも忘れてはならないのですが…。
今年は寒いせいか梅の開花が遅いようです。二月
の中旬に校庭の紅白の梅が花の盛りを迎えました。
厳しい寒さに鍛えられて、今も上品な芳香を漂わせ
ています。
今年度も、本校の教育活動を進めるにあたり、保
護者、地域の皆様にご支援ご協力をいただきました
こと、心より感謝申し上げます。
○紅白梅 (挿絵について) 花よりも周りを描くことに
力を入れました。梅の花の特徴を捉えることが難しかっ
たからです。本丸を攻めるには、外堀から固めると言う
ことですね。
平成27年3月・最終号