Title 免疫とアレルギーの基礎的研究補遺: 組織培養による卵白アルブミ ン感作の検討 Author(s) 石野, 俊和 Citation 金沢大学結核研究所年報 = Annual report of the Research Institute of Tuberculosis, Kanazawa University, 16(1): 89-93 Issue Date 1958-06-20 Type Departmental Bulletin Paper Text version publisher URL http://hdl.handle.net/2297/41220 Right *KURAに登録されているコンテンツの著作権は,執筆者,出版社(学協会)などが有します。 *KURAに登録されているコンテンツの利用については,著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲内で行ってください。 *著作権法に規定されている私的使用や引用などの範囲を超える利用を行う場合には,著作権者の許諾を得てください。ただし,著作権者 から著作権等管理事業者(学術著作権協会,日本著作出版権管理システムなど)に権利委託されているコンテンツの利用手続については ,各著作権等管理事業者に確認してください。 http://dspace.lib.kanazawa-u.ac.jp/dspace/ 89 一一 。一=一一一。●ー−−.二一-マー■■_一■一一 免疫とアレルギーの基礎的研究補遺 組織培養による卵白アルブミソ感作の検討 金沢大学結核研究所細菌免疫部(主任:柿下正道教授) 石 野 俊 和 (受付,:昭和32年11月20日) 緒 私はさき')2)に結核感染マウスの脾組織培養 言 のであらうと推論した. 試験において旧ツベルクリン(OT)添加培地 そこで今回は抗原性の明瞭な卵白アルブミン では脾細胞の発育が抑制され,しかもこの抑制 をもって感作したマウスの脾組織培養に対する がCortisoneまたは抗ヒスタミン剤によって軽 卵白アルブミンの影響について実験し前報にお 減されることを観察した. ける成績と比較検討しいささか知見を得たので その現象はOTと脾細胞に結合せる抗体によ こ上に報告する次第である. る抗原抗体反応の抑制による結果招来されたも 実験材料ならびに方法 a)組織培養並びにその観察方法:前報')に準じ た . を0.1mlの蒸溜水に溶解して背部皮下に注射し感作 群とした. b)組織培養培地内添加薬品:i)OTは0.5%葡 萄糖添加ロックルイス液で最終濃度を1:1,000としii) 精製卵白アルブミン(P.E.A)註')は1%溶液と し後ザイツ濾過を行い,これを鶏胎抽出液及びヘパリ ン加ウサギ血漿と混合して培養液とした. 感作群中の1群は最終注射日より7日後にP.E、 Aの20mgを0.4mlの蒸溜水に溶解して尾静脈内注 射を行ったところ全例において激しきシヨック死が認 められた. 以上無処置群,感作群,ショック死群共各頭のマウ c)実験動物:体重20gm前後の健康成熟マウス 12頭を3群に分ち1群は無処置対照群とし他の2群は スについて薬剤添加及び無添加培地で各5∼7脾片の 培養を行った. P.E.A全量15mgを3回に分割して隔日に5mg 実験成績 I正常マウスの脾組織培養成績 i)薬剤無添加培地における脾臓培養成績: 前報'),註2)で報告した. ii)P.E.A.添加の影響(Fig.1参照):P. E、A.添加時の脾組織の発育は無添加時に比し わずかに抑制された. 註1)Coleの方法により精製したもので当教室の橋本宏より分与された. 苧 野 石 90 − 一 Splenictissuecultureofthenormalmouseina mediumcontainingP.E、AJ(PurifiedEgg AlbuminbyCole'smethod) − − 一 f - - I H o u r s o f m c U b a t i o n - - - - 一 一 一 2 4 4 8 0 72 一 ︲怡棡他閤ご ︵馴〆ロピロ︶但昌⑩切逼一 mnormal culturemedium 0.42.74.05.5 ● mamedium ● ● contamngP.E.A. 0.42.33.45.0 向が認められた. iii)OT(最終濃度1:1,000)添加の影響註3): 前報で報告したごとくOT添加時の脾組織の発 育は無添加時に比しわずかに抑制された. ii)P.E.A・添加の影響:無添加時に比し更 に脾組織の発育促進傾向が認められた. iii)OT添加の影響:P.E.A.添加時と同 じく無添加時に比し脾組織の発育促進傾向が認 IIP.E.A.感作マウスの脾組織培養成績 (Fig.2,3,4参照)i)薬剤無添加培地にお ける成績:一般に正常マウスに比し発育促進傾 められた. Splenictissuecultureofthemousesensitizedwith P.E、A・inamediumcontainingP.E、A・orOT ’HoursofmcUbation 0 2 4 4 8 7 2 ● 0.53.35.17.3 A E 伽眼 唾韮皿 a am omm 0.43.36.27.4 ● 皿佃 鯏畑 at om皿 ● 単◎輔のH曇 ︵困崗口亘H︶の﹃戸ぬい︻﹄ mnormal culmremedium 0.44.66.37.4 註2)Ishmo,T;Am・Rep・Tbc.Kanazawal5(中),141,1957. li S p l e m C t i s s l i e C U l t u r e o f t h e . n o r m a l m o u s e m n o r m a l m e d u m HoursofmcUbation 0 2 4 4 8 7 2 Areaoftissue(mm2)0.52.54.45.7 註3)Ishmo,T:AIm.Rep.Tbc.Kanazawa51,(中),141,1957. S p l e I 血 c t i s s I I e c u l t u r e o f t h e n o r m a l m o u s e ’ HoursofincUbation ●画日ユ 皿 d me n、 捌唾 .m皿 出○吋のH早武 ︵國儲目一円門︶の三画のの︾導 mamedium contammgOT 0 2 4 4 8 7 2 0.54.25.7 0.5 7.6 2.45.26.8 91 免疫とアレルギーの基礎的研究補遺 ii)P.E.A.添加の影響:無添加時に比し III過敏性シヨツク死マウスの脾組織培養 脾組織の発育促進傾向が認められた. 成績 i)薬剤無添加培地に於ける成績:一般に正 iii)OT添加の影響:P.E.A.添加時と同じ 常マウスに比し発育の変化は認められなかっ く無添加時に比し脾組織の発育促進傾向が認め た. られた. Splenictisuecultureofthemousedyingfrom P.E.A・shockinamediumcontainingP.E、 A.orOT ’-----一一一一一ユ │ H o u r s o f m c U b a t ; o 。 0 2 4 4 8 7 2 ● へ “ 0.42.14.05.3 E A ︽︾ 0.42.85.46.7 ● ● ’ a 蕊 at ◎廼一ノ om皿 日 一日 mnormal culturemedium mamedinm 0.42.95.1.6.5 containmgOT 考 口 接 Meyeru・Lewenthal3)は感作又はショック を示さなかったがOT又はP.E.A・添加培地 死せる海狽の組織培養試験で脾臓の発育は何等 に於ける発育は正常群では共に発育抑制された 障害されなかったとし三杉4)は感作海摸の脾組 織培養でその発育が逆に旺盛でショック死海摸 群では共にP.E、A、又はOT添加培地で発育 のそれは更に良好であると報告している. 促進され,結核生菌感染マウス脾組織のOT添 私は正常,卵白アルブミン感作及び卵白アル がP.E、A・感作群及びP.E.A.ショック死 加培地に於ける培養成績と相反する結果となっ ブミンショック死マウスの脾組織培養を卵白ア た. ルブミン及び旧ツベルクリン添加培地で行い無 添加培地に於ける脾組織発育と比較検討した. その結果,発育は正常群(添加培地)<正常 ス脾組織がOT添加培地で発育の抑制を受けな 此の相違は流動パラフイン結核死菌感作マウ かったこと')と参照し脾組織に於ける炎症の存 群(無添加培地)=ショック死群(無添加培地) <ショック死群(添加培地)<感作群(無添加 在の有無によるものか又はP.E.A・ショック 培地)<感作群(添加培地)の順であった. 即ち無添加培地に於ける発育は感作群で最も こと即ち反応の場が脾でも細胞外であるか又は 脾以外であること等に由来するのかも知れな 発育良好で正常群とショック死群では殆ど著差 い.5)6) 結 私は精製卵白アルブミンで感作又は過敏性シ 死によって脾細胞に非可逆的障害が加わらない 論 ける状態と比較し,次の結論を得た. ョック死を起したマウスの脾臓組織培養を卵白 i)感作マウスにおいては一般に正常マウス アルブミン又は旧ツベルクリン添加培地で行っ に比し脾組織の発育促進傾向が認められ,且旧 た場合の細胞の発育状態を対照非添加培地に於 ツベルクリン又は抗原である卵白アルブミン添 92 石 加培地ではこの傾向はなお一層大であった. ii)過敏性ショックで躍れたマウスと正常マ ウスの脾組織の発育には著差は認められなかつ 野 たが培地に卵白アルブミンまたはツベルクリン を添加するとシヨツク死マウス脾組織の発育が かえって良好であった. 文 献 613,1931.5)Fisher,A、:J・Exp・Med., 1)石野俊和:金大結研年報,15(中),141, 1957.2)石野俊和::金大結研年報,15(中)タ 35,661,1922;36,535,1922.6)Juhisz- 157,1957.3)Meyer,K・UndLewenthal, Sch鼠征er:.Zschr.f、Imm・Forschg.u・Exp. H,:Zschr.f、Imm・forschg.u・Exp・Therap., Therap.,56,377,1928.7)木村廉:粧職 54,420,1928.4)三杉義利:日微病誌,25, 培養,共立出版社,1955. Fig.1 Fig.2 Splenictissuecultureofthenormal Splenictissuecultureofthenormal mouseinamediumcontainingP.E,A. mouse)moUSesensitizedwithP.E、A・ andmousedyingfromP.E、A、 shockinnormalculturemedium rnrng / ⑨ ….‘ 8 4 3畠 ①自切切廻頃。”の画く の﹃あの程﹄。 口②se ou e S e勺。 〃竜誰皿、 皿伽釧 一皿 ○……mamediumcontammgP.E、A、 ●□○ ●=-nnormalculmreme'lium 別岬︾︾錘 72hours 0 0 0 肌 4 8 72hours Fig.3 Fig.4 Splenictissuecultureofthenormal Splenictissuecultureofthenormal mouse,mousesensitizedwithP.E.A. mouse,mousesensitizedwithP.E.A. andmousedyingfromP.E、A・shock andmousedyingfromP.A、E.shock inamediumcontainingOT inamediumcontainingP.E、A、 mmg・ ノ mXng 8 8 0 Om Tg T ︵Um1輿︶・皿 72hours om 血O・m tm 唾皿皿。唾 48 血加硫皿 0・1 cw皿曲 伽伽抽亟 郵伽佃 aa.、a 唖 ↓一一 nn,唾 ・狸・狸睡O e eOm 睡唾m制u 皿皿醐岫 m n H1可1z 皿 荊叱 h・ 24 0 ●×□○ s− 、 r t t u皿 g u ・ ⑨ O t 山 皿皿m 唾 皿砥 句 星唖 .w ・1c 守J c ●ロ日▲ d 皿 ・皿皿 髄出a a 9 a。m ●勺■ユ e 唾 a S u 皿 。 、.、qO。 9 e 恥 O 伽A伽側睡︾︾︾ nRmR︾・哩如一 □ a m 咄e m。唾q 4 2 O ● 唖E 唖凪 函i皿 一 一 一︾ O ●X 0 4 4 の自切の混単。“の自早﹃ 9● 曾扇の圏当○国の肖呵 ’| 93 免疫とアレルギーの基礎的研究補遺
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