BUNSEKI 116 Vol. 33 (1984) KAGAKU が も っぱ ら利 用 され て き た.又,最 近 で は迅 速 化,高 感 度 化及 び簡 易 化 を 目指 して,ヘ テ ロポ リ酸 生 成 を 利 用す る連続 流 れ定 量 法 も多 数 開 発 され て い る1)∼12).著 者 ら も酸 性 溶 液 中 で の ヘ テ ロポ リ酸 と マ ラ カイ トグ リー ンに よ る発 色 を利 用 す る リ ンの 連 続 流 れ 定 量 法 を既 に 報 告 し た13).し か し著 者 らの報 告 も含 め て 現 在 まで に報 告 され て い る定 量 法 は定 量 範 囲 が 広 い 反 面,自 然 環 境 保 全 上好 ま しい と され て い る5ppb以 下 の リンの定 量 は不 可 能 で あ っ た.本 研 究 は,陽 イ オ ン染 料 とヘ テ ロポ リ酸 との 相 互作 用 の研 究 の過 程 で新 たに 見 い だ さ れ たロ ー ダ ミン 6Gの 消蛍 光 を利 用 す る極 微 量 リンの 定 量法 につ い て検 討 した もの で あ り,低 濃 度 領 域 に お け る リンの定 量 を 目 的 と して い る. 2 実 2・1 装 験 置 連 続 流 れ 分 析 装置 の流 路 系 をFig.1に 示 す.ポ ンプ は サ ヌ キ工 業 製 ダ ブ ル プ ラ ン ジ ャ ー型 を 用 い,両 ポ ンプ に よ る送 液 は 流 速0.98ml/minで 行 った.反 応 チ ュー ブは 内 径1mm,長 さ20cmの テ フ ロ ン製 チ ュ ー ブを 用 い た.蛍 光 検 出 に は18μ1フロ ーセ ル付 き 日立650-10 形 分 光 光 度 計 を 用 い た. モ リ ブ ド リ ン酸 に よ る ロ ー ダ ミ ン6Gの 消 蛍 光 を 利 用 す る リ ンの 連 続 流 れ 定 量 法 昌二R, 三 笠 博 司, 大島 光 子, 桐 栄 恭 二* Fig. 本水 (1983年9月16日 1 緒 Schematic diagram of flow system 受理) 言 近 年 陸 水,海 水 の 窒素,リ ンに よる富 栄 養化 が 進 行 し, 様 々 な 被 害 も 生 じて い る.1982年12月 に は湖 沼 の窒 素 及 び リンに係 る環 境 基 準 が告 示 さ れ た.こ れ に よる と 自然 環 境 保 全 の 観 点 か らは リンは5ppb以 下が望 ま し い と され て い る.リ ンの 吸光 光 度 定 量 法 に は酸 性 溶 液 中 で オ ル ト リン酸塩 とモ リブ デ ン酸 とが 反 応 して生 じる ヘ テロ ポ リ酸 あ るい は この還 元 生 成 物 の ヘ テロ ポ リブ ル ー * 岡 山 大 学 理 学 部:700岡 1 山 県 岡 山 市 津 島 中3-1-1 2・2 試 薬 反 応 試 薬 液:諸 た.ロ 条 件 を 検 討 の 結 果,次 ー ダ ミ ン6G水 リ ブ デ ン 酸 ア ン モ ニ ウ ム 水 溶 液(329/1) 355mlと 混 合 し,更 に 濃 塩 酸40mlを 置 後,0.45μmメ る.500ml中 5m1,モ 100mlを 加 え て1時 水 間放 ン ブ ラ ン フ ィ ル タ ー で〓 過 し て 用 い の ロ ー ダ ミ ン6G濃 度 は1.0×10-5M, モ リ ブ デ ン 濃 度 は0。035Mと リ ン 標 準 液:市 (5mmHg)50℃ の よ うに調 製 し 溶 液(0.059/100m1) な る. 販特 級 リン酸 二 水 素 カ リウ ム を減 圧下 で 恒 量 に な る ま で 乾 燥 し,正 確にひ ノ よう量 して水 に 溶 解 し10-2Mと ー す る.使 用 前 に適 宜正 確 に希 釈 して用 い た. 117 ト 3・3 試 料 の 酸 濃 度 試 料 中 の リンの 微 生 物 に よ る消 失 を 防 ぎ,又 ポ リ リン 酸 を 加 水 分 解 す るた め に,試 料 水 を 酸 性 に 保 って お く必 3 結 果 及 び 考 察 要 が あ る.そ 3・1 励 起,蛍 光 波 長 本法 は ロー ダ ミン6Gの 消 蛍 光 を利 用 す る た め,蛍 光 強度が フルス ケー ル の約90%程 波 長,蛍 光 波長,ス 度 とな る よ うに,励 起 リッ ト幅10nm),蛍 リッ ト幅10nm)を 度 まで は妨 害 とは な らな い こ とが 分 か った の で,試 M溶 料採 水 時 硫 酸 を 加 え て0.05 液 と した. リ ッ ト幅,感 度 を 調整 した.本 法 で 用 いた蛍 光 測定 装 置 の使 用 条 件 の一 例 を示 す と,励 起 波 長350nm(ス こで 試 料 に加 え る 硫 酸濃 度 の 影 響 に つ い て 検 討 した と ころ,0.05M程 光 波 長580nm(ス 3・4 反 応 チ ュー ブ長 さ及 び流 速 の 影 響 反 応 チ ュー ブ長 さを(10∼100)cmの 用 いた. 討 した.長 範 囲 で変 え て検 くな る に 従 っ て 拡 散 が 大 き くな り ピー ク幅 が増 大 す るの で,分 析速 度 を考 慮 して20cm(内 3・2 試 薬濃 度 mm)を 試薬溶 液 中 の塩 酸 濃 度 を(0.5∼1.7)Mの した と ころ,約0.9Mま 範 囲 で検 討 で は ピー ク高 さは 最 高 一 定 で あ るが,こ れ以 上 の 高 濃 度 で は急 激 に ピー ク高 さは 低 下 す る.以 後 の実 験 では0.8Mを 使 用 した. 径1 使 用 した.又 流 速 を(0・5∼0.98)ml/minま で 変 え て検 討 した と ころ,ピ ー ク高 さ は ほ とん ど変 わ らな か った の で,分 析 速 度 を考 慮 して0.98ml/minを 用い る こ と と した.こ れ らの 条件 下 で は1時 間 当 た り20試 料 の 分析 が可 能 で あ っ た. 試薬溶 液 中 の モ リブデ ン酸 塩 の濃 度 の影 響 に つ い て, (0.05∼0.11)Mの 2に 示す.モ 範 囲 で 検 討 した.そ 大 す るが 定 量範 囲 が 狭 くな るの で,リ 程 度 まで 定 量 可 能 な よ うに,0.005Mモ (モ リブ デ ン として は0.035M)を Fig. 2 の結 果 をFig. リブデ ン酸塩 の濃 度 を増 す と定 量 感 度 は 増 Effect of molybdenum 又 ロ ー ダ ミ ン6Gの 本 法 で用 い た条 件 下 で は リ ン(P)0∼45ppbの ン(P)量45ppb リブデ ソ酸塩 使 用 す る こ と と した. で検 量 線 眼 好 な 直 線 性 を示 し,ピ 0.35ppbの リ ン(P)量 用 シ グ ナ ル の 一 例 を 示 す.リ 1×10-5Mを ー ダ ミ ン6Gの 濃 度 を減 少 す る 量 範 囲 は 狭 く な る.本 用 い る こ と と し た. ン(P)35ppbを 範 Fig. と感 度 は 増 大 す る が,定 法 では 3 Flow signals ー塙 for phosphorus 範囲 さ1㎜ に 相 当 した.Fig.3に concentration 濃 度 を(0.5∼1.5)×10-5Mの 棚 で 変 え て 検 討 し た.ロ 3・5 検 量 線 は 検量線 含 む試 118 BUNSEKI 料 を10回 Vol. 33 (1984) K AGAKU 繰 り返 し注 入 した とき の相 対 標 準 偏 差 は0。95 い う欠 点 が あ るが,非 常 に 高感 度 な定 量 法 で あ り,又 海 水 へ の応 用 も可 能 で あ る. %で あ った. 文 3・6 共 存 イオ ンの 影 響 1) 河 川 水,海 水 中 に 普 通 含 まれ て い る と思 わ れ る イ オ ン の影 響 につ い て 調 べ た 結 果 をTablelに 示 す.ほ ど の イ オ ンは 妨 害 しな い が ヒ素(V)は10鳳7M共 とん 存 し 共 存 は10轍8M程 V. J. 3) J. 4) 5) W. E. 6) Effect of diverse B. H. 7) Acta, B. Stewart : Anal. Chim. J. Ruzicka : Anal. Chim. (1976). J. E. : Anal. H. H. (1970). Chim. Ruzicka : Anal. Chim. Acta, (1976). H. Hansen, Chem., Hansen, Ruzicka 8) W. 137 Ruzicka, E. 132 : Anal. (1975). Hansen, Krug 33, Hansen Stewart, 353 J. ions 79 82, 87, 1 J. 79, Acta, Biochem., H. (1975). Ruzicka, J. 度 : Anal. E. 145 Acta, ま で許 容 で き る. Table Belle Ruzicka, 78, て も正 の 誤 差 とな った.し か しチ オ 硫 酸 ナ ト リウ ムを あ らか じめ 加 え て お け ば ヒ素(V)の H. 2) 献 F. J. : Analyst F•‹, B. F. Mosbaek, 1858 (1977) Krug, A. (London), Bergamin Krug, H. 49, E. Reis K. Ghose, 102, A. G. : Anal. F. J. . 714 J. (1977) Zagatto, Chim. . F. Acta, J. 101, 17 (1978). 9) Y. Hirai, Acta, 10) A. G. 106, 11)平 N. 115, Yoza, 269 Fogg, N. 1288 S. Ohashi : Anal. Chim. (1980). K. Bsebsu : Analyst (London), (1981). 井 幸 雄,与 座 範 政,大 (1981). 12)緒 方 惟 治,田 641(1982). 口 清 水,今 橋 茂:分 化,30,465 成 登 志 男:分 化,31, 13) S. Motomizu, T. Wakimoto, K. Toei : Talanta, 30, 333 (1983). 14) S. Motomizu, T. Wakimoto, K. Toei : Analyst (London), 108, 361 (1983). 3・7 実 試 料 へ の 応 用 Table1か ら分 か る よ うに 本 法 の 特 徴 の一 つ は塩 化 ナ トリウ ムが0.5M共 ☆ 存 して も妨 害 とな らな い こ とで あ Continuous flow method る.こ れ は 海 水 に そ の ま ま応 用 で き る こ とを 示 唆 して お of phosphorus using り,Table2に of Rhodamine 6 G 実 際 に 海 水 中 の リ ンを 定 量 した結 果 を示 す.本 法 に よ り得 た結 果 は マ ラ カ イ トグ リー ンを 用 い る 抽 出一 吸 光 光 度 法14)の結 果 とよ く一 致 して い る. MOTOMIZU, Kyoji Science, Table 2 Determinations of phosphorus in sea waters of formed pump and The two was streams (1 mm i.d.), flow cell(18 ƒÊ1), 6 G 4 結 語 was M 消蛍 光 を利 用 す る連 続 流 れ 定 量 法 を 検 討 した.本 法 は 消光 を利 用 す る た め定 量範 囲 が狭 い と waters phosphorus. to るロ ー ダ ミン6Gの sea sea 45 ppb water. of ions did The not sampling in 0.8 rate M The and hydrochloric was 20 in river determination method was a nm). existing the curve (Received tubing through Rhodamine molybdenum generally The stream. Teflon =580 M interfere calibration phosphorus. The 0.035 6 G Co-existing and リ ンの 高感 度,迅 速 分 析 法 と して モ リブ ドリ ン酸 に よ Rhodamine long nm, ƒÉem of sample carrier was flowed fluoresence of =350 consists cm plunger and the 20 in water) double ml/min), into in de- fluorescence (distilled by : 0.98 mixed detected(ƒÉex 1 •~ 10-5 solution rate the molybdate the propelled the mixture which the at solution and injected were and reagent acid. were P2 (flow solution(160ƒÊ1) for molybdophosphate diminished Carrier solution P1 examined The medium 6 G. reagent was orthophosphate Rhodamine and of Tsushima-naka, 700) phosphorus. acid and Faculty 3-1-1, method between hydrochloric Shoji OSHIMA, Chemistry, University, flow termination of of Okayama, Continuous quenching Mitsuko (Department Okayama-shi, determination molybdophosphate. MIKASA, Okayama the fluorescence with Hiroshi TOEI for the was from applied samples September of linear per 16, 0 to hour. 1983) ノ Keyword continuous metry; ー phrases flow analysis fluorescence with molybdophosphate; of phosphorus quenching of sea water. by fluorophotoRhodamine 6 G ト 119
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