「スマートハウス」は正しいか 月別割合(%) 今、我々が直面しているエネルギー問題は食糧ならびに 10 民族主義と同様、今後の世界が向き合わなければならない 8 大きな課題である。グローバル化による世界全体の生活レ ベルの向上は、遠い将来的には人口増加を抑止するであろ 死亡率季節間変動 11 12 10 6 うが、当面は、人口の増加を加速する。レアメタルは既に 争奪戦の様相から代替資源への切り替えの段階にあるが、 食糧もエネルギーも従来以上にその確保の重要性が増すこ とは疑いない。脱原発への大きな流れの中で、目前のエネ 月別死亡割合:2004年 ルギー需要に対応するために原発を再稼働させても、所 詮、原発も有限のエネルギーであり、元になる資源は海外 図 1 我が国の月別死亡率の推移(2004 年厚労省発表) 依存であることを忘れてはならない。東日本大震災による 福島原発の事故がなくても、原発、ならびに火力発電への 依存度を将来的に下げなければならないのは、この国の大 きな課題であったはずである。その意味で、原発を火力発 電に置き換えて良し、ではない。アジア・アフリカの諸国 の経済的発展が確実な中、エネルギーの海外依存度を下げ ることは最も重要な課題である。 昨冬から急遽、水素に対する要求が大きくなってきてい 25% 20% 15% 10% 5% るが、現段階では、その水素の製造には、天然ガスからの 取り出しがコスト的には安価であるが、その際にCO2が発 0% 生することを忘れてはならない。その点では、水素は決し て完全にCO2フリーなエネルギー源ではない。 図 2 死亡率季節間変動の国際比較 一方で、これらに代わるエネルギーとして、太陽光発電 や風力発電に期待する向きもあるが、これも現段階では困 強引な取り付けによる漏水事故の誘因をもっと問題にすべ 難が多数ある。太陽光発電パネルの品質は意外なほど、取 きであろう。固定価格買取制度など、経済の原則を無視し り沙汰されていないが、かつて某国内メーカーが低品質の た制度が長くは続かないのは自明である。 パネルを市場から回収し、会社の巨大なモニュメントにし 台風などの大風の印象で、風力発電への期待も小さくな たことを忘れてはならない。また、政府は民家の屋根への いが、平均風速が低い我が国では、欧米に比べて発電量は 搭載を積極的に支援しているが、この品質の維持と、確実 相当小さくなること、加えて、落雷による被害が実際には なメンテナンス体制の解決がほとんどないこと、さらには 相当数に上り、経済的な収支がなかなか合わないことも、 12 No.463 2015 年 3 月号
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