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2015年3月20日
一般の方へ
多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS)
に関心を持ってくださり、ありがとうござ
脳、脊髄、視神経の神経細胞の構造
います。
神経細胞体
MSは中枢神経系(脳・脊髄、視神経)の
病気で、これらの神経を覆っている「ミエ
…神経細胞の中枢部です。
発電所のようなもの。
リン」というものを、なぜか自分自身で壊
じくさく
してしまうことで起こると考えられていま
軸索
す。日本国内にはおよそ17,000人の患者
…神経細胞からの信号
さ ん が い る と い わ れて いて、 こ こ 3 0 年
を出力します。電線の
で、特に若い人に急増しています。
導体のようなもの。
ミエリン
…軸索を覆っています。
ここでは、MSが誤解されやすい点をまと
電線の絶縁体のようなもの。
めています。MSの概要については「すぐ
わかるMS」をごらんください。
MSはミエリンが壊れてしまいます。すると
神経の伝導がここでショートしてしまうのです。
MSは伝染病ではありません。
MSは伝染しません。
MSの人と一緒にいて「MSがうつる」ということはありません。
根治療法はありませんが、死に至る病気ではありません。
MSは原因不明で根治療法はありませんが、病状の悪化を防ぐ治療でコントロールできます。
手術で治すことはできません。
また診断・治療技術が進んだ現在では、MSが直接の原因で死に至ることは、まずありません。
病気になったのは、誰のせいでもありません。
発症に環境要因が指摘されているものの、MSは生活習慣病ではありません。
また、体質が関与している可能性はありますが、MSは遺伝の病気ではありません。
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体が硬くなる病気ではありません。
病名は「多発性硬化症」ですが、MSは、体が硬くなる病気ではありません。
ミエリンが壊れた部分を解剖学的に見ると、その部分が硬くなっています。
そのことから、この病名が付けられました。
個人差が大きい病気です。
症状の出方や程度、病気の経過、治療への反応性など、MSは個人差が大きい病気です。
介護が必要な人もいれば、病気ではない人と同じように生活している人もいます。
どこかでMSの人を見た時や、MSの人の話を読んだ時、それがMSの全てだとは理解しないでください。
目に見えない症状が多いです。
MSでは、視力障害、感覚障害、疲労など、目に見えない症状が多いです。
見た目には元気そうでも、実は症状を抱えている人が多いです。
!!
症状はよく変わります。
多くのMSは、病気が活発な時期(再発)と、安定している時期(寛解)を繰り返します。
また再発でなくても、体調や天候などの影響で症状の程度が変わることがあります。
「少し前は具合が悪そうだったのに、今は元気そうに見える」ということは、時に仮病と思われがち
なのですが、MSでは不思議なことではありません。
「自分はMSかもしれない」と思っている方へ…
MSの症状のうち、特に脱力感や疲労などは、MSでなくても多くの人に当てはまります。 MSに限ら
ず、ほかの病気の可能性もあるので、
気になる場合は、まずは近くの病院を受診してください。
更新:2015年3月20日(新規公開:2010年4月12日)
文:中田郷子 / MSキャビン(非医療従事者)
監修:小森美華 先生 / 京都大学医学部附属病院神経内科(神経内科医)
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