日 商 経 営 実 務

N S R 特 報 ニ ュ ー ス
平成 27 年 3 月 26 日
日 商 経 営 実 務
◇◆◇ 常識破りで勝て︕ ◇◆◇
(2)
第三種郵便認可
な意⾒が⼀同の「︕」となり、それがそのまま結果につながった
というのは、非常に示唆に富んだ話である。
仕事の経験が⻑くなり、「専門家」になってくると、そんな単
純な当たり前の話は、取るに足らない、つまらないもののように
** その 3**
単純に、視点を変えてみよう
⾒えてくるものだ。しかし切り捨てる前にちょっと⽴ち止まるこ
とも有効になる場合があるということだ。
そもそもなんで宣伝会議が煮詰まっていたのか︖それは味の
味の素㈱
素が⼀般家庭にあまねく浸透し、拡販の余地がないほどになって
味の素の「穴」の話、ご存じの方も多いだろう。
いたからではないか︖つまり成熟した市場になっていたというこ
とである。
同社が売上アップのためどんな広告・販促をすべきか︖と男性
社員がああでもない、こうでもないと議論していた時、ある⼥⼦
最近、「⾷卓で味の素なんて⾒ないよ」という方、⾷品表示に
社員が「キャップの穴を⼤きくし、増やせばいい」と意⾒し、こ
必ずといっていいほど登場している「アミノ酸」という形で日本
の単純なアイデアが採用され、味の素は売上げを⼤きく伸ばした
のみならず世界中に、それこそあまねく⾏き渡っているのだ。
という話だ。
もはや穴の⼤きななど関係なく、知らないうちに。
同社はホームページで公式に否定している。目詰り防止の為
穴を⼤きくしたのだそうである。
真偽はともかく、いわゆる専門家である広告・宣伝担当がいろ
いろな理論や理屈で議論している傍で、「穴を⼤きくすれば、使
う量が増えて売れるんじゃないの︖」という、単純でストレート
アルメタックス㈱
アルメタックス㈱
(資本⾦ 21 億 6,000 万円、
設⽴昭和44年、
⼤阪市北区⼤淀、代表⼩原 肇氏)は、平成26年9月期は減益
だったものの、設⽴以来⼀度も⾚字を出さず、連続配当し、有利
⼦負債ゼロという安定経営の会社である。
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平成 27 年 3 月 26 日
第三種郵便認可
昭和53年当時、社員は40人で売上は40億円、それ以降、
⼾建て用サッシの専業メーカーであり、まさに成熟市場の企業
毎年10人従業員を増やし、売上も10億円伸ばしたのだと
だといえるこの東証⼀部上場企業は、しかし、中⼩企業の進むべ
いう。(ちなみに平成26年は434名で、114億550
き道を⾒せてくれている。
0万円であるが)
同社によると経営戦略は次の4点に集約されるという
① 多品種少量⽣産
周りがこぞって最新鋭の自動化ラインを導⼊していた時、それ
を⼊れない決断というのは、かなり難しかったことは想像に難く
成熟した市場には⼤量⽣産の製品を投⼊しても売れない。顧
ない。
客のニーズに合ったものを⼩ロットで⽣産できる体制を作っ
「⼊れなければ取り残されてしまう」という危機感に引っ張られ
た。
てしまうからだ。
② 特定ユーザー向けの製品に注⼒
反対に、⼤きな投資をするリスクもある。
これも同じく顧客の求める「うちでしかつくれないもの」を
そこで⼤きな投資で自動化ラインを⼊れる代わりに、「少量多品
作った。(ちなみに現在の主な得意先は積水ハウスで、同時
種で顧客の方を向く」という選択をしたのだ。
に同社は⼤株主でもある)
結果として陳腐化のリスクを回避し、顧客にとってのオンリーワ
③ 自動化ラインを⼊れない
ンになり得たのである。
創業当時は自動⽣産ラインを⼊れるのがトレンドで、「古臭
い設備のままでは⽣き延びることはできない」と周囲から言
われていたそうだが、当時の最新鋭のラインを⼊れた業者は
現在ほとんどが廃業したか⾚字に苦しんでいるという。トレ
ンドのものは陳腐化しやすいのだ。
④ ⼀人1億円の原則
参考(http://www.almetax.co.jp/)