水素社会の実現に向けて ~50年の大計~ (独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 新エネルギー部長 橋本 道雄 水素エネルギーを推進する意義 •クリーン・エネルギー 使用時の大気汚染物質や温室効果ガスの排出 ゼロ •柔軟な二次エネルギー 貯蔵性、輸送性に優れ、様々な資源から製造可能 また多様な需要にも対応可能 •日本の強みが発揮出来る分野 30年以上にわたる、水素エネルギー研究開発の 経験と蓄積 2 WE-NET構想 3 家庭用燃料電池コジェネ(エネ・ファーム) • 一般家庭への設置のために開発した出力700Wの 燃料電池コジェネシステム。都市ガス/LPGを燃料と し、2009年より一般販売開始 • クリーンで高効率なエネルギーシステム。電気と熱 を供給し、総合効率90%を達成, 10年保証 • 災害時に力を発揮する分散型エネルギーシステム としてのメリット • 資源エネルギー庁の導入補助制度あり、2014年9 月末までに10万台以上が導入 4 究極のエコカー:燃料電池自動車 2015年、一般販売開始 トヨタ:FCV Mirai ホンダ:FCEV Concept 日産:Terra ※2017年FCV販売開始予定 (出展:各社ホームページより) 5 FCV・水素ステーション普及シナリオ ●燃料電池自動車(FCV)の導入 に当たっては、インフラとして水 素ステー ションの整備が進む ことが必要(「ニワトリとタマゴ」)。 ●2011年1月、 ①燃料電池自動車を2015年から 市場に導入すること ②それに先立ち4大都市圏(首 都圏、中京、関西、北部九州) を中心に100箇所程度の水素 ステーションを整備すること について、自動車会社3社とエネルギー 事業者10社が共同声明を発表。 <13社> 自動車会社 :トヨタ、日産、ホンダ 石油会社 :JX日鉱日石エネルギー、出光、 昭和シェル、コスモ石油 都市ガス会社:東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、 西部ガス 産業ガス会社:岩谷産業、大陽日酸 合計100箇所程度 高速道路へも配置 4大都市圏への集中配置 6 水素発電 • 水素を燃料とした火力発電(汽力、ガ スタービン) • 既存の火力発電の燃料に水素を混 ぜることで実現可能 • 水素を混ぜた分だけCO2削減効果、 一方で燃焼効率は若干低下 • 100%水素で発電するとCO2フリー。 一方で、NOx発生は増加(技術開発 による解決が必要) • イタリアにて実証実験の事例あり。ま た、国内でも水素を含む製鉄所副生 ガスで発電を行っている事例あり。 伊ENEL社の水素発電プラント 7 水素アプリケーションと水素需要創出効果 億Nm3(H2) 10.3億Nm3/年 10 5 エネファーム 10万台 0 1.1億Nm3/年 FCV10万台 5 4億Nm3/年 (1.1億Nm3/年 (CH2)) 水素発電(混焼) (事業用) 10万kW 8 日本における水素供給ポテンシャル 日本における主な水素供給源は、石油精製所の水素製造装置、化学工場にお ける副生物、製鉄所における高炉ガス。 加えて、都市ガスの改質による製造、及び再エネ電力の水電解による製造が考 えられる。 (単位:億Nm3/年) 分野 既存製造源 2015年 中位 低位 低位 高位 石油 34 34 67 43 49 73 化学 7 11 12 0 6 14 鉄鋼 0 23 23 0 22 23 都市ガス 新規製造源 高位 2030年 中位 国内RE 67 84 (2,000 (注1)) (2,000 (注1)) 6 87 114~175 214~280 海外 合計 (注2) (注1) 国内RE(再生可能エネルギー)は国内の風力の全発電ポテンシャルから推計 (注2) 合計には国内RE起源の水素供給ポテンシャルは含まない 出典:水素需給の現状と将来見通しに関する検討(2012 NEDO調査 みずほ情報総研) 9 水素の多様な使い方:水素と再エネの組み合わせ • 太陽光や風力といった再エネの変 動電力を水電解で水素に転換。 • 水素の貯蔵性を活かして、変動電力 を安定電力に変換。また、水素の輸 送性を活かして、送電網の無い場所 の再エネ電気を長距離輸送すること が可能。 • ドイツでは、余剰風力対策として、余 った電力を水素に転換し、天然ガス 供給網に注入して活用。 • 日本でも、NEDOが技術開発プロジェ クトを立ち上げ。 10 水素社会の目指す姿 同じ二次エネルギーである「電気」との役割分担により、よりクリーンでス マートかつセキュアなエネルギー社会を実現 11 水素エネルギー白書 • NEDOのこれまでの燃料電池・ 水素への取り組みから得られ た知見を1冊にまとめた水素 エネルギーの入門書 • 昨年7月に発表、NEDOのWeb サイトで無料ダウンロード可 能 • 日刊工業新聞社より書籍化さ れ、2月20日より一般販売を 開始 12 www.nedo.go.jp 13
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