2015 年 3 月 20 日発行 英語スピーキングの 上達プロセス 英語のスピーキングの上達プロセスも何段階かあるが、複数の完結した 文章を話し、相手の問いかけにも正しく応答できるようになれば上級者 と言えよう。 丸 山 純 一 (まるやま じゅんいち) シティグループ・ジャパン・ ホールディングス株式会社 執行役員 1977 年に東京大学法学部卒業後、大蔵 省(現財務省)に入省。アメリカ合衆国日本 大使館(在ワシントン)や欧州復興開発銀行 (在ロンドンの国際機関)などの在外勤務を 経験した後、財務省国際局において様々 な課長ポストを歴任。その後、外務省欧州 局審議官、金融庁国際担当審議官を経 て、2009 年 7 月から 1 年間横浜税関長を 務める。2010 年 10 月、シティバンク銀行 顧問に就任し、2011 年 1 月より副会長。 2013 年 7 月よりシティグループ・ジャパン・ ホールディングス株式会社に移り、現在執 行役員、ガバメント・アフェアーズ担当。米 国プリンストン大学にて修士号を取得。三重 県出身。 今 英 月は前回に引き続き英語の話題であるが、今回はスピーキングの 上達プロセスについて考えてみたい。 語のスピーキングの上達には王道はなく、だれもが悩む問題であ る。まず初級者のうちは、ネイティブの問いかけに、”Yes”か” No”でしか答えられず、また、話す文章も一つのセンテンスすら完結で きず、 ”I have to take a lesson today, but I ….” とか、 ”If you want to take it, you can ….”というふうに文章を途中で切って黙ってしま い、あとはネイティブの憶測に任せる(そして日本人と話しているネイ ティブはその場合ほぼ正しく憶測してくれる)ことも多い。また、この 段階では、 「あ~」とか「う~」とか意味のない間投詞を頻繁に言うこと が多い。 次 にスピーキングのレベルが多少上達してくると、ネイティブの問 いかけに対して、”Yes, of course”とか、”Oh, really”とか、” I see”とかいう形で多少のバリエーションを付けて受け答えすることが できるようになる。話す文章も、文法的に完結した一つの文章を終わり まで言い切ることができるようになってくる(実はこの点は英語を話す うえで大切な点であると筆者は思うのだが、結構見落とされている)。こ のレベルまで来るとネイティブからも一応英語が話せる人であると認識 ◎ 「シティバンク 丸山の視点」は丸山純一氏、個人の見解となります。シティバンク銀行株式会社またはシティグループにおける各社の見解とは異なります。 1/2 2015 年 3 月 20 日発行 してもらえるし、海外旅行などで英語を使って買い物をすることや、ホ テルやレストランで必要な事柄を伝えることにも不自由しなくなる。 さ らにスピーキングのレベルが上がってくると、ネイティブの問い かけに対して正しく”Yes, I do.”とか”Yes, I am.”の形で応 答できるようになる。実はこの”Yes, I do.”と”Yes, I am.”の使い 分けは、ネイティブの問いかけの文章が、”Do you …?”で始まっている のか、”Are you …?”で始まっているのかを正確に聞き分けないとでき ないため、なかなか難しい。さらに、問いかけの文章が現在完了形であ れば、 ”Yes, I have.”となるわけで、突き詰めて考えてみるとこの応答 は結構難しいのである。むろん、ネイティブはそういう応答を自然にや っている。また、このレベルになると、単に”Thank you”というだけで なく、 ”Thank you very much indeed.”とか、 ”I really appreciate it” とか、一つのことを表現するバリエーションが豊富になってくる。そし て 、 話 す 文 章 も 一 回 の 発 言 が 一 つ の 文 章 で 終 わ る の で は な く 、” therefore”や”however”をうまく用いたりして、二つ、三つの文章を 繋げて話すことができるようになる。こうなると、まとまったひとかた まりの考えを相手に伝えることができるので、聞いているネイティブの ほうもしっかりと耳を傾けて聞いてくれるということになる。 我 々のようなネイティブではない英語のスピーカーが到達できる究 極の境地は、否定疑問文に対して誤りなく”yes”と”no”が使い 分けられるようになること(”Don’t you have a pen?”と聞かれて、 ペンを持っていたら”Yes, I do”、持っていなければ”No, I don’t.” ととっさに答えられるようになれば、かなりのレベルであろう) 、及び、 ネイティブが自然に笑えるようなジョークが言えるようになることであ ろう。ただし、ジョークを上手に使いこなせるようになるには、アメリ カやイギリスの歴史的背景や文化的背景、さらには現地で流行している 習慣やテレビ番組などに通じていなくてはならず、結構難しいようにも 思える。ただ、 「笑い」のセンスは万国共通の部分があって、日本人が面 白いと思うことは外国人も面白いと思うケースも多いので、勇気をもっ て試してみられるのも一つの方法かもしれない。もちろん、笑ってもら えないかもしれないが、まあその時は英語上達のプロセスだと割り切る しかあるまい。 ◎ 「シティバンク 丸山の視点」は丸山純一氏、個人の見解となります。シティバンク銀行株式会社またはシティグループにおける各社の見解とは異なります。 2/2
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