No.2015‐10 Weekly Market Focus 債券市場 円貨資金証券部 シニアアナリスト 宿輪欣生 今週のサマリー 今週のサマリー 本邦長期金利は 本邦長期金利 は 上昇後 低下 前週末の雇用統計を受けた米金利の上昇に加え、流動性供給入 札が弱かったことで 12 日の 5 年債入札への警戒感が高まり、週 半ばにかけ金利は上昇。5 年債入札を波乱なく通過した後は、週 末の日銀オペへの期待感から、金利は反転急低下。週末小幅上昇 し、結局 10 年債利回りは 0.41%と前週末比 2.0bp 上昇して引けた。 来週のアウトルック 来週のアウトルック 好需給環境が 好需給環境が続き、金利 低位推移を は低位推移 を予想 日銀オペに加え、20 日の国債大量償還を控えて需給は良好と みられ、金利は低位で推移すると予想。ただし年度末に向けて市 場参加者が動きづらいことから、ボラティリティの高い状態が当 面続く点には注意したい。 来週の 来週のポイント 賃 金環 境好 転期 待 を 受 金利低下余地は け、金利低下余地 は限定 今後の金利の行方を占う意味で波乱材料となりうるのが、18 日の春闘集中回答。既に自動車・電機業界での交渉動向が日々ニ ュースとなっているが、これまでの報道や調査を踏まえると、経 営者側は前回以上にベアを通じた賃金改善に前向きであることが 窺える。労組側の要求水準までは届かないものの、前年実績を上 回る結果が期待できそうだ。 「官製春闘」と言われ、政府への配慮から引き上げ幅を上乗せ する、などの報道も一部に見られているが、企業がベアに前向き である大きな要因は人手不足と見られる。中小企業を含む調査で も、賃金を改善する理由として「労働力の定着・確保」を挙げる 企業の割合が急増している。1 月分の所定内給与の伸びが 15 年 ぶりの高水準となるなど、人手不足を反映した賃金環境好転の兆 候は見え始めている。 ただし、賃金上昇の効果が実体経済ではっきりと確認されるに は時間を要する。エネルギー価格低下を主因にコア CPI の伸びが マイナスに転じる可能性が高まっているが、人件費増加による物 価押し上げ効果が徐々に大きくなっても、顕在化するまでには時 間がかかる。春闘で今後の良好な賃金環境が展望できれば、コア CPI マイナスが一時的との認識が共有され、今後の金利低下余地 を狭める点に留意しておきたい。 1 2015 年 3 月 13 日 Weekly Market Focus 経済指標 国内 ~ 1 月の機械受注は と、市場予測を 機械受注は前月比▲ 前月比▲1.7%と 市場予測を上回る 上回る 1 月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比▲1.7%と 3 ヵ月ぶりに減少したものの、下げ幅は 市場予測(Bloomberg 予測中央値:同▲4.0%)より小幅にとどまった。非製造業は、卸売業・小売業や 農林漁業が大きく伸び、同+3.7%となった。製造業は、石油製品・石炭製品が増加したものの、前月に大 きく伸びていた自動車・同付属品やその他製造業の反動減を主因に、同▲11.3%となった。 機械受注の推移 12,000 (億円) 10,000 民需(除く船舶・電力) 非製造業(除く船舶・電力) 製造業 8,000 6,000 4,000 2,000 0 07 08 09 10 11 (資料)内閣府統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 12 13 14 15 (年) (経済調査室) 海外 ~ 米国の 米国の 2 月の小売売上高は 小売売上高は 3 ヵ月連続の 月連続の減少 米国の 2 月の小売売上高は前月比▲0.6%と、3 ヵ月連続で減少した。内訳をみると、売上減少が広 範に及ぶ中、原油価格下落の一服を背景にガソリンスタンド(同+1.5%)が 9 ヵ月ぶりに増加したほか、 オンライン小売(同+2.2%)やスポーツ用品等(同+2.3%)が高めの伸びを示した。GDP の基礎統計とな るコアベース(自動車、ガソリン、建材等を除く)は前月から略横這いとなった。 小売売上高の推移 1.5 (前月比、%) その他 自動車 小売売上高 1.0 ガソリンスタンド コア小売売上高 0.5 0.0 -0.5 -1.0 -1.5 13 14 15 (年) (資料)米国商務省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 (経済調査室) 2 2015 年 3 月 13 日 Weekly Market Focus マーケットデータ 14年3月末 14年9月末 3/6(金) 3/9(月) 3/10(火) 3/11(水) 3/12(木) 0.044 0.029 0.075 0.076 0.076 0.083 0.076 全銀協日本円TIBOR (3ヵ月物,%) 0.21182 0.21000 0.17182 0.17182 0.17182 0.17182 0.17182 円金利先物 (期近限月,ポイント) 99.800 99.805 99.830 99.830 99.830 99.830 99.835 債券先物 (期近限月,円) 144.62 145.84 147.67 147.26 146.89 147.39 147.39 日本国債 (10年物,%) 0.642 0.531 0.396 0.435 0.469 0.420 0.389 円金利スワップ(対LIBOR)(10年物,%) 0.825 0.656 0.558 0.598 0.621 0.580 0.543 日経平均株価 (225種,円) 14827.83 16173.52 18971.00 18790.55 18665.11 18723.52 18991.11 ドル/円 (東京17:00現在) 102.98 109.42 120.11 120.88 121.79 121.27 121.02 ユーロ/ドル (東京17:00現在) 1.3758 1.2685 1.1025 1.0865 1.0803 1.0683 1.0636 米国FFレート (%) 0.06 0.07 0.12 0.12 0.12 0.11 - 米国国債 (10年物,%) 2.718 2.489 2.241 2.191 2.130 2.109 2.116 16,457.66 17,042.90 17,856.78 17,995.72 17,662.94 17,635.39 17,895.22 101.58 91.16 49.61 50.00 48.29 48.17 47.05 1,283.40 1,210.50 1,164.30 1,166.50 1,160.10 1,150.60 1,151.90 無担保コール (翌日物,加重平均,%) NYダウ工業株 (30種,ドル) WTI原油先物 (ドル/バーレル) 金先物 (ドル/オンス) (注)為替レートは日本銀行の公表値を参照 (資料)Bloomberg、Reuters等より三菱東京UFJ銀行作成 日米長期金利の推移 3.5 (%) 為替と株価の推移 (%) 3.0 0.8 125 0.7 120 (円/ドル) (円) 19,000 18,000 0.6 115 17,000 0.5 2.5 14,000 100 0.2 0.1 14/1 14/4 14/7 14/10 15/1 米10年国債利回り(左目盛) 日本10年国債利回り(右目盛) 15,000 105 0.3 1.5 16,000 110 0.4 2.0 20,000 95 14/1 (年/月) 13,000 12,000 14/4 14/7 14/10 15/1 対ドル為替レート(左目盛) 日経平均株価(右目盛) (資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成 (年/月) (資料)Bloomberg より三菱東京 UFJ 銀行作成 3 2015 年 3 月 13 日 Weekly Market Focus マーケットカレンダー 最近の 最近の材料 3/9 月 3/11 水 3/12 木 国内 国際収支-経常収支(季調済) 実質GDP(前期比年率) 貸出動向 銀行/信金計(前年比) 景気ウォッチャー調査 先行き判断DI 機械受注(前月比) 国内企業物価指数(前月比) 第三次産業活動指数(前月比) 消費者態度指数 結果 1月 ¥1058.1B 4Q確報 1.5% 2月 2.5% 2月 53.2 1月 -1.7% 2月 0.0% 1月 1.4% 2月 40.7 3/6 金 3/10 3/12 火 木 海外(米国) 非農業部門雇用者数変化 製造業雇用者数変化 失業率 貿易収支 消費者信用残高 卸売在庫 小売売上高(除自動車、前月比) 輸入物価指数(前月比) 企業在庫 月次財政収支 結果 2月 2月 2月 1月 1月 1月 2月 2月 1月 2月 295K 8K 5.5% -$41.8B $11.562B 0.3% -0.1% 0.4% 0.0% -$192.3B 今回 2月 3月速報 3月 2月 3月 2月 政策金利 4Q 3月 2月 2月 2月 2月 前回結果 -0.8% 95.4 7.78 0.2% 55 1065K 0-0.25% -$100.3B 5.2 4.82M -0.7% 481K 2.8% 今後の 今後の材料 3/17 火 3/18 3/19 3/27 水 木 金 国内 景気先行指数 景気一致指数 日銀金融政策決定会合 貿易収支(通関ベース) 全産業活動指数(前月比) 有効求人倍率 全国CPI(除生鮮/前年比) 東京CPI(除生鮮/前年比) 今回 1月確報 1月確報 前回結果 105.1 113.0 3/13 金 マネタリーベース 年間80兆円 3/16 月 2月 1月 2月 2月 3月 -¥1179.1B -0.3% 1.14倍 2.2% 2.2% 3/17 3/18 3/19 火 水 木 3/23 3/24 月 火 3/25 水 海外(米国) PPI 最終需要(前月比) ミシガン大学消費者信頼感指数 ニューヨーク連銀製造業景気指数 鉱工業生産(前月比) NAHB住宅市場指数 住宅着工件数 FOMC 経常収支 フィラデルフィア連銀景況調査 中古住宅販売件数 消費者物価指数(前月比) 新築住宅販売件数 耐久財受注(前月比) 国債入札 3/12 木 今週の結果 5年利付国債入札 3/18 水 3/26 木 入札倍率 3.64 発行 今後の予定 20年利付国債入札 2年利付国債入札 (株)三菱東京 UFJ 銀行 円貨資金証券部 ※本資料は信頼出来ると思われる各種データに基づき作成しておりますが、当行はその正確性、安全性を保証するものではあり ません。また本資料はお客様への情報提供のみを目的としたもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する 最終決定はお客様ご自身の判断でなさいますようお願い申し上げます。本誌面の全部または一部を無断で複写、複製することを 禁じます。尚、当方の都合で、誌面の全部または一部を予告せずに変更させて頂くことがございますので、予めご承知下さい。 4 2015 年 3 月 13 日
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