税金読本(8-1)投資信託の種類と課税方法

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人数の者を募集の相手とし、多数の者に
き、投資信託委託会社などが信託銀行な
当該有価証券が譲渡されるおそれが少な
どに信託財産の運用を委託し、その運用
い場合における有価証券の取得の申込み
益を投資家が受ける形の投資信託です。
の勧誘をいいます。
投資家は、投資信託委託会社などが発行
◆単位型と追加型
する受益権を購入することとなります。
購入が当初募集期間だけに限られ、資
会社型投資信託では、資産運用を目的
金の途中追加はできない投資信託を単位
とする投資法人が設立されます。投資法
型投資信託といい、ファンドの設定後の
人は、資産運用を投資信託委託会社など
資金の途中追加が可能な投資信託を追加
に、資産管理などを信託銀行などにそれ
型投資信託といいます。
ぞれ委託します。投資家は、投資法人が
発行する投資証券等に投資し、運用益を
このように投資信託の種類は、様々に
配当の形で受け取ります。
分類されます。また、この分類によって
◆株式投資信託と公社債投資信託
課税方法も異なります。投資信託の種類
証券投資信託は、株式投資信託と公社
ごとに課税方法を示したのが次のページ
債投資信託に分けられます。公社債投資
の表です。
信託は主に公社債で運用される投資信託
本章ではまず、証券投資信託から生じ
で、株式を一切含みません。公社債投資
る以下の①から③の損益に対する課税の
信託以外の証券投資信託が株式投資信託
仕組みを、株式投資信託と公社債投資信
です。証券投資信託のほかに、有価証券
託に分けて説明します。投資信託には、
以外の資産を中心に運用を行う投資信託
ほかにも会社型投資信託、
私募投資信託、
(不動産投資信託など)もあります。
不動産投資信託(REIT)など様々な形
◆公募と私募
態があります。これらの課税の仕組みに
募集方法により公募による投資信託と
ついても説明します。
解約差益・償還差益※2
譲渡益
20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の源泉分離課税 非課税※3
公募株式投資
信託※4
配 当 所 得(20.315% ※ 5
申告分離課税(譲渡益の20%※6)
の源泉徴収)
私募株式投資
信託
配当所得(20.42%の源泉徴収)
配 当 所 得(20.42% の 源
申 告 分 離 課 税( 譲 渡
譲渡損益とみなされる部分は20
泉徴収)
益の20%※6)
%※6の申告分離課税
公社債等運用投
20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の源泉分離課税 非課税※3
資信託※7
配当所得(20.42%の源泉徴収)
非 公 社 債 等 投 資 配 当 所 得(20.42% の 源
申 告 分 離 課 税( 譲 渡
譲渡損益とみなされる部分は20
信託
泉徴収)
益の20%※6)
※6
% の申告分離課税
公社債等運用投
20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の源泉分離課税 非課税※3
資信託※7
配当所得(20.42%の源泉徴収)
非 公 社 債 等 投 資 配 当 所 得(20.42% の 源
申 告 分 離 課 税( 譲 渡
譲渡損益とみなされる部分は20
※8
信託
泉徴収)
益の20%※6)
※6
% の申告分離課税
投資法人債券※9
オープン・
エンド型
クローズド・
エンド型
私募
20.315%(所得税15.315
%・住民税5%)の源泉 雑所得(総合課税)
分離課税
非課税※10
配当所得(20.315%※5の源泉徴
配 当 所 得(20.315% ※ 5 収)
申 告 分 離 課 税( 譲 渡
※3
の源泉徴収)
譲渡損益とみなされる部分は20 益の20%※6)
%※6の申告分離課税
配当所得(20.42%の源泉徴収)
申 告 分 離 課 税( 譲 渡
配 当 所 得(20.42% の 源 ※11
※9
泉徴収)※11
譲渡損益とみなされる部分は20 益の20%※6)
%※6の申告分離課税
投資信託
契約型投資信託とは、信託契約に基づ
公募
う場合をいいます。一方、私募とは、少
私募
◆契約型投資信託と会社型投資信託
公募
して有価証券の取得の申込みの勧誘を行
公社債投資信託
株式投資信託
より、次のように分けられます。
投資証券
募とは、多数の者(50名以上)を相手と
証券投資信託以外の投資信託
用対象や仕組み、募集方法などの違いに
会社型
私募による投資信託に分類されます。公
分配金※1
契約型
投資信託の種類は非常に多様です。運
●投資信託の種類別の課税方法(平成26年5月現在)
証券投資信託
投資信託の種類と課税方法
● 投資信託と税金
※1 追加型の株式投資信託については元本払戻金(特別分配金)を除きます。会社型の投資法人債券の場合は利
子、投資証券の場合は配当を意味します。
※2 会社型のクローズド・エンド型については、ファンドの解散(償還)の場合です。
※3 証券会社等の買取価格は、証券会社等が負担することになる税相当額等を控除した後の価格となります。証券
投資信託以外の投資信託のうち公社債等運用投資信託、および会社型の公募投資証券でオープン・エンド型の
ものについても同様になるものと思われます。
※4 ETFを含みます。
※5 所得税15.315%、住民税5%。源泉徴収後、申告不要とすることができます。
※6 所得税15%★、住民税5%。
※7 公社債等運用投資信託とは、証券投資信託以外の投資信託で、公社債、手形、指名金銭債権および合同運用信
託により運用するものをいいます。
※8 主として土地等に投資するもので、受益証券(または投資証券)の募集が少人数私募である等の要件に該当
し、所有期間が5年以下であるものの譲渡である場合には、土地等の短期譲渡所得として課税される場合があ
ります。
※9 クローズド・エンド型の会社型投資信託について、規約に定める額を限度として発行が認められています。
※10 割引債類似の債券に該当する場合(例:ETFS現物保有型貴金属上場投資信託・ETFS商品上場投資信託(193
ページ参照)
)の譲渡益は総合課税の対象となります。
※11 公募のクローズド・エンド型投資証券が上場されている場合は、20.315%(所得税15.315%・住民税5%)に
なり、源泉徴収後、申告不要とすることができます。
①信託期間中における収益分配金(期中収益分配金)
②信託期間中に直接解約したときや満期償還したときに生じる差損益
③受益権を買取請求により中途売却した場合の譲渡損益
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(注)★印の付いている所得税については、復興
特別所得税も課されます。復興特別所得税
の税率は、基準所得税額の2.1%です。詳し
くは41ページをご参照下さい。
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