ホログラム立体映像

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立体映像
ホログラム立体映像
1. ホログラムとは
薄いフィルム上に昆虫や工
芸品が立体的に浮き上がっ
た画像を美術館等でご覧にな
った方も多いのではないでし
ょうか。これをホログラムと言
い、物体を立体的に表示でき
る方法として知られています。
ホログラム技術の歴史は古く、
1948 年に英国のデニス・ガボ
ールが発明しました。現在で
は、立体写真としてのアート
作品だけでなく、紙幣・クレジ
ットカードなどの偽造防止など
広く普及しています。
調節や両眼視差、輻輳を制
御していないため、矛盾のな
い立体像を表示することがで
き、究極の立体表示方式とも
言われています。
ホログラムのホロとはギリ
シア語で「すべての」、グラム
は「記録」を意味します。つま
り、ホログラムは物体の光の
強度と位相など、すべての情
報を記録したものなのです。
ホログラムの記録・再生する
ものをフォトグラフィーからくる
造語でホログラフィーと呼び
ます。
2. 原理と特徴
フィルムに物体からの光
(物体光)と基準となる光(参
照光)を重ねると、フィルムの
中に明暗の縞(干渉縞)が形
成されて記録されます。この
フィルムに参照光のみを照射
すると、干渉縞により光が回
折されてもとの物体があたか
もそこにあるかのように立体
像として再生されるのです。
ホログラムは、3次元物体
からの光の波面を忠実に記
録・再生することができるので、
原理的に、実物の被写体をそ
のまま見るのと同じ自然な立
体像を表示することができま
す。メガネあり立体における
疲れの要因である、目の焦点
3. ホログラムを動画にする
ためには?
では、ホログラム技術で立
体像を動画にするには、どう
すればよいのでしょうか?
ホログラムの原理
動画の立体像を表示する
には、物体光の情報(干渉縞)
を高速で書換え表示できるホ
ログラムが必要となります。
物体光の情報は非常に多くて、
現在のデジタルテレビの 100
倍以上の情報が必要です。こ
れらの大容量の情報を表示
するためには、表示素子も大
容量にしなくてはなりません。
このための書換え可能なホロ
グラム表示用デバイスである
空間光変調器(SLM:Spatial
Light Modulator)が必要となり
ます。
4.空間光変調器(SLM)
SLM は、光の強度や位相
を制御できる微小な光学素子
をアレー状に配置したデバイ
スです。プロジェクターの表示
デバイスや液晶ディスプレイ
も SLM の一種です。
SLM で高画質の立体像を
表示するには、可視光の波長
と同程度の画素サイズである
1mm の 1/1000 以下の超高密
度のデバイスが必要となりま
す。
近年の8Kスーパーハイビ
ジョン研究の加速により、プロ
ジェクター用途に高精細 SLM
が開発され、ホログラム研究
にも広く活用されています。し
かし、現在の画素サイズは、
1mm の 1/100 程度です。今後
は画素サイズをさらに 1/10 に
するとともに、画素数そのも
のを超多画素にする必要が
あります。そのために、物質
を構成する上向きと下向きの
2 種類の電子(これをスピンと
呼ぶ)の向きの違いを利用し
て SLM から表示するホログラ
ム立体画像を変化させるスピ
ン注入型 SLM(スピン SLM)
の研究開発を進めています。
空間光変調器による動画ホログラム表示