この公表資料は当店ホームページに掲載しています。 ホームページアドレス http://www3.boj.or.jp/kagoshima/ 2015 年 3 月 9 日 日本銀行鹿児島支店 ガソリン価格下落の家計への影響試算 ~1年で概ね2万円~ 2014 年の夏以降、原油価格が大幅に下落した。これに伴い、鹿児島県内のガソリ ン店頭価格も 2014 年7月の 177.4 円から、今年2月中は 140 円台へと、2011 年初 以来の水準まで下落している(図表1)。家計のガソリン消費動向をみると、リーマ ンショック後に価格が急落した局面においても購入量は特段変化していないなど、 価格変動に対し消費量は比較的安定しており、ガソリン価格の下落が関連支出額の 減少というメリットをもたらすと考えられる(図表2)。 (図表1)ガソリン店頭価格 (図表2)当地の家計のガソリン消費 200 60 リットル 円/リットル 円/リットル 50 180 175 40 150 200 2008-2014 平均=47L 30 160 140 20 125 鹿児島 全国 10 購入単価(右目盛) 100 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 (年) (出所)資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」 120 月当たり購入量 100 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (年) (出所)総務省「家計調査」 そこで、2014 年のデータに基づき、ガソリン小売価格が年間を通じて 1 ㍑ 30 円 下落すると仮定した場合の当地の家計への負担の軽減効果を2つの手法で試算する と、家計の負担減少額は1世帯当たり1年で概ね2万円程度と推察される。 (試算1)家計調査に基づく (試算2)ガソリン販売実績に基づく 1世帯当たり 鹿児島市 17,248円 (参考) 鹿児島県 23,508円 (参考) 全国 14,531円 中都市 14,486円 人口5万人未満 17,761円 東京都区部 1世帯当たり 4,974円 車1台当たり 20,585円 (注)県内の1年間のガソリン販売量(分子)を、ガソ リン自家用乗用車数(分母)で除した値に基づく (詳細は次項「試算の前提等」 )。 (注)総務省「家計調査」 (2014 年)を基に算出。鹿児 島市は全国の同規模地域(中都市)と比較しても ガソリン支出が多いことから、鹿児島県内の郡部 等では、全国における人口5万人未満の市町村よ りさらに高いガソリン支出が想定される。 1 家計支出に着目した試算では(試算1)、鹿児島市内の家計の負担減少額は約1万 7千円である。家計調査からは詳しい品目別の支出額や購入数量が把握でき、上述 のような試算が可能である。一方で、家計調査はサンプル数が少なく、また公共交 通手段が県内他地域に比べ充実している鹿児島市内に調査対象が限られる。 こうした点を踏まえ、県内全域のガソリン販売実績および自動車保有台数に着目 して試算すると(試算2)、県全域における家計の負担減少額は約2万3千円である。 鹿児島市内外における公共交通手段の差異を鑑みると、県全域におけるガソリン価 格下落の影響が鹿児島市内を対象とした試算1よりも大きいことは、一定の合理性 がある。2通りの手法に基づく試算から互いに整合的な結果が得られたことは、こ れらの試算結果について相応の妥当性を示していると考えられる。 両試算ともに各種の制約からその結果について幅をもってみる必要があるが、ガ ソリン価格が 30 円下落することがもたらす県内家計の「負担減」は、1年で概ね2 万円程度であると推察される。 試算の前提等 1.家計調査に基づく試算(試算1) 総務省統計局の家計調査(2014 年計)の鹿児島市、二人以上の世帯の支出、詳細品目「ガソリン」 の購入数量 574.933 ㍑に、試算仮定であるガソリン価格下落幅▲30 円を乗じたもの。仮に 2014 年中 と同量のガソリンを、2015 年中において昨年より平均で 30 円安く購入した場合の鹿児島市の家計の ガソリン支出の変化額。 2.石油・自動車関連統計に基づく試算(試算2) 鹿児島県内の車1台あたりの年間ガソリン購入量(県内ガソリン販売量÷県内車両台数)に▲30 円を乗じ、さらに世帯当たりの自動車保有台数を乗じて1世帯当たりの負担減を算出。 ガソリン販売量(L)÷車両台数(台)×価格下落幅(円/L)×世帯当たり保有台数(台/世帯) =1世帯あたり負担減(円/世帯) (注1) 石油連盟公表の県内ガソリン販売実績は、元売りの出荷量に基づいており、販売されたガソリンが自動車に給油さ れるまでの間の給油所在庫があるほか、販売先が他県の給油所へ再販した際に二重計上される場合があるといったこと から誤差が生じる。 (注2) 県内の車両台数には、バスや、軽でないトラック(主に軽油を使用)といった、ガソリンを使用しない車両が含ま れるため、各車種(乗用車、貨物車など)にガソリン車の比率を乗じて域内のガソリン車両数を算出した。さらに、バ スは走行距離が自家用車より遥かに多い事などを加味し、乗用車1に対しバス4、二輪車 0.3 のウエイトを与え、一般 の自家用車1台あたりのガソリン消費量を試算した。 (資料) ガソリン販売量:石油連盟「都道府県別販売実績」、車両台数:日本自動車工業会「自動車統計月報」 、 ガソリン車比率:九州運輸局「自動車保有台数」、世帯当たり保有台数:自動車検査登録情報協会「都道府県別の自 家用車の普及状況」 以 2 上
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