(No.1,535)〈マーケットレポートNo.4,081〉 2015年3月16日 新興国で相次ぐ「利下げ」(新興国) 2014年後半以降、大幅な原油安などによる物価上昇率の低下傾向や、中国をはじめとする世界的 な景気の減速傾向を背景に、新興国では政策金利を引き下げる動きが広がっています。中国人民 銀行(中央銀行)は、同年11月におよそ2年4カ月ぶりとなる政策金利の引き下げを行ない、2015年 2月4日には預金準備率の引き下げを、2月28日には政策金利の一段の引き下げを実施しました。 利下げによる景気支援の動きが広がる 物価上昇率の落ち着きが背景 ■中国以外の国々でも、足元では利下げの動きが広がっています。インド準備銀行(中央銀行)は1月 15日と3月4日に臨時の会合を開き、それぞれで政策金利を引き下げました。また、タイ銀行(中央銀 行)が3月11日に昨年3月以来1年ぶりとなる利下げを実施したほか、韓国銀行(中央銀行)も12日に 政策金利を過去最低となる1%台に引き下げました。 ■利下げを実施している新興国では、総じて原油安や食品価格の落ち着きなどを背景に物価上昇率が 低下傾向にあり、景気支援のための金融緩和が可能となっています。 通貨の安定が利下げ継続には重要 ブラジルは物価高から金融引き締め ■米国で年央以降に利上げ開始との観測が高まってお り、新興国通貨は対米ドルで下押し圧力を受けていま す。利下げを続けるためには、通貨の大幅な下落を 回避し、輸入物価の上昇を抑えることが必要です。そ のため、経常収支や財政政策の安定なども重要です。 ■ブラジル中央銀行は3月4日、昨年10月以降4会合連 続となる利上げを実施しました。財政再建に向け、政 府はガソリンや電力の価格抑制に用いていた補助金 を削減せざるを得ず、原油安による物価抑制効果が 生まれにくい状況です。物価高が続いており、金融政 策は引き締め方向です。 利下げにより、多くの新興国で景気見通しが改善、通貨の持ち直しも ■景気見通しの改善は新興国通貨を下支え ■ブラジル中央銀行の金利・通貨政策に注目 堅調な米国景気、中国の景気刺激策、通貨安な どは、新興国の輸出を支えると思われます。また、 物価の落ち着きや利下げは、内需を刺激すると期 待されます。こうした景気見通し改善は新興国の 通貨を下支えする要因です。 ブラジルは、物価高に対して利上げを続けており、 高金利はレアルの下支えになっています。一方、 景気への配慮から、レアル買いの為替介入は3月 末に打ち切るとの観測が出ています。同国中央銀 行は金利・通貨政策の難しい調整を続けざるを得 ず、レアルは不安定な動きが当面続きそうです。 2015年03月12日 タイ中銀が予想外の利下げ 2015年03月11日 ブラジルレアルの最近の動向と今後の見通し ■当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘す るものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のもので あり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想で あり、今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完 全性を保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者お よび許諾者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
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