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シンポジウム 13 日本における認知症の大規模コホート研究:これまでとこれから
オーガナイザー:清原 裕
九州大学環境医学分野
中路重之 弘前大学社会医学
概 要:わが国では、高齢化率(総人口に占める 65 歳以上人口の割合)が 1960 年の
5.7%から 2012 年の 24.1%へとこの 50 年間で 4 倍に上昇し、それに伴い認知症高齢者
が急増した。厚生労働省が行った全国調査の成績によれば、2012 年の時点で認知症を
有する高齢者の数は 462 万人であり、10 年後の 2025 年には 730 万人に達すると推計
されている。認知症はさまざまな原因で発症するが、アルツハイマー病をはじめとし
てその多くの病型は成因がいまだ十分に解明されておらず、治療法も確立されていな
いのが実状である。このような現状の中で有効な認知症の予防対策を策定しその社会
的負担を軽減するには、コホート研究を中心とした疫学調査によって地域住民におけ
る認知症の実態を把握し、その危険因子・防御因子を明らかにする必要がある。人的
資源、継続力、資金力を必要とするコホート研究の成果はすぐには出ないが、教科書
の内容を書き換えるような事実はコホート研究に依るものが多い。本シンポジウムで
は、日本を代表する 4 つの認知症コホート研究の担当者が集い、高齢者認知症の時代
的推移、予後、危険因子・防御因子について概説する。さらには、今後のコホート研
究のあり方についても触れたい。