再生可能エネルギーは、早期に 30%、長期的には

総合資源エネルギー調査会
長期エネルギー需給見通し小委員会(第4回会合)
資料7
再生可能エネルギーは、早期に 30%、長期的にはそれ以上の野心的な目標を
(一社)全国消費者団体連絡会
事務局長 河野 康子
1.再生可能エネルギーのめざす目標について
・再生可能エネルギーに対する国民・消費者の支持はきわめて高い
・エネルギー基本計画にある「再生可能エネルギーの導入の最大限加速」を行
い、高い導入目標を掲げて推進すべき
・欧米諸国の状況を踏まえるならば、
「早期に 30%を実現、長期的にはそれ以上
の野心的な目標」となるのではないか
【参考】欧米諸国の再生可能エネルギー目標
イギリス:2020 年 30%(2012 年 11%)
フランス:2030 年 40%
ドイツ:2025 年 40~45%(2012 年 22%)
スペイン:2020 年 40%(2012 年 30%)
カリフォルニア州:2030 年 50%
(EU は最終エネルギー消費量における自然エネルギーのシェアを 2030 年に
少なくとも 27%にする目標を決定しており、この場合、電力では 45%になる
と想定している。)
2.日本における再生可能エネルギーの普及可能性について
・再生可能エネルギーの普及の障害をあげて、伸びないことを示すのではなく、
障害を克服していく方向で考えていくべきであり、それぞれの障害となってい
る規制などを明確にし、早期に見直しを進めるべき
・
「日本はエネルギー資源に乏しい国」との表現を見かけるが、自然条件を見れ
ば、再生可能エネルギーの「エネルギー資源に恵まれた国」ということができ
る
・再生可能エネルギーは、地域によって多様なあり方が存在する地産地消型が
多く、大規模火力発電や原子力発電のような大きな発電ロス、送電ロスがない
・電力はこれまでの大規模一極集中型から、それぞれの地域にあった多様な(地
産地消的な)電源による地域多様分散型へ移行していくべきであり、これこそ
地方創生の重要な柱となる
・再生可能エネルギーは、純国産エネルギーであり、太陽光発電だけでなく、
風力、バイオマス、小水力、地熱をはじめ、研究開発中の新たなものを含め、
最大限の導入をめざすべき(「再生可能エネルギー各電源の導入の考え方」にも
あるように、地熱発電は、世界3位の地熱資源量 2347 万 kw がありながら、わ
ずか 52 万 kw しか発電されていない。発展途上国にも後れをとっている)
・系統安定化費用、とりわけ地域間連携線などの増強費用については、発送電
分離を基本とする電力システム改革の基本的な考え方に立てば、個別の電源と
の関わりのみを強調し、そこのコストに含めるとの考え方は不適切ではないか
3.固定価格買取制度について
・固定価格買取制度をきっかけに、この分野での技術開発や人材・資金の流入も
起きており、民間の力が再生可能エネルギー分野に動いている
・固定価格買取制度について、制度的な手直しが必要な点は修正しながら、よ
り有効に活用して、再生可能エネルギーの導入を推進すべき
・固定価格買取制度は、普及とコスト削減の好循環を通じて、長期的には賦課
金が下がり、負担も収束するはずであり、将来の見通しのシミュレーションを
出すべき
・固定価格買取制度によって、太陽光発電が急速に普及し、接続回答保留問題
が発生したが、これは制度のマイナスではなく、再生可能エネルギーの可能性
(ポテンシャル)の高さが明らかかになったものとみるべき
4.「再生可能エネルギーを拡大するにあたっての他電源との代替関係につい
て」の資料について
・現実にいま問われているのは、9 割近くを火力発電に依存している現状を、ど
う他の電源に代替していくかにあり、稼働 0 の原子力発電の代替の検討に意味
があるのか、目的と意図がわからない
・現在の日本は、原子力発電の燃料を海外に依存(ウランは海外から輸入、MOX
燃料も英仏で製造)しており、国内自給されていないという現実を踏まえるべ
き(六ヶ所村再処理工場稼働がトラブルにより 21 回延期されており、国産燃料
の実態が存在していないことを踏まえるべき)
5.要望事項
・経済産業省資源エネルギー庁ホームページで 3 月 3 日付で案内が出され、資
源エネルギー庁主催で、3 月 4 日~12 日に全国 5 会場でシンポジウム「日本の
エネルギーミックスを考える」が開催ならびに予定されています。このシンポ
ジウムの開催意図、具体的な内容等について、次回の委員会の場でご説明をい
ただきたいと思います。
・第 3 回委員会で「エネルギー需給見通し」について、「複数のシナリオを提
示してほしい」とご発言しました。第 3 回委員会の試算の基礎数値は、内閣府
「中長期の経済財政に関する試算」(平成 27 年 2 月)の「経済再生ケース」が
使われていますが、同時に内閣府は「ベースラインケース」を示しています。
実質 GDP がこの「ベースライン」で推移した場合、「エネルギー需給見通し」
がどうなるのか、2030 年のゴールの数値だけでなく、途中の毎年の数値を含め
て事務局で試算し、お示しくださるようお願いします。
・再生可能エネルギーの多くは、それぞれの地域にあった多様な(地産地消的
な)電源による地域多様分散型システムであり、大規模一極集中型の大規模火
力発電所や原子力発電所で発生する大きな発電ロス、送電ロスを生まないとい
う特徴があります。そのロス削減の効果を何らかの数値で示すことができない
か、事務局で検討をお願いします。あわせて、第 2 回委員会で発言しましたよ
うに、コジェネレーション、分散型システムへの転換について、再生可能エネ
ルギーに引き続いて論議いただくことをお願いします。