No.1:超海洋中央部海山頂部での絶滅の記録

地 学 ニュー ス
地学ニュース(日本の露頭・景観 100 選 No. 1)
超海洋中央部海山頂部での絶滅の記録
―
ジュラ紀の日本に付加したペルム系赤坂石灰岩(岐阜県大垣市)―
磯
﨑 行
雄*
小 福 田 大 輔*
Records of Extinction in a Paleo-atoll from Mid-Panthalassa :
Permian Akasaka Limestone Accreted to Jurassic Japan(Ogaki, Gifu)
Yukio ISOZAKI* and Daisuke KOKUFUDA*
I.は じ め に
諸大陸塊は移動を繰り返し,時には超大陸の
形成・分裂を経験した。それとは無関係に,顕生
代の約 5 億年間を通して,惑星地球の表面の約
70%はつねに海洋で覆われていた。したがって,
顕生代のグローバル環境およびそれに関わった生
物圏変化の復元において,時代を問わず広大な表
面を占めた海洋の情報が不可欠である。しかし,
現世の海洋域で最古の海底は約 2 億年前(前期
ジュラ紀)のものであり,それ以前の海洋底は,
プレート沈み込みによって現在の海洋域に残され
GMT
ていない。それゆえ陸域縁辺の浅海の地層記録か
図 1 岐 阜 県 大 垣 市 赤 坂 石 灰 岩 の 位 置 図.
ら過去の海洋全体の様子を探るしか方法はないと
永らく信じられてきた。
一方,日本列島の地殻表層には,おもに顕生代
なった(Isozaki, 2014)
。
の付加体とその変成部が広く露出する。過去の
本稿では,日本に付加した古海洋島由来の浅海
海溝でできた付加体のなかには,さまざまな過
成石灰岩の代表として,岐阜県大垣市赤坂(図 1)
去の海洋物質が含まれる(Isozaki et al., 1990)。
に分布する古生代ペルム系石灰岩の特徴とそのな
なかでも,海洋プレート表層で堆積した遠洋深海
かに記録された絶滅と環境変化の証拠を紹介する。
チャートとホットスポット海山頂部起源の礁石灰
II.赤坂石灰岩
岩は,おのおの失われた海洋中央部の深海底と表
層の環境情報を保存しているため,ジュラ紀以前
濃尾平野北西端に位置する大垣市北部の小山
のグローバル環境復元においてきわめて重要で
塊,金生山は大きな石灰石鉱山として古くから知
あることが 1990 年代以降広く認識されるように
られている(図 1)。東海道新幹線岐阜羽島駅を
*
*
きんしょうざん
東京大学大学院総合文化研究科宇宙地球科学教室
Department of Earth Science and Astronomy, The University of Tokyo
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図 2 赤 坂 石 灰 岩 全 体 の 航 空 写 真(A:北 東 上 空 か ら;三 星 砿 業 株 式 会 社 提 供)と 代 表 的 露 頭 写 真(B–E:河 合 石
灰 工 業 株 式 会 社,市 橋 切 羽 東 壁 面).E:大 型 の フ ズ リ ナ Yabeina globosa を 多 産 す る 上 部 層 の 露 頭.
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図 3 赤 坂 石 灰 岩 か ら 産 す る 代 表 的 ペ ル ム 紀 化 石 の 写 真.
A–D:大 型巻 貝(A:Bellerophon jonesianus 6 cm 径,B:
“Pleurotomaria”yokoyamai 12 cm 径,C:Naticopsis wakimizui 12.5 cm 径,D:Akasakiella yabei 40 cm 長),E:大 型 フ ズ リ ナ Yabeina globosa(風 化 面 で 個 体 が 浮 き 出 た 部 分 と
研 磨 面 の 殻 断 面),F:四 放 サ ン ゴ Waagenophyllum akasakenne(研 磨 面),G:大 型 二 枚 貝 Shikamaia akasakaensis
(大 平 標 本 と 野 外 で の 密 集 層 の 産 状)(写 真 A–D,G:金 生 山 化 石 館 提 供). 図 示 し た 巻 貝 お よ び 二 枚 貝 は い ず れ
も ペ ル ム 紀 腹 足 類 お よ び 斧 足 類 の な か で は 破 格 の 大 き な 殻 サ イ ズ を も ち,光 合 成 藻 類 と の 共 生 が 推 定 さ れ て い
る(Isozaki and Aljinovic, 2009). と く に Shikamaia akasakaensis の 最 大 個 体 は, 殻 幅 か ら 推 定 さ れ る 殻 長 が ほ ぼ
2 m に 及 ば ん と し,同 種 は 古 生 代 最 大 の 二 枚 貝 化 石 で あ る.ペ ル ム 紀 の Pleurotomaria 属 の 産 出 は 世 界 で 3 例 の み,
また Shikamaia 属を含む Alatoconchidae 科の産出は世界で 10 か所からのみで,いずれも当時の低緯度域に限ら れる.
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図 4 岐 阜 県 西 部 お よ び 赤 坂 地 域 の 地 質 図(赤 坂 団 体 研 究 グ ルー プ, 1956 か ら 改 変)と ペ ル ム 系 赤 坂 石 灰 岩 の 総
合 柱 状 図(Kofukuda et al., 2014 か ら 改 変).
赤 坂 石 灰 岩 は,ジュ ラ 紀 の 砂 岩・泥 岩 中 に 巨 大 な 異 地 性 岩 体 と し て 産 す る(A).岩 体 内 部 は 初 生 的 層 序(B,C)
を 保 存 し て お り,フ ズ リ ナ 化 石 に 基 づ き そ の 年 代 が ペ ル ム 紀 中 期–後 期 に 及 ぶ こ と が 明 ら か に さ れ て い る.
西にむかって通過してすぐに,右手車窓から大き
3G)。フズリナ化石の層序研究に基づき,この石
く削れたその山塊(図 2)が容易に眺められる。
灰岩の年代は古生代ペルム紀であることが確認さ
暗灰色ないし黒色の石灰岩中に白色のフズリナや
れている(図 4;Ozawa, 1927; 赤坂団体研究グ
サンゴ化石が多数含まれるパタンが美麗であるこ
ループ, 1956 など)。しかしこの石灰岩がかつて
とから,その石灰石はセメント・製鉄などの実用
海洋の中央部に位置していたホットスポット型海
目的以外に,装飾石材としても注目されてきた。
山の上で堆積した石灰岩であることが認識される
かつて土産用に灰皿もつくられたそうだが,禁煙
ようになったのは,プレートテクトニクスに基づ
化が進んだ今ではそれも昔話となった。
く造山運動論が日本でも広く受け入れられるよう
明治初期に欧州の地質学者もいち早く赤坂石灰
になった 1980 年代初頭以降であった(Kanmera
岩から保存良好でかつ大型の多様な化石(図 3)
and Nishi, 1983)
。赤坂石灰岩のみならず,近
が産することに注目していた(例えば, Gümbel,
畿・中部地方の美濃・丹波帯と呼ばれる地帯に産
1874; Schwager, 1883 など)。世界でも稀な巨大
するペルム系石灰岩は,もともと古太平洋中央部
巻貝 Bellerophon や“Pleurotomaria”
(図 3A,B)
に起源をもち,1 億年以上かけて海洋プレートと
また殻の長さが 2 m に及ばんとする巨大二枚貝
ともに北西方向へ移動し,ジュラ紀にアジア東縁
Shikamaia(Hayasaka and Hayasaka, 1953;
の日本に付加したことが示された(Sano, 1988
Ozaki, 1968; Isozaki and Aljinovic, 2009; Nützel
など)。
and Nakazawa, 2012)はとくに有名である(図
一方で,赤坂石灰岩が同時代の大陸縁辺で堆積
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図 5 赤 坂 海 山 の 移 動 経 路(Kasuya et al., 2012 を 改 変).
赤 坂 石 灰 岩 と ほ ぼ 同 一 の 岩 相 お よ び 生 層 序 を も つ 宮 崎 県 高 千 穂 町 の ペ ル ム 系 岩 戸 層・三 田 井 層 石 灰 岩 に つ い て
古 地 磁 気 学 的 研 究 が な さ れ(Kirschvink et al., 2015), 南 緯 12 度 で 堆 積 し た こ と が 示 さ れ た. 近 接 領 域 で 同 様 に
堆積したと考えられる赤坂石灰岩も,南半球低緯度域での堆積後,プレート運動によって北半球中緯度まで移動し,
ジュ ラ 紀 中 頃 に 当 時 の 日 本(南 中 国 の 一 部) の 海 溝 で 付 加 さ れ た と 推 定 さ れ る.Lepidolina territory と Yabeina
territory は ペ ル ム 紀 の フ ズ リ ナ 地 理 区 を 示 し,よ り 南 方 に Yabeina territory が 発 達 し た.
まおこう
した石灰岩(例えば東アジア近隣の南中国の茅口
III.G-L 絶滅境界
石灰岩など)とは異なる岩相・化石動物群をもつ
ことから,古生物地理上の位置が注目されてき
赤坂石灰岩のなかに,ペルム紀におきた重要
た。フズリナのほかに,四放サンゴ,海ユリ,腕
な生物絶滅境界があることが,最近注目される
足類,巻貝,二枚貝など浅海棲動物化石の産出
ようになった。この石灰岩の年代がペルム紀中期
は,基本的に熱帯域の生物礁として赤坂石灰岩が
(Guadalupian 世)から後期(Lopingian 世)に及
堆積したことを示している(Zaw Win, 1999 な
ぶことはかつてより認識されていた(Sakagami,
ど)。最近,同様の特徴をもつ宮崎県高千穂地域
1980; Ozawa and Nishiwaki, 1992)
。一方,1990
(秩父帯)のペルム系石灰岩(岩戸層)が南緯 12
年代に南中国の研究から古生代末の大量絶滅が
度で堆積したことが古地磁気の測定によって確認
2 段階でおきたこと,とくに 1 回目の主要絶滅
され(Kirschvink et al., 2015),赤坂石灰岩もほ
がペルム紀中期・後期(G-L)境界頃におきたこ
ぼ同様の位置にあったと考えられる(図 5)。
とが認識されるようになった(Jin et al., 1994;
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図 6 赤 坂 石 灰 岩 上 部 の 岩 相 層 序 と 代 表 的 化 石 の 消 長 お よ び 薄 片 写 真(Kofukuda et al., 2014 を 改 変).
ペ ル ム 紀 中 期 末 の Capitanian 後 半 に,多 様 な 浅 海 棲 動 物 の 多 様 性 が 減 少 し た.海 底 固 着 生 活 者 に 被 害 が 大 き かっ
た. 赤 坂 石 灰 岩 も 同 様 の パ タ ン を 記 録 し て い る. と く に 大 型 フ ズ リ ナ, 大 型 二 枚 貝 そ し て 四 放 サ ン ゴ と い う 系
統 的 に 異 な る 動 物 で あ る に も 関 わ ら ず, 光 合 成 共 生 し て い た 動 物 が, ほ ぼ 同 時 期 に 多 様 性 を 激 減 さ せ た こ と は
重 要 で あ る. 一 方,G-L 境 界 前 後 に 明 確 な 堆 積 間 隙 が 認 め ら れ(図 7), 石 灰 岩 の 堆 積 相 の 変 化 も 超 海 洋 中 央 部
で 海 水 準 が 低 下 し た こ と を 記 録 し て お り,お そ ら く そ の 背 景 に グ ロー バ ル 寒 冷 化 が お き た こ と を 示 唆 し て い る.
上 述 の 浅 海 動 物 の 多 様 性 は, こ の 直 前 か ら 減 少 し は じ め て お り, 絶 滅 と 寒 冷 化 と の 間 の 因 果 関 係, そ し て 環 境
変 化 の 根 本 原 因 が 議 論 さ れ て い る.
Stanley and Yang, 1994)。そこで赤坂石灰岩の
da et al., 2014)
。
なかの G-L 境界層準の正確な認定に始まり(Iso-
また,赤坂産の代表的フズリナである Yabeina
zaki and Ota, 2001; Ota and Isozaki, 2006),ス
属 の 個 体 が, 単 細 胞 生 物 で あ る に も 関 わ ら ず
トロンチウム同位体比測定による化学層序対比
1 cm を越える殻径をもつこと,巨大な二枚貝
や,安定炭素同位体比の測定による当時の生物生
Shikamaia 属(Alatoconchidae 科)が産出する
産性の推定などの研究が,上述の高千穂地域の同
こと(図 3)の特異さに注目して,ペルム紀中期
時代石灰岩と並行して進められてきた(Isozaki
のグローバル気候変動,とくに寒冷化に伴う大型
et al., 2007a, b; Kani et al., 2008, 2013; Kofuku-
熱帯生物群集の絶滅が議論されている(Isozaki
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図 7 G-L 境 界 の 露 頭 写 真(三 星 砿 業 株 式 会 社 内 の 切 羽)(Kofukuda et al., 2014).
赤 坂 石 灰 岩 上 部 層 の 縞 状 石 灰 岩 と 市 橋 層 の 灰 白 色 石 灰 岩 と の 間 に 斜 交 し た 堆 積 累 重 関 係 が 認 め ら れ る(A,B).
境 界 周 辺 部 の 研 磨 面(C). こ の 堆 積 間 隙 が 認 め ら れ る 層 準 に G-L 境 界 が 対 比 さ れ, ペ ル ム 紀 中 期 末 に グ ロー バ
ル な 海 水 準 低 下 と 寒 冷 化 が お き た こ と が 示 唆 さ れ る.
and Aljinovic, 2009)。ペルム紀中期末にピー
た以上に重要であることがわかったが,その原
クを迎えた寒冷化は,大陸棚堆積物のシーケン
因をめぐって多様な議論がなされている。この
ス層序から独立に推定された海水準変動曲線
時期に相前後して南中国で峨嵋山洪水玄武岩
(Haq and Schutter, 2008)ともよく一致する。
(Emeishan Trap)の大規模噴火がおきたため,
さらにごく最近,G-L 境界に斜交不整合が発見
それがグローバル環境変化を引き起こしたという
おうめいしゃん
され(Kofukuda et al., 2014;図 6)
,低緯度海
説があるが,大気中に粉塵が拡散したための寒冷
洋中央部での海水準低下,すなわちグローバル寒
化と大量火山ガスの放出による温暖化という相矛
冷化がおきたことが実証された。
盾する説明がなされている。いずれにせよその噴
ペルム紀末の 2 回目の絶滅に先行して,古生
火の規模は小さすぎて,とてもグローバル環境変
代型海洋動物が最初の大きな打撃を被ったこと
化を引き起こすには不十分にみえる。火山噴火
(図 7)から,G-L 境界事件は従来認識されてき
以外に寒冷化を起こす機構として,銀河宇宙線の
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流入増加による雲量増加が提案されている(Iso-
引用文献
zaki, 2009; 磯﨑, 2012)が,具体的証拠に基づく
今後のさらなる検証が必要である。
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IV.お わ り に
日本各地に石灰石鉱山があり,また鍾乳洞があ
る。これらのほとんどは赤坂石灰岩と同様に,過
去の太平洋(超海洋パンサラサ)中央部に起源を
もつ。九州・中国・四国地方の平尾台・秋吉台・
帝釈台・四国カルスト・土佐山,近畿・中部の伊
吹山・舟伏山,関東の武甲山・葛生,そして東
あっか
北・北海道の安家・尻屋崎・上磯など枚挙にいと
まがない。陸から離れた孤島上での堆積を反映し
て,これらの石灰岩は大陸縁由来の粗い砂や泥を
含まず,大陸棚の浅海石灰岩に比べて,きわめて
純度の高い良質の鉱産資源として利用されてい
る。
本稿では,資源に乏しい日本にとって貴重なこ
れらの石灰岩が,“made in Japan”ではないこ
とを紹介した。これらの地域を訪れ,その特徴的
な山容を眺める際に,実はその起源が“made in
mid-Pacific”であったこと(図 5)について思い
をめぐらせるのも一興であろう。
なお,多様な化石を産し,かつ交通の便に優れ
ることから,赤坂石灰岩はかねてより化石ハン
ターのメッカとして知られてきた。しかし,その
露出の大部分は稼働中の鉱山内にあるため,無法
な採取は慎むべきである。地元の博物館(金生山
化石館)などが主催する化石採取企画などを利用
することを勧める。
謝 辞
河合石灰工業株式会社の河合進一,國枝武彦,中嶋
慎司ほかの方々,ならびに三星砿業株式会社の矢橋
龍宜,渡辺久夫,河添建一ほかの方々からは調査時に
多大なるご助力をいただいた。本稿で用いた大型化石
の写真は,大垣市の金生山化石館の高木洋一氏からご
提供いただいた。また筑波大学名誉教授の猪郷久義先
生には赤坂の地質について多くのご教示を賜った。こ
の場をかりて御礼申し上げる。
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