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総合資源エネルギー調査会
長期エネルギー需給見通し小委員会(第4回会合)
資料1
再生可能エネルギー導入の意義と
各電源の特徴
平成27年3月
資源エネルギー庁
再生可能エネルギーの意義と最大限導入
エネルギー基本計画における位置づけ
第2章 エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針
第2節 各エネルギー源の位置づけと政策の時間軸
(1)再生可能エネルギー
・現時点では安定供給面、コスト面で様々な課題が存在するが、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー
安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源。
・2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進。
・これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準を更に上回る水準(注)の導入を目指し、エネルギーミックスの検討に当たっ
ては、これを踏まえる。
(注)2009年8月に策定した「長期エネルギー需給見通し(再計算)」(2020年の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は13.
5%(1,414億kWh))及び2010年6月に開催した総合資源エネルギー調査会総合部会・基本計画委員会合同会合資料の「2030年のエネル
ギー需給の姿」(2030年の発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は約2割(2,140億kWh))。
・それぞれに異なる各エネルギー源の特徴を踏まえつつ、世界最 先端の浮体式洋上風力や大型蓄電池などによる新技術市場の
創出など、新たなエネルギー関連の産業・雇用創出も視野に、経済性等とのバランスのとれた開発を進めていくことが必要である。
第3章 エネルギーの需給に関する長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策
第3節 再生可能エネルギーの導入加速~中長期的な自立化を目指して~
・固定価格買取制度等の再生可能エネルギー源の利用の促進に関する制度について、再生可能エネルギーの最大の利用促進と
国民負担の抑制を最適な形で両立させる施策の組合せを構築することを軸に総合的に検討。
1
太陽光発電の電源としての特徴を巡る議論の整理
エネルギー基本計画における位置づけ
1)太陽光
個人を含めた需要家に近接したところで中小規模の発電を行うことも可能で、系統負担も抑えられる上に、非常用電源として
も利用可能である。
一方、発電コストが高く、出力不安定性などの安定供給上の問題があることから、更なる技術革新が必要である。
中長期的には、コスト低減が達成されることで、分散型エネルギーシステムにおける昼間のピーク需要を補い、消費者参加型
のエネルギーマネジメントの実現等に貢献するエネルギー源としての位置付けも踏まえた導入が進むことが期待される。
太陽光発電の特徴
1.運転特性
・日照により出力が大きく変動するため出力変動対策が必要。他方で、大量
に分散設置された場合には、エリア全体で評価すれば、安定した出力を見
込む事ができ、供給能力(kW)をある程度期待できる可能性がある。
・夜間発電しないので設備利用率が低い(12~14%程度)。他方、一般的に
晴天時に高出力が発生するため、夏季高需要発生時に、ある程度の供給
能力を期待できる可能性がある。
(太陽光発電の出力イメージ)
2.立地条件・開発期間
・導入可能ポテンシャルが大きく、発電設備工事が比較的容易であるため、
都市部でも導入可能。学校等防災拠点の非常用電源として地域に根ざした
活用が進められているものもある。
・他電源と比較して開発期間が短く、1年程度で開発が可能。
3.平成27年度FIT買取価格・買取期間(調達価格等算定委員会案)
・10kW以上(~6月30日):29円、20年間
・10kW以上(7月1日~):27円、20年間
・10kW未満(出力制御対応機器設置義務なし):33円、10年間
・10kW未満(出力制御対応機器設置義務あり):35円、10年間
(出典)資源エネルギー庁
2
風力発電の電源としての特徴を巡る議論の整理
エネルギー基本計画における位置づけ
2)風力
大規模に開発できれば発電コストが火力並であることから、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源である。
ただし、需要規模が大きい電力管内には供給の変動性に対応する十分な調整力がある一方で、北海道や東北北部の風力適
地では、必ずしも十分な調整力がないことから、系統の整備、広域的な運用による調整力の確保、蓄電池の活用等が必要とな
る。こうした経済性も勘案して、利用を進めていく必要がある。
風力発電の特徴
1.運転特性
・風況により出力が大きく変動するため出力変動対策が必要。他方で、大
量に分散設置された場合には、エリア全体で評価すれば、安定した出力
を見込む事が出来、供給能力(kW)をある程度期待できる可能性がある。
・設備利用率が比較的低い(陸上:20%程度、洋上:30%程度)
(風力発電の出力イメージ)
2.立地条件
・北海道や東北の一部地域では風況が良いが、これらの地域では需要が
小さいため、電力消費地と電力の生産地を結ぶ送電網の整備等が必要
となる。
3.平成27年度FIT買取価格・買取期間(調達価格等算定委員会案)
・20kW以上:22円、20年間
・20kW未満:55円、20年間
(出典)九州電力
3
地熱発電の電源としての特徴を巡る議論の整理
エネルギー基本計画における位置づけ
3)地熱
世界第3位の地熱資源量を誇る我が国では、発電コストも低く、安定的に発電を行うことが可能なベースロード電源を担うエネ
ルギー源である。
また、発電後の熱水利用など、エネルギーの多段階利用も期待される。
一方、開発には時間とコストがかかるため、投資リスクの軽減、送配電網の整備、円滑に導入するための地域と共生した開発
が必要となるなど、中長期的な視点を踏まえて持続可能な開発を進めていくことが必要である。
地熱発電の特徴
(地熱発電の出力イメージ)
1.運転特性
・安定的に発電を行うことが可能で出力も概ね一定(設備利用率は80%程度)。
2.立地条件
・地熱資源賦存量の8割が国立・国定公園内に存在。
3.平成27年度FIT買取価格・買取期間(調達価格等算定委員会案)
・1.5万kW以上:26円、15年間
・1.5万kW未満:40円、15年間
(出典)九州電力
(時)
4
水力発電の電源としての特徴を巡る議論の整理
エネルギー基本計画における位置づけ
4)水力
水力発電は、渇水の問題を除き、安定供給性に優れたエネルギー源としての役割を果たしており、引き続き重要な役割を担う
ものである。
このうち、一般水力(流れ込み式)については、運転コストが低く、ベースロード電源として、また、揚水式については、発電量の
調整が容易であり、ピーク電源としての役割を担っている。
一般水力については、これまでも相当程度進めてきた大規模水力の開発に加え、現在、発電利用されていない既存ダムへの
発電設備の設置や、既に発電利用されている既存ダムの発電設備のリプレースなどによる出力増強等、既存ダムについても関
係者間で連携をして有効利用を促進する。
また、未開発地点が多い中小水力についても、高コスト構造等の事業環境の課題を踏まえつつ、地域の分散型エネルギー需
給構造の基礎を担うエネルギー源としても活用していくことが期待される。
水力発電の特徴
1.運転特性
(流れ込み式水力発電)
河川に流れる流量をそのまま利用するため、1日を通してほぼ一定の発電を行
う。設備利用率は60%程度。
(調整池式及び貯水池式水力発電)
ダム運用、水道及びかんがい用水の確保等の制約はあるものの、ピーク時の
需要を賄うために、水量を調整し発電を行っている。
設備利用率は45%程度。
2.立地条件
・十分な落差と年間を通じて流量の確保できる水域(一般河川、農業用水路等)。
3.平成27年度FIT買取価格・買取期間(調達価格等算定委員会案)
・1,000kW以上30,000kW未満:24円、20年間
・200kW以上1,000kW未満:29円、20年間
・200kW未満:34円、20年間
(流れ込み式)
(kW)
8,000
6,000
4,000
2,000
0
3
6
9
12
15
18
21 (時)
(調整地式及び貯水池式)
(kW)
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
3
6
9
12
15
18
21 (時)
5
バイオマス発電の電源としての特徴を巡る議論の整理
エネルギー基本計画における位置づけ
5)木質バイオマス等(バイオ燃料を含む)
未利用材による木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電は、安定的に発電を行うことが可能な電源となりうる、地域活性
化にも資するエネルギー源である。
特に、木質バイオマス発電については、我が国の貴重な森林を整備し、林業を活性化する役割を担うことに加え、地域分散型
のエネルギー源としての役割を果たすものである。
一方、木質や廃棄物など材料や形態が様々であり、コスト等の課題を抱えることから、既存の利用形態との競合の調整、原材
料の安定供給の確保等を踏まえ、分散型エネルギーシステムの中の位置付けも勘案しつつ、規模のメリットの追求、既存火力
発電所における混焼など、森林・林業施策などの各種支援策を総動員して導入の拡大を図っていくことが期待される。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を
継続する。
バイオマス発電の特徴
1.運転特性
・出力変動が少なく、安定した電源。設備利用率も高い(80%程度)。基本的に
安定的だが、燃料の調達状況等によっては出力を調整して運転を継続。
(木質バイオマス【一般木材・農作物残さ、未利用間伐材、建築資材廃棄物】)
需要等に応じて出力を調整することが可能。
(バイオガス、一般廃棄物等)
ゴミ処理、糞尿処理など発電以外の理由で運転状況が決まるため、出力の
調整は困難だが概ね一定。
2.立地条件
(木質バイオマス【一般木材・農作物残さ、未利用間伐材、建築資材廃棄物】)
安定的かつ効率的に燃料を確保するため、林業の盛んな山間部や、輸入
材、PKS等の運搬が容易な港湾部に立地。
(バイオガス、一般廃棄物等)
酪農地域や清掃工場などに立地
3.平成27年度FIT買取価格・買取期間
(調達価格等算定委員会案)
・未利用間伐材(2,000kW以上):32円、20年間
・未利用間伐材(2,000kW未満) :40円、20年間
・建設資材廃棄物:13円、20年間
・一般木材・農作物残さ:24円、20年間
・メタン発酵ガス:39円、20年間
・一般廃棄物等:17円、20年間
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