1 質 問 要 旨 議席番号 5番 一問一答式・一括質問一括答弁式 質問者氏名 落 合 康 友 議 員 1.地方創生の主人公は誰か、市民か、行政か(紫波町 オガールプロジェクトをモデルに) ① 能代市における地方創生とは 項 目 ② 補助金に依存しない公民連携のまちづくり ③ デザインガイドライン能代版の策定を ④ パブリックコメントの手法の見直しを ⑤ 市民活動のための公共施設のあり方 ⑥ 旧東中跡地と旧北高跡地 年始にNHK番組クローズアップ現代でも紹介されていましたが、 今全国から地方創生のパイオニアとして注目されている、補助金に頼 らない公民連携のまちづくりを進める岩手県紫波町。その先進的なま ちづくりの中心となっているのが駅前都市整備事業、通称「オガール プロジェクト」です。 人口34,000人の町中心部駅前、都市と農村の共生をテーマと した独特なデザインの公民複合施設オガールプラザが、開発エリアの 核として平成二十四年にオープン。図書館と地域交流センターからな る公共施設と、産直マルシェやカフェ、クリニック、塾などのテナン トからなる民間施設がひとつの建物に複合されています。このオガー ルプラザはPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)いわゆ る公民連携手法に基づき、補助金を使わずに地元金融から資金調達を して、民間開発により建設されたのですが、その経緯についてご説明 いたします。 厳しい財政状況に陥り、自治体主導の開発には限界がある、民間と の連携が必要不可欠として、紫波町は「公民連携基本計画」を策定し、 大学との提携を結びながら民間のパイプを最大限に活かし、 「官」 「民」 2 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 「学」の強力な連携のもとにまちづくりを進めました。儲かるインフ ラと称される公民複合施設オガールプラザの運営システムですが、駅 目前という交流人口の多い立地条件で、公共施設部分である図書館や 地域交流センターが集客装置となり、そこに安定して生まれる交流人 口をターゲットに県内事業者100%で構成される民間テナントがマ ーケティングして収益を上げます。民間テナントからの土地賃料や固 定資産税が紫波町にとって安定した収益となり、町はその収益を公共 施設部分の維持管理費に充当するため、 実質町にとっての負担はゼロ。 民間テナントは売り上げを伸ばし、公共施設と民間施設が共助の関係 となっています。こういった運営方針は秋田市のエリアなかいちや青 森市のアウガなどで見られ決して珍しくはありませんが、開発後に赤 字経営に陥り失敗している事例が全国各自治体に溢れ返っている中、 オガールプロジェクトは従来の開発事業の常識を覆し、大きな成果を 示しています。 施設の建設コストは従来の公共開発の場合よりを約二、 三億円削減。 オープンした2012年は目標30万人の2倍以上となる70万人の 来訪、2013年はさらに伸び80万人。新たに日本初のバレーボー ル専用体育館やビジネスホテルからなる民間事業100%のオガール ベースがエリア内にオープンして全国からの誘客装置にもなり、新し い町役場やエコ住宅街も整備されるため、今後見込まれる更なる交流 人口の増加。 集客力が伸びオガール周辺の地価やテナント賃料も上昇。 これまでオガールプラザで約100名、オガールベースで70名の雇 用が創出。各施設は地場産材がふんだんに使用され、エリア内にある 木質バイオマスボイラーは各施設へ熱供給を行い、地元の農畜産物や 加工品を販売する産直マルシェは人気を呼んで、基幹産業である農林 業の振興にも貢献。オガールプロジェクトが従来の開発事業の前轍を 踏まず、多岐にわたる経済波及効果を及ぼしているのは、開発手法は 3 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 公共ではなく民間、資金調達は補助金ではなく地元金融を選択してい るためです。 公共開発として補助金で資金調達した場合の従来の傾向として、例 えば公共開発のため10億円の補助金を確保すればその10億円をM AXで使おうとします。予算年度のスケジュールに合わせ年度末の駆 け込みなど歪みが出やすく、ランニングコストや稼働率の見積もりが 甘い事業計画になり、無駄に華美されていたり空きテナントが目立つ 建物ができます。その結果、整備された施設が有効活用されず赤字経 営に陥り、開発後の維持管理費が財政に悪影響を及ぼすハコモノ化し ます。 その点、地元金融機関等から資金調達して民間開発した場合、金融 機関の厳しい審査があるため、返還可能な予算金額となって徹底的な コスト削減ができ、現実的な事業内容になります。また民間発注すれ ば公共事業の約七割のコストで建設可能と言われ、年度末の駆け込み などスケジュール上の制約がなく、開発後も起債の返済や維持管理費 に税金が投入されることがありません。 私は先日、実際に現地に足を運びましたが、最近ではこの儲かるイ ンフラをひとめ見るために、津々浦々から視察が殺到しており、海外 からの来訪者までいるそうです。この短時間ではオガールプロジェク トの全貌を説明することができないため、是非とも多くの方に直接現 地に行ってご覧になっていただきたいです。ではこのオガールプロジ ェクトの事例をベースに、質問に入らせていただきます。 まずは①地方版総合戦略策定に向け、能代市において優先的に取り 組むべき政策課題は何であるのか、 市長のお考えをお聞かせください。 次に②補助金に依存しない公民連携のまちづくりについて。地方創 生において地方自治体は行政運営における大きな発想の転換が求めら れることでしょう。紫波町オガールプロジェクトをモデルに、公民連 4 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 携手法や民間金融等と連携した補助金に依存しないまちづくりの考え 方を、能代市政にも導入してゆくべきと考えますが、補助金や交付金 などの依存財源に対する市長の今後の考え方と併せてお伺いします。 次に③デザインガイドライン能代版の策定をについて。オガールプ ロジェクトの経営戦略の中では、デザイン性がまちづくりにおいて最 重要視されています。デザイナーや建築家などの有識者からなる検討 委員会や市民参加型ワークショプにより「オガール地区デザインガイ ドライン」というものが策定されており、その厳格なデザインコント ロールの規定に基づいてエリア内のまちづくりが進められ、洗練され た近未来的な景観と空間が演出されています。今後の当市の地域プロ モーション推進事業等においても、より戦略的かつ効果的なシティー セールスを成功させるために、デザイン性を特化させた情報発信が必 要不可欠であると考えますが、 「オガール地区デザインガイドライン」 をモデルとした、デザインガイドライン能代版の策定を検討できない ものでしょうか。 次に④パブリックコメントの手法の見直しについて。市民の声を市 政に反映させるための手段のひとつがパブリックコメント。しかしい づれの施策においても提出率が著しく低い傾向にあり、行政サイドか ら市民への積極的なアプローチを施すために、パブリックコメントの 手法の見直しを提案いたしますがいかがでしょうか。 次に⑤市民のための公共施設の在り方について。私は地方創生にお いて最も重要なことは能代市民歌でも謳われる「人創り」であると考 えます。前回の一般質問においても、市民活動を促進すべく公共施設 の柔軟性ある運営について提言させていただきましたが、ご理解いた だけなかったようなので、ポイントを絞って再質問いたします。市民 が公共施設を利用する場合、 地域に公益性のある利用目的であっても、 その活動に付随する物販販売等の対価行為がすべて無条件で「営利目 5 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 的」即ち金儲けと見做され、例えば都市公園であれば利用料金が発生 し、総合体育館等では通常の数倍の利用料金に跳ね上がり、赤字覚悟 で活動する市民団体やNPO団体にとって、この料金制度が活動の大 きな抑制となっています。市民の活動をサポートするのが行政の重要 な役割であると考えますが、行政が市民活動を抑制してしまうのは以 ての外。たとえ対価行為であっても公益性が認められる場合、 「営利目 的」の解釈変更を行うための審査を行い、通常通り公共施設を利用で きるような料金制度を検討すべきではないでしょうか。 最後に⑥旧東中跡地と旧北高跡地について。 駅前開発ということで、 オガールプロジェクトと条件が類似している旧東中跡地と旧北高跡地。 能代を発展させるための未知なる可能性が眠っていると信じますが、 逆に活用方法を誤るとその可能性を完全に潰しかねません。十二月定 例会にて、地元住民から議会に対し旧東中跡地の利活用に関する陳情 書が提出されましたが、私の地元でもある故に甚だ心苦しくありまし たが、委員会採決において継続審査という採決をさせていただきまし た。それは住民の願意には納得するものでありますが、今後の当市の 人口減少や既存公共施設の維持管理を考え全市的な視点に立ったとき、 更に多額のコストが掛かる公共施設を増やすことには慎重な姿勢にな らざるを得なかったためです。地方自治体の議員たる者、自らの地域 のために尽力することは然るべくありますが、常に全市的な視野で将 来世代のことを考えた決定をしなければなりません。さもなければ自 らの地域住民のための判断が、将来的に地域住民を苦しめる結果にな りかねません。たとい自らが不利な立場に陥ろうとも、これからこの まちで暮らしてゆく子供たちの2、30年後の幸福を最優先し、自ら の腹を切れども初心裏切らず、それが真の国士の生き様であり、強き を挫き弱気を助く政治家のあるべき姿です。今後旧東中跡地と旧北高 跡地の整備を検討してゆく際、オガールプロジェクトをモデルとした 6 質 問 要 旨 一問一答式・一括質問一括答弁式 公民連携手法による、稼げるインフラとしての公民複合施設の整備を 視野に入れるべきと提案いたしますが、今後の活用手段の検討状況と 併せてお答えください。
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