会長あいさつ要旨 (PDF)

会長定例会見(平成27年1月)萬歳会長挨拶要旨
平成27年1月15日(木)
16:00~
JAビル301会議室
○
新しい年を迎えまして、今年もよろしくお願いいたします。今月も、多く
の皆様にお集まりいただき、心よりお礼。
○
本日は、会見後、予定もございまして、時間が限られておりますので、J
A改革に絞って、お話させていただきます。
○
農協改革につきましては、年明けより、監査を中心に様々な報道がござい
ますが、さきの衆院選における自民党の公約では、昨年6月の与党とりまと
めを基に議論を深めるとしており、政府から具体的な提案を聞いていないな
か、JAグループ内では、大変混乱しています。
○
昨年6月に改訂された「農林水産業・地域の活力創造プラン」においては、
農業所得の倍増を最優先課題として取り組むことが明記されました。11月
に取りまとめた私どもの自己改革においても、農業所得の増大に向けた自ら
の改革を進めようとしております。
○
そうしたなかで、特にJA全国監査機構が実施する監査の廃止が、各JA
の現場では農業所得の増大にどういった関連があるのか、理解しかねるとの
声が多くあがっています。
○
JAグループの監査については、これまで規制改革会議からJA全国監査
機構の監査のあり方、品質向上などについて、様々なご指摘をいただいてき
たところですが、農林水産省の指導も受けながら、公認会計士の活用拡大や
審査体制の充実などの改善・改革に取り組んで参りました。
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○
平成 19 年には、当時の若林農林水産大臣が、
「中央会における農協指導と
監査は、車の両輪で有効に機能している。そのため、公認会計士監査のよう
に指導と結びつかない外部監査は、指導と一体となって機能している全中監
査に置き換えることはできない」と参議院農林水産委員会で答弁されており
ます。
○ そして農林水産省は翌 20 年の規制改革推進のフォローアップ結果として、
「公認会計士監査を導入する必要はない」と結論づけております。
○
こうした経過がありながら、今回、公認会計士監査とすべきという唐突な
提案がなされていることに対しては、理解ができずにいるところです。
○
上場株式会社の監査では、「投資判断としての財務諸表の適正性」を証明
することが求められていますが、協同組合であるJAの監査に対する組合員
をはじめとした利害関係者の期待は、「JA事業を継続利用するためのJA
の健全性の維持」にあります。
○
この期待に応えるためには、会計監査だけでなく業務監査を一体的に実施
する必要があり、JA全国監査機構による監査を行っております。
○
また監査報酬について、公認会計士監査は企業との個別契約ですが、JA
全国監査機構の場合は、JAとの個別契約ではなく賦課金方式をとることで、
監査の独立性を担保しております。
○
JA全国監査機構の監査は、農協法に基づく国家資格である「農協監査士」
が主に担っております。
○
農協監査士は、民法、会計、監査等に加えJA事業や協同組合理念への理
解が必要である資格試験と、十分な実務経験を経て認定をしており、また、
日々の監査実務を通じて、監査品質の向上に努めております。
○
こうしたことから、JA全国監査機構の監査は、農業・地域を支えるため
に総合事業を展開しているJAの特性をふまえた、最も効果的な監査制度で
あり、多くのJA・組合員から支持されています。
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また、JA全国監査機構の監査は、中央会の経営指導部門とJAバンクに
よる一体的な取り組みにより、全国におけるJAの経営健全化をはかってお
り、JAの組合員の利益を守るシステムとして十分に機能していると自負い
たしております。
○
次に准組合員制度についてであります。6月の政府・与党とりまとめでは、
「准組合員の事業利用について、一定のルールを導入する方向で検討する。
」
とされておりますが、この問題について、我々としては、組織・事業に関わ
る重要な問題であると考えております。
○
我々は、「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として、総合事
業の展開により「持続可能な農業の実現」と「豊かで暮らしやすい地域社会
の実現」に全力で取り組む所存です。
○
JAだからこそ、農業振興と地域振興に一体的に取り組むことができます。
農業者と地域住民がJAの事業利用を通じて、こうした取り組みに参画して
いくことは、農業の成長産業化や国民的課題となっている「地方創生」の実
現のためにも、必要なことであると考えております。
○
日本の農村地域の多くで、混住化がすすむなか、今後、わが国が「地方創
生」をすすめていくためには、准組合員が利用制限をされるのではなく、む
しろ積極的に位置付け、JAの地域インフラとしての機能を最大限にご活用
いただくことが必要です。
○
西川大臣の会見では、JAグループの意見を聞くとおっしゃって頂いてお
りますので、実態の把握・検証に基づく、議論をお願いしたいと考えており
ます。
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自己改革の取り組みや、JAが地域で果たしている役割と、それを支える
中央会の機能について、今後も、政府・与党をはじめ、国民の皆様に対して、
ご理解いただけるよう、しっかり取り組んでまいります。
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最後に、JA改革以外に、今後の農政課題として、東日本大震災からの復
旧・復興、TPP、米をはじめとした農業政策の見直しなど、様々な課題が
山積しております。
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TPPについては、昨年のアメリカ議会選挙で、民主党より自由貿易を志
向すると言われる共和党が、上下両院で、過半数を超える議席を獲得したこ
とから、TPAが審議されやすい環境になっております。
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その動向に各国は注目しておりますが、TPAが可決されれば、各国の交
渉が一気に加速化するものと予測され、今後のアメリカ議会の動向などを注
視していく必要があると思っております。
○
日米の二国間協議も、大詰めの交渉が続いているものと認識しております
ので、JAグループとしては、引き続き、政府・与党に対し、一層の情報開
示とともに、国会決議を遵守した対応をお願いしたいと考えております。
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また、米については、本日 27 年産米に向けたJAグループの取り組み方
針を組織決定いたしましたので、詳細は後ほど冨士専務より説明いたします。
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また、本年5月より、イタリア・ミラノで開催されるミラノ万博の開幕が
迫ってきておりますが、JAグループも協賛団体として、イベントの開催や、
ジャパンデーへの協力などを行って参ります。
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今後も、定例会見の場を通じて、山積する農業やJAの課題に関するJA
グループの考え方や取り組みについて、理解を深めていただけるよう、情報
発信に努めるとともに、皆様からのご質問にも対応してまいりますので、引
き続き、よろしくお願いいたします。
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本日の私からの発言は、以上。
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