※ドイツ 資料 1 [看護師] 注釈

※ドイツ 資料 1 [看護師]
注釈
<1-(1)> 種別と業務について
“KrPflG”、1 頁、第 1 条 1 項 1 文
次の職名を用いようとする者は、その許可を要するものとする:
1.「看護師(⇒直訳:健康管理・傷病者看護師)」又は、
2.「小児看護専門看護師(⇒直訳:健康管理・小児傷病看護師)」。>
※注:ドイツ語原文には上記 1、2 のそれぞれに男女両形が記載されている。
ドイツには看護師の職務内容を具体的に規定した法令がないようなので、代わりにドイツ政府機
関である「連邦雇用庁“Bundesagentur für Arbeit”」のホームページから看護師業務に関する説明
文を引用翻訳
当該文献 URL(一番上の箇所“Aufgaben und Tätigkeiten (Kurzform)”):
http://berufenet.arbeitsagentur.de/berufe/berufId.do?_pgnt_act=goToAnyPage&_pgnt_pn=0&_pgnt_
id=resultShort&status=T01
※注)“KrPflG”の「看護法」第 3 条 2 項に“養成教育の目標”として概要が記されているが、これ
を以て看護師の業務内容とするという規定はない。なお同概要に相応する具体的教育内容につ
いては、「2-(2)-②教育カリキュラム」に記載
<1-(2)-②>免許の発行元
13 頁、第 5 章
管轄
第 20 条 管轄公署の任務
第 1 項 第 2 条 1 項(以下)に拠る決定は、申請者が試験を受けた州の管轄公署がこれを下す。
第 1 項 第 2 条 免許付与の所要条件
第 1 項 第 1 条 2 項に拠る免許は、申請者が次の事項に該当する場合にこれを付与する:
1.本法律に定められた養成教育期間を終了し国家試験に合格していること、
2.職業遂行にあたっての信頼を損ねることになるような行為を犯していないこと、
3.職業遂行にあたって健康上不適格でないこと、及び
4.職業活動の遂行に必要なドイツ語知識を有すること。
<1-(2)-⑤>相互承認
“KrPflG”、3 頁、第 2 条 4 項 1 文
(KrPflG)第 1 条 1 項の 1 に拠る免許(:看護師免許)を申請する者においては、当該者が、欧州経
1
済領域の他の加盟国にて一般看護を担当する看護師としての養成教育を終了しており、且つ、本
法律の添付書に掲げるところの他の欧州経済領域加盟国の養成教育証明書であって前記添付
書内に指定する基準日に従って発行されたものを提出してこのことを証明した時は、第 1 項の 1
(本法律に定められた養成教育期間を終了し国家試験に合格していること)の所要条件は満たさ
れたものとみなす。
<1-(3)-①>登録機関
管轄
第 20 条 管轄公署の任務
第 1 項 第 2 条 1 項に拠る決定は、申請者が試験を受けた州の管轄公署がこれを下す。
第 3 項 州は、本法律の執行を所管する公署を定めるものとする。
<1-(4)>欠格事由
補足説明:
二つの項目(信頼性、健康性)とも各州の管轄公署の裁量に委ねられていると思われる。
管轄公署ごとに免許付与要件としての提出書類の種目・内訳が異なっているという事実から、
当該要件に関しての勘案は各公署の専権事項になっていることが推察される。内容の差異につ
いては複数の公署を対象に比較を行った。調査公署は、ベルリン、ザクセン、オーバーバイエルン
の3つである。
a.「信頼性」の証明:
①警察署交付の行状証明書➡ザクセンとオーバーバイエルン
②本人自らによる無犯罪誓約書➡ベルリン
b.「健康性」の証明:
①「職務遂行に健康上問題がない」旨の文言が記された(実施検査項目の記載のない)健康診断
書(医師が発行)➡ベルリン
②「不適格でないと所見する」旨の文言、或は“不適格”である際に具体的な所見内容を記述する
ことになる健康診断書➡ザクセン
③提出証明書として“医師の診断書”とのみ指定されていて所定フォームがない➡オーバーバイ
エルン
上記に加え、診断内容は各公署とも医師の判断に任せている感があるなど、統一規格・様式で整
備整合化されているといった状態ではないと考えられる。
<2-(1)>教育機関の種類
第 4 条 養成教育の期間及び構成
第 2 項 当該授業は、病院に付設された国家認定学校又は病院と連係する国家認定学校に於い
てこれを行う。看護教育が学校法の拘束を受ける州にあっては、学校の認可は、同州の学校法
2
及び第 3 項の規定に準じてこれを下す。実習教育は、単一若しくは複数の病院及び外来看護施
設並びにその外の養成教育に参加する適宜な施設、殊に入院看護施設又はリハビリテーション
施設に於いてこれを実施する。
第 3 項 第 2 項 1 文に拠る学校の国家認定は、当該学校が次に掲げる最低要件を満たしている
時に、管轄公署がこれを行う:
1. 大学教育課程を修了し相応の資格を有する専門職員による、本業としての学校運用、
2. 養成定員数に対し十分な人員数の、理論的授業及び実技的授業の為に相応の大学教育課
程を修了した専門教員資格を有する教職員の証明、
3. 養成教育に必要とされる部屋及び設備並びに十分な教材・学習用具の展示、
4. 管轄公署により一部実習教育の実施に適格と判定された第 2 項 3 文に拠る施設との合意を
通しての、看護職の教育及び試験令[直訳:「傷病者看護の職業の為の養成教育及び試験に就
いての政令」]に拠る実習教育実施の確保。
[なお]第 1 項[の趣意]を超える州法上の規定は、何ら妨げを受けないものとする。州は、州法に
より、第 1 項に拠る最低要件に就いて細目を定めることができる。
第 4 項 州政府は、法規命令により、第 3 項 1 文の 1 及び 2 に拠る大学教育課程を特定の大学
の種類及び課程に限定する規則を定めることができる。
<1-(2)-①>免許証の種類
“KrPflAPrV”、11 頁、Anlage 4 (zu §19)
職名使用許可証
職名「
」
氏名:
.
生年月日:
.
出生地:
.
上記の者は、看護法に基づき本日付を以て、
職名「
」
を用いる許可を取得する。
地名及び日付:
(印)
.
(署名)
3
<1-(5)-②>国家試験
第 5 条 受験許可
第 2 項 受験許可は、下記証書が提出された時にこれを与える:
1. 身分証明書又は旅券の謄本、
2. 第 1 条 4 項(下記:第 1 条第 1 項、4 項)に拠る養成教育課程参加に就いての証明書。
第 1 条 養成教育の構成
第 1 項 [略(内容:看護教育に於ける受講時間数内訳の概要)]
第 4 項 第 1 項に拠る養成教育に規則通り参加し且つ修了したことは、添付書 2 の様式の証明書
で以てこれを証明しなければならない。
<1-(5)-③>国家試験の試験科目
KrPflAPrV”
第2章
看護教育に対する試験規定
“KrPflAPrV”、5 頁、第 2 章
第 15 条 実技試験
第 1 項 実技試験は、最大 4 名の患者グループに対する看護の領域に関連するものとする。
添付書 1 の B 項によって受験生が試験の時点でその実技教育に参加しているところの専攻部門
の専門分野に於いて、経過別看護中に発生する役割(記録及び引き継ぎを含む)を引き受ける。
受験者は口頭試問の際、自らがとった処置に就いて説明し、その理由を述べ、更に試験状況を斟
酌しなければならない。
<2-(2)-③>入学要件
「E11」欄【1】“KrPflG”、8 頁
第 5 条 養成教育を修学する為の所要条件
第 4 条 1 項[⇒「D45」欄①参照]に拠る養成教育を修学する為の所要条件は、
1. 第 2 条 1 項の 3[⇒「D15」欄①b]に拠り、志願者が職業遂行にあたって健康上不適格でない
こと、且つ、
2.
実科学校修了若しくはその他同等の学校教育、又は、
2a. その他 10 年制普通教育修了、又は、
3.
本科学校修了若しくは同等の学校教育、加えて、
a) 最低 2 年の養成教育予定期間の職業教育修了、又は、
b) 看護助手の免許、又は看護助手若しくは老人看護に於ける最低 1 年の州法規定養成教育
の修了。>
4
<1-(2)-⑤>相互承認
[資料 1-4,5]
“Richtlinie EG”
第 4 条 承認の効力
第 1 項 接受加盟国による職業資格の承認に依り、その便宜を受ける者が当該加盟国に於いて、
自らの出身加盟国にてその為の資格を有すると同じ職業に従事し、内国人と同じ条件の下にそ
れを遂行することができるようにする。
第1章
養成教育承認の為の一般規定
第 10 条
適用範囲(略)
b) [略]一般看護婦・看護師[略]助産師[略]
<1-(6)>看護師の業務範囲 [資料 1-6]
“Pflege aktuell”
禁止・制限事情:
ドイツ政府機関である連邦職業教育研究所“Bundesinstitut für Berufsbildung (BIBB)”の説明に拠
ると、「コブレンツ労働裁判所の 1993 年 8 月 24 日付判決(文書番号:3 Ca 713/93➡判決原文を
捜し当てず)」を法的根拠として次の通り規定:
A. 禁止行為:医師のみに許された医療行為[下記①の 1]、
B. 制限行為:医師の判断と比較的厳格な条件の下に遂行できる医療行為[下記①の 2]、
C. 容認行為:医師の了承があれば緩やかな条件の下に遂行できる医療行為[下記①の 3]。
※注:下記文中の番号 1.、2.及び 3.は訳者が便宜上付したものであり原文には存せず。
①:
1. 委譲できない医師業務:
事例の困難性、危険性並びに処置の危険性の事由に因り医師としての専門知識が必要。
⇒あらゆる手術行為、医師としての検査・相談、侵襲性診断、療法決定、心理療法、内視鏡・超音
波検査、材料摘出の為の穿刺、造影剤注射、保存血液の装着・交換、等。
2. 事例に依っては委譲できる医師業務:
事例に依って医師が、医師でない医療従事者に委譲しても支障がないか否かを判断する。
⇒注射、点滴・血液採取、等。但し、注射に関しては、その種類に依り次の通り要件が異なる:
a) 皮下・筋肉注射:知覚鈍麻治療を除いて、一般的に有資格看護職員に委譲できる、
b) 静脈注射、点滴及び採血:医師は、当該看護職員の修練・経験度に鑑み、且つ自身の監督の
下に同職員に委譲することができるが、この際、医師に対して種々の要件・制限事項が存する。
3. 一般的に委譲できる医師業務:
特に医師個人による医療行為を必要としないことに因り、医師が看護職員の専門資格を確認の
上、定期的に監理するだけでよい。
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⇒簡単な検査室業務、物理療法業務、留置カテーテル交換、単純包帯の交換、簡単な計測手順、
等。>
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